川端裕人の作品一覧
「川端裕人」の「我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち」「青い海の宇宙港」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
色覚の多様性についての社会問題を科学や医学などの観点も合わせて考察し、それに関する色覚の予備知識も深められる書籍。
色覚異常や色弱の背景にあった差別的な要素について丁寧に考察されており、とても興味深かった。遺伝学によってつまびらかにされつつある色覚の多様性が、正しく世間に広まることを願いたい。むしろ多様性を受け入れようとしている今の世の中にとって、色覚に限らない話とも言える。
例えば色覚のスクリーニング方法やその是非について検討している箇所がある。そういった社会的な動きの「難しさ」を感じた。一つ一つの検査の意味合いについての正しい認知が普及していなかった実情や、それによる診断後の対処がどうあるべきかの考察を見ていると、それらについて考え直す必要を感じた。一部の人が感じているこういった不当性を、私も体感するような思いであった。
個人的には光が色に変換されるプロセスや、色覚の遺伝的な遷移について簡潔にまとめられていることも良かった。これを読むだけでも一見の価値がある。
全体としては社会問題について踏み込むような内容ではあるものの、そういった色覚の知見を深める意味でもとても重宝した。参考文献なども丁寧にまとめられているため、是非そちらにも目を通してみたいと感じる。
Posted by ブクログ
江戸時代に日本にドードーが来た?
絶滅した鳥の行方を追う堂々めぐりの
探求の旅を綴るノンフィクション。
序章 堂々めぐりのはじまり
第一章 日出づる国の堂々めぐり――正保四年のドードー
第二章 ヨーロッパお堂々めぐり――西洋史の中のドードー
第三章 モーリシャスの堂々めぐり――ドードーと代用ゾウガメ
終章 堂々めぐりの終わり
堂々めぐりの謝辞など、文献と注有り。
「おしゃべりな絶滅動物たち」が面白かったので、
こちらも読んでみたら、初っ端から日本にドードー!?
偶然に読んだ記事から日本にドードーが来てたことを
知るのが、堂々めぐりの始まりとなるとは。
「出島ドードー」の痕跡を得るための史料探しに
奮闘する、日本での堂々めぐり。江戸へ行ったのか?
長崎に留まったのか?誰かが入手したのか?
そして、近代ドードー研究者の蜂須賀正氏の事。
ヨーロッパでの堂々めぐりは、オランダ、プラハ、
イギリスでのドードーの記録や絵、博物館の標本などの痕跡。
実在しなかった白ドードー。ドードーのイメージとなった絵。
「不思議の国のアリス」のドードー。
更に2017年、モーリシャス島での調査に参加。
伝説の1865年の発掘地訪問。1990年代の近藤典生の活動も知る。
絶滅したソリテアのいたロドリゲス島や、記憶の方舟たる
モーリシャスの自然保護区エグレット島へも足を運ぶ。
ヤバいな、これ。
絵や画像が大量にあるうえ、史料探究の話が興味深く、
ドードーに関しての好奇心が爆上りになってしまいました。
出島ドードーの絵が何とも言えぬ雰囲気だったりするし。
結局、ドードーの堂々めぐりは解決出来なかったけど、
神社に奉納されたサイチョウなどの「鳥類標本」が
あるように、思わぬ所からドードーの痕跡が出てくる
可能性だって無きにしも非ず。今後の研究に期待したいです。
Posted by ブクログ
近代の絶滅で姿を消した動物たち。
その姿を求め、世界を訪ね歩く。
何故彼らは短時間で消えたのか?
残る記録や資料で分かる実体と痕跡が語る真実を綴る。
・はじめに おしゃべりな絶滅動物
第一章 「絶滅」を知らない時代の絶滅
第二章 「人為の絶滅」の発見
第三章 現代的な環境思想の勃興
第四章 絶滅できない!
第五章 それでも絶滅は起こる
第六章 ドードーはよみがえるか
終章 絶滅動物は今も問いかける
コラム①、②、謝辞など、注有り。
18世紀のステラーカイギュウ。
それは狩猟だけではない。ラッコ猟も絶滅に影響。
19世紀のオオウミガラス。
「人為絶滅」は羽毛産業のみならず、標本需要も含まれる。
20世紀のリョコウバト。
電信網と鉄道網の発達が大量捕獲と大量捕獲に繋がった。
20世紀のフクロオオカミ。
有袋類なのに、羊殺しの濡れ衣による熾烈な捕獲。
21世紀のヨウスコウカワイルカ。
「機能的絶滅」は生息する大河の環境の悪化。
そして21世紀の「脱絶滅」の研究について。
残る記録や標本が語り掛ける、彼らの無残な絶滅の歩み。
DNA抽出でのゲノム科学やミトコンドリアゲノムの
解読などの中から語り掛ける、彼らの生活や生き様。
「脱絶滅」で彼らを復活させる研究もあるけれど、
難関だし、デメリットもあるし、もし成されたとしても、
多方面に厳しい影響が出そうで危うい。
時代の変遷で学者も一般人をも動物の絶滅への考え方は
変容している。絶滅した動物たちの声なき声は、
それを更に未来に向け、考え抜いて欲しいと訴えて
いるようにも感じられた。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い本。絶対読んでほしい。
科学者ではなくジャーナリストの手による科学啓発本は概ね読みやすいのが特徴だけれど、これは群を抜いて読みやすく、実に社会的でもある。
とにかく構成が素晴らしい。
物事を伝えるための手順にそって、丁寧に展開していくので『なんで?』と置いてけぼりにされることがない。テーマを上手く絞ってあり、テーマの問題点のアウトラインもきっちりと明瞭にしているので迷子になる感覚がない。
色を見るという感覚自体が主観的で、実のところ簡易に他者と比べることの出来ないものであると説明した上で、その主観を数値化して浮き彫りにするための手法がある。その筆頭がいわゆる色盲検査につかわれる『石原表』だが、その運用によって必要でもない負のラベリング効果の問題が生じたという。
実際、昭和の時代での色盲検査は大雑把で、その結果を受けて社会が起こした行動も、今の時代からするとテキトー過ぎるという著者の意見には同意する。
当時は社会の可能性が低く見積もられていたというのも現実なのだろうと思う。今でもその問題はあって、ほんの少しの理解と対応で、問題は軽減され時には消失するというのに、なされないままであったりする。
色覚は主観で、生物はひとつの感覚だけを頼りに生きてはいないという実際がある。よって、色覚はかなり融通無碍なところがあって、変異が多い分、極端な事例はあるもののグラデーションを成している。ばっさりと正常・異常で切り分けることなど出来ない。それならば、より多くの人間に沿った色彩を採用し、必要があれば対応する。それが出来ないのはおかしいという。振り上げられた拳なのだろう。
科学によって技術によって、出来ることが増えたならば、その分だけ枷は緩むはず。それを理解しないのはもったいないよという。そんなメッセージを私は受け取った気がしている。
Posted by ブクログ
マジメで硬派な本なのに、ページをめくる手が止まらなくなった
色覚について科学的な情報を読者に分かりやすく伝えた上で、色覚にまつわる社会の偏見や抑圧を指摘し考察する
科学的な説明のページは知らなかった事実や理屈が分かり易く解説されてとても面白く、社会的な問題を記述したページでは感情抑え目の著者に代わって世の中の理不尽さに腹が立つ、アップダウンのあるジェットコースター的読書感
科学的な事実をしっかり踏まえた上で社会の問題を論考している点が素晴らしい
もっと怒っていい当事者なのに著者が感情抑え目で冷静に話を進めている点も良い
5年前に刊行された旧版での記述に対する反省を明確にしている点も好感が持てる
色やデザインに興味がある人にも、科学に興味がある人にも、人間に興味がある人にも、社会に興味がある人にも、色覚で困っている人にも困っていない人にも、オススメしたい
われわれの世界は正常-異常の二分論でできているのではなく、人間はグラデーションのように連続的で多様なのだ
そしてあなたもわたしもその他の誰かさんも、そのグラデーション状分布のたぶん左端や右端ではなく、その途中のどこかにそれぞれ存在しているだけなのだ