あらすじ
私が聖女ですって? 娼婦になり下がった、それも殺人犯の烙印を押されたこの私が……? 気品に満ち、美しく清らかだったミッションスクール時代。確かに聖女と呼ばれるにふさわしい時期もあった――だが、醜い上級生りん子に迫られて結んだ忌まわしい関係が私の一生を狂わせた。卒業後も執拗に付きまとう、りん子。やがて、あの恐ろしい事件が……!! 表題作ほか六篇を収録した傑作事件ファイル。
カバーイラスト/杉本一文
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Posted by ブクログ
本書で一番驚いたことは、金田一耕助がちゃんと歳をとっていること。このまえまで30半ばと表現されていたが、本書では40半ばとなっていた。そういえば、本陣殺人事件あたりでは探偵で身を立てていこうと思った描写があったから、ちゃんと時間を重ねているのだと認識した。居所も友人の旅館へ居候ではなく、渋谷区の緑ヶ丘荘という高級なアパートに住んでいた。
短編集。
七つの仮面は、りん子の執念の描写がとてもおぞましく頭から離れなかった。
最後の薔薇の別荘は対して心が温かくなる。殺人起きたけど。これは私もトリックがわかったぞ。
Posted by ブクログ
『七つの仮面』
金田一耕助シリーズ
芸術家・江口万蔵に暴行された結果目覚めてしまった美沙。美沙に恋する2人の若者。江口の暗躍の為に離れる2人。美沙と関係を持つ山内りん子。美沙の訪問後転落した伊東慎策の遺体。毒殺されたりん子。江口のつくった美沙の七つの仮面。
『猫館』
金田一耕助シリーズ
猫館と呼ばれる占い師ドクトルハマコの館で発見されたハマコと婆やの遺体。消えた助手。死体を発見した佐藤亜津子。猫館の元の持ち主糟谷天民の元で行われた秘密のパーティー。糟谷、ハマコと続く恐喝の秘密。
『雌蛭』
金田一耕助シリーズ
変装した金田一耕助が訪れた梅本昌子。昌子の部屋で発見された顔をつぶされた男女の遺体。被害者は作家・立花愼二と昌子と思われた。橘と関係を持つ別れた妻・泰子。昌子の妹・繁子。
『日時計の中の女』
金田一耕助シリーズ
推理作家・田代裕三の邸宅の日時計の中から発見されたミイラ化した女の遺体。被害者は元の持ち主・神保の愛人・珠子。消えた腕環。金田一耕助の元に依頼にやってきた田代啓子、妹・堀晶子と名乗る女。
『猟奇の始末書』
金田一耕助シリーズ
人魚の洞窟の中で発見された矢の刺さった女の遺体。三井信吾がみたボートに乗った男女。被害者はナイトクラブのダンサー・タマキ。小坂夫婦が金田一の残した手紙の秘密。
『蝙蝠男』
金田一耕助シリーズ
受験勉強中の由紀子が目撃した向かいの家で起きた殺人事件。発見されたリリー梅本の遺体。ローズマリーの支配人・坂井とデザイナー・白井のアリバイ。ローズマリーに隠された秘密。
『薔薇の別荘』
金田一耕助シリーズ
女実業家・吉村鶴子の遺言の公開。集められた親族。甥の朝彦。そこに謎の手紙で呼びつけられた児玉建。遺体で発見された鶴子。全財産を残された秘書・三枝子と鶴子の過去に隠された秘密。
Posted by ブクログ
短編集
「七つの仮面」:聖女の皮をかぶった娼婦・美沙を巡る男女のいざこざ。
「マリア様が見てる」の過激版のような…金田一はチラリとしか出てきませんが美沙の語りがいいです。
「猫館」:女占い師と飼い猫が殺害される。何故犯人は女占い師の上着だけを脱がせ、数多くいる猫のうち1匹だけを殺したのか?そして内弟子の女の行方と裏に住む男やもめの画家は事件に関わっているのか?あっさり終わってしまいます。
「雌蛭」:珍しく金田一耕助自身が冒険します。洋服まで着て!
あるマンションの部屋からハンドバッグを取ってきて欲しいという依頼を受けた金田一がその部屋で発見したのは硫酸を掛けられ息絶えている男女の死体だった。ハンドバッグの持ち主は男の元妻。現場からコンパクトを持ち出した男と被害者の関係は?元妻の行方は?
「猟奇の始末書」:白浜海岸の洞窟でナイトクラブの女が殺されているのが発見された。胸には金田一の先輩である三井が所有していた矢が深々と刺さっている。驚かすために崖めがけて打ったという三井。あり得ない角度で刺さっている矢。ラストはちょっとがっかり。
「蝙蝠男」:試験勉強に勤しむ少女が見た向かいのアパートでの惨劇。死体はそこからトランクで運ばれていた。シルクハットの蝙蝠男の正体は?なんともあっさり解決。目撃証言をしてくれた少女へ合格記念を贈るなんて粋な金田一が見れる話
「薔薇の別荘」:体の不自由となった戦後の女傑が別荘に親戚一同を呼び寄せる。その場には奉公人である三枝子も出席せよという。約束の時間になっても現れない女傑は密室の中で絞殺されていた。ラストはちょっといいはなし。
2012/11/04-05