吉本隆明のレビュー一覧
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ヨシモト先生の次の言葉を目にして、胸にジーンと来た。
<フランシス子はもうお骨にしてもらいました。
いなくなっても、なんとなく気配を感じるというようなことを言う人もいますが、僕は別段そういうことはないですね。
イメージはまだ歴然と残っているけど、それ以上のことはとくにない。
いないもんはいない。
亡くなったんだから亡くなったんだってことはわきまえていますから。
フランシス子は死んだんです。>
ヨシモト先生は、フランシス子亡き後の心境を夢遊しているようにしかも健気に語っているが、その寂しさが痛く伝わってくるようだ。ヨシモト先生の長女・ハルノ宵子さんほ、『開店休業』(プレジデント社、201 -
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本書について、『現代詩文庫8 吉本隆明詩集』(思潮社、1968)の感想にも書いてある。
付け加えるとすれば、『吉本隆明詩集』(思潮社、1963)、『現代詩文庫8 吉本隆明詩集』(思潮社、1968)と比べると、本書は『固有時』以前の詩篇をたくさん収録している。
大作「エリアンの手記と詩」が入っているのは有り難い。このようなメルヘンチックな詩を書いたヨシモト少年がやがて「ウルトラ・ナショナリスト」になっていくことが、自然でスムーズな流れなのか、あるいは変貌・豹変なのか、異なる時代に生きている私は想像し難い。
それから、「童子像」という詩はカッコイイと思う。
童子像
大道は無門である
ただ -
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ネタバレ司書の姉から、いい本があるらしいよ、と教えてもらった一冊。パラパラと数ページ流し読みしただけで、これはすごい本だぞと直ぐにわかった。
著書をほぼ読んだことがなかった。この方の考え方を知らないなんて、勿体なさ過ぎた。全ての15歳に、国からプレゼントしたらいいのにと思うほどの一冊。自分に余裕があれば、関わっている全ての子達にプレゼントしたいところだ。鬱陶しがられるとは思うが、そんなことどうでも良いほど、価値ある一冊だった。
大人が読んでも、親の立場の人が読んでも、もちろん良いと思う。早く読みたかったとは思うと思うが…
特に好きだったところ…
◯誰にわかってもらわなくてもいいから、自分がなぜ -
購入済み
鷗外とか
ちょっと難しいけれど、読み進めています。
連続してではなく、時々開いてみています。
今回、鷗外のところが目に留まりました。
『阿部一族』をこの前読んで、ホメロスの
『オデュッセイア』での屋敷内での戦いが
違いはあるけれど似ていると思っていましたが、
『ヰタ・セクスアリス』が鷗外の転回点と
なっているというのを読んで、ラテンつながりで
興味を持ちました。 -
購入済み
難しいことは言ってないのに、思想としての底があまりにも深すぎてどれだけ理解できたのか分からない。多分善行にせよ悪行にせよ人間の為し得ることはどれもちっぽけなもので、どれだけ良いことをして威張っても阿弥陀如来の規模の大きさからすれば取るに足らないことだと、一番大切なのは善行を為すことではなくて、善行とか悪行とか意識せずに自分の内心の声を聞いてその通りに物事を行なっていくことだと、恐らくそんなことなのかな。吉本隆明流親鸞は恐らく浄土とか善悪とかあまり興味なかったのではないかな。難しいこと言わずに、自分の計らいから発することなく、心を込めて念仏を唱えれば寺も何もいらない。それでいいなんて、かなりいい
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吉本隆明氏の著書をはじめて読みましたが、これまで読まずぎらいだったとおもいました。
けっこう醒めていて、乾いた感情かとおもいますが、分かりやすい内容でした。
ものごとには両面があり、必然がある。
人の多少の努力や考えなどは、大勢を変えることなく、ゆきつくところまでいってしまう。
気になったのは以下です。
・いじめるほうもいじめられるほうも両方とも問題児だ、ということだ。
・いつも明るいところばかりを見ていたら、暗いところにあるものが見えなくなってしまいます。そもそも、暗いところにこそ、真実が隠されているのではなにでしょうか。
・いくら科学技術が発達しても、人間の魂、精神が発達するわけではあ -
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ネタバレ最後に載っている「転位のための十篇」でやっと読書となった。それまでは文章の隙間に居る暗号のような(僕の学力不足による)思想を感じるに留まった。ある一文に目が留まっても、なぜ留まってるのかはさっぱりみたいな。
「転位のための十篇」は、戦後になって失ったものがあるのにへらへらとしているのか、わたしはわたしを持って今を絶対に把握しながら生きていく、というようなつよい思想を受け取ることができた。
荒地派という言葉が読みながら浮かんだが、どれくらい関係があるのだろう。解説にはちらと荒地派についての言及もあった。
ちひさな群れへの挨拶とメモした。今改めて頁をめくったら、一行目からオッというような気持ちに -
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ネタバレ画期的な言語論。
言語をウィットゲンシュタインのように本質的な起源から構想したというよりは言語を意味論的なものとし、表現形式としての単語を解体し、それを文法表現から自己表出(最も自己表出性を帯びたのは感嘆詞)と指示表出(前略 名詞)に分けている。また、彼の美意識によって日本文学から引用しながら作られた表出史なるものは文語体と話体で区別し、前者を自己表出性のある文学と区分し、それぞれ表出史に出てくる文学を解説する試みであるが、これはスゴい。しかし、一読しただけなので、私はまだ、半分も理解できてないだろう。
これは素晴らしい言語論だ。 -
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・「平家は明るい。明るさは滅びの姿であろうか。」太宰治
→明るいからいい、暗いからだめ、の二元論ではなく。
・倫理的にいいことしか言わないのはおかしい。安藤昌益
天然自然を主体に考えたら、いいことも悪いこともあるのが当然。
→いいことを言うやつが増えたら、時代が悪くなってきた証拠。
・本にも、お金にも、毒がある。
・いい作品とは。
そこに表現されている心の動きや人間関係というのが、俺だけにしか分からない、と読者に思わせる作品。
↓
読んだ人ぜんぶが、俺だけにしかわからない、と感じれば、普遍性があるということ。
・「歩きながら書かれた文章でなければ読む気がしない」似ーチェ
=運動性を -
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ネタバレひとりの時間をもつということは実は大事なことなんだ、
と吉本隆明さんが平易な言葉で語ってくれた本。
ひきこもっていることを悪いことだとみなして、
そういった人を表に無理にひっぱりだそうとする行いを、
たとえば吉本さんはテレビで見たといいます。
それは、スーパーの店長がひきこもり傾向の人々を集めて、
その気質を矯正しようとする行いでした。
そして番組では、それを善いことだ、とする文脈で語っていたそうで。
著者はそれは違うよ、と丁寧に、中学生でもわかるような言葉で語ってくれます。
「分断されない、まとまったひとりの時間をもたないと、人は何者にもなれない」
というところから始まって、
不登校につい