成川裕子のレビュー一覧
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母と妹を切り刻み血まみれの抽象画を描いて無期懲役となったオリーヴ。精神鑑定は正常、かつ犯行を認め弁護を拒んでいる。彼女に関する本を書くことになったロズは対面するうちに疑問を感じ始める。本当に彼女が犯人なのか?謎解きもさることながら恐怖のウェイトが高い。背筋も凍るラスト。それも数行。ミネットウォルター...続きを読むPosted by ブクログ
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ミネットウォルターズの代表作との呼び声も高い「遮断地区」。ドラッグが蔓延し争い事が日常茶飯時、LSD街と揶揄される低所得者向け団地。近くの団地で少女が行方不明になると、小児性愛者と疑われた親子を排斥するデモは暴動に変わり、往診に来ていた女医のソフィーは暴徒に襲撃された親子に監禁される。親子は小児性愛...続きを読むPosted by ブクログ
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ミネットウォルターズらしい切り口で描いた力作。
イラクで負傷した若き中尉をとりまく人々の心理が明暗交じえ丁寧に描かれている。
好みの分かれる部分はあるかもしれないが、登場人物一人ひとりの生き様が鼓動とともに伝わってくるような、地に足のついた圧倒的な表現力を感じた。Posted by ブクログ -
イラクで爆弾により重傷を負い、片目を失ったアクランド中尉。除隊したあとも孤独を好み、人に触れられると暴力的になる彼は、近隣での連続殺人の嫌疑をかけられるが‥
アクランドの不可解な態度や謎めいた行動の理由はなんなのか。医師や警察の視点から事件の推移を描いて、大変引き込まれた。
この著者の描く女性キャラ...続きを読むPosted by ブクログ -
イラクに派遣され爆弾で頭と顔に重傷を負ったアクランド。人に触れられるのを恐れ、暴力作的にもなる。アクランドの近くで起きる殺人、周りにいる人たちとの関連。事件の中にある差別と偏見。犯人は誰かという謎と丁寧に描かれつつも核心は描かれていないアクランドの心象。その具合がとてもいい。事件の身近さと複雑さがあ...続きを読むPosted by ブクログ
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実に5年ぶりのお目見えとなる作品。値段の割に邦訳が遅いのが気になる。この作家を思い出すのに、以下の前作『悪魔の羽』についての我がレビューを少し振り返りたい。
(以下前作レビュー)
中編集『養鶏場の殺人・火口箱』を読んでから、少しこの作家への見方がぼくの方で変わった。≪新ミステリの女王≫と誰が呼...続きを読むPosted by ブクログ -
やや出来事の連鎖に無理筋なところはあるが、誰の、どの発言が本当なのか、最後まで興味が持続する展開の妙、一人一人の人物像が浮き彫りになる文章力など、ウォルターズらしい一作です。Posted by ブクログ
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ウォルターズ初体験。
連続女性強姦殺人事件を追う女性記者が3日間拉致監禁された後、解放される。監禁中のことを決して話そうとせず、マスコミから身を隠す彼女のもとに、再度犯人が忍び寄り…という話。
主人公が話そうとしない事実は想像の範囲内だが、恐怖心の描写が巧みで、文字通り目が離せない。この本筋の話...続きを読むPosted by ブクログ -
面白かったです。
北欧ミステリーは暗くて良いです。
世間から完全にはみ出している、周りの人と関われないエリケが、ひたすら哀しかったです。何か悪いことが起これば、全てエリケのせい。。
頭の中で声がする…というのは言及されている病気があるのですが、セイエル警部は彼を理解しようと様々な人に話を聞きに行くの...続きを読むPosted by ブクログ -
ノルウェー、フォッスムの邦訳は2作品しかないのが残念。1作目検索したら、2年前に読んでいたすっかり忘れているが☆4個にしているので気に入ったらしい。もういちど読んでみよう。ー2回目
3回目、同じ成川裕子翻訳なのに『湖のほとりで』と主人公警部と部下の名前の表記を変えている。セイエル警部シリーズ12作...続きを読むPosted by ブクログ -
読み始めは何もかもがてんでバラバラな感じで、正直これはだめかもと、あきらめかけた。でもやはりミネット・ウォルターズでした。だんだんと組み合わさっていき理解が深まってくると今度はグイグイひきこまれる。後半はノンストップな感じで読み切りました。
この方の描く人物が魅力的ですよね。なんと言ってもナンシーで...続きを読むPosted by ブクログ -
やっぱりミネット・ウォルターズは面白い。どんなシチュエーションであっても、結局グイグイひきこまれる。そしてひとつだけではないんですよね。謎解きが。
さらに女として、頑張らなくちゃという気持ちにさせられる。
「幸せの秘訣は自由である…自由の秘訣は勇気である」
どこまでで似るかわからないけど、私はすごく...続きを読むPosted by ブクログ -
「氷の家」と同じ作者だったので。
養女に出された孫娘と祖父、死んだ祖母。
トラヴェラーの人々と「フォックス」仕切るその計画。
農園をめぐって高まる緊張。
面白かったけど、もっと主人公の孫娘に活躍してほしかったのに、
予想外に祖父の弁護士が活躍していた。
それと、目的は農園の乗っ取りかと思っていた...続きを読むPosted by ブクログ -
(上巻より続く)
とはいえ、
祖母の死や農園を狙う謎も面白かったが、
なにより、事件が解決したその後が良かった。
トラヴェラーのベラ一家が農園に住んで再生させ、
トラヴェラーの子どもが養子にもらわれ、
祖父と孫娘も仲良くなる。
やはりハッピーエンドが重要。Posted by ブクログ -
「氷の家」と同じ作者だったので。
前作と違って読みやすかった。
ミステリーとラブストーリーが織り込まれていたからか。
全体的に明るい雰囲気だからか、
舞台が海だからか。
いかにも怪しげな二人の容疑者が最初から現れて、
殺されたのが一人だからか。
もと金持ちで結婚詐欺にあった母娘が、
生活を立て...続きを読むPosted by ブクログ -
「氷の家」と同じ作者だったので。
それほど複雑な人間関係でもなかったのに、
途中で混乱してしまった。
シェイクスピアの台詞に精通している訳ではないが、
少なくともクーパー刑事よりは作品を知っていたので
そのせいではないと思う。
作品の要とも言うべき鉄の枷、
「スコウルズ・ブライドル」の実感がない...続きを読むPosted by ブクログ -
「氷の家」と同じ作者だったので。
「氷の家」とは全くつながりのない別の作品だったが、
こちらの方が面白かった。
本筋のミステリーもいつ誰にひっくり返されるのかとハラハラしたし、
主人公自身の過去からの立ち直りもあったし、
恋愛話も良かったし、
腕の良いシェフも出てきたし。
果たして主人公がたど...続きを読むPosted by ブクログ -
人々を読書に誘うために書かれた二編。
目的が何とも粋。
その目的よろしく、さくさく、ぐいぐい物語は進んでいく。
本格ミステリ的な謎を究明するような物語ではなく、人間の心理がもたらす事件性をサスペンスフルに描いたウォルターズらしい作品。
個人的には『火口箱』の方が好き。偏見、思い込みをうまく仕立て...続きを読むPosted by ブクログ -
2002年、シエラレオネで5人の女性が殺害され犯人も逮捕されたが、ロイター通信社の記者コニーはイギリス人のマッケンジーを疑っていた。
マッケンジーは女性に対して非常に暴力的な男だった。
コニーはシエラレオネを立ち去るが、去り際、マッケンジーに脅迫めいた言葉を告げられる。
そして2年後、バグダッドでマ...続きを読むPosted by ブクログ