あらすじ
Dのもとへ、ダンピールの男の子を連れた娘が訪れる。彼女の依頼は、男の子の父親である貴族のところまでの護衛だった。しかし、Dは少年の父親を滅ぼす依頼も受けていた。果たして彼らは、ともに旅立てるのか? そして彼方に待つ最凶の敵とは!?
...続きを読む感情タグBEST3
12歳のダンピール少年登場!
ギャラリード公爵(貴族)と人間の母(故人)を両親に持つダンピール若様とその侍女アリスを父親の居城まで護衛するストーリーだが、途中で反逆を狙うジョーゲンセン大老(貴族)の勢力も加わり、Dはなんだかんだで両グループを敵に回すことになる。
最終的にはエドワード若様と公爵の密やかな父子愛を表現しつつ、Dは公爵と決着をつける。ギャラリード公爵は少しだけいい人だった。
巨漢戦闘士ドーライなど善人キャラは大半生き残るのでハッピーエンドではあるが、若様と侍女アリスは袂を分かつことになる離別型ED。エドワードは人間の村に帰っても良かったと思うけれど、それだとDシリーズとしては甘すぎるか。
Posted by ブクログ
菊地秀行は天才だな、と思うのは、惜しげもなくキャラを使い捨てるのを見る時。Dでは特にそれが顕著だ。
なぜなら、Dは基本的に一作一話で、その回に出て来たD以外のキャラクターが続いて登場する事がない。
滅ぼされる貴族しかり、後に残される人間しかり。
それなのに、その一人一人に重厚なドラマ性が付与されている。非常に魅力的なキャラクターも数覆い。
本巻に登場するエドワードやアリス、ドーライ、あるいはギャラリード公爵やその敵である大老、剣士ゼンダーや女戦闘士スーラ、どの一人をとっても、主人公に据えて物語を紡げるだけのキャラクターだ。
もちろん、他にも似たようなキャラクターは出た、と感じる者がいるのかもしれないが、類似感を全く感じさせないだけのユニークな性格付けが出来ているところが凄い。
しかし、それでいて本当にこの巻だけの登場なのだ。
なんとも贅沢ではないか。