中上健次のレビュー一覧
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中上健次の身体性の強いくらくらするような文体のはじまりはこんな感じだったのかー。
「枯木灘」より「軽蔑」より濃くて尖ってて良い。本当にこれは十九歳で読むべきだったなあとは思いつつも、今読んでも疼くものがある尖りかた。Posted by ブクログ -
こう、並べて読んだからかもしれないが、上記の天皇百話、下巻にこの中上の文章が入っていないことが不満に思えるほど、天皇制、差別構造、それらの総体としての日本を考えるときに、この本は必読書なのではないか?80年代初頭という時代を背負っていることは確かだが、現代に生きる我々から地続きの場所から発せられてい...続きを読むPosted by ブクログ
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この世の彼岸、生と死がただ循環する路地世界の中で、血脈の時を越えた年代記であり、それを見届ける聖の物語である。その異界いや新世界に一読者として浸るのはまさに愉楽であり皆苦でもある。新たな小宇宙を創り出す著者の力量には感服です。Posted by ブクログ
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密度の詰まった濃密で圧倒的な文章にノックダウンされます。登場人物も生き生きとしていて鼓動まで伝わるかのようです。美男率高し。中上の書く青年は本当魅力的。映画はどうなるんだろう?!Posted by ブクログ
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彼の著作の中で私が最も好きな本だ。一人の作家の多くの作品の中で一番好きな作品と言うものを選び出す方が難しくあるが、この物語は醜い、儚い、力強い、そして美しい。Posted by ブクログ
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秋幸3部作よりも、鳳仙花や千年の愉楽のような女性視点で描かれる中上健次作品が好き。
例えば、夕焼けがきっぱりと夜に包まれるまでの描写一つにしても、その美しさに衝撃で震える。谷崎潤一郎も真っ青。Posted by ブクログ -
女の一生。
あまりの緻密な描写に中上健次は実は女だったのでは?と疑うほど。2度読み返したが情景描写があまりにも美しくてうっとりする瞬間瞬間。
最初は説明描写が多いなーと思っていたが、気がついたら言葉の海で泳いでいた。
カルマの渦中で生きて行く生々しいフサの一生。
矛盾と心細さと強さが、その時の空気...続きを読むPosted by ブクログ -
土や動物さらに排泄の臭いがまとわりつく生活空間に厭世観が漂う。若者、社会に抗う彼らの心情に時折共鳴するも隔絶も伴ってしまう。それは読者自身の俯瞰化なのか、登場人物への蔑みなのか、それとも言葉では明確化できない混沌した感情なのだと結論づけても物語は完結へと向かわない。筆者、中上健次は結末の道程を読者に...続きを読むPosted by ブクログ
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朝日新聞の和歌山文学紀行での紹介本である。読んでみて、岬へ家族でピクニックに行くことと甥っ子がクジラを見に行くということで和歌山ということがかろうじてわかる程度である。最後が性交で終わる。Posted by ブクログ