成川裕子のレビュー一覧

  • 悪魔の羽根

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    ネタバレ

    2002年、シエラレオネで5人の女性が殺害され犯人も逮捕されたが、ロイター通信社の記者コニーはイギリス人のマッケンジーを疑っていた。
    マッケンジーは女性に対して非常に暴力的な男だった。
    コニーはシエラレオネを立ち去るが、去り際、マッケンジーに脅迫めいた言葉を告げられる。
    そして2年後、バグダッドでマッケンジーと出会ったコニーは拉致監禁されてしまう。
    3日後、一見無傷で解放されたコニーは、その間にあった事を黙して語らない。
    コニーの狂言だったのではないかという見方も出る中で、コニーは行方を晦ます。
    コニーがマッケンジーから逃れるように身を潜めたのはイギリスのとある谷あいの村だった。
    そこでコニーが出会ったジェスという寡黙な女性、おしゃべりなピーターという医者、コニーが借りた家の持ち主であるリリー、リリーの娘のマデリーン。
    マッケンジーによる拉致監禁事件と、閑静な村で過去にあった出来事の2つが絡み合いながら物語は進んでいく。

    ―――――――――
    以下、ネタバレにつき注意


    物語はコニーの視点で綴られて行く。
    コニーの手記と「現在」の話、「過去」の話。
    事件の詳細の記述と取り調べの様子。
    様々な視点の話が交錯して進むので読みづらいかと思いきやそうでもない。
    意外とあっさり読み進められる。
    そしてミステリーと称しながらも全ての謎が解明される訳ではない。

    ①一つは、コニーの拉致監禁事件について。
    マッケンジーに監禁されていた時、コニーの身に何があったのかは漠然と知ることができる。
    だが、何故マッケンジーが一見無傷でコニーを解放したのかは不明だ。
    マッケンジーがコニーに何かしらの同類意識を持っていたのか?
    単なる気まぐれか?
    それとも、マッケンジーはバグダッドを脱出しなければならなかったが、急を要した為にコニーを殺害する時間がなかったのか?
    脅える獲物を一旦逃して、更に獲物の恐怖を煽った上で殺したかったのか?
    あくまでも推論に過ぎないが、マッケンジーは「サイコパス」と形容されている為、恐らく「マッケンジーは殺す際の恐怖に歪んだ顔をもっと長く見たくて」コニーを逃したのではないかと思う。
    恐怖を煽り、「再びこの男にコントロールされる屈辱と恐怖と絶望」に満ちたコニーの表情を見たかったのではないか?
    幸いにも私はサイコパスではないので、マッケンジーの気持ちは分からない。

    ②二つ目は、マッケンジーの死についてだ。
    マッケンジーは誰に殺されたのか?
    切断された腕が見つかったのだから、恐らく何者かによって殺害されたに違いない。
    私は恐らくコニーとジェスがマッケンジーを殺害したのではないかと思っているが、その方法は全く見当もつかない。
    コニーが父親と電話をしたとき、父親が「われわれは買ったか? 悪魔は死んだ?」と訊いた。
    それにコニーは「完璧に死んだ」と答えた。
    この会話は解釈に悩むところだ。
    仮にコニーとジェスがマッケンジーを殺害していないとすれば、単に「悪魔」=「恐怖心」と捉えることができる。
    つまり、恐怖の対象に果敢に立ち向かう勇気を取り戻したという意味だ。
    一方、二人がマッケンジーを殺害したとすると、悪魔はマッケンジーとなる。
    父親がその後嬉しそうだったというコニーの母親の言葉から、警戒するべき相手が死んだことに対する安堵とも受け取れる。

    最後まで楽しく読めたし、読後感も悪くない。
    残った謎を完全に解き明かせないことは歯痒いが、決してそのこと自体が作品の質を損なう訳ではない。
    読み応えのある作品だった。

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    2016年07月30日
  • 悪魔の羽根

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    本作では、人生における危機や悲劇を乗り越えた人たちの「その後」を心理的に解き明かしていく。
    冒頭、英国系ジンバブエ人の主人公がアフリカで取材中に拉致され、3日後に解放される。普通のミステリーならそれだけで1冊終わってしまいそうだが、本書ではこれは、言うならば起承転結の「起」だ。
    しかも、ここから端を発する事件は「転」が足早にやってくる。ところがこのシーンを迎えてもまだ、物語はどんどん続いていく。
    そう、だって、それが人生だからだ。大きな危機を乗り越えて命は救われた、めでたしめでたし、で終わるなんて、現実は許さない。
    一人称によって語られる物語だが、なにせこの「わたし」が信用ならない語り手なので、読む者は「わたし」の手の上で転がされているかのような、釈然としない心持ちで「結」までゆっくりと進まされる。
    その他の登場人物も、みな「その後」にいる人たちである。「その時」を振り返っては歯がみし、自分や他人を呪い、地団駄を踏みながら今を生きている。
    そんな中、ふとした時に主人公が目を開き、自分の強さに目覚める瞬間はすがすがしい(しかし当然、そのあとも物語=人生は続く)。
    謎解きあり、アクションあり、心理戦あり、ミステリーの要素が満載で飽きさせない。お見事。

    0
    2016年04月20日
  • 悪魔の羽根

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    南アフリカで犯罪者に拘束された過去を持つ女性ジャーナリストが、隠遁したイギリスの片田舎で新たな恐怖に遭遇する。弱者の立場にいた者が復讐劇の渦中に置かれる過程、そしてその意外な顛末と豊かな余韻も楽しめる。主人公をはじめとして逞しい隣人や母親まで、とにかく女性の力強さが印象的。

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    2015年12月13日
  • 悪魔の羽根

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     中編集『養鶏場の殺人・火口箱』を読んでから、少しこの作家への見方がぼくの方で変わった。≪新ミステリの女王≫と誰が呼んでいるのか知らないが、この女流作家はミステリの女王という王道をゆく作家ではなく、むしろ多彩な変化球で打者ならぬ読者を幻惑してくるタイプの語り部であるように思う。

     事件そのものは『遮断地区』特に強く感じられるのだが、時代性と社会性を背景にした骨太のものながら、庶民的な個の感情をベースに人間ドラマをひねり出し、心理の深層を描くことにおいて特に叙述力に秀でた作家なのだと思う。

     本書はミネット・ウォルターズとしては最もページ数を費やした大作長篇であるのだが、種火は西アフリカ、シエラレオネでの連続女性暴行殺人事件。ヒロインはそれを取材していた英国人女性。さらに舞台は米軍兵士によるイラク人捕虜虐待の映像が世界中に衝撃をもたらしている渦中のバグダッドに移り、ヒロインはいきなり連続誘拐事件の被害者の一人となる。

     しかしここで誘拐の実態は語られることがない。ヒロインはいち早く三日間で釈放され、本人は英国ドーセット州の田舎町に隠遁者のように居を移しそこでの生活を語り始める。

     そして連続殺人鬼と目される戦時暴力の申し子であり、傭兵として歪んだ生きざまを歩いているらしき一兵士の足音が刻々と彼女に迫る。誘拐事件の真相は何だったのか? 誰に誘拐され、何故に釈放されたのか、そして彼女の沈黙の意味は? こうした謎を引きずりつつ、ドーセット州での家主や隣人のもう一つの田舎の事件を彼女は探偵のように探ってゆく。

     個性ある人物の配置はいつもながらであるが、田舎町そのものの個性を描くこともこの作家は得手としているように思う。隣人や村社会のなかで描かれる距離感や、噂話が持つ地に足のつかない心理的な枷が彼女や隣人を真綿のように締めつける。

     そして圧巻であるはずのクライマックス・シーンに到達すると同時に、そのシーンの描写は、誘拐事件と同じようにまたしても割愛される。既に聴取室にいるヒロインと懐疑で徹底的に武装した取調官との対決。この小説中最も重要と思われる部分を描かないことによりこの著者らしいミステリー小説がより完成度を増している、といった皮肉な世界構築をミネットは成功させているのだ。

     作家だったらきっと手に唾をつけて熱のあるペンをふるいたくなる場所にだけ暗黒のフェイドアウトを入れて、思わせぶりでじれったい描写により、読者の想像に結論を委ねる。ミステリー作家らしくはあるものの、やはりこの人は女王というよりもひねくれ者のアーティストにしかぼくには見えてこない。

    0
    2015年08月09日
  • 遮断地区

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    ネタバレ

    イギリスの地方の街で起こった少女の失踪事件を追うミステリーとその事件を受けてパニックに陥る別の街を描いた融合的小説。

    ベースとしては小児性愛者への偏見がテーマとして有、ミステリーサイドは王道的に小児性愛を利用する犯人を追及していく。
    一方の街の事件は、そのテーマが前面に押し出され、パニック状態へ加速していく様、暴動を鎮めようとする主人公たちの善行、最後に失ったものの大きさと残ったものの大きさが見事に描かれている。
    特に群像劇的に始まったアシッド・ロウの話は、思わぬ登場人物が主人公的に浮かび上がってきて、普段の行動とは異なる行動により人たるもののあり方を訴えているように思いました。
    ページ数は結構ありますが、一気読みしてしまいました。

    0
    2015年08月08日
  • 養鶏場の殺人/火口箱

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     二つの風変わりな中編作品を収録した新ミステリの女王ミネット・ウォルターズの初の中編集である。序文は作者本人によるもので、そこで証されていることにより、ぼくは「風変わりな」と称したのである。

     『火口箱』は1999年、オランダでのブック・ウィーク期間中、普段ミステリを読まない読書家を誘い込むために無償配布された掌編だそうである。

     『養鶏場の殺人』は2006年イギリスのワールドブックデイにクイックリード計画の一環として刊行されたとある。普段本を読まない人に平易な言葉で書かれた読みやすい本として提供されたものであるらしい。

     どちらも読書促進運動という目的をもって書かれた珍しい作品であり、そういえばミネット・ウォルターズはこれまで長篇以外は邦訳されていないので、こういうウォルターズはどうなのかと興味津々でページを開いた次第。

     さて『養鶏場の殺人』は、二人の男女の悲劇であるが、どちらが被害者か加害者かわからないほどの悲惨な関係が、養鶏場経営という悲惨な生活を背景に描かれることで、事件の背景にある真実を曝け出したものである。1924年という古い時代に実際に起きた事件のノベライズであるのだが、ウォルターズの筆力が、「読みやすいように平易な文章で書かれている」ゆえにこそ、際立って見える。

     どうして四年後にこの人がこの人を切り刻むことになるのかという、事件のあからさまな紹介から遡っての年月を追っての物語だけに、読む側の追い込まれ感がたまらない。そしてその皮肉な結末への雪崩れ込み方が、まさしくウォルターズ流なのである。

     『火口箱』はミステリーでありながら、やはりジャンル外読者向けのサービスに満ちており、とりわけアイリッシュの一家に襲いかかるソウアーブリッジ村という偏見に満ちた小さなコミュニティーの見えない恐ろしさが圧巻である。どこがミステリーなのかわからないうちに、導かれてゆくところに意外な真相が潜んでおり、なるほど、ミステリーとはこういうものでもあるのかと感じさせるようなサービス精神にあふれた書きっぷりである。もちろんこちらも筆力の素晴らしさが見えるウォルターズらしい作品。

     二作ともいつもの長篇の重厚感から解き放たれていながら、コンパクトにむしろ密度の高まるクライム小説となっている。中編の一気読みの快感を味わうには手頃な一冊と言えよう。

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    2015年06月05日
  • 養鶏場の殺人/火口箱

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    ネタバレ

    中編のミステリー2編を収録。
    「養鶏場の殺人」はミステリーというよりはホラーっぽい感じだろうか。
    若い男女、人生にも恋愛にもあまりにも未熟なのに互いに「恋愛」を意識しあうも、理想や意思がかみ合わず、若すぎるゆえに相手に思いが伝わらない、相手を思いやることもできず、最後にはあまりにも悲しい結末が待ち受ける。。。
    実際に起こった事件を小説化されたようです。二人の悩みや気持ちを真摯に聞いてくれる家族や友達が周りにいればこんな事件は起きなかったかもしれない。
    それに、女の子の結婚への焦りや家族からのプレッシャーは万国共通なんだなぁ。。。そういう面ではエルシーに少し同情を感じてしまった。彼女のあまりにも強烈すぎるが純情な心がとてもやるせない。
    「火口箱」は、ある小さな田舎の村での殺人事件。差別や偏見でがんじがらめになっている住民たちの思い込みや誤解が生んでしまった悲劇。
    証言者と警官の会話の場面、火事の場面、ご近所同士の言い争いの場面など、過去や現在が飛び時系列がごっちゃに描かれているため、前半は頭が混乱してしまったが、後半部分は意外な展開に一気読みだった。
    両方の作品とも直訳っぽく、淡々と抑揚なく文章が綴られている感じ。しかしその文体が、この両作品で起きた事件の悲しさと孤独と怒りを表現してくれていると思った。

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    2015年04月12日
  • 養鶏場の殺人/火口箱

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    団体から読書推進のために作家が執筆を依頼されるって、それだけ英国は読書に熱心なのか、それともそうしなければならないほど読書人口が減っているのか。確かにいつものウォルターズより読み易かった。日本でもそんな試みをする団体があるといいですね。英国がウォルターズなら、日本は宮部みゆき、それとも恩田陸?

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    2014年12月24日
  • 養鶏場の殺人/火口箱

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    英国ミステリの女王ミネット・ウォルターズの新刊。
    趣向のある中編2本です。
    面白く読めました。

    「養鶏場の殺人」は実話をもとにした作品。
    クイック・リードという企画で、本をあまり読みつけていない人にも楽しんでもらえるような作品として書かれたもの。
    1924年に実際に起きた殺人事件で、裁判で主張がわかれ、あのコナン・ドイルが疑義を申し立てたこともあるという。

    エルシーという女性がノーマンという年下の若者に教会で出会い、声をかける。
    親しくなった二人だが、ノーマンが失職、二人の将来には暗雲がたれこめる。
    エルシーの性格にもかなり問題があったのだが‥
    実名のままに経緯を手さばきよく描き、鬼気迫るシーンへ。真相も推理しています。
    はたして、何が真実だったのか‥?

    「火口箱」のほうは、ブック・ウィークにオランダで無償配布された作品。
    読書好きの人に、普段は読まない分野のものを読んでもらう狙いだそう。

    とある住宅街で老婦人と看護師が殺され、出入りしていた無職の男性パトリックが逮捕された。
    その後、パトリックの両親は、村の誰かから嫌がらせを受け続ける。
    相談された女性シヴォーンは、見兼ねて警察に出向くが、取り合ってもらえない。
    パトリック一家はアイルランド系で貧しく、村の美観を乱すようなガラクタを庭に放置し、イングランド人のひんしゅくを買っていた。
    シヴォーンはアイルランド出身の女性だが裕福で、もしアイルランドにいるままだったら一家とは縁がないような関係。
    一筋縄ではいかない登場人物に、村に渦巻く偏見と誤解が、どう絡み合っていくか。
    緊張が高まっていくあたりはちょっと「遮断地区」を思わせます。

    感じのいい女性シヴォーンの善意と意志が貫かれるのは、いかにもウォルターズらしい。
    でも彼女にもすべてが見通せているわけではないんですね。
    意外な展開を楽しめます!
    初めてウォルターズを読むのにも良いかもしれません。

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    2014年05月23日
  • 遮断地区

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    おもしろかった。
    集団心理の恐ろしさがとても伝わってきた。
    ただ、女児誘拐のほうは今ひとつピンとこなかったかも。
    捜査側の詰め方が甘いから?

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    2014年02月19日
  • 遮断地区

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    久々にウォルターズを読む。
    あらためて見直してみると邦訳はほとんど読んでいる…。
    これまでのウォルターズ作品と一味ちがい、スピーディな展開で、つねにアクセル全開という感じ。
    でもジェットコースター的なあざとさはないのがウォルターズの巧さだと思う。
    これまでの作品と同様、マイノリティーと呼ばれ、世間から忘れられがちな人たちに主眼を置いた作品。

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    2014年02月15日
  • 遮断地区

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    治安の悪い地区に居住することになった小児性犯罪の前科者をめぐり、彼らを排除しようとする人々の動きが暴動に発展してしまう。極めてイマ的なサスペンスに少女失踪事件を絡ませた読みごたえたっぷりのミステリ。

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    2014年01月25日
  • 遮断地区

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    『氷の家』『女彫刻家』などで有名なイギリスの女流ミステリー作家の英訳。以前とちょっと雰囲気の違った作品。低所得者層が住む閉じた団地で起こる、大暴動の1日。少女失踪という別事件も平行し、一気にラストへ。人種、家族、偏見などのテーマを背景に、「あり得る」話だと思うリアルさがある。

    0
    2014年01月18日
  • 遮断地区

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    久しぶりのウォルターズ、堪能!静的な印象のあった作家ですが、どうしてどうしてこのスピーディでサスペンスフルな展開。一気読みでした。まあ、相変わらず読後感はどんよりなんだけどね( ̄◇ ̄;)…。でも今作は、ソフィーとジミーのその後がよかったので、ちょっと救われました。

    人間、その行いによってのみ評価されるってのは、しみじみと同感。思っててもやらないのは、思わないのと一緒。今年最初の含蓄でした。

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    2014年01月03日
  • 遮断地区

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    久しぶりにミネット・ウォルターズの作品を読んだが、これまで読んだ『氷の家』や『女性彫刻家』などとは全く作風の異なる作品だった。

    かなり過激で、スピード感のある暴力的な内容に驚かされる。

    アシッド・ロウという問題の多い街に小児性愛者と思しき老人と息子が引っ越して来たことを契機に抗議デモが起こる。彼らが住んでいた街では十歳の少女が失踪する事件をきっかけに暴動が起こる。暴徒によりバリケードで封鎖されたアシッド・ロウの中で主人公のソフィーは親子に監禁されるのだが…

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    2013年07月18日
  • 破壊者

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    ネタバレ

    久々のミネット・ウォルターズ。安定感があるなあ。解説をみると、すでに読んだ『囁く谺』と『蛇の形』の間に発表された作品らしい。どうして邦訳が遅れたのかは、謎。さらに、『病める狐』と『蛇の形』の間に発表されたAcid Rowという未邦訳も。そして、2003〜2007年までに3作。その後は…ないのか??

    地味だけど人間味のある、好感が持てる警官たちと、被害者・被疑者たちの様々な鬱屈、アンバランスな人間性の対比がくっきり。

    所々に出てくる、シンプルだけど含蓄のある言い回し、文章にはっとさせられた。奇をてらわず、勢いだけもなく、地に足の着いた、そういう文章がぐっとくる。

    0
    2012年04月12日
  • 破壊者

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    ネタバレ

    最初読むのめんどくさいかなあ、と思っていたが、調書が挟まれるようになってから一気読み。
    只犯人にはちょっと納得いかず。

    0
    2012年03月24日
  • 破壊者

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    暴行された女性の遺体が入江で発見され、その3歳の娘は遠く離れた町で一人で歩いているところを保護された。いったい何があったのか…
    レイプ殺人は単に被害者の肉体や生命を奪うだけでなく、そのプライバシーや尊厳をも破壊する。派手な展開はなく、捜査の過程が地道に描かれる重苦しい作品だが、次第に明らかになっていく被害者や容疑者の多面性が深く、物語に深く引き込まれた。
    ウォルターズの作品は毎回ヒロイン造型が素晴らしいと思う。この作品ではそれほど突出した存在ではないが、彼女の再生が重く辛い物語に一筋の光を与えており、読後感は辛いばかりではなかった。

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    2012年03月02日
  • 破壊者

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    破壊されるのは、レイプされ海に捨てられ、砂浜に打ち上げられた全裸遺体の被害者だ。死してなお、彼女は「破壊」される。彼女を知っていたはずの人々から。最後の最後まで、彼女は「破壊」され続ける、真実を捻じ曲げて悪びれない加害者によって。
    ウォルターズは犯人を徹底して自己保身、自己弁護のために被害者を「破壊」する人間に書いた。だからこそ、歯がゆいほどの地道さで事件を手繰り寄せる捜査官たちがたのもしいのだと思う。

    苦々しい物語。

    だからよけいに、器用じゃなくてじれったいロマンスが微笑ましい。

    やっぱりうまいわ、ウォルターズ。

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    2012年02月29日
  • 破壊者

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    奇を衒うことなく、一歩ずつじわじわと書かれた作品。
    テーマが重いものだけに、読後感はやるせないが、満足度はかなり高い。

    85点(100点満点)

    0
    2012年09月15日