あらすじ
北鎌倉にあるアンティーク博物館。その主任学芸員である西紋寺唱真は、実践的呪術を研究する、呪いの専門家だ。
実習を終えた大学生の宇河琴美と西紋寺のもとに持ち込まれた奇妙な出来事。呪いの絵馬に名前を書かれた人物が祟りに見舞われたというのだ。
調査のすえ二人はある「呪術」に辿り着く。膨大な知識に裏打ちされたそれは、かつて西紋寺が発案し、その危険性から自ら封印したものと酷似していた。さらに呪いの方法を斡旋する謎の「コンサルタント」の存在が浮上し――。
奇奇怪怪なる呪いの世界へ「専門家」がご案内します。北鎌倉の博物館が舞台の、伝奇ミステリ第2巻!
感情タグBEST3
続巻を待つ!
科学者たる者、超常現象を目の前にした時、驚いたり、怖がるのは仕方ないにしても、次の瞬間これは何だろうと疑問を持ち、解明しようとする者だ。と大学時代に友人に言われたことがある。
西紋寺先生はまさしく友人の言う科学者だと思う。本人は学芸員だが。。
今回もいろいろな謎解き見事!
次巻を楽しみに待つ。
見てると飽きませんしね。(笑)
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参考文献の数が凄い。もちろん物語として盛り上がるように創ったり盛ったりしてるんだろうけど、それもこれだけの事実の上に積み上げてるからおもしろいんだろうなぁ。めっちゃ好き。
ウミウシの話、絵のお話、オニンギョウのお話、ヨガと帰命宗のお話。
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アンティーク博物館のイケメンの主任学芸員の西紋寺唱真と大学生の宇河琴美が遭遇する呪術に関する事件の数々を描く。呪術が本当にあるかどうかはとにかく、呪術に捕らわれる人間の心理がさりげなく表現されていて興味深い。仏教も現世の自己の利益を欲する人たちによって導入されたという指摘は意外と鋭いのではないか。呪符なんていうのも、密教というのもそれそのものだ。この作者はなかなか上手い。
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シリーズ2作目です。
蟲毒の解釈は面白いと思いました。蟲毒を初めて見たのは確か孔雀王ですが、確かにそれっぽいけどあれが呪いの道具になる根拠は薄い。こういう解釈もあるんだなと思いました。
3話目の「オニンギョウ」も面白い。これは実現可能な呪いですね。
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これまでの作品も踏まえて、史料をよく読んで書かれているなぁと感心。
時期的に柳田の『禁忌習俗事典』が再販されたり、呪術に関するコミックが大ヒットしていたりと、並んでいるような感じているみたいですね。(コミックは読んでません)
以前から加門七海さんの著作なども読んでいるので、その内容も思い出して面白かったです。
人を呪わば穴二つ。これは呪術におけるバランスの問題なので、その辺りも含めて次巻が楽しみですね。
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西紋寺シリーズ2作目。呪いの調査の末に辿り着いたある「呪術」。[情けは人の為ならず、人を呪わば穴ふたつ]…人の強い"祈り”が良い方にも怖い方に現れていく姿が描かれていて面白い。「コンサルタント」がこのあとどう物語に絡むのかも気になる
Posted by ブクログ
前作は琴美に対しての指示がやや理不尽じゃないかなと思うこともあったけれど、今回は悪魔的な指示が飛ばなかったので安心して読めた。
西紋寺先生、ちょっと丸くなった?
琴美が懐に入ってきたからかな。
いいコンビになったなと思う。
今回は人為的に作り出せる呪いとその効果の話が非常に興味深かった。
絵画で視覚的情報から感情を生み出せる話は特に面白かった。
しかも、これらの事件には西紋寺先生の世に出していない著書が関わっているという謎つき。
それに彼は奔走することになる。
最初から露骨に怪しい人がいたので、この一連の黒幕というべき犯人が分かった時は「やっぱりか!」と思ったけれど、その背景が思いの外広そうだったことには驚いた。
しかもすっきり解決という訳でもないので、このことは今後響いてくることになりそう。
つまり更なるピンチの危険性もある訳で。
呪いの世界はまだまだ奥が深そうなのである。
そう言えば、「オニンギョウ」の話は西紋寺先生の著書とは関係ない閑話的な話になっていて(根底にあるテーマは一緒「人為的に作り出せる呪い」)本当に西紋寺先生の「息抜き」になっていたのだなと読み終えた後に思った。
作者さまの心づかいが細かい。