感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2021年03月26日
クローズド・サークルでの山童伝説に見立てた惨殺は、ホラー性とトリックとの整合性の良さが両立されていて中々面白かった。
金田一が指摘したようにクリスをスケープゴートにした上殺されるように仕向けたり、火村を口封じで殺害したりと、非情さが目立つ。財宝と財宝に目がくらんだものへの復讐という大義名分を意地でも...続きを読む果たし尽くす、ある意味の一途さともとれるが、復讐に目がくらんで罪のない人間の命を奪ってしまった航一郎の結果は、今回の被害者たちと変わらないのではないだろうか。しかしこういった向こう見ずで、自家撞着なところは13歳の航一郎の幼さと言うこともできよう。
また、さとうふみや先生の性別の描き分けには大変驚かされた。作中の偽碧、正体が判明した後の碧の姿の航一郎、アメリカでの航一郎、本物の碧、どれも顔立ちの性別が男と女のスペクトルの絶妙な位置にあるように思えるし、即ち、同じ航一郎でもその時に丁度良い性別加減の顔立ちで描かれているように感じる。
更に、回想シーンで碧が航一郎に言った「私たちとてもよく似てると思わない?」という言葉には、外見のそれだけでなく、生い立ちやお互いを恋い慕う想いの意味もかけられていると見ると、航一郎にとってより深い言葉(ゆえに真っ先に思い起こした言葉なのではないか)に思える。
金田一シリーズの中でも比較的お気に入りの作品である。
私的に、金田一シリーズの中ではやや微妙なお話。
漫画なのは分かっていても、13歳の子が17歳の少女に化けて殺人、という無理すぎる設定でイマイチ入り込めなかった!
茅刑事のキャラが独特で良かったです。うっかりミスがなければ、金田一にも事件が解けなかったと思うと主人公としてどうなんだろう。犯人は結局犯行をやり遂げちゃうし。金田一には未然に犯行を防げるようにもっと頑張ってほしいですね。