中島岳志の作品一覧
「中島岳志」の「「利他」とは何か」「アジア主義」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
ファシズムが台頭した20世紀のスペインを生きた哲学者オルテガの『大衆の反逆』を解説しながら、オルテガのフィロソフィーとリベラルの定義について考えた本。
オルテガは「私とは、私と私の環境である」と言い、自分に特別な要求をせず、みんなと同じであることに満足する「大衆」による近代個人主義に危機感を覚えていた。また、立憲主義を忘れた民主主義を傲慢と批判し、死者とともに民主主義を行なっていくことが文明の英知であると唱えた。「大衆」の対局にある「貴族」とは自分に厳しい規律を課し、困難に立ち向かう人と捉え、こうした考えを持つには他者との対話が必要であることから、自分とは異なる考えを持つ「リベラル」の重要性に行き着いた。
本を通じてオルテガの考え方に共感したうえ、さらにオルテガの思想を学びたいとも感じた。自分の「内」と「外」を認識して捉える考え方は、現代の能力至上主義の社会において非常に重要な考え方であり、自分自身に対する過信を適切にコントールするうえで大事な定義となりうる。
Posted by ブクログ
政治の勉強のために読んできた数冊の中で断トツに人におすすめしやすい! なぜなら、薄くて、読みやすくて、面白くて、安いから(700円台)!!!
レイアウトもそれっぽいんだけど、読みやすさとかの種類は教科書に近いかも。
「はじめに」の副題が「分かり合えない他者と共存するために」で、「政治とは何ですか?」という問いに政治学者である自分は「簡単には分かり合えない多様な他者とともに、何とか社会を続けていく方法の模索」であると考えている、というところから始まったのも、結構好きでした。
全然分厚くないんだけど、右派左派、リベラルと保守、大きな政府と小さな政府、民主主義と立憲主義…、とか何となくのイメージに留まってる概念と、日本はそのあたり実際どうかが説明されてるのと、それからこういうのが理想なんじゃないのかっていう筆者の考えが書かれてて、構成にメリハリがあるしバランス感もよかったと思います。
内容的には、以下のあたりがかなり読んで知ることができてよかったです。
・リベラルと保守を対立軸として考えるのには無理があって、リベラルの対立概念はパターナル(父権的)と考えるのがわかりやすい
・憲法は(死者から)未来に託されたもので、過去の知見を無視して生きている人間だけで物事を決定しようとするのは生者の驕り
Posted by ブクログ
縄文の著書 中島岳志 による昭和深掘り。
これを読みながら近代に至るまで幕末から深掘りするしかないか…と思わされた。
縄文にも取り上げられていた太田竜や本書に登場する井上日召のような、左右問わずピュアリティが高い人間が私は好きなようで、少年期のエピソードを読んでいてついつい肩入れしてしまうのだけど、スピリチュアル界隈で以前から言われている 宇宙の法則 がここでも登場し、参政党以前に右翼とスピリチュアル界隈の結びつきがあって非常に興味深い。
後の縄文に繋がる文脈で書かれていて、相変わらず調査の深さ、範囲の広さ、精度がすごくて中島岳志の著書をもっと読んでみたくなる。
また、当然ながら法華経についても当事者たちの発言を引用し掘り下げる。余談ではあるが、山仁という日本のラッパーが 君が世 と言っている。 君が世の中そのものであり全ては自分次第だ と。自身が仏であり仏が自身である、というような一切衆生の教えが法華経にはあるが、ここの関連性がhip hopを追っている身としては非常に興味深いものだった。山仁は 神を信じる前に自分を信じろ 好きなことやれ 全て幻だからね とラップしている。
話は逸れたが、井上日召と彼の法華経の解釈・説明は経済的にも精神的にも困窮した者の心を掴むものであったのだろうと強く思う。宮沢賢治も深く法華経に関わっていた。
私自身も原子力関連に従事し3.11を経た時期には精神的にかなり困窮しており、スピリチュアルな言説に心が掴まれた経験がある為、このくだりは今の私には響かないことはわかりつつも人心掌握力の強さを肌で感じて鳥肌が立った。インターネットもなく、様々な意見や言説に触れられなかった当時なら尚更でしょう。
血盟団と呼ばれたいきさつや、メンバーの行動、心境の変化を細かに触れつつ事件への経緯を綴る。
また、社会の深刻な不況や政財界の腐敗が現在と共通するところが多く、安倍首相暗殺と重なる部分がある。官と民の構造は改善されないまま現代に尾を引いている。
終盤の、詳細な日付や時間の記載が映画を観ているかのような心持ちにさせる良書でした。