無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
15-16世紀のヘンリ8世(誰かと思ったら離婚したくてイギリス国教会ぶちあげたで有名なあの人だった)から現代(のちょっと古い)人ウィンストン・チャーチルまで、7人の人物にスポットライトを当てることで500年におよぶ歴史の波を語り出す。
ヘンリ8世は中世イメージど真ん中。クロムウェルの人生ではすでに近世が見えている。でもまだ宗教的なものの見方が支配しているか。それを言ったら「ヨーロッパ大陸のカトリック国がそれを理由にイングランドに攻めてくるって時代じゃない」と語られるのは18世紀のパーマストン子爵の章で、そのあたりで完全に近世という感じでしょうか。ジョージ3世だって議会政治始まっててだいぶ近世寄りだけど。イギリスって封建社会バリバリのいわゆる中世って早く終わってるのかしら?
近現代のデイヴィット・ロイド・ジョージとチャーチルは時代が重なっていて、そこで重層的な見え方をするのが面白い。庶民として生まれ特権階級と戦い叙爵されて終わるロイド・ジョージと公爵家に生まれ爵位なしの三男坊として終わるチャーチルとか。
労働者の味方として泥臭く戦ったロイド・ジョージの時代にロシア革命が起きて労働者の方が変節して支持が得られなくなったとか、それでもかれの薫陶があったからバリバリのお貴族チャーチルに社会福祉の目線がうまれているとか。人は繋がるなあと思う。そしてチャーチルが大英帝国の栄華の終わりを痛感する最終章も切ない。いや悪党たちみんなだいぶ苦労しててあんまり栄華感じないんだけども。
人を見ていくとそんなものなのかもな。おもしろかったです。
Posted by ブクログ
著名人の多い英国史の中から七人の悪党を選んだオムニバスストーリー。
悪党とはワルではなく、出身階級に関わらず主流派ではなくアウトサイダーだった人達を指す。アウトサイダーだけに、毀誉褒貶が激しい人々で、ヘンリー八世、クロムウェル、ウィリアム3世、ジョージ3世、パーマストン、ロイド・ジョージ、チャーチルが本書の対象。
筆者は、それぞれの悪党についての毀誉褒貶を冒頭に掲げ、その人物の生い立ちや活躍を著述し、最後に些細な悪事はあっても大英帝国の歴史に大きく貢献した事績を簡潔にまとめて章を終える。ロイド・ジョージとチャーチルのように章と章の間の繋ぎもよく、オムニバスなるも完全独立ではなく連続性がある。
それぞれの悪党の事績は、以下の通り。
【ヘンリー八世】
× 処刑癖、浪費癖、多数の妻
◯ バチカンからの独立、教会の摂取による財政健全化と宗教影響力の排除、アイルランド・ウェールズへの帝国拡大、議会との協調
【クロムウェル】
× 王殺し、護国卿としての強権統治
◯ アイルランドの合邦、スコットランドへの征服、プロテスタント外交による新世界でのスペイン領確保(世界戦略を持ったイギリス史上最初の政府byクリストファー・ヒル)
【ウィリアム3世】
× 外国人王(オランダ人)、関心は大陸、淡白で人を信頼しない性格(一般受けしない)
◯ 勢力均衡論によるルイ14世の封じ込め、議会政治の制度化(立憲君主制度化)、イングランド銀行の創設と国債による戦費調達システムの完成
【ジョージ3世】
× アメリカにおける圧政者、議会政治の軽視、外交的孤立によるアメリカ喪失、発狂
◯ ハノーバー王家として初の愛国者、発狂による摂政制度の下での立憲制の発展
【パーマストン】
× ポピュリスト?、極悪非道の砲艦外交、王権軽視
◯ 会議外交による平和の慣行の確立(ヨーロッパ協調)、1848年の革命の封じ込め、イギリスには永遠の同盟国もなければ、永遠の敵大国もない。イギリスの利益こそが永遠であって、不滅なのだ(1848.3.1)、英帝国のアジアにおける拡大、奴隷貿易廃止、世論の有効活用
【ロイド・ジョージ】
× 王権軽視、無知で無責任で中身がない(ケインズ)、栄典売買、アイルランド問題の処理
◯ 人民の王者(労働問題、福祉、富裕層への増税、貴族院の権限縮小)、メディアを使った世論操作、第一次大戦の指導者として総力戦体制を維持、英国初の挙国一致内閣
【チャーチル】
× 傲慢、貴族主義、向こうみず、人種差別的、政党を行き来した節操なし、ガリポリ作戦失敗、首相前はこれといった功績なし
◯ 30年代における英海空軍の強化によるバトルオブブリテンへの貢献、英国を奮い立たせた(ハリファックスなら独の軍門に降っていたか?)
Posted by ブクログ
大英帝国を築いてきた「七人の悪党」として取り上げられているのは、ヘンリ八世、クロムウェル、ウィリアム三世、ジョージ三世、パーマストン子爵、デイヴィッド・ロイド=ジョージ、ウィンストン・チャーチルの七人である。
本書の「はしがき」でも「おわりに」でも述べられているが、英国では評伝(伝記)が重んじられ、今でも街中の書店には必ず伝記コーナーに多くのスペースが割かれている(評者が在外研究で英国に滞在したのはもう17年も前の話だが、そのとき書店で一番印象的だったのもそのことであった)。それはマルクス主義史学やフランスの社会史、あるいは最近流行のグローバル・ヒストリーとも違う、「歴史を動かすのはあくまでも人間とその決断であるという史観が比較的強く残っている」(p.6)からだと著者は指摘する。どの歴史観が正しいとか間違っているとかいう話は置いておいても、確かに人物が生き生きと描かれている歴史は読んでいてワクワクする。本書もまた七人の「悪党」を通じて、五〇〇年の歴史の面白さに読者を誘ってくれる。
取り上げられた一人ひとりのエピソードが面白いことは言うまでもないが、単にトリビアな知識を紹介するだけではなく、社会全体の歴史の動きの中で結局どのような位置付けがなされるのかという著者ならではの評価も興味深い。たとえば、不人気な「外国人王」としてのウィリアム三世は、オランダでは地方ごとにバラバラだった公債発行のシステムをイングランドに集権的に導入し、「財政=軍事国家」の基礎を築いたと評価される(pp.126-8)。またケインズにこっぴどく批判されているロイド=ジョージも、第二次世界大戦後の「社会福祉国家イギリス」の原点となる政策をおこなった(p.242)、などなど。
蛇足だが、各人物を主人公とした映画やテレビドラマなども端々に紹介されていて、参考になった。見落としでなければ、ロイド=ジョージの章だけ映画やテレビ・ドラマが紹介されていなかったように思うが……。
Posted by ブクログ
大英帝国を率いたリーダーシップの物語
歴史は人間によって創られる
1940年英国首相に選ばれるのがチャーチルではなく、ハリファクス外相であったら、英国は早々にヒトラーと講和し、ナチスドイツの世界覇権は実現していただろう。(282)
その英国も第二次大戦の勝利と引き換えに、世界の盟主の座を、アメリカとソ連に譲ることになる。
歴史は禍福の如し。
結局、技術・経済・社会システム・軍事により世界の覇権を手中にしても永遠には続かない。
心地よい勝利者の地位は、慢心と怠惰を生み、民衆はパンとサーカスをリーダーに求め、政治はポピュリズムに陥る。
その時に積み上がるのは、軍事費とエンタメ経費を賄うための「公的債務の積み上がり」。世界がその負担を追い切れなくなったとき、世界覇権の盟主の座は置き換わるのが世界史の必然。
現在、世界のリーダーである米国もまた歴史の必然に直面している。
近代と現代の英国史を、キーパーソンの視点で学べたのは良かった。
日本史ももっとリーダー個人の側面から描かれても良いと思うが、明治以降の天皇制下では皆臣下なので難しいか。
コロナ禍でリーダー不在の感がある日本社会の困難の大本がそこにあるようにも思う。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
小説・文芸