吉本隆明のレビュー一覧
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引っ込み思案の気質を持て余すとき、病的なものと区別するためには
「大勢の中の孤独」に安堵するといいと作者は言う。
その例として、銭湯と神社のお祭りをあげる。
これは、すごく面白いと思う。
僕は、自分ならば、そこに秋葉原と映画館と場外馬券売り場を加えたい。大勢の中の孤独って心地いいと、改めて納得する。
キャスターのように、オピニオンリーダーだったり、生き方そのものが「善」で成り立っていそうな人が志す仕事ってあるよなあ。
反対に、ひねくれてたり、劣等感の塊だったり、不器用だったり、そのような気質は本人はどうすることも出来ず、育てられた環境で規定されると吉本さんはいうけど、実際のとこ -
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ネタバレ16日に亡くなられた吉本隆明さんの本です。
児童(中、高校生)向けの哲学書です。
この本の言葉は優しくて分かりやすく、そして子どもにも大人にも届く言葉で語りかけてくる。
生き方、考え方、人生、恋愛。それらについて語っています。私は思いついた様に時折この本を読みます。
目に見える事、瞬発力が重視されがちな昨今にこの本を読むと「そうでなくても良いのでは?」と思えたりします。
"人は誰でも、誰にもいわない言葉を持ってる。
沈黙も言葉なんです。
沈黙に対する想像力が身についたら、本当の意味で立派な大人になるきっかけをちゃんと持ってるといっていい" ー本文よりー -
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日本における戦後思想の巨人とも言われる吉本隆明(最近はむしろ娘さんの吉本ばななの方が有名だけど)。彼の立ち位置を簡単に言うとするなら、「お前ら、戦争体験というものをきちんと考えているのか」「知識人とかって観念的な事を適当に言ってるけど、本当に現実を見た上で言ってるのか」という感じか。とはいえ、詩的かつ難解な語彙を用いたその文章は読み解くだけで一苦労。『共同幻想論』とか本当に皆ちゃんと読んでいたのか?
で、1958年に発表された転向論なのだけど、ここで主張されているのは、戦前におけるマルクス主義からの「転向」というものは権力からの弾圧・強制だけによるものではなく、むしろ彼らが日本の社会構造の -
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1に続いて、前半は各論。詩や物語や劇などが(それこそ宗教の儀式の前の発生の所から)どういった構造で生まれて、発展してきたかを確実に説明してくれる。
自分がこういう本を読まないせいもあるかも知れないけれど、言語や芸術についてここまでとてもとても考えられない、極みまで明らかにしてしまっているので全く鵜呑みにしそうで怖い。と言うかしている。
共同幻想論でもそうだけれど、最初から最後まで、基本的には同じ事を言っている(ある一つの考えに達した人が書いているのだから当たり前だけれど)意味、価値、内容、形式、表現のあらゆる事は自己表出と指示表出、その構成や広がりである事を示してしまうと、ヘーゲルもサル -
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作家や文学研究に携わる人でなくとも、読書好きな人なら「文学とはなんだろう」という疑問を抱くことがあるだろう。しかしその疑問も私たち一般読者は、作品を読み重ねていくうちに独自の文学観なるものが形成され漠然した答えが導き出されることで解消されてゆくように思う。それは大抵、自分の「好み」がはっきりすることと、名著と評価された作品(一般的な価値基準)を取り入れることである種の(独自の)価値観が形成されるからではないだろうか。
この著書は、研究対象としての文学の捉え方といった堅苦ものではなく(この著書の学術的な価値を批判するわけではない)、文芸作品の読み方の一つの例として私たちに貢献してくれる本だと思う -
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彼は千年に一度の偉大な巨匠だが。現実の世界ではきわめてありふれた生活人である。そうそう。ではなんでそう思うかってこと。ボク等は生まれたときから何らかの条件つきで生涯それらがつきまとう。フムフム。なるほど。だから結果としてボク等が何々であったということは意味がない。意味があるのは何々であった何々になった。ということの根底に横たわっていた普遍性をどれだけ自覚的にとりだしたかである。って。はい。理解。水と空気はいくら使用しても拡大しても調査しても無料(タダ)である。自然で言えばそういうのがシゼンに横たわっている。ではボクが何ものであるかの普遍性を自覚的にどう取り出すかを試みようとしたり。して。春が近
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子どもは大人をよく見ているな、と改めて思った。
本書は15歳の子ども向けで、寺子屋のような塾という形で吉本さんが語った内容をまとめたもの。そのため、わかりやすく噛み砕いた内容になっているだろうと思い手に取ったが、吉本さんは子ども相手にも全力だった。単に回答を与えるのではなく、かといって煙に巻くわけでもない。自身が影響を受けた作家を例に挙げて、子どもたちが興味を持てばさらに深掘りできるように道筋を立てて、自分の考えを自分の言葉で説明していた。
巻末に、子どもたちから吉本さんへ感想が書かれている。
「難しい話もあったが、真剣に話してくれて嬉しかった」「吉本さんの回答が特殊で、考え方が自分とは違う -
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少し読んだだけで、この人は深く考えることが好きな人だとわかる。最後のほうで「自分にとって真に重要なことは(略)理由を考えること」と述べており、納得した。一部偏った発言もあるが、個人的な考えを述べる時は断定を避け、「〜と思うのです」で章を締めくくる手法には感心した。
「人が問題を起こすのは表面に出てきた結果であり、それに至るまでの過程に原因があることだ」と著者は言う。さらに幼少期から10代にかけての母親or母親代理から受ける愛情と人格形成にも触れている。私も同じ考えだが、なぜ著者はここまで深く正確に観察できるのか気になる。本人の体験談か、多くの人と触れた統計の結果なのかもしれない。それにしても -
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扱いに困る本です(褒めてない)。
扱いに困るのは言語表現を「指示表出」「自己表出」の二軸により分析しようとする、この抽象化のモデルがあまりにも胡乱で無理があり、傾向としては漱石『文学論』やセジウィック『男同士の絆』、サイード『オリエンタリズム』みたいに、かなり無理のある見込みなさそうな抽象化にそれと整合的なパターンだけ、あるいはそれと整合的に恣意的に解釈して適当にパッチワークしてでっち上げた分析という印象が極めて強いです。
ただ吉本さんは詩人として、趣味人としてはそれなりに見識と批評眼はある人で、本著も文章読本的なものとして眺める分には面白いです。 -
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ひきこもれ、
というと社会に出てる人らに対しても
ひきこもりを推奨しているようだが、
そうではなく、ひきこもってもいいんだよ
的なニュアンスだと思った。
病気に関してはプロに任せるべきといいながら、
自論を述べるあたりは少し矛盾を感じたし、
ひきこもりの話から
いつのまにか、死や戦争、老いの話まで
だいぶ離れていった。
私は単純に吉本さんがどう考えているかを
読みたかったのでそれでも満足できたが、
ひきこもりを研究してる人には
少し畑違いな気もした。
吉本さんの時代のひきこもりと
現代のひきこもりでは
少し意味や、もちろん価値観も違うんだろうなと思いながら読みました。
個人的なあまり納