吉本隆明のレビュー一覧
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読書という行為についてや、具体的な本についての文章が収録されている。
第1章と第2章はある程度興味深く読めたけど、具体的な本の話になりと不勉強故になかなか話についていけなかった。
でも、太宰治が読みたくなりました。
1番面白かったのは荒俣宏さんとの対談。
テーマは恋愛小説。
ラブ・ロマンスを「ほんとうのような嘘」という点で評価する部分が非常に面白く、荒俣さんが紹介している2冊の恋愛小説も読んでみたくなった。
今の恋愛小説は内側に障害を設けなきゃいけないという話が不倫設定がやたら多いことに繋がるのかもしれないな…なんて考えたりもした。
他のジャンルについても対談してくれないだろうか。 -
Posted by ブクログ
漱石先生の作品が書かれている、ということで知人から借りた本。
漱石先生の作品と、明治という時代の男女の恋愛がどのような特殊性をもっていたか、の批評(とまでいかないけれども)は合点のいく内容であった。特に、漱石作品のなかで“三角関係”の恋愛模様が多いこと、その根底にあるものは、明治時代において西欧を目指しながらも西欧のような男女関係にはなれなかった当時の人間関係。つまり、「言えない」ことが男女の三角関係を更に複雑化させ、もうどうにもならないところまで追いつめられ三すくみの状況にまで陥ってしまう(その結果として、漱石の代表的作品『こころ』では、2人も自殺をしてしまう)。
また漱石作品の同性同士 -
Posted by ブクログ
心がひきおこすさまざまな現象に、適切な理解線をみつけだし、統一的に、心の動きをつかまえようとして書かれた本である。
あの人はなぜあんなことをしたのだろうか?
この人はどうしてそんなことを言うのだろうか?
わたしが悲しいのはどういうわけか?
人に心があることはどうにも否定し難い事のように思われ、心が現実に及ぼす影響もかなりなものがあると思われるので私もつねづね興味を持っていたので、つい手にとってしまったが、一度読んだだけではさっぱり解らなかった。それでも、食い下がって再読してみても後半に至るまで四苦八苦した。ところが不思議なことにある点を超えると何となくわかってくるような気がしてきた。たぶん -
Posted by ブクログ
「3年寝太郎」とか「ものぐさ太郎」とか、日本には昔から民話として
引きこもりが語られてきたのではないか?
と感じることがある。
そこには、やはりイレギュラーな人ではあるが、それを
認めないということは感じられないおおらかさがある
と思う。
本書は、引きこもっていて何が悪いのか、
という現在の世の風潮とは逆のことが語られている。
だが、なんだか違う気がするのは、現在の引きこもりは、どうも
すべてが居ながらに手に入るというところと密接につながっている
気がして、なにかの準備期間ととらえることができない点だ。
引きこもりの客観的な原因が、ある程度わかっているのか?
ひきこもっているものが必ずしも -
Posted by ブクログ
6年前に行われた対談。両者がともに小林秀雄賞を受賞しているということもあって、この対談が企画されたのだろうか?
フーコーに関する吉本の言及を引き出しているのが、この対談の白眉だと感じられた。フーコーはマルクスを「19世紀の風景の中に埋まってしまう」と言ってのけてあっさりと相対化した上で、人間の歴史をぶっ通す(吉本の表現)ことをするために、ギリシアまで遡って考察しようとした巨大な思想家であると評している。フーコーの思想の本質を端的に指摘していて見事と言うほかない。
「自己慰安のために書いている」という言葉も印象的だ。常に思索する思想家は、次々と湧き出してくる発想を言葉を選んで表現するため