あらすじ
金色の小鳥が舞い、夏芙蓉の花が咲き乱れる紀州・新宮の路地。歌舞音曲に現を抜かし若死にするという七代にわたり仏の因果を背負った、淫蕩の血に澱む一統・中本。「闘いの性」に生まれついた極道タイチの短く苛烈な生涯が、老産婆オリュウノオバ、アル中のトモノオジにより幻惑的に語られる。人間の生と死、その罪と罰を問うた崇高な世界文学。
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Posted by ブクログ
中上が連綿と描き続けてきた“路地”シリーズの終着点。
“路地”の最後の生き証人、今は零落しアル中のトモノオジが中本の極道タイチの生涯を幻惑的に語る。
蓮池の挿話、人物のカタカナ表記、終盤に現れる釈迦の掌と、浅学ながら深淵な意図とブッディズムを感じる。
圧倒的な文学的魅力とエネルギーを備えた、誰にも真似出来ない文学世界の極地を味わった。