成川裕子のレビュー一覧
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すごい好みのミステリー。
というか、気合の入ったおばあちゃんの話は大体好みなのだけど。
故人の日記が不意に挿入される文章の構成は、話自体の雰囲気ともあっていて面白い。
「彼女は、少しの哀憐に値する。ひとは皆そうなんだよ」というジャックの台詞と、「私のこの、男たちに対する侮蔑の念。やはり異常なのかもしれない」というマチルダの台詞が、正確には対比ではないけれど、ふたつワンセットで思い出されてしまう。
マチルダの、傲慢と計算高さに覆い隠された傷つきやすさが痛ましい話。
彼女にセアラという存在がいたことは、最後に与えられた神様の哀れみのようでもあって、けれどそれは慶事には感じられない。むしろ悲しい。 -
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シェンステッドの名家ロキャー-フォックス家の問題多い子供達レオとエリザベスはとうに家を出ていた。当主ジェイムズの妻の不慮の死、犯人と疑われたジェイムズは次第に追いつめられていく。折しもクリスマスの時期、女性軍人ナンシーがジェイムズの弁護士と共に不審な出来事に立ち向かう。個性豊かな登場人物が描き分けられ、さまざまな愚かさや異常さ、善意でも行き違ってしまった辛さ、けれども人の交流の暖かさも希望もある…ぐいぐい食い込んでくるシャープな現実味。辛口だがやや薄味かと思ったが、う〜ん、さすがウォルターズ!「鉄の枷」と「蛇の形」の中間ぐらいの重さかな。視点が変わるのがややこしいが、これがシンプルなら、いかに
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新ミステリの女王ミネット・ウォルターズ、「鉄の枷」に続く2003年のCWA最優秀長編賞受賞作。
ドーセットの寒村シェンステッドでは、不穏な空気が渦巻いていた。狐は次々に罠にかかり、ある子供は虐待され、深夜に嫌がらせの電話がかかる。
移動生活者(トラヴェラー)達が地主のいない空き地を占拠し、権利を主張する…トラヴェラーのリーダーはフォックス・イーヴルを名乗る。
その正体は?
前半の重苦しさを跳ね返すような颯爽としたヒロインの登場、一気に形勢逆転なるのか?
2002年の発表、こちらでは昨07年の発行。
巻末を見ると翻訳されていないのもあるんですね…渋めなのか?「蛇の形」は傑作だけど万人向きではない -
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ひま師匠がおすすめくださり探していた一冊。
先日土瓶さんもお読みになられていて、あの土瓶さんが★3つ!
これは絶対読まなくては!!
と思い、娘にメルカリで探して貰い手に入れた♪
資産家の老婦人、マチルダが浴槽の中で死んでいた。睡眠薬を服用し、手首を切っていた。
これだけなら自殺と判断されてもおかしくないが、マチルダにはスコウルズ・ブライドルという、中世の拘束具が被されており、額には刺草や野菊が挿されていた。
自殺で処理されそうになっていた事件だったのだが、クーパー刑事が真相を解き明かす。
目立つ登場人物は、女医のセアラ。娘のジョアンナ、孫娘のルース。夫のジェイムズ。
セアラの夫のジャッ -
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あーあ( ´Д`)=3
あーあ( ´Д`)=3
あーああーー(ターザンなっとるがな!)
大大大好きなミネットの邦訳もついに本作が最後となってしまいました
悲しい
抱えきれない悲しみを抱いたとき人はターザンになるのです(聞いたことないわ!)
英国ミステリーの女王(何人もいる)ミネット・ウォルターズの『カメレオンの影』です
うーん、さすがのミネットですわ
ミネット・ウォルターズと言えば朗らかで魅力的な女性を描かせたら、嫌ーな女性を描かせたら右に出るものはいないっていうね
本作ちゃんと両方出てきます(ちゃんととは)
主人公こそイラクで爆弾で攻撃され二人の部下と片目を失った英国陸軍中尉の -
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ネタバレ舞台はノルウェーの夏。鍬で老婆が殺された。そばにいたのは少年院(ノルウェーでは自由に外出できるらしい)にいる12歳の少年と、精神障害を持った男。男は最有力の容疑者となったが、銀行強盗の人質となり行方不明に。銀行強盗の男と精神障害の男は、行動を共にするうちに不思議な関係となり・・・。あとがきにも書かれているように、作者の犯罪者や弱者に対する視線は優しい。周りの人間は、彼らを一方的に蔑むのではなく、理解しようと努力もする。社会に上手く溶け込めない人たちが犯した犯罪は、彼一人のせいではないと訴えているような、そんな小説でした。精神障害の男が眠るようにあっけなく死に、銀行強盗の男があっさりと捕まったが
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イギリスの作家「ミネット・ウォルターズ」の中篇ミステリ作品集『養鶏場の殺人/火口箱(原題:Innocent Victims: Two Novellas)』を読みました。
「P・D・ジェイムズ」、「アリ・ランド」、「コリン・ワトスン」に続き、イギリス作家の作品です… 「ミネット・ウォルターズ」作品は『遮断地区』以来なので、約2年振りですね。
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1920年冬、「エルシー」は教会で純朴な青年に声をかけた。
恋人となった彼が4年後に彼女を切り刻むなどと、だれに予想できただろう──。
英国で実際に起きた殺人事件をもとにした『養鶏場の殺人』と、強盗殺害事件 -
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イギリスの作家「ミネット・ウォルターズ」の長篇ミステリ作品『遮断地区(原題:Acid Row)』を読みました。
「ディック・フランシス」(「フェリックス・フランシス」との父子共著含む)に続きイギリスのミステリ作品です。
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バシンデール団地に越してきた老人と息子は、小児性愛者だと疑われていた。
ふたりを排除しようとする抗議デモは、彼らが以前住んでいた街で十歳の少女が失踪したのをきっかけに、暴動へ発展する。
団地は封鎖され、石と火焔瓶で武装した二千人の群衆が襲いかかる。
医師の「ソフィー」は、暴徒に襲撃された親子に監禁されて……。
現代英国ミステリ -
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ノルウェーの作家「カリン・フォッスム」の長篇ミステリ作品『晴れた日の森に死す(原題:Den som frykter ulven、英題:He Who Fears the Wolf)』を読みました。
「アンネ・ホルト」の『ホテル1222』に続きノルウェー作品… 北欧ミステリが続いています、、、
「カリン・フォッスム」作品は2年近く前に読んだ『湖のほとりで』以来ですね。
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全世界で累計550万部、30か国以上で翻訳
ガラスの鍵賞受賞作家が贈る衝撃のミステリ!
ノルウェーの森の奥で老女が殺害される。
被害者の左目には鍬が突き刺さっていた。
第一発見 -
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ネタバレ長いけど、あまり長さを気にせずに最後まで読めた。
犯人と真相がわかると前半の元婚約者に対する中尉の反応とか、元婚約者の行動が腑に落ちて、こんな心理状況だったのかなってのが理解できる。それがわかるまではどういうことなのか考えながら読み進めていくのでそれも楽しい。
途中で出てくるホームレスの少年も嘘つきまくりでどこまでが真実なのか、刑事と一緒に混乱させられた。
この作者らしく、登場人物の行動から内面や心理状態を想像させてくれて読み応えあり。
どなたかも感想で書いていたけど、最初と後半の中尉の性格?行動?が少し一致しなかったように思った。一致しないと言うか変化が急激だった感。そこの変化を少しわかり -
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ネタバレ戦地での事故により、2人の部下と顔の半分を失ったアクランド中尉。
一命を取り留めたものの、事故後ときにかっと暴力的になり、特に女性に対する嫌悪を強く示すような性格の変容が。
その暴力性が仇となり、市中をにぎわせロンドン警視庁の重要案件となっていた元軍人の連続殴打殺人への容疑者となってしまう。
怪我を理由に退役を余儀なくされたアクランドの社会復帰を支えようとするレズビアン医師のジャクソンの関わりによって心が開かれ、云われない嫌疑が晴れる方向に向かうのかと思いきや、話が進めば進むほど事件との関係が色濃く見え始め、むしろ怪しさの増すアクランド。
運命的な偶然、共時性では片づけられないほどの証拠の