哲学・宗教・心理の検索結果
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ワークディスカッション入門
本書は,職場内のダイナミクスを精神分析的に探究するグループワーク「ワークディスカッション」に関する概論書である。近年,臨床現場の多様化に伴い,グループや組織を対象とした支援を行う機会が増えている。しかし,心理職はこれまで個人臨床に特化した理論や技法に依拠してきたため,こうした状況の変化に十分に対応できていない現状がある。 ワークディスカッションは,そうした心理職の専門性に新たな光をもたらす方法論として,注目されてきているが,日本における実践報告はまだ少なく,その本質的な意義については十分に理解されているとは言いがたい。本書では,対人援助職のための訓練プログラムとして考案されたワークディスカッションには,組織内に内省的文化をはぐくむ社会療法的アプローチとしての側面があることを,自験例を交えながら,わかりやすく解説する。 構成は三部からなり,第I部〈理論編〉ではワークディスカッションをはじめ,グループ理論と組織理論の基礎について整理し,第II部〈実践編〉では著者による医療現場での自験例をもとに,ワークディスカッションにおける実践的な課題について考察し,第III部〈番外編〉では本編から派生した応用的テーマとして,個人的要因とグループへの影響を考察し,精神分析的心理療法の固定観念を再考する。 本書は,ワークディスカッションをみずから実践してもらうことを願って執筆されたガイドブックである。 -
ヴァティカンの正体 ──究極のグローバル・メディア
19世紀半ばに至るまで、広大な教皇領の支配を通じて宗教的支配者としてのみならず、地上における君主としても絶大な権力を振るったヴァティカン。黎明期より多くの地域に特派員を派遣し、情報収集、編集して世界へ向けて再発信する国際的メディアという側面を持っていた。激動の転換期を幾度となく生き延びてきたヴァティカンの、メディア戦略を歴史軸で俯瞰し、宗教改革、対抗宗教改革における生き残り策に焦点を当て、いま日本が学ぶべきことを検証する。現世での支配権を失った後、文化的存在へと変容を遂げることで、普遍的地位を強固なものにした経緯について、多角的に考察を行う。 -
ヴァルター・ベンヤミン
歴史と記憶、記号論、消費と労働、表象文化、都市空間…あらゆる思考の出発点、ヴァルター・ベンヤミン(1892‐1940)の主要作品群『翻訳者の課題』『歴史の概念について』『暴力批判論』『複製技術時代における芸術作品』を徹底的に読み解く。 【目次】 序論 言語について 2―『翻訳者の課題』を読む 後半 暴力について―『暴力批判論』を読む 歴史について―『歴史の概念について』を読む メディアについて―『複製技術の時代における芸術作品』を読む ベンヤミンを理解し、深めるための参考書 【著者プロフィール】 仲正昌樹(なかまさ・まさき) 1963 年広島生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。 現在、金沢大学法学類教授。専門は、法哲学、政治思想史、ドイツ文学。古典を最も分かり やすく読み解くことで定評がある。また、近年は、『Pure Nation』(あごうさとし構成・演 出)などで、ドラマトゥルクを担当。演劇などを通じて精力的に思想を紹介している。 -
悪役(ヴィラン)の心理 クリエイターのためのキャラクター創作マニュアル
〈悪役づくりの教科書〉の決定版!クリエイター必読の書。 フィクションにおいて欠かすことのできない悪役(ヴィラン)。多くの作品に登場する悪役の心理を深掘りし、キャラクターメイキングの方法を解説する。 ■本書の内容 【第1章~第3章】悪役キャラを性格別に大別。得意不得意や育ってきた環境などを、作品例を交えて解説 【第4章】「現実逃避」など、人が自分を守るために行う防衛行動(防衛機制)の種類を解説 【第5章】MBTI診断を用いてタイプ別に悪役を解説 【第6章】実在する病や症候群を、作品例と一緒に解説 【第7章】キャラクターの作り方を解説 ■本書で解説するキャラクター(一部抜粋) ・偏執型(パラノイア)……ジョーカー(『バットマン』[1989年]) ・統合失調型……ジョーカー(『ジョーカー』)、トラヴィス(『タクシードライバー』) ・自己愛型……ランウェイ編集長のミランダ(『プラダを着た悪魔』)、パトリック・べイトマン(『アメリカン・サイコ』) ・境界型……サーセイ・ラニスター(ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』) ・依存型……ジェイミー・ラニスター(ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』) 他、多数のキャラを解説! ■目次 はじめに 第1章 自己中心的で、自分への信頼が強い――“自己確信型”A群の性格スペクトラム 第2章 感情的で他人に影響を及ぼそうとする――“他者コントロール型”B群の性格スペクトラム 第3章 不安を感じておびえる――“不安と焦燥”C群の性格スペクトラム 第4章 防衛機制――人間の本能と感情を処理するための武器 第5章 MBTI診断で各性格スペクトラムを掘り下げる 第6章 精神障害――文化と社会の影響を受ける 第7章 キャラクターに生命を吹き込む この書籍は『문제적 캐릭터 심리 사전 (Problematic Characters Psychology)』を翻訳したものです。 ■著者紹介 ハン・ミン Han Min 文化心理学者。高麗大学の心理学科を卒業後、同大学院で心理学修士・博士号を取得。著書に『線を越える韓国人 線を引く日本人』(飛鳥新社)等。 パク・ソンミ Park Sungmi 高麗大学で文学と心理学を学び、文化心理学に大きな影響を受ける。建国大学文学治療学博士課程にて研究を続けている。小説とエッセイの執筆も行う。 ユ・ジヒョン Yoo Jihyun 高麗大学にて犯罪心理学を専攻。卒業後は大学院に進学して文化心理学を学ぶ。警察に入職後は犯罪分析官(プロファイラー)として活躍。 ※本電子書籍は同名出版物を底本として作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。 ※印刷出版再現のため電子書籍としては不要な情報を含んでいる場合があります。 ※印刷出版とは異なる表記・表現の場合があります。予めご了承ください。 ※プレビューにてお手持ちの電子端末での表示状態をご確認の上、商品をお買い求めください。 -
悪役(ヴィラン)の条件 魅力的な悪役を創作するためのキーワード17
名作の悪役から紐解く、 最高に魅力的な悪役を創る 17のルール。 【30秒で分かる、この本の中身】 ■この本の結論 優れた作品に必要不可欠なのは、 魅力的な悪役〈ヴィラン〉です。 本書は映画やドラマ等の名作を分析し、 作品を輝かせる魅力的な悪役を構築するための、 17のキーワードと戦略をロジカルに解説する 創作指南書です。 ■こんな人におすすめ ・小説、脚本、漫画などの創作活動をしている人 ・物語の展開にキャラクターの葛藤や深みが 足りないと悩んでいる人 ・読者や観客の心を強烈に惹きつける、 カリスマ性のある悪役を作りたい人 ■この本で学べる5つのこと 1. 「信念」「狂気」など悪役を形作る 17の具体的な属性と設定手法 2. ハンニバルやジョーカーなど、名作の悪役が 魅力的である理由の論理的分析 3. 主人公を覚醒させ、物語の構造をより強固にする ライバル配置の技術 4. 自身の悪役設定において失敗しないための、 再現性の高いチェックリスト 5. ヒット作を生み出すための、実践的かつ ロジカルなキャラクター創作作法 【この本のポイント Q&A】 Q1. どのようなジャンルの創作に役立ちますか? A1. 小説、映画、ゲーム、漫画など、 あらゆるコンテンツに応用可能です。 Q2. 創作の初心者でも理解できる内容ですか? A2. はい。有名な名作を具体例として挙げ、 情景描写を交えて解説しており、 初心者からプロまで論理的に学べます。 Q3. 既刊『悪役の心理』を読んでいなくても大丈夫ですか? A3. 問題ありません。本作は実践的な メイキング手法に特化しており、 単体でも十分にご活用いただけます。 【著者情報】 ■著者:チャ・ムジン(Cha Mujin) 1974年生まれの小説家。2010年のデビュー後、 数々の作品を発表。2019年発表の 『In the Bag(未邦訳)』は、 大衆性と文学性を兼ね備えた作品として 高く評価されている。 ■訳者:黒河 星子(くろかわ せいこ) 韓日・英日翻訳家。京都大学大学院文学研究科 博士後期課程単位取得退学。 訳書に『悪役(ヴィラン)の心理』(翔泳社)など。 ■訳者:金李 イスル(きむり いする) 朝鮮語通訳・翻訳家。青山学院大学法学部卒。 訳書に『#MeTooの政治学』(大月書店)など。 ※本電子書籍は同名出版物を底本として作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。 ※印刷出版再現のため電子書籍としては不要な情報を含んでいる場合があります。 ※印刷出版とは異なる表記・表現の場合があります。予めご了承ください。 ※プレビューにてお手持ちの電子端末での表示状態をご確認の上、商品をお買い求めください。 -
60代 二度目の黄金時代
60代は人生二度目の「黄金時代」。人生を謳歌するために必要な四つのもの――自由に使える時間、ある程度のお金、気力と体力、蓄えてきた知恵と経験が与えられ、好きなこと、したいことに思う存分取り組むことができる世代です。では、なぜ60代の人間にこの四つが与えられるのか。それは「あなたの人生を完成させるため」なのです。この世からの旅立ちに向かっていく途上で、自分の人生の物語を完成させていくという重要な課題に取り組むうえで、60代はつねに「何か人生でやり残したことはないか」と気にかけ、考えながら日々を送ることになります。これまでの人生を振り返って、「私の人生、空っぽ」と空虚感に駆られることもあるかもしれません。しかし、その空虚感を手掛かりに、自分の在り方を根本から見つめ直し、人生を変えることはできます。60代から始める「自己改造#60」に取り組んで、最高の人生を目指しませんか。 -
フランス知と戦後日本:対比思想史の試み
なぜ、あれほど読まれたのか? 誰しも人生を変えた一冊があるはずだ。困難や逆境にあるとき、思わぬ力を与え、生きていく糧となった本。あるいは進むべき道を示してくれた本…… 本書は、「戦後日本」におけるそんな一冊を探し求める試みである。 敗戦を受け、「近代化」や「民主主義」を求めた戦後日本は、いわゆる知識人が活躍した時代であり、数多くの名著が生み出された。 とりわけ、「フランス知」が果たした役割は大きかった。 フランス文学からフランス革命史学まで、あるいは哲学・思想から社会・文化論まで、これらの知識人たちの著作は、フランスを対象にしながら、その根底に日本社会への強い問題意識がはっきりとみられた。 このフランスと戦後日本をつなぐ回路はいかなるものだったのか? そこには果たして必然性があったのか? こうした問いが本書の最大の焦点になる。 個々人の関心が多様化し、学問も細分化したと言われる。読書という経験も大きく変容している。だからこそ、社会全体がかなりの熱量をもって集約的に本を読んだ戦後の記憶は貴重である。戦後思想を読む異色のブックガイド! -
心はこうして敵と味方をつくりだす ――分断と争いの社会心理学
人はなぜ「我々」と「ヤツら」に分かれるのか? 隣の部署、外国人、富裕層、エリート、若手とベテラン、右派と左派、男と女――人はつい「我々」と「ヤツら」に線を引き、その「敵」を容赦なく叩いてしまう。なぜ人は、ときに集団の一員として敵への攻撃に駆り立てられるのか。異なる価値観をもつ人々と共に生きるには、「敵を作りがち」な私たち自身の心のクセを知っておく必要がある。職場での摩擦や民族対立、SNS炎上、陰謀論など。身近なギスギスから社会の深刻な分断まで、その背後にある集団心理のメカニズムを読み解く。 === 【目次】 はじめに――「我々」と「ヤツら」に線を引く心 第一章 「我々」として敵と争う――社会的アイデンティティ 1 「私」から「我々」へと切り替わる 2 紛争状況――我々のために戦おうとするとき 3 優越感――「我々こそ上だ」と思うとき 第一章のポイント 第二章 仲間が見ているから暴走する――賞賛獲得と拒否回避 1 褒められるために攻撃する――仲間内の英雄になりたい 2 嫌われないために攻撃する――仲間はずれになりたくない 第二章のポイント 第三章 「我々」はなぜ都合のよい世界しか見えないのか――内集団中心バイアス 1 同じ情報でも「ウチ」と「ソト」では違って見える 2 バイアスの原因は「結論ありき」で考えるから 3 バイアスにブレーキをかけるには 第三章のポイント 第四章 なぜ左と右はわかりあえないのか――イデオロギーと政治 1 政治イデオロギーはいかにして暴力と結びつくか 2 右派的価値観はよそ者に厳しくなりやすい 3 左派集団 vs. 右派集団――党派間対立 4 インターネットで強まる政治的分断 第四章のポイント 第五章 「よそ者」はいかにして「敵」となるのか――脅威・被害・報復 1 ヤツらの何がどう怖いのか?――脅威 2 やられたから復讐する――被害と報復 3 我々は被害者だ――被害感 第五章のポイント 第六章 闇の勢力が我々を狙っている――陰謀論 1 陰謀論を個人ではなく集団心理から読み解く 2 陰謀論で生じる二つの集団目標 3 陰謀論にどう向き合うか 第六章のポイント 第七章 「やっつけろ」が当たり前の世界で起こること――暴力的な規範・文化 1 規範は集団のアクセルにもブレーキにもなる 2 暴力や偏見を後押しする規範 3 文化に根づいた暴力的規範 4 規範を反転させるためには――ヘイトから反ヘイトへ 第七章のポイント おわりに――敵をつくる心を知ったその先に 注 === -
世界はトラウマでできている
大切なのは、飴玉のように感情を感じ終えるまで感じること。 世界を見る目が変わる、児童精神科医による「傷つき」論。 市民権を得たようにみえる「トラウマ」という言葉ですが、その意味するところは十分に理解されていないかもしれません。本書では、人が傷ついたときどういうことが起きているのか、トラウマを否認することで何が起きるか、丁寧に解説していきます。自分とだれかの傷つきを、大切にできるようになるための一冊です。 「「トラウマ」という言葉がなくても、あたりまえに、私たちは傷つく存在であり、さまざまな傷を抱えながら生きているということを、お互いに理解し、認め合い、受け入れる世の中が来てほしいと思っています。」(本文より) === 【目次】 はじめに 「それでも人は傷つく」をあたりまえに/トラウマの理解のために/この本は「ちょうどよく」ないかもしれない/感じ終わるまで感じること 第1章 人は傷つく 「傷つく」の軽視/トラウマ元年/PTSD概念の広がり/診断名の登場/異常な状況における正常な反応 第2章 人が傷ついたとき起こること DSMによる診断基準/DSM–5–TRの特徴/議論の的となるA基準/心の傷に大小はない/B基準=侵入症状/フラッシュバックとは/きっかけになるもの/C基準=回避症状/D基準=うつ状態/自分に責任を押し付けてしまうこと/全体としてうつ状態を呈する/E基準=覚醒度と反応性/睡眠障害/F基準=仮の区切り/G基準とH基準/解離症状/遅延顕症型 第3章 トラウマという名のもとに 心理療法への影響/再演/再演の例/否定的な自分観/ポスト・トラウマティック・プレイ/解離/感情は飴玉のように/恐怖条件付け/PTSDと脳の関係/ポリヴェーガル理論/進化と発達からわかってきたこと/感情から目を逸らす/EMDRの人間くささ/私たちの外界認識/世界線が変わる/集団のなかのトラウマ/トラウマ・インフォームド・ケア登場/浸透しないTIC/医療以外の現場/精神医学は変わるのか? 第4章 トラウマを認めたくない人たち スモールtトラウマとは何か/なぜ私たちはトラウマを認めたくないのか/トラウマは擬態する/常識はなぜ保たれているのか/伝統や武勇伝/集団の都合/男性用トイレを例に/加害者の誕生/トラウマに触れると何が起こるのか/医療に潜むトラウマ/トラウマへのトラウマ/「正常」との線引き/時代とともに変わるもの/誰かのあたりまえは、誰かのトラウマかもしれない/明文化できないものを学ぶとき/被害者が加害者をかばうとき 第5章 心の傷が癒えるとき 何重にも絡まった糸/トラウマは克服しなくていい/人の「推し」を笑うな/思い残しと成仏/動物園の避難訓練/訓練の時間は終わらない/考えるな、感じろ/感じる者は救われる おわりに === -
新・幸福の科学入門 ―幸福の原理と心の科学―
創立から40年。 その「心の教え」は、日本を超え、全世界に広がった。 【待望の復刊】 今や世界198ヵ国に広がる幸福の科学。 その発足当時の明るくあたたかい息吹をリアルに伝える一冊。 創立に込められた著者の大きな願いと情熱。 そして、人びとの心を引きつけてやまない 「愛・知・反省・発展」の教えの深い魅力とスケール感。 宗教のイメージをくつがえし続ける 幸福の科学の原点がここにある。 「本書では、幸福の科学の基本的な考え方である、 土台を重視する考え、 正しき心の探究、 幸福の原理としての「愛・知・反省・発展」の四正道、 空間論、時間論、ユートピア論などが、 平易に説き明かされていると思います。」(あとがきより) 「二十世紀末のすべての文明の遺産を、 考えうるかぎりの全知識と全精神エネルギーを、 われらが活動のなかに集約、集結し、 幸福を科学してゆこうではありませんか。」(本文より) 本書を読めば、 なぜ幸福の科学に多くの人たちが集うのかが分かる! 目次 まえがき 第一部 幸福の科学の基本的な考え方について 第1章 幸福の科学入門 ─教えの全体像を学ぶ─ 第2章 幸福の科学が目指すもの ─『幸福の科学入門』講義─ 第3章 幸福の原理としての四正道 ─人間が幸福になるための四つの教え─ 第4章 科学としての幸福哲学 ─「悟り」こそ人間の最大の幸福─ 第二部 心を豊かにする人生の指針 第1章 幸福の科学の発足とその使命 ─立宗初期の足跡を辿る─ 第2章 幸福へのワン・ステップ ─人生は一冊の問題集─ 第3章 広場の思想 ─真理を広めていくために─ 第4章 寛容さとは何か ─「自信」と「他者への優しさ」について─ 第5章 人生と勇気 ─苦悩との向き合い方─ 第6章 劣等感の克服 ─人生の平均打率をあげよ─ 第7章 恐怖心の克服 ─恐怖心の原因から解決法まで─ 第8章 知の発展段階説 ─知の四つの段階が示す悟りへの道─ あとがき -
祟り神
「祟り」は迷信なのか。それとも、日本という国の成り立ちを読み解く鍵なのか。 本書は日本人が古来より抱いてきた「祟り」の思想を切り口に、神話・歴史・神社信仰を大胆に読み解きます。日本には無数の祟り神が存在し、その信仰こそが日本人の精神文化の根幹を形づくってきました。さらに祟りを恐れ、鎮める営みの中で、共同体の秩序や権力への抵抗、死者との共生という日本独自の感覚も浮かびあがってきます。 本書で取り上げるのは、牛頭天王(スサノヲ)、平将門、蘇我入鹿、大穴牟遅(オオクニヌシ)、そして大日霊(アマテラス)という、日本史を大きく動かした「五大祟り神」です。なかでも最大の謎として「最高神」とされるアマテラスが、なぜ天皇家に祟る存在として描かれているのかというテーマに迫ります。 京都の祇園祭は、華やかな観光行事として知られていますが、その起源は疫病や怨霊を鎮める「御霊会」にありました。八坂神社や神泉苑、全国の祇園社、御霊神社などを手がかりに、「祭りとは祟りを鎮めるための儀式だった」という視点から、日本最大級の祭礼の本来の意味を解き明かします。 さらに、平将門の首塚、出雲大社、神社の成立、祝詞や神道の起源にまで考察は及びます。神社は願い事をする場所ではなく、本来は「祟り神を鎮魂する施設」であったという大胆な仮説のもと、古代史の常識を再検証。神話や史書だけでは見えてこない歴史の真相を、全国の神社に残る信仰や祭祀の痕跡から読み解いていきます。 -
ナラティヴ逃走論
「ネガティヴな自己物語をポジティヴに書き換える心理療法」―ナラティヴ・セラピーは、しばしばこれまでそう理解されてきた。けれどもそれは大きな誤解である。「人の内側に、表面には現れないその下に、本当の自己や本質がある」といった近代的で心理学的な前提こそ、ナラティヴ・セラピーが問い直し、離れようとしたものなのだから。 「物語」は私たちを支え励ますと同時に、縛り、序列化し、管理する。ナラティヴ・セラピーとは、物語が権力の場であることを何より自覚した上で、語ることにおいてそれをすり抜け、逃れ、別な仕方で語るためのスペースを切り拓こうとする実践である。「再著述」や「語り直し」は出来事や自分についての見方を変えようとする「技法」ではなく、異なる語りという「行為」が異なる現実を立ち上げるという、その協働的な連なりそのものを指す。語るたびにズレをはらみ、語り切れない空白にも伴われて「みたことのない風景」へと私たちを運ぶ、今あらためて見えてくるのは、そんなナラティヴの像。 マイケル・ホワイトが参照し続けたフーコーの権力論とデリダの余白論にバトラーのパフォーマティヴィティ論を再接続しつつ、ケア、ジェンダー、尊厳、支援倫理など今日的テーマを社会政治的文脈(socio political context)とつないで考え続けてきたナラティヴ・セラピーのポテンシャルを、多声と認証に向けて押し広げる。 -
高畑勲が描いた「夢」 ライフサイクル的観点からの臨床心理学的アニメーション分析
映像作品で描かれる「夢」は、寝ているときに見る夢だけではない。登場人物の希望や願望、未来への憧れや夢想といった体験もまた、「夢」として表現される。 高畑監督はキャラクターの心理状態を映し出す表現として「夢」を効果的に用い、そこには年齢によって変化する監督自身の関心や心理も投映させてきた。 高畑監督の12作品で描かれた「夢」表現を、レビンソンのライフサイクル論を手がかりとして分析した本書は、今後のアニメーション研究に新たな展開をもたらすだろう。 本書で取り扱う作品: 『太陽の王子 ホルスの大冒険』/『アルプスの少女ハイジ』/『母をたずねて三千里』/『赤毛のアン』/『セロ弾きのゴーシュ』/『じゃりン子チエ』/『柳川掘割物語』/『火垂るの墓』/『おもひでぽろぽろ』/『平成狸合戦ぽんぽこ』/『ホーホケキョとなりの山田くん』/『かぐや姫の物語』 -
部外者の応答可能性
いま世界で起きている分断と対立を解決する鍵は、 被害者でも加害者でもない「部外者」が握っている! 「分断」の境界を横切って、部外者として生きるための人文学。 保守とリベラル、強者と弱者、戦争と平和……。この分断の時代において、どちらの陣営に所属すべきなのかを熟慮するのではなく、「分断の時代」という見立てそのものにあらがうための思考。それを本書は「部外者」と呼ぶ。 部外者とは、いっけん仲裁不可能にみえる「戦争」状況にあって、あたかもその「戦争」に気がついていないかのように戦線をずかずかと横切ることで、「敵」も「友」もつくらずに、ただ分断状況を無視する生き方が可能であることを体現する存在である。 J-POPからマンガまで、日米関係からクィアまで、多文化主義から地域格差まで。部外者の応答可能性を論じながら、現在の世界についてラディカルに考えるための人文学。 “すべてのイシューについて完全にリベラルまたは保守的な意見を持ちつづけることは不可能なのであり、われわれは刻々と変化するモザイク状の思想のパレットをそれぞれ持つにすぎないのだ。だれがどちらにつく人間なのかという陣営選択の二元論に囚われるとき、われわれはこの複雑な世界について思考することをやめている。そこに戦争状態が出来する──すなわち、分断という偽の問題が。”(「はじめに」より) 【目次】 はじめに──部外者の応答可能性 第1部 J-POP Official髭男dism、MVのクィアネス DA PUMP、沖縄の地政学 cero、音楽の魔術的リアリズム 第2部 マンガ 『BEASTARS』、加害者のコレクトネス 『ブルーピリオド』、少年のゆくえ 『僕のヒーローアカデミア』、ヒーローの戦後日米史 第3部 映像 『君の名は。』、忘却する風景 ジブリとゴジラ、反戦映画の保守思想 戦後日本のサブカルチャー、加害としての暴力 第4部 アメリカ トニ・モリスン、部外者のリスク スパイク・リー、部外者の連帯 『ヒルビリー・エレジー』、部外者の応答可能性 補論 田舎者は金があっても大学に行けない──文化資本と教育の地域格差 あとがき -
哲学な日々 考えさせない時代に抗して
哲学することの手ざわり 人生でいちばん大切なものは何か? 論理的な文章を書くにはどうすればいいのか? そんな身近な問いを入り口に、哲学者が普段着の言葉で語ります。難しい言葉をひとまず脱いで、頭と心をゆるめながら楽しめる一冊です。 坐禅に興味のある人にもおすすめ。坐り方や呼吸法のレッスンも収録しています。 自分のこと、社会のこと、国のこと、世界のこと。私たちは考えなければならないことに囲まれています。けれど、いざ考えようとすると、何からどう考えればよいのかわからなくなってしまう。 考えることが許されない。考えないことも許されない。 そんな息苦しい時代だからこそ、本書は哲学をしかつめらしい言葉ではなく、親しみやすい言葉で語ります。気軽に読めるエッセイと、哲学の手ざわりを感じられる小品を通して、人生や他者との向き合い方がじんわり見えてくるはずです。 読み終えるころには、昨日より少し身軽になった自分に出会えるかもしれません。 [本書の内容] まえがき I 哲学者のいる風景 II 哲学も、哲学じゃないことも 後 記 学術文庫版のあとがき――その後の哲学な日々 初出一覧 *本書の原本は、2015年に小社から刊行されました。 -
空海の思想 マンダラとしての世界
私たちはまだ本当の空海を知らない――。 宗派的関心からも、難解な教理問答からも離れて、歴史的事実をもとに、その生涯を民衆と共に歩む聖者として生きた空海の姿を生き生きと描く、決定版入門書! [目次] はじめに ■序章 真実の空海像を求めて 第一節 空海の原像を探る 第二節 捏造された空海像 第三節 民衆と共に歩む空海 ■第一章 空海の体験したマンダラの世界 第一節 マンダラ体験に至るまで 第二節 恵果からマンダラの世界に入ることを教わる 第三節 大悲胎蔵マンダラに入る体験 第四節 金剛界マンダラに入る体験 第五節 空海がマンダラ体験から学んだこと ■第二章 民衆のための実践 第一節 空海の密教が人々の間に受け入れられてゆく 第二節 マンダラ思想の単純化 第三節 空海自身が実修したマンダラの世界の禅定 第四節 満濃池――大自然にマンダラを描く ■第三章 言葉もまたマンダラである 第一節 マンダラとしての言葉 第二節 「天皇」を真言化する 第三節 言葉で記されたマンダラ『十住心論』 ■第四章 マンダラ的社会の構築 第一節 組織論としてのマンダラ思想 第二節 マンダラ思想が結ぶ民衆との絆 ■終章 空海の喜びと悲しみとなぐさめ 第一節 空海の最晩年の姿 第二節 入滅に向かう禅定と祈り 註 あとがき 図版出典一覧 索引 -
パスカル対モンテーニュ 死をめぐる思想対決
『エセー』の著者ミシェル・ド・モンテーニュ(1533-92年)と『パンセ』の著者ブレーズ・パスカル(1623-62年)――フランスが生んだ二人の巨人は、一見すると正反対の思想を説いたように見える。 短い生が過ぎ去るのを惜しみ、自然からの恩恵である感覚的な歓びを、今この瞬間に十全に味わい、反芻する、と宣言したモンテーニュ。それに反発して、はかない現世の享楽を斥け、信仰に生涯を捧げることで、来世への「希望」というこの世の最大の幸福が得られる、と力説したパスカル。 この二人は生きる時代をともにすることがなかったため、もちろん直接の交流はない。だが、パスカルは先人モンテーニュを最大の論敵と見定め、その思想を深く理解した上で、それに挑むようにして『パンセ』を執筆していった。事実、パスカルはこんな一文を残している――「モンテーニュのなかに私が見ることのすべてを、私はモンテーニュのなかにではなく、私のなかに見つける」。 このような深い共感を示しつつ、しかしパスカルはモンテーニュの「死についてのまったく異教的な考え」を問題視した。パスカルはそれを徹底的に攻撃し、それとは対極にあるキリスト教が説く死への向き合い方を伝えようと尽力した。パスカルにとって、死をめぐる思想の本質は、1) メメント・モリ(死を想え)、2)「気晴らし」、3) 来世への希望の三点に関連している。本書は、パスカルが作中でモンテーニュに直接言及している箇所を紹介したあと(第一章)、これら三点のそれぞれについて、二人の具体的な文章を通じてわかりやすく説明していく(第二章から第四章)。時代としてはあとになるパスカルの考えを先に見て、次にモンテーニュの思想を見ていく。 「死」という誰にとっても無縁ではいられない重要な主題について考え抜いた二人の知の巨人パスカルとモンテーニュ。あなたはどちらに共感し、どちらに軍配を上げるだろうか? [本書の内容] ブレーズ・パスカルの生涯(1623-62年) ミシェル・ド・モンテーニュの生涯(1533-92年) 第一章 パスカルのモンテーニュへの批判と称賛 1 『エピクテートスとモンテーニュに関するサシ氏との対話』におけるモンテーニュ像 2 『パンセ』におけるモンテーニュ批判 3 パスカルによるモンテーニュへの賛辞 第二章 メメント・モリ 1 パスカル 2 モンテーニュ 第三章 気晴らし 1 パスカル 2 モンテーニュ 第四章 来世への希望 1 パスカル 2 モンテーニュ 第五章 モンテーニュの「無頓着」について 1 自然への随順 2 精神の自律性 3 宗教的熱意の拒絶 結 論