君塚直隆のレビュー一覧
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国民国家が善で、帝国が悪という考え方は、スターウォーズや宇宙戦艦ヤマトなどの帝国の考え方も影響しているのでしょうか。
かって戦前は日本も大日本帝国と呼ばれていたけど、それはかってのローマ帝国や漢や清朝の様な帝国とは異なる。
帝国は多様な民主や文化を許容し、それを一つにまとめる存在。一方で、現代の中国のように、自らの考え方ややり方を押し付ける国も存在する。
民主主義国家と呼ばれたドイツもナチスの様な政党を生み出す。確かに、国民主権が正義とは限らない。
アメリカも帝国主義と呼ぶ人がいるのは、必要以上に多くのことに介入したと思えば、自国ファーストに拘る部分があり、多様に世界を混乱させた部分があ -
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主に中国とイギリスを中心とした「帝国」をキーワードに、アヘン戦争以降の近現代史を概観している。
「帝国」と一口に言っても時代や地域によってその性質はさまざまである。清朝やオスマン帝国などの専制君主型は多民族を包摂し、緩やかに支配する旧来型の帝国。19世紀に登場した国民国家型は大英帝国をはじめとする植民地帝国。第二次世界大戦後の冷戦期における米ソ両国は皇帝が存在せず帝国主義を否定するがその行動は帝国的である。冷戦終結後、国民国家化、民主主義化の進まない現在の中国やロシアといった権威主義国家もまた帝国的である。
全体を通して、「帝国」を悪だとひとくくりに理解するのではなくそれぞれの「帝国」の歴史 -
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帝国を視点に、近現代史を捉える本。岡本隆司先生の本を読んだ事があったので、この本を買ってみた。
対談形式の読みやすさがあったけど、内容は多分深い(後書きにも筆者二人の自信が表れていた)。
一番新鮮だったのは、清朝が元々ウルトラチープガバメントであり、人口増大しても財政・行政規模を拡大せず、秘密結社のような中間団体が増加した結果、アヘン流通を止められなかった、という、清朝側の社会構造にも言及していた点だった。広大な領土を統治する上で、近代以前の帝国は、ある程度地方の習慣・制度を温存するしかなく、清朝の姿勢も必然だったのかもしれない(それでも、人口増加に合わせて改革を怠っていたのは、清朝政府の怠慢 -
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人類の歴史が始まった頃から登場してきた君主たちの役割は、自身の民たちを外部の攻撃から守り、自身が支配する領域内で民に豊穣と平安を保証し、民にとっての社会正義の擁護者と振る舞うことだったが、近年になって君主制から共和制への移行が目立ってきた.本書では数多くの君主が登場してくるが、記憶にあるものがほとんだった.ただ、ヨーロッパでは立憲君主制が今も存在している.イギリスがその例だ.日本もそうである.しかし、ヨーロッパでは絶対的長子相続制を採用しており、ベルギー、オランダ、ノルウェー、スペインでは女王陛下の誕生が決まっている.日本はどうなるかな?
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女系の国王継承がある事がメリットにもデメリットにもなった。イギリス国王と血縁のある国王候補者の存在が王室の存続に繋がった反面、王位継承問題によって戦争も起こった。女系にも王位継承権があるのイングランドのルールによりフランスの王位継承を主張し、100年戦争の原因にもなった。
今まで断片的にしか知らなかった英国の歴史の流れを大まかにではあるが知る事ができた。題名に「物語」と書いてあるだけあって、学術書臭くなく楽しく読めた。
植民地支配による大英帝国の形成や産業革命に唐突感を覚えたが、「王権と議会を中心に据えた英国史」なので仕方がない。他の本で補完したい。 -
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世界の歴史を勉強するにあたって大変なのが、馴染みのない地名と人名のオンパレードにどうやって対応するかということだ。
中世からは◯◯伯だとか◯◯公だとか、◯◯シャーとか似たような語句がたくさん出てきて、理解するのが大変だった。
それに比べれば日本の歴史ってのは随分スッキリしてるようにも思うんですが、どうでしょうか?
名前や地名の多さには辟易しますが、個々の物語やエピソードはとても興味深いものがあります。
上巻はテューダー朝のエリザベス1世の死去までを扱っている。
今回分かったのが、イギリスは途中まではフランスだって言っても間違いでないということ。 -
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王などが統治する「君主制」に焦点を当て、このシステムが人類の歴史の中でどのように現れ、どのような経緯をたどってきたのかを明らかにする。約5000年前にエジプトなどの古代文明の中から王が誕生してから、哲学や宗教を通して君主制が各地域で正統化されていき、絶対君主制を経て各地で革命が起こり君主制が次々と姿を消していく中で、21世紀の現代にも存続する君主制はどのように生き残っているのかについてまでをたどる。
君主制という観点から世界史を振り返るような内容で、知的な面白さがあった。また、中高生向けの新書ということもありとてもわかりやすかった。
肯定的に考えたいという立場から、天皇をはじめとする現代におけ -
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エリザベス1世は後継を残さなかったためテューダー朝は断絶。開祖ヘンリ7世の子孫スコットランド王がジェームズ1世として即位、スチュアート朝はじまる。
17世紀、チャールズ1世は議会を軽視し絶対君主を目指すが、抵抗を受け内戦に入る。議会側指導者に清教徒が多かったので清教徒革命と呼ばれる。クロムウェルの活躍で議会派が勝利し、国王は斬首された。共和制となる。クロムウェル死後、チャールズ2世が即位し王政復古。しかし次代ジェームズ2世の専制にオランダ総督ウィレムがイングランド上陸、国王は逃亡し名誉革命成る。
スチュアート朝断絶後、ハノヴァー朝ジョージ1世が即位。ドイツ系であり18世紀の政治は政党の有力者に -
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亡くなる前に書かれたエリザベス2世の伝記。
私の印象は、ダイアナ事件後のマスコミに叩かれていた悪いイメージだったが、この本に書かれているのは懸命にイギリスや他16ヶ国の女王として人生を捧げている姿だった。
政治的か知識や経験があるので、口を出したくなることもあるが、「君臨しても統治せず」を体現しているのはすごいの一言。
コモンウェルス(イギリスの旧植民地)に対する愛情、平等に接する態度は、首相ではできない、君主としてのみできると思うので、やはりなくてはならない存在だと思った。
ダイアナ事件後に支持率がさがったのにも関わらず、時代にそくして改革を行い、支持率を上げてきたのは女王の手腕があったから