峰守ひろかずのレビュー一覧
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ネタバレそういえば主役二人は夫婦だったねと読みながら思い知らされた。
そして夫婦なのに、正式に「告白し合った」夫婦ではなかったねと某シーンを見ながら改めて思い知らされた。
まさか見ているこちらも赤面してしまうような発言やらシーンやらがこの二人から登場するとは思いもせず。
途中から「出歯亀してすまんよお二人さん」と真剣に思った。
どうやら他にも覗いていた人はいたみたいだが……
曲利さんの嫌がらせのような依頼を受けつつ(実際に自由になるために厄介なことを持ってきてはいる、そしてそういう意味で信用されているから関係ないのにお仕置きも喰らうという……)話の大きな流れとしては、幽世に行ってしまった巫美子さんを現世に連れ戻すための方法を探るお話。
拝音にしてみれば巫美子は元婚約者、しかも陰陽師として凄腕となれば、戻って来られると泉としては立場が弱くなると思うのは当然。
何なら自分を犠牲にしてでも彼女を取り戻した方がいいのでは、なんて考えに至るほど。
彼女、自己評価が低いので……
ただここで、新たな出会いが彼女の成長に繋がった。
この出会いがね、ある意味ジョーカーだったような気がする。
泉の友人であり、拝音にしてみれば……とにかく、おいしいキャラだった。
そして性格がなかなか強烈。
峰守先生の描く女性キャラって、時々ぶっ飛んでる人来るからなあ。
そこがまた素敵ではある。
振り回される男性陣は大変だと思うけれども。
特にポチ的な新キャラ君はあれでいいのか……凄く強かったけど、締まらなかったねえ……そこもまた愛い。
これまでの事件や経験で得た知識が最後にしっかり伏線になるのもよかったし、また後書きでも言及があったが「大正時代」を舞台にしながらも、わたしたちの歴史上の「大正時代」とは違うことを作中で描いた手法に驚かされた。
そこを物語として盛り込んでくるの、本当に凄いなと。
何が伏線になるのか油断ならないお話だった。
ともあれ、主役カップル、末長くお幸せに!
君たちのバカップルぶりだけでお腹いっぱいですとも。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ各話のタイトルのデザインがいかにもその手の雑誌!な感じでわくわくしました。
そして実際にその辺境に訪れてみると……
てっきり本当に怖いのは人間系の話かと思いきや、読み終えてみると実に様々なパターンがあって面白かったです。
心霊に怪獣、SF要素などなど、とにかく要素盛り盛りで「こんな話まで持ち出すか!」と。
峰守先生作品のこれまでの要素全部盛りみたいな豪華さを個人的には感じました。
また伏線が意外なところに張られていて、ここで回収かと驚くことも。
特にラストの話がここでそのネタが活きるのか!と興奮しました。
初っ端で解決してたから忘れてたので……上手いなあ。
拝み屋兼記者の青年と家業から逃げるためにカメラマンになった青年のバディが段々心通わすところもよかったし、助け出された少女が後々レギュラーキャラになって活躍する展開もよかったです。
彼女がまさか重要キャラになろうとは。
彼女の諸々の活躍はぜひ本編でご覧ください。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ峰守先生の作品でついに小泉八雲先生のお話を読めるとは!と興奮しながらの読書。
『怪談』の元ネタとなった出来事を八雲先生や登場人物たちが経験する話であり、八雲先生が優れた「耳」や「鼻」でその出来事の謎を解くミステリでもある贅沢なお話。
各話最後のコラムもまた興味深くて楽しかったです。
どの作品でもこのコラムが楽しみで楽しみで。
八雲先生のカタコトな日本語が何とも可愛らしい。
それでいて、先生の言う「ゴースト」の話になると割と流暢に説明し出すのもまたいい。
八雲ご夫妻が「パパさん」「ママさん」と呼び合ってるのもまた微笑ましくていい。
オリジナルの登場人物も『怪談』を知っているとニヤリとする「音」のキャラがいて、ちゃんとラストにそれが伏線になっているのもよかった。
女中の好乃の正体は少し想定外だったけれども。
苗字から何となく想像してたら違ったというね……途中しっかり匂わせあったけれども、元ネタ知らないとスルーしてしまうかと。
気付いた方はマニアだわ……
ある目的で八雲の家に転がり込んだ好乃、その目的は達成できるのか。
様々な経験をして気づきを得たあるキャラが一念発起して告げたこととは。
そして、八雲先生は一体どんな思いで『怪談』を書き上げたのか。
もちろんフィクションではありますが、八雲先生の足跡を学びつつ、こういうこともあったかもしれないなと想像(妄想)できる物語だったと思います。
本当に不思議な経験をしたからこそ、日本の怪談に惹かれたのかもしれないと、そう思わせる力があったので。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ学芸員×呪術ということで個人的にツボのテーマ。加えて呪術についてもロジカルな解釈がされているのでとても好きなタイプの物語。「呪い」をテーマにしながら「呪いなんてものはない」とバッサリ切り捨てているのもスタンスがはっきりしていて好みである。 美形だが本物の呪いにかかってみたいと主張する変人の学芸員と、本来は美術館志望だがひょんなことからそこに配置されてしまった実習生、しかも幼い頃から不幸体質という組み合わせがポイントだと感じた。やはり物語をドライブするのはキャラクターの配置なのだと感じた次第。
「丑の刻参りの藁人形」 呪いといえば誰もがまず思い浮かべるのがこれではないだろうか。いわゆる「呪いの藁人形」というやつである。本文中でも触れられているが「適度に困難、適度に手軽」という点で民間に広まったのではないだろうか。つまり、簡単すぎると効く気がしないし、かといってやり方が難しすぎれば達成できない。そのバランスが良かったのではないかと思う。どこの神社か失念したのだが、呪いの藁人形を打ちつけた跡が残る木をみたことがある。人の業のようなものをその小さく暗い穴に感じた。また“使用済み”の藁人形も民族学博物館だったか、どこかの博物館でみたことがある。やはり同様に何か人の強い思いというものを感じさせるものだった。 ちなみに呪いの藁人形はネットでも売られていて普通に買える。確か五寸釘もセット売りしていた。今どき五寸釘など家に転がっているものでもないだろうし、手軽なセットになっているというのも、変わるものと変わらないものを感じさせて面白い(面白がるものでもないのかもしれないが)。「獣人型有孔木製人形」 民間信仰の「隠し念仏」や「いざなぎ流」が言及されているが、このあたりは個人的に興味のある分野。本も持っているがまだ読めていない。遠野が田舎ではなく交易都市である、というのは先日初めて遠野を訪れた時に知った。現在の視点だけでは見えてこないものがあるのだなと思い知らされた経験だった。途中、フィールドワークに関するくだりがあるが、改めて考えてみると知らない土地で知らない人に話しかけるというのはだいぶ高いハードルの行為である(このあたりの話はYoutubeのゆる民俗学ラジオでも言及されていた記憶がある)。作中の通り、向き不向きはありそう。 謎解きのシーンは京極堂の憑き物落としのようで面白い。多分に意識はされている気がする。「オシラサマ」と馬娘婚姻譚、養蚕のつながりも個人的に興味があるポイントである。馬については昔はもっと身近な存在であったであろうことは想像に難くない。東北のあたりでは人家と馬小屋がL字形に繋がっていて、人と馬とが同じ空間に生活していたというから、伝承においてもこの距離感は考慮に入れる必要があるように思う。養蚕についても昔は家の二階でやっていたであろうし、馬と人と蚕は昔は同じ空間に存在していたと考えるとこのつながりも読み解けていくように感じられる。ちなみに自分の実家も昔は養蚕を行っていて、実家の自室は以前には養蚕に使っていた空間を改装したものだったりする。
「鬼の頭骨」 「ばけもの、にせもの、まがいもの」の展示は正直なところ見てみたい。以前に広島県の三次にある三次もののけミュージアムで人魚のミイラは見たことがある。 祟りの種明かしに植物の成分が使われており、しかもそれは元の研究分野というのは伏線の貼り方が巧みだと感じた。妖怪の遺物を偽造する集団なども実にありそうな気がする。唱真の行動原理に一本筋が通っているのが良い。こういう点がキャラクターを立てるのだと感じた次第。
「呪術師の祭壇」 唱聞師(しょうもじ)、法師陰陽師については最近読んだ本で知ったばかりなので興味深く読んだ。式神の正体については共感するところ。京極堂シリーズにも似たような話があった気がする。ラストの引きも続きを期待させるものであり、綺麗にまとまっていると感じた。 -
Posted by ブクログ
シリーズ第2段。
文豪•泉鏡花が、少年時代に英語講師をしながら人力車夫の武良越義信と組んで怪異の噂を探訪するというバディもの。ここで探求した金沢の怪異が後の泉鏡花の作品に影響を与えているという体裁だ。今回は5話から成っている。
鏡太郎が魚の化生ではないかと噂される陸軍少佐夫人の家庭教師を引き受ける「海神別荘」
天狗に攫われて行方不明になっていた医者の息子が、まるで別人のようになって帰って来たことから始まる騒動を描いた「茸の舞姫」
義信が偶然見かけた河童のような生き物。それを銃で撃ちたいと言い出した人物を現地に案内する「貝の穴に河童の居る事」
貸本屋の瀧の許嫁•矢代知里が神隠しにあった。知里は躑躅の咲く丘を超えて行くと大きな建物に辿り着いた。そこで亡くなった母のような優しさで添い寝をしてくれた女性に会ったと言うのだ「竜潭譚」
金沢の町のあちこちに赤い旗が立てられ、おかしな噂が囁かれる。"炎のように赤い猿の群れが旗を立てていた" "赤い旗を持った美しい女が道で子どもに忠告した"どの噂も導く結末はひとつ。"近いうちに金沢で大火事が起こる"「朱日記」
日本古来の情緒あふれる幽玄な怪異譚を多く描いた泉鏡花。それは現代のホラーや恐怖譚のような論理性などとは無縁の世界です。この作品をきっかけに、泉鏡花作品にも触れる人が増えるといいですね。
そしてこの第二巻では、明治以降に失われていったものたちへの哀悼の思いが溢れています。それが特に良かったです。よって星五つとしました。
シリーズ第3段も出るのかな?「榲桲(まるめろ)に目鼻のつく話」なんかは使えそう。期待して待ってます。
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ネタバレ泉鏡花もとい鏡太郎くんの年上女性に対する賛美が相も変わらずで安心してしまった。
泉鏡花作品は『天守物語』とあと数作しか読んだことがないので、「少年時代の泉鏡花が体験したことを基に作品を書いた」という設定のこの物語、後書きで先生も言及されていたとおり、泉鏡花作品の入り口としても面白くありがたい話だと思う。
あの体験したあとで、実際どんな話を書いたんだろうと気になりますもの。
各話が終わるたびにあるコラムもまた興味深い。
解説も楽しみなのです、いいぞもっとくれ。
と、実際の泉鏡花作品との架け橋にもなるこの作品、今回は初手から鏡太郎くんの賛美が止まらない女性が登場。
山姫様がクールに去ってしまわれてからどうなるだろうと思っていたら、前述通り安心するという。
この話、決して安堵できるような話ではないんですけど。
しかもこの初手話が最後に文字通り大きく「火を噴く」話になるという。
そんな展開は想像していなかったよ!
他にも、鏡太郎くんの過去に関わる話も登場。
まあ義信さんの過去に関わる件もあるにはあったけれども、彼は一作目で粗方やりましたしね。
鏡太郎くんが過去に体験したことへの答え合わせ、そのオチも含めて印象深かったです。
でもやはり一番印象深かったのはラストの話。
作中で一番やっていることは過激で、それでいて幻想的で、山の恐ろしさというか、人智の及ばない世界の恐ろしさを感じた話だったなと。
妖怪の出てくる『くらがり堂』に繋がる話でもあるので、科学では説明できないことが出てきても大丈夫な世界観のはずなんだけれども、それでも驚いて。
でも綺麗なんだよなあ、美しかった。
読み手側でもそう思うのだから、鏡太郎くんがあの景色をどう捉えて後にどう表現したのか、気になりますなあ。
問題は、私にはまだ泉鏡花の話は難解すぎてなかなか読めないんですよね……あの妖しくも美しい世界観を読んでも理解しきれない。
易しい現代語訳にしちゃうと魅力半減する気がするし、でもそうしてくれないと理解できないというね。
もっと読解力上げないと駄目だなあ。
個人的な愚痴はさておき、鏡太郎くんと義信さんのもはや気の置けないバディな二人のやり取りが頼もしくも微笑ましく、今回も本当に楽しめる作品でした。
更なる続編、お待ちしております、先生! -
購入済み
全て善、全て悪はない
いい人もいれば悪い人もいる。
いい妖怪もいれば悪い妖怪もいる。
だから全て妖怪は悪いとして対応すると
後悔をすることになる。
このことに気をつけて今後も妖怪と付き合っていきたい! -
ネタバレ
汀一の芯の強さ
立春を過ぎて春を待ちわびる頃~百万石祭りまでの話です。今回の話の中心は汀一が金沢駅で道案内をした長身の美女・魎子と、カバーになってる生意気だけど可愛いカワウソの小ツメ(ツメは扌に爪)。一見豪快でサバサバした魎子が背負った宿命は妖怪全ての運命を握る重いものだけど、ラストは爽やかで温かい大団円。
汀一と時雨を見守るお姉さん的存在であり、同時に踏み込んだ話がなくメインキャラの割にちょっと印象が薄めの亜香里が主役の話がありました。彼女が抱えるトラウマや弱さ、それゆえ一見しっかり者に見える本質を知り、亜香里の人間くささ(妖怪くささ?)が分かってより魅力的になりました。亜香里の願いが叶って良かった。願いを叶えた汀一との距離も近くなりました。
今回の全ての話において鍵となるのは汀一の優しさや芯の強さ。前巻でもシラコビとの対決、氷柱女の果織との交流など汀一の優しさが伝わってたけど、亜香里が「汀一は誰に対しても優しい」と言った通り、汀一の優しさが全ての妖怪の危機を、そして良かれと思ってしたことが妖怪の危機を作ってしまい後悔してる相手をも救いました。汀一は小柄で童顔な見た目もあり普段は弟キャラだけど、いざというときには一番頼れる存在。これからも汀一と時雨、その他妖怪仲間たちとの賑やかで温かい日常が続くといいな。 -
購入済み
続巻を待つ!
科学者たる者、超常現象を目の前にした時、驚いたり、怖がるのは仕方ないにしても、次の瞬間これは何だろうと疑問を持ち、解明しようとする者だ。と大学時代に友人に言われたことがある。
西紋寺先生はまさしく友人の言う科学者だと思う。本人は学芸員だが。。
今回もいろいろな謎解き見事!
次巻を楽しみに待つ。
見てると飽きませんしね。(笑)