大今良時のレビュー一覧
-
心を打たれるファンタジー漫画
ファンタジーな世界観と、物事を吸収し、学び、成長する謎の球が主人公という珍しい設定で引き込まれます。まるで主人公は読者自身なんじゃないかと錯覚するような感覚で読めます。物語を読み進めるにつれて、人間の感情やルールなどを知っていく主人公の変化を楽しめるのもこの漫画の面白いところです。いろんな文化のある街が魅力的に描かれていて1話1話に感動するポイントが必ずあります。ただのファンタジー漫画と侮ってはいけないなと思える漫画です。
-
ネタバレ
今まで見たことないファンタジー
主人公がまず人間ではないと言う点が斜め上で面白いです!感情を動かされた時、その出会った人や物に変身できるようになるというストーリーはとっても奥が深く、涙が出た場面もありました。主人公のフシがだんだん人間らしくなっていく姿も必見です。読んでみないと面白さが伝わらない不思議な話だと思います。
-
Posted by ブクログ
他の方もおっしゃってますが確かに「火の鳥」へのオマージュやリスペクトを感じる。
出会った者から刺激を受けてその姿を写しとる謎の「球」の彷徨と成長を描く話。壮大な世界観と粗削りだが緻密な描線が、古き良きジュブナイルSFの趣を醸しだす。
ジュブナイルというにはグロテスクな描写や過酷な展開も多々あるが、名もなき球が他者との交流を通じ、出会いと別離がもたらす刺激によって自我を獲得していく過程は成長物語としてオーソドックスでさえある。
彼を地上に送りこんだ存在の正体と思惑や世界の全体像など謎が多く、知的好奇心が刺激される。
少年に飼われる狼から少年自身へ、無意味な死など一つもないというメッセージ性を体現するが如くその存在の写しを自らの内に取り込んで変化していく彼の旅路に、この先どんな冒険が待ち受けるのかはらはらどきどき。
今はまだ言葉も感情表現も未熟で、人の形を得ても人足り得ない「彼」が、喜怒哀楽の感情や表情を獲得しながら足跡を記す過程で何を失い何を得るのか、想像が膨らむ。
二話から登場する二ナンナの少女マーチがこれまた表情豊かで可愛らしく、ころころ変わる百面相や少年とのユーモラスなやりとりが微笑ましい。
世界観は神話的に豊穣な広がりを見せ、単行本に挿入される神話の断片とリンクするのが憎い演出。
この作品は全体を通し「変化」をテーマにしてる。
環境の変化、大人への変化。
他者が変化する事によって己もまた変化する。
度重なる変化の連鎖が「種」として、そして「個」としての進化を促す様が綴られて静かな感動に浸れる。
クリーチャー描写も秀逸。異形の動植物や変身シーンなど、素朴で粗削りな線と、繊細で緻密な描写が同居するダイナミックな作画が魅せてくれる。
これからが楽しみな作品だ。 -
購入済み
買って良かった
表紙と値引きで惹かれ買って本当に良かったと思いました。ここまでハマった作品は久しぶりでいい年して漫画に夢中です。人ではないものが最終的に何になって何を成すのか続きが気になる作品です。
-
購入済み
深い
自分が小学生だったころ、子供がゆえの何気ない一言で傷つけてしまったことはないだろうか?それによって楽しかったはずの何かが狂ってしまってないだろうか?色々と考えさせられました。
-
Posted by ブクログ
もし、1話目を雑誌の中の短編の一つとして読んだとしたら、アンケート葉書に「続きは描かれないのですか?描いて欲しいです」と熱望してしまうだろう。1話目だけで秀逸な短編として読めてしまう。
極寒の地の中に在る小さな集落に、たった一人で生きている少年。楽園を求めて旅立った村の住人が「次の地」の朗報を持って帰って来ると信じている。彼は、旅立てない年配者の世話をするために村に残されたようだが、それも5年前の話。5年前、彼はまだ子供だった筈だ。恐らく彼には「親」がいなかったのだろう。だから、村の年寄りの為に残されてしまったのだろう。年寄りたちは死んでいき、彼は仲間の残した村に唯一生き残った一人になってしまう。
彼は2か月もの間、相棒の狼ジョアンの帰りを待っていた。彼がオオカミを「ジョアン」と呼ぶので、オオカミの名前は解るのだが、彼の名前を呼ぶ人間がいない為、彼の名前は読者には解らない。彼はずっとジョアンに向かって喋っているののだが、自分が自分と会話してたに過ぎないと認める瞬間が来る…もう、泣かずには読めない。
山下和美の『ランド』、コーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』、閉塞状態の中で生きる人間の生の生々しさ・愛おしさが、この1話目に凝縮されている。作品自体はファンタジーとSFと民話が入り混じったような世界観なのだが、理屈抜きに読まずにはいられない、そんな作品。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ少しずつ少しずつ謎であったり、ミスリードされてる内容が明かされていく感覚がゲームのようで表現は漫画なのが面白かった。
まずなんでもコピーできる球が、狼に変身してそのあと飼い主のところへ行く。元の狼自体は死んでいるのだが、飼い主である人間は大喜びする。しかし、本当の狼ではないので普段とは違う行動をするそのギャップと、本物ではないとバレるのではないかというハラハラ感。この2つが最初、軸となり物語が進められる。
飼い主が何もない雪国より、クダモノがある場所に荷物を背負い出発することになった。なんでもコピーできる球が出てくるぐらいだから、人間も何かテレパシー能力か何か持っているのではないか?そう思わさせるに相応しいほどずっとこちらに話しかけてきて、傷ついて傷ついて最後の最後で人間の独り言だと気付かされるシーン。ここで人間をコピーして前半終了。
そのあとの民族の人身御供系は、色んな漫画家が描いてきたものなのでさすがにちょっと食傷気味かなとは思いながらも元気な女の子マーチちゃんと母親のキャラが素晴らしかったので、星5つです。