あらすじ
ドーセットにあるさびれた小村、シェンステッドでは、不穏の種がひそかに植えつけられていた。何者かによる動物の虐殺、数ヵ月前に起きた村の老婦人の不審死に対してささやかれる噂、村の一角にある〈雑木林〉を占拠した移動生活者(トラヴェラー)の一団。それらの背後には、フォックス・イーヴルと名乗る謎の男の影があった。人々の緊張は静かに高まりつづけ、そしてついにクリスマスの翌日、ひとりの訪問者が村を訪れたときに、事態は予想外の形で大きく動きだす……。現代英国ミステリの女王ウォルターズが、圧倒的な筆力で書きあげた、CWA最優秀長編賞受賞作。
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Posted by ブクログ
新ミステリの女王ミネット・ウォルターズ、「鉄の枷」に続く2003年のCWA最優秀長編賞受賞作。
ドーセットの寒村シェンステッドでは、不穏な空気が渦巻いていた。狐は次々に罠にかかり、ある子供は虐待され、深夜に嫌がらせの電話がかかる。
移動生活者(トラヴェラー)達が地主のいない空き地を占拠し、権利を主張する…トラヴェラーのリーダーはフォックス・イーヴルを名乗る。
その正体は?
前半の重苦しさを跳ね返すような颯爽としたヒロインの登場、一気に形勢逆転なるのか?
2002年の発表、こちらでは昨07年の発行。
巻末を見ると翻訳されていないのもあるんですね…渋めなのか?「蛇の形」は傑作だけど万人向きではないからかな。
Posted by ブクログ
前向きで明るく朗らかで力強い女性を描かせたら無双のミネット・ウォルターズですが、まるっきり反対の嫉妬深く陰湿で身勝手な女性の描写も天下一品
物語に同時に登場させることで、朗らかな女性の魅力を倍増させるという呪文バイキルトの使い手
そして男どもはそんな女性にコロッとやられるのだ
作中の男どももコロッとやられる
恐ろしいリアリティだ
そして物語はコロッとやられた男二人が家から出て闘うことを決意して下巻に続く!
Posted by ブクログ
「氷の家」と同じ作者だったので。
養女に出された孫娘と祖父、死んだ祖母。
トラヴェラーの人々と「フォックス」仕切るその計画。
農園をめぐって高まる緊張。
面白かったけど、もっと主人公の孫娘に活躍してほしかったのに、
予想外に祖父の弁護士が活躍していた。
それと、目的は農園の乗っ取りかと思っていたのに、盗みだったとは。
フォックスの連続殺人の扱いも軽くてがっかり。
(下巻へ続く)
Posted by ブクログ
一番最初は話の展開がさっぱり見えずとまどったし、前半部分は舞台装置を整えるための状況説明とかでなかなかまだるっこしかったけれど。弁護士のマークが違う観点から事態を見直したあたりから、ドミノ倒しのようにパタパタパタパタとそれぞれの登場人物が動き出し、ドラマもありアクションもありの結末までの流れはさすがCWA賞受賞作家。
イギリスの旧家ロキャー・フォックス家の馬鹿息子&馬鹿娘、いろいろなしがらみと愛情で判断を誤ってしまったその両親、母親の方の死にまつわる不自然な点と根強い噂、残されたロキャー・フォックス大佐をいたわる弁護士、馬鹿娘の私生児として生まれたけれど養父母に育てられ毅然とした軍人に育った孫娘、周りに済む人々の妬みと嫉み、、、そこにトラヴェラー(”ジプシー”と言われた方がわかりやすいですが政治的に正しくない呼称ということでたぶん”トラヴェラー”となっている)が土地を占拠した、という不穏な状況が重なって、、、
イギリスの法律事情(所有者がはっきりしていない土地はそこを占拠して囲い込んだ者が所有権を主張できる?!)がよくわからなくて最初はとまどいましたが、人物の描写がとてもリアルで深く、おもしろかったです。