あらすじ
源博雅の枕元に夜な夜な現れる、異国の美しい女。何か言いたげな眼で博雅をみつめ、甘やかな匂いを残して消えてゆく…。安倍晴明は、博雅が帝から賜ったという摩訶不思議な琵琶に着目する。はたして琵琶と女の関係は?(「月琴姫」)真夜中の観音堂で、延々と経を唱える小僧の声。もののけか? いつまでも読み終わらないわけは…。(「魔鬼物小僧」)御歳71の名僧・浄蔵の淡い初恋が、40年の時を経て成就する!?(「浄蔵恋始末」)など全9篇収録のシリーズ第9弾!
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和風ファンタジーの題材としてすっかりおなじみの陰陽師。そのブームの火付け役であり、9月に市川染五郎・市川海老蔵らによる歌舞伎座公演も決定したのがこの「陰陽師」シリーズです。
平安時代の天才陰陽師、安倍晴明。その親友で音楽の才能豊かな源博雅。この二人が鬼や生霊など様々なものの怪にまつわる怪異を解き明かしていくこの物語。映画のような派手なアクションはほとんどなく、彼らは問題の怪異の原因となった人の業を探り、ものの怪達を納得させることで怪異を見事に解決していきます。
この物語の大きな魅力は、主人公二人の掛け合いが格別に面白いこと!
厄介事を頼まれ困り果てた博雅が、二人で酒を酌み交わしながら晴明に解決を依頼するのですが、その軽妙なやり取りに、自分も仲のよい友人と庭を眺めながら、美味い肴片手にお酒を舐めたくなる事間違いなし!
美しくも怪しい平安時代の余韻から抜け出せなくなりそうな不思議な物語です。
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Posted by ブクログ
この本は全体的に好きは話ばかりだった。
「月琴姫」
沙羅と博雅に名付けられた琵琶の精の話。博雅…罪な男だな…。
「花占の女」
菊で花占をする女の話。書き方によってはおどろおどろしくなるだろうに、綺麗に切なく纏め上げている。さすがだなあと思う。
「龍神祭」
ここでもまた博雅が原因(笑)
笛に魅入られた神々との交流を描く。この本の話はどれも好きだけど、この話が1、2を争うかな。
「月突法師」
枯れた松を切らないでくれと頼む法師の話。ツクツクボウシって7年地中に居るのか…知らなかった。
「無呪」
人の心を映す、古来の神の話。
博雅の心の清らかさが浮き彫りになった話ともいえる。そんな博雅だからこそ、清明が惹かれるんだろうな。
「蚓喰法師」
水が欲しくなる病に次々と掛かっていく。その理由は――?
最後のオチが大好き。この本の中で1、2を争う程好きな話の1つ。
「食客下郎」
どんどん体調が悪くなっていく磐島、その理由は地獄の鬼だった。
地獄の鬼の顔も立てて事態の収束を図る清明があっぱれ。
「魔鬼物小僧」
延々と読経する幽霊の話。真実を知れば切ない話。
「浄蔵恋始末」
老僧の恋の話。こんな風に深く長い愛情って良いなあと思った。
Posted by ブクログ
今回はちょっと多めの短編集。ほのかに縦軸は恋愛な感じ。ただただまっすぐで素直な博雅の言葉に清明が詰まるのがお楽しみ。映画の影響でいまだに野村萬斎と伊藤英明の顔がちらつきます。あ、博雅はどちらかというと岡野玲子のマンガの方が多いかも。
今回のハイライトは本人の意図としないまでも琵琶を自分の式としてしまった博雅の純粋さにつきるかと。
Posted by ブクログ
短編集でした。 ちょっと物足りなさを感じましたが、いつもの清明と博雅の「ゆこう」「ゆこう」そうゆうことになったと、いうところがすき!
月琴の精が博雅に弾いて欲しくて 毎夜あらわれる話はとても可愛らしかった。菊の精の話も魔神祭も、好きな人に恋焦がれる花や楽器一途な恋心ですね。
Posted by ブクログ
タイトルが面白そうだったので買ってみた。
最初読んでいるうちは面白さを感じなかったけれど9編のなかで
何個か面白いな~と思う作品もあった
その中でも少し切ない気分になったのが「魔鬼物小僧」
真念くんの純粋な思いを邪魔に思うのは許せないと思った。
終わらない巻物ってなにさ!!ずっと・・・ずっと・・・読み続けて、寺の者の不始末で焼き死んでしまうなんて本当に可哀想だと思う。
しかも僧侶たちはその真念くんが一生懸命お経を読んでいる間
酒を喰らい女と遊んでいるなんて僧侶としてあるまじき行為だ!!