父親の冤罪を晴らすために身分を偽って刑事となった蓮見光輔と、点数稼ぎをして本庁組織対策部へ返り咲きたい架川英児。凸凹コンビの活躍を描く第三作。
裏表紙に『感動のクライマックス』とあったので、もう終わりなのかと驚いたが、読み終えると続きがありそうな感じがプンプン。シーズン2があるのだろうか。
このシリーズは、スマートだが『能面』のように感情を見せない蓮見とマル暴デカ丸出しの架川の正反対なキャラクターと捜査手法が魅力。だがこの第三作では蓮見の父の冤罪事件に絡む汚職事件の全容が明らかになるとあって、蓮見はかなり強引なことをやっているし感情も丸出しにしている。逆に普段は暴走気味の架川がストッパーになっている。
だがその架川が黒幕たちの罠で逮捕状が出てしまい、逃亡しなくてはならなくなり、サスペンス要素が強くなっていく。
汚職事件の真相については前作のレビューでも書いたが、黒川博行さんの疫病神シリーズのよう。桑原にボコボコにして欲しいくらい。
結果、トカゲのしっぽ切りで終わり真の黒幕も分からないまま。先に書いたように物語はまだ続きそうだ。
一番気になっていた、事件後の蓮見とその父についてはホッとした。架川の本庁返り咲きはまだまだ先のようだが、このコンビは続くと思うと嬉しい気もする。
監察係の若井は相変わらず二人を同性カップルと勘違いしているし、鑑識係の仁科も架川に握られている弱味の写真を消そうと必死だ。上司の矢上が願う、退職までの平穏な五年間はまだ叶いそうにない。
蓮見は架川の娘・愛理から片思いされているし、助けられたヤクザからは孫娘の婿にと見込まれているし大変だ。
続編ではさらに危険度が増しそうな不安もあるし、蓮見の身分詐称が明らかにならないだろうかとか心配もあるのだが、出たらやっぱり読んでしまうのだろう。
その時は父と愛犬ムギとの再会があれば良いなと思う。
※シリーズ作品一覧
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①「警視庁アウトサイダー」
②「警視庁アウトサイダー2」
③「警視庁アウトサイダー3」