中上健次のレビュー一覧
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購入済み
圧倒的な物語力
物語の強度に圧倒された。
「血」の持つ宿命に抗いながら翻弄される男たちと、その生と死を見守る語り部たる産婆。
作者のいうところの「路地」、すなわちひとつの(被差別)部落の中で展開するストーリーがこれほどまでに広がりと深さと崇高さとエロスを持ち得るとは。
登場する6人の男たちの魅力もさるものながら、時空を超えて彼らを語りつくす産婆=オリュウノオバの奔放な思考が、本作品の常ならぬトーンを作り出している。
そして緻密で難解は文体も、この物語を支える不可欠の存在だろう。
それで、映画は.......どうなんだろう? -
Posted by ブクログ
ぐいっと引き込まれるものがあります。
リアリティ溢れる描写は、作者の育った境遇が目の前に浮かぶようです。
それ故に、なかなかに辛く、救いがない。
どうにも乱暴になってしまう人達の性は、境遇によるもなのか。乱暴を乱暴のままにして許してはいけないと思う。
先に、紀州という著者のルポ?を読みました。
作者の育った土地や、そこに住む人々が、作者が洞察し、描いた作品のとおりであるなら、あまりに悲しい。そういう事実や性質がそこにはあったのだと思いますが、その他のものもあると思います。良いところ、明るいところも。
文学として、あるいはその境遇を残すという意味で、価値あるものだと思いつつ、個人的にはもっと希 -
Posted by ブクログ
著者にとって最長の作品にして未完の大作。「ポスト路地」の作品世界を東アジアに求めた意欲作だが、何とも評価の難しい作品でもある。解説の渡邊英理氏は本作の可能性の中心をつかまえようとする議論を展開されているが、やや「贔屓の引き倒し」感がないでもない。
物語の枠組みはまるで中上版の『羊をめぐる冒険』という感じだが、物語的な定型性を示唆する記号をこれでもかとばらまいておきながら、その定型だけには陥るまいと「横ずれ」を行っていく運動が小説の世界を支えているため、人物同士の葛藤をふくむ関係が深まらず、伏線と山場の関係が明確にならない(読者が「平板さ」という印象を抱くのはそのためだろう)。
象徴的な