【感想・ネタバレ】破壊者のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年09月04日

100点

この物語を読み始めて最初に思ったのは、「いやー相変わらず黒いなー」だった
イメージとしての黒ではなく、単純な色としての黒
もうページに文字がびっしりと隙間なくあって本当に黒いんだよね
ただ不思議なのは表現がとても簡潔で分かりやすいんだよね
よくある作家が自分の技術をひけらかすために日曜日...続きを読むの夕方の情景を4通りのやり方で表現するようなことで文字数を使うようなことじゃなくてね
本当に不思議物凄いたくさん字があるのに余ってないんだよね
必要なことしか書かれてない
ミネットの文章好きだ(翻訳がいいのかな)

それにしても100点だ
本当に(自分が好きな)ミステリーのお手本と言ってもいい作品
綿密に積み上げられたロジックが物語が進むにつれてほどかれて行って
あーなるほど!って思わせる説得力がちゃんとあって
最後は主人公にちょっぴり明るい未来を予感させる、朗らかな終わり方
もう(ひまわりめろんの採点基準では)100点の完璧なミステリー
面白かった!

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Posted by ブクログ 2012年06月17日

英国ミステリの女王ウォルターズの新刊。

イングランド南端のチャプマンズ入江。
男の子の兄弟が、浜辺で女性の死体を発見する。
あわてふためく二人をなだめて、事態がよくわからないまま携帯で通報したのは、たまたま散歩していた俳優のスティーヴン・ハーディング。
そこへやって来たのは、近所の馬預かり所の経営...続きを読む者マギー・ジェナー。30代半ばで、とても美しい女性。
通報で駆けつけたのは、地元警官のニック・イングラム巡査。
マギーは地元で育った人間で、地区担当のニックとは旧知の間柄だったが、良い思い出ではなかった。
捜査はニックら警察が行うけど、内容的にはマギーの物語としても読める小説です。

スティーブは俳優としては売れていなかったが、女性が目を離せなくなるほどのハンサムで、モデルとしては不自由ないらしい。
暑い中を散歩するには短パンと軽装で、水さえ持っていなかったことに、ニックは疑惑を抱く。

死体はケイト・エリザベス・サムナーという女性で、実はスティーブとは家が近かった。
ただの知り合いだとスティーヴは言うが、ケイトの夫は妻はスティーブを嫌っていたという。
スティーブに言い寄られていたとか、ケイトがストーカーだったとか、人によって証言は食い違う。

ケイトは小柄な美女で、夫ウィリアムは製薬会社の研究者。年上の地味な男で、まったく共通点がないらしい。
姑の暮らす老人ホームから距離を取って、この地でいい家に住むのがケイトの望みだったようだ。
二人の間の娘ハナは3歳だがほとんど口を利かず、どこか様子がおかしい。
猫かわいがりする妻と、途方に暮れる夫。
娘は何もかもわかっているように見えるときもあるのだが。

スティーブの友達トニーは、高校教師だが、かなりろくでなし。
祖父は資産家という階層の出なのだが。
スティーブは自分のスループ船「クレイジー・デイズ」号を大事にしていて、舟仲間には評判が良かった。
自己中心的だが女にはもてて華やかなスティーブと、大人しい分だけ鬱憤が溜まっているかも知れないケイトの夫。
対照的な二人の男を調べていくニックら捜査官たち。

ケイトも強烈な性格。
階層が上の夫を見事ゲットしたということで、イギリスが階層社会だという本「不機嫌なメアリー・ポピンズ」の内容を思い出しました。
それぞれの人間が色々な面を見せ、最初は人によっても見方が違うのですが、その嘘か本当かわからない断片が次第にまとまってくるのが圧巻。
どうしてここまで性格が変わらないのかと呆れるほど、こだわりや弱点がじつは一貫しているのだ。どうしようもないのか…?

ニック・イングラム巡査は、大柄で誠実ないい男で、ここぞというときに活躍。
マギーは名家の出。(ここでも階層の違いが…)
若いときに結婚相手に騙されて財産を失い、身近な人にも迷惑をかけた過去を背負っています。
病気の母を抱えて、古い館の手入れも出来ないまま、苦しい生活をしていた。
その当時、イングラムは役に立たなかった悔いがある。
誇り高いマギーの母も個性的。
ニックとマギーのこじれた関係が、じわじわと上手くいくようになるのも楽しい。

翻訳発行は最近ですが、原著は1998年で、6作目。
「囁く谺」と「蛇の形」の間になります。
「囁く谺」は男性の私立探偵と運命の女性の話で、男性作家が書いたかのような雰囲気で、こういうのも書けるのよって感じだったかな。
「蛇の形」はウォルターズ以外には書けないだろうという傑作。
その間にあった~なかなか力強い作品です。

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Posted by ブクログ 2012年02月19日

 海岸に女性の遺体が打ち上げられる。その海岸から離れた街では、彼女の三歳の娘が保護されていた。

 レイプし殺した犯人を追うということは、被害者のことも知るということになる。この被害者の人となりがわかればわかるほど、憂鬱な気持ちになっていくのだ。人は誰だって秘密があり、暗部がある。皆それを隠して生き...続きを読むている。が、犯罪に巻き込まれるということは、それを否応なしに白日にさらすことなのだ。
 しかも、彼女にはそうやってさらされることを拒否する、彼女を思う人もいない。

 徐々に明らかになる犯人の行動や心理も、残酷でやるせないのだけど、やはりこういう形で尊厳を奪われて行く被害者が哀れでしかたなかった。

 そんな陰鬱な中で、不器用な警官と、素直になれない元資産家の娘の二人が安らぎだ。

 まさに、ビター&スイートっていった感じ。
 面白かった。

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Posted by ブクログ 2018年03月16日

「氷の家」と同じ作者だったので。

前作と違って読みやすかった。
ミステリーとラブストーリーが織り込まれていたからか。
全体的に明るい雰囲気だからか、
舞台が海だからか。

いかにも怪しげな二人の容疑者が最初から現れて、
殺されたのが一人だからか。

もと金持ちで結婚詐欺にあった母娘が、
生活を立て...続きを読む直しはじめるところが良かった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年04月12日

久々のミネット・ウォルターズ。安定感があるなあ。解説をみると、すでに読んだ『囁く谺』と『蛇の形』の間に発表された作品らしい。どうして邦訳が遅れたのかは、謎。さらに、『病める狐』と『蛇の形』の間に発表されたAcid Rowという未邦訳も。そして、2003〜2007年までに3作。その後は…ないのか??
...続きを読む
地味だけど人間味のある、好感が持てる警官たちと、被害者・被疑者たちの様々な鬱屈、アンバランスな人間性の対比がくっきり。

所々に出てくる、シンプルだけど含蓄のある言い回し、文章にはっとさせられた。奇をてらわず、勢いだけもなく、地に足の着いた、そういう文章がぐっとくる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年03月24日

最初読むのめんどくさいかなあ、と思っていたが、調書が挟まれるようになってから一気読み。
只犯人にはちょっと納得いかず。

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Posted by ブクログ 2012年03月02日

暴行された女性の遺体が入江で発見され、その3歳の娘は遠く離れた町で一人で歩いているところを保護された。いったい何があったのか…
レイプ殺人は単に被害者の肉体や生命を奪うだけでなく、そのプライバシーや尊厳をも破壊する。派手な展開はなく、捜査の過程が地道に描かれる重苦しい作品だが、次第に明らかになってい...続きを読むく被害者や容疑者の多面性が深く、物語に深く引き込まれた。
ウォルターズの作品は毎回ヒロイン造型が素晴らしいと思う。この作品ではそれほど突出した存在ではないが、彼女の再生が重く辛い物語に一筋の光を与えており、読後感は辛いばかりではなかった。

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Posted by ブクログ 2012年02月29日

破壊されるのは、レイプされ海に捨てられ、砂浜に打ち上げられた全裸遺体の被害者だ。死してなお、彼女は「破壊」される。彼女を知っていたはずの人々から。最後の最後まで、彼女は「破壊」され続ける、真実を捻じ曲げて悪びれない加害者によって。
ウォルターズは犯人を徹底して自己保身、自己弁護のために被害者を「破壊...続きを読む」する人間に書いた。だからこそ、歯がゆいほどの地道さで事件を手繰り寄せる捜査官たちがたのもしいのだと思う。

苦々しい物語。

だからよけいに、器用じゃなくてじれったいロマンスが微笑ましい。

やっぱりうまいわ、ウォルターズ。

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Posted by ブクログ 2012年09月15日

奇を衒うことなく、一歩ずつじわじわと書かれた作品。
テーマが重いものだけに、読後感はやるせないが、満足度はかなり高い。

85点(100点満点)

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Posted by ブクログ 2017年04月15日

『惨い。酷い。辛い。』読む前からおどおどしてしまう帯付きの長編ミステリー、いつもながら読み始めると止まらないミネット・ウォルターズ。男性側から女性に対して勝手に貼られたレッテルについて注意を喚起するというのが本書の隠れた目的であるという解説の一文があった。犠牲者は遺体となって登場するので彼女の言い分...続きを読むは聞こえてこない。なので、周囲の証言から殺された方にも何かしら非があったように感じてしまう。実社会に置き換えて考えてみると恐ろしいことだ。ひとりの人間とは、そんなに単純ではない、いろいろな側面を持つということを忘れてはいけない。ミネット・ウォルターズにしてはめずらしく、最後に心がホッとするシーンがあるのが救いだった。

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Posted by ブクログ 2017年03月14日

the breaker. i can't synchronize that emergency call 999, chippendale guy. that's why? can't like japanese translate? the prot not stro...続きを読むng. i mean, if not found broken dingy...

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Posted by ブクログ 2015年10月09日

地味…だよね。
特に凝った作りでもないし、意外な真相があるわけでもないし。
だからこそ人を丹念に描けているんだと思う。
犯人というより、話の先が気になった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年12月23日

ウォルターズの今までの作品に比べると、面白さはやや下がるかな。スティーヴにトニーの教養知識が、トニーにスティーヴの美貌、或いは性的魅力があれば、二人ともまともな人生が送れたかもね。この二人の人生は無い物ねだりに満ちている。逆にケイトは自分の手に入るもので精一杯生きようとしたのでは?カーペンター警視と...続きを読むガルブレイス警部補のキャラの書き分けがイマイチ。巡査のニックは素敵。

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