あらすじ
信州財界一の巨頭、犬神財閥の創始者犬神佐兵衛は、血で血を洗う葛藤を予期したかのような遺言状を残して永眠した。佐兵衛は生涯正室を持たず、女ばかり三人の子があったが、それぞれ生母を異にしていた。一族の不吉な争いを予期し、金田一耕助に協力を要請していた顧問弁護士事務所の若林がやがて何者かに殺害される。だが、これは次々と起こる連続殺人事件の発端にすぎなかった! 血の系譜をめぐる悲劇、日本の推理小説史上の不朽の名作!!
カバーイラスト/杉本一文
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Posted by ブクログ
昭和に書かれたこともあって事件はかなりシンプル。
おそらく最初の時点で佐清マスクのトリックと正体、読み慣れている人は犯人までわかるかと思います。
とは言え次々に起こる連続殺人事件に明らかになっていく情報が提示され、多くを暗示されることで読者の推理欲も掻き立てられるため最後まで飽きることなく読み切れました。
章立ても大小あってダラダラと続かないので凄く読みやすいのも良い点でした。
物語ですが、かなり不幸と愛憎が渦巻いていて暗いです。
それでもまぁ欲と憎しみが溢れた中に、親子愛や純愛があったのは救いですかねぇ...。
シリーズは大好きなのですが、後手後手に回る金田一耕助にやきもきして中々探偵としては好きになれないなぁと思っているのですが、この先バシッと決める作品はあるんでしょうか......?!
超有名な映画もあるためそちらもまた視聴しようかと思います。
Posted by ブクログ
※長文です
個人的に凄く面白かった!
某ボカロ曲で犬神家の一族を知り、読む前から犯人、動機、トリック等はわかっていたが、それでも楽しむことができた。
昔の本だからわからない言葉遣いがあるのではないかと思っていたが、そこまでわからない訳ではなく、読みやすい。ただ、時代背景に戦争が関わったり、家柄?の認識が今と違うため、若い子が読むとわかりにくいかもしれない……まぁこれは仕方がないことだな。
〜ネタバレ〜
佐清(本当は静馬)が逆さになって、半分埋まっていることから
「スケキヨ」→「ヨキケス」→「ヨキ」→斧
となる流れ。私はなるほど〜ぐらいで済ましたが、人によってはこじつけだと思うかもしれない。(まぁ、松子様が考えてあのように殺害したわけではないし、佐武、佐智の死体は静馬達がやったことだから、金田一のこの推理が間違っていると言っても過言ではないと思われる)
そもそも、この事件は偶然に偶然が重なった結果起きた事である。だから、ミステリーや推理などで「偶然」が使われるとしっくりこない、物語を完成させる為に足りない部分を「偶然」で誤魔化しているように見えて、気にくわない人には、あまりオススメはできないと思う。
佐清めっちゃかっこよかったなぁ〜!珠世がいなかったら佐清の夢女子になるところだったよ。ほんとに。
Posted by ブクログ
数多の賞賛を受けてきたこの作品、スケキヨの見立て殺人とマスク姿はいったいどれ程の認知度があるのだろうか。
で、原作は中学以来の再読、うん十年ぶりでした。
個人的な意見ですが、やはりこの作品が私の中では「悪魔の手毬唄」と並び“THE 金田一耕助“です。
防御率の低さや、恐ろしいまでの偶然の重なりなどはこのシリーズならではですね。
映画を観ていたからスケキヨの斧は完全に忘れていました。いま考えると、おそらくはこの言葉のトリックの凄さが理解出来ずさらっと流していたのでしょう。
複雑に絡み合った血縁や関わった人の因縁、様々な欲望、年齢を重ねてこそ判る物語の深淵が有るのですね。横溝先生、ありがとうございました。
Posted by ブクログ
映像作品数本見ており、いずれも原作からあまり外れていないのに、派手におどろおどろしい印象が強いが、小説では禍々しさは抑えられる。息子可愛さで凶行に走る母x彼女をかばおうとする親想いで若干気弱なために叔父に引きずられるように事後共犯に手を染める善良な息子=こんな悲惨な連続殺人になってしまう奇遇さが味なのかな。。。市川崑のリメイク版を見た際、大柄な松嶋菜々子では次々危機に陥っても絶対助かりそうで、クリスティのエンドハウスの怪事件のほうがお似合い、と思ったが、原作の珠代=しっかり者で、探偵から犯人かもとか何度も裏があると疑われながら潔白なヒロイン、なら意外とぴったりな気がした。
Posted by ブクログ
言わずと知れたミステリの古典的作品。
マスクと逆さまの死体というインパクトある描写は、著者のみならず日本のミステリ全体でも知名度の高いものじゃなかろうか。
そういった個々の事柄だけではなく、もちろん話としても面白い。マンネリ化を感じないでもないけれど、先に先にとページを進めてしまう。金田一シリーズは、今後とも拾っていこう。
Posted by ブクログ
*主人公の金田一耕助がネタばらし?推理?とにかく事件について最終的に説明してくれる場面が凄く詳しく細かく話してくれるので分かりやすかった。
*それぞれの人物の罪に対して、罰が与えられるような感じだったけれど、松子に対しての罰がなんか納得出来なかった。最後に松子がいろいろと条件を出してくるとこも嫌だった。
*松子が青沼静馬をそんなに簡単に殺せるかな?相手もそれなりに警戒しているだろうに。
*青沼菊乃が1番可哀想だと思った。
*松子が宮川香琴を青沼菊乃と分かったのか分からないままなのかが分からない。
*主人公が普段は大した事なさそうなのに実は凄いというところが面白かった。
Posted by ブクログ
スケキヨマスクや湖から足が出てるシーンは知ってたけどストーリー自体は全く知らなかった
派手なトリックとかはないけど、戦後のゴタゴタや昭和の人間関係の濃密な感じが相まってねっとりした雰囲気は好き。見立て殺人がちゃんとそれなりに理由があるのもよい(獄門島は微妙だったから、、)
トータルとしてとても面白くて1日で読んでしまった
しかしこれだけは言いたい、佐兵衛がダメ
松子竹子梅子がすごい悪者みたいに書かれてるけど、全く愛情注がれなかったの普通に可哀想だし、静馬と菊乃にしたことはやり過ぎだけど、腹を立てるのは当然だと思うし、それぞれの母親を欲望の処理道具のように扱ってるのも胸糞。それが愛情を移さないようにするためとか言っときながら菊乃にはガチ恋するし、佐兵衛がとにかく諸悪の根源すぎるわ
そう言うのが許される時代だったんかなあ
令和を生きる女としては無性に腹が立ちました。笑
Posted by ブクログ
映画の予告編とかは観た事があってすごくおどろおどろしいイメージだったけど、あんまり金田一が優秀に思えなかったせいか本はコミカルに感じた。
何か残った二人の姉妹に財産を渡すように掛け合ってるけど、どいつもクズなのに何で?って思ってしまい、昔の本ってむちゃくちゃだなぁという感想。