成川裕子のレビュー一覧

  • 病める狐 下

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    安心安全のミネット・ウォルターズがまたしても期待に応えてくれました

    どんなに陰湿で凄惨な事件が起きて、どんなにサイコパスなシリアルキラーが 登場しようが幕切れは爽やか

    ミネットのファンってこういう所が好きなんだろうなぁって思うのよね

    そしてわたくしもこの終わり方大好きだ
    心根のいい人は必ず報われて終わる
    悪い人は必ず罰せられて終わる
    良い方も悪い方も一人残らず誰も忘れられることなく

    あーもうすぐミネットの全作品読み終わっちゃうなー、悲しわー

    とにもかくにも『病める狐』どれも素晴らしいミネット作品のなかでもかなりお薦めです

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    2023年03月20日
  • 遮断地区

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    「この社会には煽動家が多すぎるのよ。そして調停する人はあまりにも少ない」

    愚か者たちの饗宴といったところかな

    それにしてもミネット・ウォルターズ相変わらず字が多いw
    原書で読んでもそう感じるのかな?英語もっとちゃんと勉強しておけば良かったな

    そして相変わらず設計図が緻密すぎる
    緻密すぎる設計図の果てにどこに連れて行かれるんだろうって心配しながら読み進めていました

    世の中には自分の考えなしな行動で悲惨な結果を招いたとしても、非は自分にはないって自分を簡単に納得させることができる愚か者が多すぎて、小さな善意は愚かな煽動家たちの行軍に踏み潰されていく…

    そんなどうしようもない結末を思い描い

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    2022年11月14日
  • 破壊者

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    100点

    この物語を読み始めて最初に思ったのは、「いやー相変わらず黒いなー」だった
    イメージとしての黒ではなく、単純な色としての黒
    もうページに文字がびっしりと隙間なくあって本当に黒いんだよね
    ただ不思議なのは表現がとても簡潔で分かりやすいんだよね
    よくある作家が自分の技術をひけらかすために日曜日の夕方の情景を4通りのやり方で表現するようなことで文字数を使うようなことじゃなくてね
    本当に不思議物凄いたくさん字があるのに余ってないんだよね
    必要なことしか書かれてない
    ミネットの文章好きだ(翻訳がいいのかな)

    それにしても100点だ
    本当に(自分が好きな)ミステリーのお手本と言ってもいい作品

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    2022年09月04日
  • 氷の家

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    かつて当主が失踪したといわれる屋敷で胴体を食い荒らさらた死体が見つかる。誰の死体なのか?見事なストーリー展開と巧みな人物描写。このデビュー作で一躍女王となったミネットウォルターズだけにページをめくる手を止めさせない。ここまで面白いともうトリックなどどうでも良い。ミステリも小説であるからには、一流であるためにはトリックよりも小説としての面白さなのだとつくづく思わせる逸品。

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    2021年01月06日
  • 遮断地区

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    ネタバレ

    ムッサオモロかった!

    低所得者層(社会的底辺の人々)向け住宅街に、前科のある小児性愛者の二人ずれが引っ越してきた。という情報が流れ、そこからその地区で大暴動が起こるさまを描いた小説。

    ミステリー要素は薄く、パニック小説の様相である。ちゃんとしたミネットファンは「どうしたんだ?」と言ってるくらいに雰囲気が違う小説らしい。俺はそこまで作者の小説を読んでないので、違和感なく楽しめたが…。

    それにしても、日本だけでなくイギリスにもこういう団地があるんだなぁ。大阪のあそことか神戸のあそことか…そういうとこを想像して、この本を読んだらリアル感マシマシ。

    本気でワルいヤツを2名だけにして、あとは場の

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    2019年12月08日
  • 遮断地区

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    「氷の家」と同じ作者だったので。

    パニック小説とか、非常事態とかあまり興味がないので、
    最初は小児愛者をめぐっての貧困地区の騒ぎは、
    少女の行方不明の背景だと思っていた。

    だが、ジミーが登場してから、がぜん暴動の動きの方が気になっていく。
    刑務所から出たばかりで、
    自分が指紋を残して犯人と思われるからと、怪我した女性のために救急に電話し、
    彼女を助ける手伝いをすることに。
    女が殴られることには、たとえそれが警官だとしても我慢できないジミー。
    老女に助けられ、子供たちが逃げる手伝いをし、囚われた女医の救助へ向かう。
    巨体に暖かい心を持つジミーの行動が胸を打つ。

    男はみてくれじゃないのよ、何

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    2018年04月07日
  • 氷の家

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    ネットで見かけて。

    「フレッド・フィリプスが走ってる」
    すごい始まりだ。
    思わせぶりなところはなにも無く、ただ事実を述べているだけなのに、
    それがわざわざ語られなければならないところに、インパクトがある。
    あっという間に作品に引き込まれる。

    行方不明者と身元不明死体。
    田舎の村とスキャンダル。
    守るべき秘密と明かされるべき感情。
    それは面白くならないはずがない。

    結局語られなかった、
    主席警部と部長刑事の過去の関係性が気になり過ぎる嫌いはあったが、
    ミステリーとしては面白かった。
    恋愛ものとしては、どうかな。

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    2018年01月16日
  • 遮断地区

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    すっごく面白かった!
    さすが、英国ミステリーの女王の小説だわー。

    ストーリーも構成、スピード感、キャラクターの設定など上手く組み立てられてて、読むのを飽きさせない。
    翻訳も上手く訳されて読みやすかった。

    みんなそれぞれが、良けれとやったことが裏目にでて酷いことになったなぁーと。
    そんな中、やっぱり秀でていたのはジミー。
    かっこいーーー!
    ジミーとアイリーンの最後のシーンは、こういう話の中で唯一心の温かくなるシーンで、読んでよかったなぁと思わせくれた。

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    2017年02月06日
  • 養鶏場の殺人/火口箱

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    「火口箱」は人生ベスト級の中編。素晴らしい!!読みやすさを意識して書かれているので、初心者にもオススメ。オチを知って再読すると、この中編の凄さがよりわかった。

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    2016年01月17日
  • 悪魔の羽根

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    英国ミステリの女王ミネット・ウォルターズの作品。
    誘拐された女性記者が立ち向かったのは‥?!

    コニー・バーンズはロイター通信の記者。
    アフリカのシエラレオネで連続暴行殺人事件が起き、犯人は逮捕されたが、コニーは傭兵のマッケンジーに疑いを抱く。
    後に、コニーは何者かに誘拐される。
    当時、記者が誘拐される事件は相次いでいて、解放された後にマスコミに多くを語る女性もいた。
    コニーはほとんど語らずに帰国し、不審に思われながら田舎の村に身を潜める。

    国際的な状況を背景に、実はアフリカ生まれの女性であったりと、これまでになく視野を広げた設定。
    後半は小さな村の古い屋敷の中に、事件が収束していきます。

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    2016年01月23日
  • 悪魔の羽根

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     コニーは、ロイターの記者で、彼女が殺人犯ではないかと疑っている男に拉致監禁される。三日後彼女はほぼ無傷で開放されたが、彼女の証言は曖昧でしかない。そして彼女は、イギリスの田舎に隠れ住む。

     なんとも難しい設定にしたもんだと思った。
     主人公が記者で、しかも彼女の視点のみで描かれている。つまり、彼女は物事を客観的にとらえることにたけていると同時に、この作中で一番信用のできない語り手なのだ。
     そのうえ、彼女は助けを必要としていない。
     結局のところ、田舎町で知り合った世捨て人のような女性の助けを得ることになるのだけれど、二人ともがそういうコミュニケーションに対して不器用なのですんなりといかな

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    2015年10月16日
  • 遮断地区

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    星4つにするか、5つにするか迷った!迷って星5つにした理由は全体に途切れることなく続いた疾走感がたまらなく良かった。謎解きではないが、ハラハラドキドキが止まらない作品でした。

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    2014年07月22日
  • 養鶏場の殺人/火口箱

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    中編二作。どちらも面白いが、「養鶏場の殺人」のほうは、ミステリーの手法としてとても斬新な気がした。dそれほど特異性のある事件ではないにもかかわらず、ホラーのような怖さを感じさせる。ちょっとしたことが様々な連鎖によって恐ろしい事態に発展していくのは、最新作の「遮断地区」とも共通している。

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    2014年05月25日
  • 遮断地区

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    設定が日本ではちょっと想像がつかないような状況なのだが、ありきたりの社会に潜む病巣のようなものが描かれていてぞっとした。まかり間違えば、暴動など簡単に起きてしまうのではないかという思いにかられるほど説得力がある。
    登場人物が多いが、個性的な人物造型で、魅力的だった。

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    2014年04月25日
  • 遮断地区

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    ミネット・ウォルターズの本は初めて読んだが、最後に救いがあって良かったと思う。
    悪意のある一言が引き金になってもたらされた事件。
    悪いことに悪いことが重なって、落とさなくてもいい命を落としてしまったことは、とても残念。
    他の著書も読んでみたい。

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    2013年12月11日
  • 遮断地区

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     団地で起きた暴動と少女の誘拐の話が平行して語られる。

     いかに人はいい加減かということや、集団の怖さが、それぞれの立場で緻密に描かれていてとにかく濃いです。
     小説版「24時間」って感じ。

     きっかけは、無責任な人の一言だったんだけど、それが転がっていくというか延焼していくさまがとにかく怖い。
     救いが全く見えない状況で、団地の、そして家の中の、閉塞感が半端なかった。

     だからこそ、最後がいきてくるんだけどね。
     
     いやあ、ウォルターズ、やっぱりすごいです。

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    2013年10月18日
  • 遮断地区

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    英国ミステリの女王の新作。といっても翻訳の上でですが。
    推理小説というよりパニックものだからか、翻訳する順番が後になったようです。
    スリルと爽快感があり、面白かったですよ。

    低所得層が暮らすバシンデール団地。
    1950年代に建てられた団地は、しだいに孤独な老人や未婚の母と父親のいない子供でいっぱいになっていた。
    通称アシッド・ロウ(LSD団地)というのは、麻薬がすぐに手に入るという意味なのだ。

    医師のソフィーは、金持ちが住む街での診察よりもむしろ生きがいを感じていた。
    同じような悩みを抱えつつも必死でそれを隠そうとする上流の人間よりも、あっけらかんとたくましい人々に必要とされるほうが付き合

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    2013年07月12日
  • 鉄の枷

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     ミネット・ウォルターズの長編第三作。原題の『Scold's Bridle』というのは、昔の英国で使用されていた舌を押さえる金具の付いた拘束具のことで、口うるさい女性に罰として被せていたものなのだそうです。
     事件は、ある資産家の老婦人、マチルダが手首を切って浴槽で死んでいたことから始まります。それだけなら自殺のようにも見えるのですが、死者の頭には野菊や刺草で飾られたスコウルズ・ブライドルが被せられていました。果たして彼女は自殺なのか、それとも誰かに殺されたのか、この謎を追ってストーリーが展開していきます。
     なのですが、読み進めていくうちに、そうした事件の謎よりも、次第にマチルダと

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    2013年03月24日
  • 破壊者

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    英国ミステリの女王ウォルターズの新刊。

    イングランド南端のチャプマンズ入江。
    男の子の兄弟が、浜辺で女性の死体を発見する。
    あわてふためく二人をなだめて、事態がよくわからないまま携帯で通報したのは、たまたま散歩していた俳優のスティーヴン・ハーディング。
    そこへやって来たのは、近所の馬預かり所の経営者マギー・ジェナー。30代半ばで、とても美しい女性。
    通報で駆けつけたのは、地元警官のニック・イングラム巡査。
    マギーは地元で育った人間で、地区担当のニックとは旧知の間柄だったが、良い思い出ではなかった。
    捜査はニックら警察が行うけど、内容的にはマギーの物語としても読める小説です。

    スティーブは俳

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    2012年06月17日
  • 破壊者

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     海岸に女性の遺体が打ち上げられる。その海岸から離れた街では、彼女の三歳の娘が保護されていた。

     レイプし殺した犯人を追うということは、被害者のことも知るということになる。この被害者の人となりがわかればわかるほど、憂鬱な気持ちになっていくのだ。人は誰だって秘密があり、暗部がある。皆それを隠して生きている。が、犯罪に巻き込まれるということは、それを否応なしに白日にさらすことなのだ。
     しかも、彼女にはそうやってさらされることを拒否する、彼女を思う人もいない。

     徐々に明らかになる犯人の行動や心理も、残酷でやるせないのだけど、やはりこういう形で尊厳を奪われて行く被害者が哀れでしかたなかった。

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    2012年02月19日