吉本隆明のレビュー一覧

  • ひきこもれ~ひとりの時間をもつということ

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    ネタバレ

    絶賛社会生活に馴染めず引きこもっている今、たまたま見つけて即購入。

    自分にとっての人生の価値を見つめ直している、そんな時期なんだろうなと少し納得できた。

    個人的に
    一般社会の中で不登校的な生き方を貫くことが大事、という言葉がとても気に入っている。

    嫌でも社会や人とは関わらざるを得ないので、自分なりの関わり方を模索しようと思えるきっかけになりました。

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    2021年12月11日
  • カール・マルクス

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    吉本隆明 「カールマルクス」
    解説 中沢新一

    マルクス論〜著者は「資本論」でなく「経済学・哲学手稿」「ユダヤ人問題に寄せて」「ヘーゲル法哲学批判」から思想体系を作り直している感じ


    マルクスの思想特性
    *現実的な自然哲学
    *幻想的な宗教、国家、法
    *象徴的な市民社会の構造、経済カテゴリー

    マルクス思想を ギリシア自然哲学の原子説からフォイエルバッハ「キリスト教の本質」に展開し、人間と自然の疎外関係という概念を用いて、ヘーゲル批判やユダヤ人問題と絡めて体系化しようとしているのだが


    ヘーゲル批判やユダヤ人問題を絡めると テーマが広がりすぎて わかりにくい。「経済学・哲学手稿」だけに絞っ

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    2020年11月03日
  • マチウ書試論 転向論

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    マチウ書試論・転向論
    (和書)2009年08月16日 22:54
    1990 講談社 吉本 隆明


    柄谷行人はよく読むのですが吉本隆明はなんだか体質に合わないような気がして読まずにいました。最近「関係」というところが面白く感じて読み出すようになりました。マルクスの宗教の批判に出てくる一切の諸関係というところと統合失調症における関係妄想、吉本隆明のいう秩序という関係とを関連付かせると面白く感じます。それなりに刺激を受けることが多くて読んで良かったと思います。統整的理念に関しては柄谷行人に補完をして貰いながら読んだらいいなって思いました。

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    2020年09月25日
  • 吉本隆明初期詩集

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    吉本隆明初期詩集 (講談社文芸文庫)
    (和書)2009年08月10日 15:15
    吉本 隆明 講談社 1992年10月


    「廃人の歌」の全編を読むことができて満足です。「マチウ書試論」を読んでみたい。

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    2020年09月25日
  • 改訂新版 共同幻想論

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    本作品は、戦後の日本思想界の巨人といわれる吉本隆明(1924~2012年)が1968年に発表した代表作で、当時の教条主義化したマルクス・レーニン主義からの脱却を求めていた全共闘世代に熱狂して読まれたと言われる思想書である。
    私はこれまで、吉本の著書は、『真贋』、『家族のゆくえ』、『読書の方法』、『悪人正機』(糸井重里との共著)などのソフトなものしか読んでこなかったのだが、本作品についてはいつか読まねばと思い、改訂新版出版のたびに買い替えて来たており、今般やっと、NHK番組「100分de名著」を参考にして一通り読むことができた。(といっても、重要部分の飛ばし読みであるが)
    本作品は全11篇から成

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    2020年08月08日
  • 西行論

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    吉本隆明 「 西行 論 」

    著者の西行像は、予想より辛辣な面もあるが、西行が生きていた時代の宗教観や政治背景に合わせた新しい西行像が見えてきた。


    著者の西行像が 白洲正子氏や山折哲雄氏の西行像より 多くの示唆を与えてくれた理由
    *西行の出家動機や何首かの和歌の集合からアプローチしている
    *西行の歌の「心」と「世」の言葉の使い方に着目している
    *平安末期から鎌倉初期の院政権争いや時代的思想としての出家など 歴史的背景を手がかりとしている
    *世捨て人としての西行を讃美していない

    歌人としての西行像
    *宗教的な歌人→山折哲雄氏と近い
    *自然に感応する自然歌人→白洲正子氏と近い
    *歴史意識をも

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    2019年10月13日
  • 真贋

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    この人の本は以前から読みたかったのだが本気の本は内容がまったく理解できそうになさそうで敬遠していたが、書店で見つけたこの本はとてもライトで書かれた時代も10年くらい前のものでしっかりと頭に入ってくるので購入。
    著者の考え方がはっきりとしているのですべてに共感できることではないが
    ・あらゆるものに利と毒がある。
    ・いい作家とは俺にしか分からないだろうと多くの読者に思わせること。
    ・良好な人間関係とは言いにくいことをはっきりと言える関係。
    ・以前は作者の文学的成熟と社会的成熟の時間経過を世の中が待ってくれていたが現在はそれを持ってくれない。
    だから大家が生まれにくくなる。
    ・戦時中など社会全体が悪

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    2020年01月30日
  • 日本語のゆくえ

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    梶原しげる『ひっかかる日本語』(新潮新書)を買うつもりで書店に行って、たまたま見つけた一冊。どっちにするか少し迷ってこちらを買った。
    内容は、吉本隆明の芸術論・文学論をやさしく説いたもの。日本語の使い方云々という内容ではなかったので、そもそも『ひっかかる日本語』と比較する本ではなかった。
    のっけから「源氏物語は退屈」と切って取ったかと思えば、漱石『三四郎』は「言語表現として優れている箇所がモチーフとずれている」と指摘したり、若手詩人をかなり否定的に論評したり。縦横無尽な展開は切れ味鋭い。神話と歌謡について語った後半は正直興味を持てなかったが、「日本人は代々曖昧な言葉を法律用語として使ってきた」

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    2018年11月18日
  • フランシス子へ

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    とても静かで淡々としているけど、あっという間に読み終わってしまった。
    フランシス子という吉本家の猫と吉本隆明さんとの何気ない日々と吉本さんの感じるままに記されている本でした。
    本文の後に長女ハルノ宵子さんの「鍵のない玄関」という文章が添えられている。そこには「ああ…こんなきれいな家だったのか」と述べられている表紙の写真。
    本当にきれいだ。

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    2017年05月30日
  • 家族のゆくえ

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    問題のない家庭はないということや、親子関係、夫婦関係への著者ならではの考察に感心するとともに励まされました。子供への眼差しや、凶悪事件のニュースへの洞察などは視野が広がります。老いに対する考察も、科学ではうまく説明できないニュアンスを見事に描写していると思います。

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    2017年05月08日
  • 「ならずもの国家」異論

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    ネタバレ

    「ならずもの国家」と、きつい物言いのタイトルだけど、返す刀で日本をも斬る。
    アメリカの言いなりの日本。
    国が決めたことには無条件で従う国民性。
    根っこは同じだ。

    ”国家なんて自国の国益を優先的にかんがえるものです。したがってアメリカが自国の国益に反してまで日本を守るはずがない。”
    同盟を結んでいるからと言って、全て言いなりになるのではなく、自国の意見をきちんと表明するべきと言う。
    当然だよね。それが独立国家というものだ。

    日本の景気対策に必要なのは、大企業優遇ではなく、日本の経済を下支えしている中小企業が生き残れるような政策を立てるべき。
    中小企業に勤めている人の家族が、安心して消費にお金

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    2016年11月05日
  • ひきこもれ~ひとりの時間をもつということ

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    ひきこもるのは悪いことじゃない。人付き合いが苦手な人は、無理に他人に合わせて軽く生きていくよりも、引きこもって自分の時間をしっかりと持つべきと説く。無理にひきこもった人を社会に出そうとしたり、ひきこもった人たちだけを集めて社会を作ろうとするのは逆効果。引きこもって内面が醸成された人は、いつかそのうちその人なりの方法で社会と関われるようになる。

    一人の時間を持つことの大切さを説く著者の意見には大いに共感します。その場限りの安心を得るために、無理な人付き合いで、貴重な自分の時間を埋めることはないと思いますし。会社勤めをしていると、なかなかそうはいかないのが難しいところではありますが、そういう気持

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    2016年02月14日
  • 真贋

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    吉本隆明氏(2012年逝去)の晩年にインタビューに基づいて書籍化され(2007年)、2011年に文庫化された。
    私は全共闘に影響を与えた時代の吉本氏は知らないが、氏が晩年に記した著作やインタビューから、多くの示唆を与えてもらったように思う。
    本書では、1.善悪二元論の限界、2.批評眼について、3.本物と偽物、4.生き方は顔に出る、5.才能とコンプレックス、6.今の見方、未来の見方、が取り上げられているが、特に印象に残ったセンテンスは以下である。
    ◆善悪二元論の限界~「明るいからよくて、暗いからだめだという善悪二元論で考えると、物事の本質を見誤る恐れがあります。無意識のうちに答が決まっている価値

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    2016年01月11日
  • 15歳の寺子屋 ひとり

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    吉本隆明氏が15歳の男女を前に語った言葉の数々。
    「行きがけの道」を歩きながら、道中見える景色や生まれる感情を噛みしめながら生きていくのが人生なんだろう。
    正解なんて最後までわからないし、存在すらしないものだと思うと、諦めのような気持ちが生まれるけど、だからこそ人生には意味があるんだろうなというような救いのようなものを感じた。

    沢山の気づきがあったので以下は備忘録として。

    <話言葉>が相手に何かを伝えるための道具だとしたら、<書き言葉>は自分の心の中に降りていくための道具だと言っていい (P13)

    人は誰でも、誰にもいわない言葉を持っている。
    沈黙も、言葉なんです。
    沈黙に対する想像力が

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    2015年12月10日
  • 真贋

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    p180
    赤ん坊から全思春期までの間柄にその人よ性格がきまる。そのなかでも重要な期間が2つある。
    乳児期、もう1つは全思春期にちかい十代なかばである

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    2015年05月02日
  • 真贋

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    生き方や考え方,子育ての仕方などについて吉本先生の「考えてきたこと」が書かれている。押しつけがましくもなく,あくまで私はこういう考えたでいますというスタンスで書かれているので,なるほど,こういう考え方もあるのかと納得させられてしまう。
    生まれつきの性格は前思春期までに形成され,その後は自らの意思で変えようとして他人に見せている性格で,根本は変わらないといった内容のことが書かれているが,これはよくわかる。僕って本当は根暗だし。

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    2014年01月17日
  • 真贋

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    書かれている内容は、一節ごと分かりやすく、良識と言えるものばかりで、ほぼ全てうなずくことができるものだった。
    マルクスの考え方らしいが、人間が手を加えたこと(仕事)は必ず付加価値があるというような文書があり、妙に深く考えさせられてしまった。自分が行っていることに対して卑屈になる必要はないが、責任を持つことを忘れてはいけないと考えた。

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    2013年10月14日
  • カール・マルクス

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    ネタバレ

    マルクスの挫折と転回  -2008.08.06記

    何と、何を?
    われはあやまたずつきさす
    血に染む剣を汝のたましひにつきさす、
    神は芸術を知らず、神は芸術を尚ばず、
    芸術は地獄の塵の中より頭に上り、
    遂に頭脳は狂ひ、心は乱れる、
    われはそれを悪魔より授けられた。
    悪魔はわがために拍子をとり、譜をしるした、
    われは物苦しく死の進行曲を奏でねばならぬ、
    われは暗く、われは明るく奏でねばならぬ、
    遂に心が糸と弓とをもて破るまで。
    ――マルクス初期詩篇「楽人」

    じつは、2.3日前に吉本隆明の「カール.マルクス」光文社文庫-を読んでいたのだが、これまでついぞ知らなかったマルクス自身の私的な傷ましい事

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    2013年08月14日
  • 超恋愛論

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    悩める子羊wなので、購入><

    三角関係とかの変化球や、文学とからめるぐらいまではありがちだけど、
    法律や宗教にまで発展させて論を広げるって、
    知識や考えが広いし、深いなぁ。

    著者の他の作品も読んでみたけど、
    こうした自分なりの思考を深めてる人って、
    人間の厚みきっとすごくあるよな~

    ちょいと恋愛に...って自分みたいな人はもちろん、
    哲学とか、そうした思想などに興味がある人にもお勧め!

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    2013年04月24日
  • 「ならずもの国家」異論

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    大学生の頃、めずらしく女の子に誘われて一緒にお茶を飲んだことがあった。浪人中に伸ばした髪が、何となく他の良家の子女たちとちがって見えたのか、同じゼミでもなければ、あまり話しかけられることはなかったのに、どうして俺が、と思いながら、学校の前にある喫茶店について行くと、突然「○○君は吉本についてどう思う?」と訊かれた。政治に関心のある学生なら誰でも吉本くらいは読んでいた時代だ。長髪が運動家に見えたのだろうか。

    当時は吉本よりも、彼の論争相手である、埴谷雄高や花田清輝の観念やレトリックの世界の方に引かれていて、吉本のいい読者ではなかった気がする。今となっては、論争相手は鬼籍に入り、独り吉本だけが、

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    2013年03月10日