中上健次のレビュー一覧
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作者の魂の故郷とも言える和歌山のルポタージュ。
ぐるぐると縁の深い土地を回りながら、土着の逸話やそこに住む人々の話を、10p弱で区切った短編集形式。にも関わらず内容は重く、非常に読み進め難い。
作者の思い入れが強すぎて、あまり楽しんで読めなかった印象。ただ、故郷を通して彼の伝えたい事・想っている事...続きを読むPosted by ブクログ -
欲望と性、暴力、呪われた血縁。どうしようもない話。
人間というものを正直に描こうとするならば、他にどんな方法があるっていうんだ?とでも言いたげな、ある意味での真摯さと、だからこその閉塞感。Posted by ブクログ -
リービで解説というか分析されていたので読んだ。中上らしい性と暴力の小説である。オリュウノオバという産婆が自分が取り上げた赤子が若くして殺されることを、その子どもごとにいくつかの話にしたものである。
全集5の中で読んだ。これがリービがいうほど素晴らしい小説かどうかがわからない。Posted by ブクログ -
連載モノだから繰り返しが多い。
父親の血に苦しめられる息子の話。
淡々とした文章で、死ぬほどややこしい血縁関係が語られる。聖書?
人から後ろ指をさされ、罪をつくる元凶となった父を憎んでいても、やっぱり親子の交わりを諦めきれない秋幸のもどかしさを感じた。
続編の『地の果て 至上の時』も読みたい。Posted by ブクログ -
十九歳の地図を読んで
何者でもない不安と何者でもない居心地の良さを兼ね備える何色ともつかない人生の一時。
世の中を知っていたと言えるのは、本当はこんな時期なんじゃないか。
大人になれば落ち着き場所を見つけ、その場所に意固地になる。
こんな純粋な持て余した感情は持てないんじゃないか。
だから曇りの...続きを読むPosted by ブクログ -
宇佐美りんが「推し」ている著者ということで手に取る。
4つの中編が、当初は別々のものかと思いきや、最後の話しからどうも一人の男の小学生、19歳、20代半ばのことを書いていると読み取れる。
社会の底辺で生きる若者、朝鮮への差別、、、「そこのみにて光り輝く」にも通じる重苦しさが、しんどいながらも読み切っ...続きを読むPosted by ブクログ -
昭和の複雑な家庭が描かれた四編。
混み入った血縁関係による葛藤や苦しみが、この本の大部分を占めている。生まれた場所、逃れられない血の繋がり、若さによる暴力的なエネルギーに否応なく巻き込まれた。
一人一人の濃厚な人生が絡み合っているので、主人公とは別の人物から見たらどんな世界なのか読んでみたい。Posted by ブクログ -
枯木灘や岬を復讐するようにこのルポルタージュを読んだ。
差別、被差別の感覚は、ざらっとした感覚として持っていたけど、内面をえぐるような表現で、心を揺さぶられた。
そして、改めて島崎藤村の破戒を読みました。Posted by ブクログ -
以前、酔っ払って新幹線に置き忘れたので古本屋で再度購入。まだ読んでいなかった最後の中篇「岬」を読む。読み応えはある。ただ何か独特の世界(血縁関係ややこし)が腹に落ちてこない。次の長編も読んでみるべ。Posted by ブクログ
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同じ内容が繰り返される内容だったが、最後は引き込まれていった。自分の人生を振り返る良いきっかけとなった。このような名作を読みながら、考える。自分に置き換える。そういった作業が成長のキッカケになりうると思った。長い、小説であったが一度時間を開けてもい一度読んでみようかと思う小説であった。Posted by ブクログ
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感覚的にやや距離を感じた物語でした。血筋によって運命付けられているというその諦念には哀れも感じるが、取り上げた子らの生き様を見るオババの視点が面白い路地サーガ。Posted by ブクログ
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紀州に横たわる漂泊者と非人の歴史。私が産まれた頃にはリアルだった歴史の残像。東日本にいると全く理解出来ない、この皮膚感覚。
分からないから読むのですよ。Posted by ブクログ -
1946和歌山県じんぐう神宮市生まれ 46歳の若さで逝去 拠り所のない鬱屈を瑞々しい筆致で捉えた青春小説の金字塔 朝鮮部落の豚小屋 抑揚の定まらない口笛 インディアンの襲撃の雄叫びの真似 万国旗と日の丸の旗 子供特有の想像力を展開 計画の進行をうなが促す刺激剤 才気煥発 白色レグホン 鮒 樫枝かしえ...続きを読むPosted by ブクログ