あらすじ
東京下町の少年時代、山形米沢の高工時代――「巡礼歌」「エリアンの手記と詩」など習作期の詩作と第1詩集「固有時との対話」第2詩集「転位のための十篇」を収める。敗戦後の混乱した社会に同化できない精神の違和と葛藤を示し、彷徨する自己の生存をかけた高い緊張度により支えられる自選初期詩集54篇。
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Posted by ブクログ
本書について、『現代詩文庫8 吉本隆明詩集』(思潮社、1968)の感想にも書いてある。
付け加えるとすれば、『吉本隆明詩集』(思潮社、1963)、『現代詩文庫8 吉本隆明詩集』(思潮社、1968)と比べると、本書は『固有時』以前の詩篇をたくさん収録している。
大作「エリアンの手記と詩」が入っているのは有り難い。このようなメルヘンチックな詩を書いたヨシモト少年がやがて「ウルトラ・ナショナリスト」になっていくことが、自然でスムーズな流れなのか、あるいは変貌・豹変なのか、異なる時代に生きている私は想像し難い。
それから、「童子像」という詩はカッコイイと思う。
童子像
大道は無門である
ただおまへは千差諸異にみちをゆくのだ
もしおまへが孤独な無の門を透ることができたら
いゞか
そのときさびしい天の河原に立つだろう
以上
Posted by ブクログ
最後に載っている「転位のための十篇」でやっと読書となった。それまでは文章の隙間に居る暗号のような(僕の学力不足による)思想を感じるに留まった。ある一文に目が留まっても、なぜ留まってるのかはさっぱりみたいな。
「転位のための十篇」は、戦後になって失ったものがあるのにへらへらとしているのか、わたしはわたしを持って今を絶対に把握しながら生きていく、というようなつよい思想を受け取ることができた。
荒地派という言葉が読みながら浮かんだが、どれくらい関係があるのだろう。解説にはちらと荒地派についての言及もあった。
ちひさな群れへの挨拶とメモした。今改めて頁をめくったら、一行目からオッというような気持ちになった。資料室に返すまでにこの詩はもう一度読もう。
Posted by ブクログ
吉本隆明初期詩集 (講談社文芸文庫)
(和書)2009年08月10日 15:15
吉本 隆明 講談社 1992年10月
「廃人の歌」の全編を読むことができて満足です。「マチウ書試論」を読んでみたい。
Posted by ブクログ
あまりに有名すぎる著者であるが、初期の詩作(思索?)に触れる人は、今や少ないかも知れない。若き孤独なる精神の、「世界」との葛藤を巡る、研ぎ澄まされた「言葉」は、ある種の精神を抱える現代の若者にも充分に訴えるものであろう。