・夕焼け空と三輪車
読み進めながら違和感がすごかった。いい歳した息子を大事に大事に扱う親。でもそれは全部表向き。本当は引きこもりの、いつ暴れ出すかわからない息子を1人にして、残された家族で平和に生きていくための手段だった。絶対にバレてはいけない作戦だったはず。これからの平穏な日々を楽しみにしていたはずの家族の幸せはやはり元凶となった息子に壊されてしまう。家族なのにずっと我慢して生きていくのは辛すぎる。あれがあの家族の1番の解決策だったはすなのに、最悪の結果になってしまった。
・そびえる塔と街明かり
読み終えて思わず涙が溢れた。どうにか助かってほしかった。どうしてこんなに小さな子供が死ななきゃいけないのか。明らかに婚約解消を早く切り出してもよかったあの状況で少しの違和感を捨てきれなかったが故に行動できなかったのが、幸か不幸か。慎一がとても大事そうに、最大限配慮しながら接してくれてるのは美彩にも絶対に伝わっていたはず。血の繋がりは関係なく人はいつでも親になれるのだと感じた。なんて悲しい実験結果なんだ。あの母親はしっかり罰を受けるべき。
・ジャングルジムとチューリップ
若い女性が病院以外で出産してそのまま遺体を遺棄するニュースは今までも見たことがあるけど、多くの人がきっと、何か家庭の事情や金銭的な事情で育てることができずに起きてしまった事件だと思い込んでいるはず。だからまさかの結婚相手が犯罪者で、いわゆる血筋というものを信じて大切にしている彩絵にはあまりにも受け入れ難すぎる真実だったから起きてしまった事件。彩絵は自分と同じ意見、同じ価値観の人に出会えたのではなく、嘘を隠し通すのに最適な価値観を持っているのが自分なだけだったというのがわかった瞬間に絶望を感じたはず。結果として自分の未来の血筋を傷つけてしまうことになるなんて。
・まだ見ぬ海と青い山
んー.....これは辛すぎる。あまりにも......。はあ。高齢者による交通事故が多発している中でこんな背景があるとしたら、正直その事実よりもあまりにも残酷で卑劣なニュースだ。子供を信じて疑わない高齢世代の人からしたら、子供=悪になるなんて微塵も想像しないんだろうな。どんな子供でもしっかり躾ければいい子に育つと思い込んでいる。宝みたいな子が大勢いるわけではないけど、少なくとも他人の子供をそんな短期間で知った気になるのはあまりにも危険すぎる。せっかく息子との明るい未来が見えたばっかりに胸が締め付けられる。
・四角い窓と室外機
毎年増えている高齢者の熱中症死亡事故。今回のこのエピソードはまた奥が深すぎた。読み進めていき、介護疲れによる犯行かな?と思ったけどそれ以上のストーリー。一人息子の英樹が小児性愛者で、その事実を知りながら幸恵と結婚させていたのも衝撃。自分達のことしか考えていない。幸恵はそれを知りながらも英樹が死んでから何も言わずに義理の両親の介護をしていたなんてすごすぎる。ただ最後は結局英樹が死を決心した引き金を引いたのが自分達親のせいだった事をしり、選んだ手段がこの事件というのか事故というのか悲しい結末に。
全ての事件、事故に耳を傾けていたら身が持たないかもしれない。だけど、新聞の端に載るような、数秒ほどで流れていくようなニュース、その与えられた情報だけで勝手にその人たちを決めつけてはいけない。先入観は捨てて、大事にしなきゃいけないのは想像力だと思い知らされた。平和だと思っている毎日が、誰かにとっては突然悲劇に変わったりする。それが決して他人事ではないと思った。