峰守ひろかずのレビュー一覧
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文豪泉鏡花を探偵役にした小説の2巻目。泉鏡花が金沢で、受験生でありながら私塾の英語講師をしていた時代のお話である。鏡花は英語を学ぶ車夫の義信が持ち込む怪異の謎を解き明かしていく。
本書も五つの短編からなっていて「海神別荘」、「茸の舞姫」、「貝の穴に河童の居る事」、「竜潭譚」、「朱日記」となっている。魚の化生と噂される夫人、神隠しから帰ってきた息子、深山の河童等が登場する。前作同様に後の鏡花の作品のモチーフになったかもしれない物語という設定である。
鏡花の年上の女性に対しての憧憬、あるいは崇拝は本書においても描かれている。連作短編集なのだが、巻をとおしてのヒロインが前作では山姫とすると -
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後に明治の文豪•泉鏡花となる少年•泉鏡太郎を探偵役に配し、人力車夫•義信の案内で様々な怪異に出会っていく顛末を描いたバディ物。5つの章がそれぞれ「草迷宮」「高野聖」「夜叉ケ池」「天守物語」「化鳥」となっており、後の泉鏡花作品を下敷きに作られている。
この作品を単体で読んでも面白いと思います。けれども、やはり上記の作品群を知っていると、面白さは倍増します。
泉鏡花の作品は、今では聞き慣れない古語が多用されていたり、明治以前には当たり前に親しまれていたような日本古来の"湿り気のある"幽玄な物語が展開される事もあって敬遠する人も多いけれど、真っ当な現実生活と怪異に満ちた幽玄な異 -
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文豪泉鏡花を探偵役にした小説を読むのは初めて。ちなみに自分が小学生の頃は、鏡花を女性作家だとばかり思っていた。その鏡花が金沢で、受験生でありながら私塾の英語講師をしていた時代のお話である。(ここは事実です)
鏡花は英語を学ぶ車夫の義信に、受講料の代わりとして本物の怪異に会わせてほしいと持ちかける。そして義信が持ち込む怪しい話の真相を一緒に調べはじめる。
本書は五つの話からなっているが、題名が其々「草迷宮」、「高野聖」、「夜叉ケ池」、「天守物語」、「化鳥」となっている。いづれも後の鏡花の作品のモチーフになったかもしれない物語という設定。そこに登場する義信、貸本屋の娘の瀧。不思議な力を持 -
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ネタバレ出会う度に山姫を褒めちぎる年上女性好きの鏡太郎に苦笑しつつ。
貸本屋さんのお嬢さんに想いを寄せられてはいるのにね、段々彼女が可哀想になってくる。
特に鏡太郎の史実を知っていると、彼女の恋がどうなるのかは自ずと知れるのがまた。
シリーズとして続くなら、案外車夫の彼とどうにかなりそうとか予想しつつ、それはさておき。
まだ少年とも言える年齢の泉鏡花こと鏡太郎が怪異絡みの事件に首を突っ込んでは謎を解き明かしていくミステリ。
相棒はまだ金沢に不慣れながら人力車夫をしている義信。
彼もまた後半に明らかになる「謎」要素があるのだが、それもまたさておき。
怪異好き(かつ年上女性好き)の鏡太郎から英語を教わ -
匿名
購入済みユニークなのが特色
怖いというよりはユニークで面白そうなイメージの方が当てはまりそうな、そんな妖怪たちがたくさん集っている場所のお話が載せられています。顔を自由自在に変えてくれるという特殊能力もある意味貴重ですし、不思議な場所を探検するという楽しそうな展開にも注目です。
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ネタバレ1巻のラストでそれぞれの道を歩み出した3人がまた集結することになるとは!
タイトルから頼政と泰親の再会は容易に想像ついたけれども、そこに玉藻も合流したのには本当に驚いた。
1巻もこの3人でわいわい事件を解決していくのが楽しかったので。
『平家物語』で有名な人たちも登場の2巻。
道具のもののけである(それでいて当時にはその考え方がなかった)付喪神の話や、安珍清姫の話など、とにかく有名な人物やエピソードが盛りだくさんの話で、個人的にかなりテンションが上がった。
付喪神の話はオチが2段階だったのも興味深かった。
頼政にはロマンスのお話も。
登場した方は、実際に妻として語られる方だったのか。
(調 -
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ネタバレついにクライマックス!
最終戦はこれまでの仲間たち総動員で(一部性格的に来なかったキャラがいたとはいえ)『くらがり堂』版妖怪大戦争みたいで胸が熱くなりました。
今回登場のバカップルがまた神器だけあって、ある意味チートでしたし。
お陰であの最終戦が実現したと言っても過言ではない。
時雨、初めてひとりで修復。
汀一、初めてひとりで真相に辿り着く。
主役二人の成長ぶりも感じられてよかった。
時雨の里帰りや、汀一の恋の行方など、読んでみたかったお話、気になる決着なども網羅してくれたクライマックスに相応しい物語だったと思います。
ラスボスへの対処も蔵借堂メンバーだからこその優しさ溢れるものだったし。