あらすじ
17世紀、王の絶対君主政への信奉は、清教徒・名誉革命を誘発し議会の権限が増す。18世紀半ば以降の産業革命下、内閣・政党が政治の主導権を獲得。グラッドストンら優れた政治家も現れ、19世紀、ヴィクトリア女王の時代は「世界の工場」かつ「最強国」となった。だが20世紀に入り、二つの世界大戦で国家は疲弊。経済停滞は「英国病」と揶揄された。本書は、近代化の胎動から、サッチャー、ブレアらが登場する現代までを描く。
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17世紀スチュアート朝の成立から、エリザベス2世即位60年までを記したイギリス近現代の通史。
イギリス政治史は王権と議会の相互作用により編まれたものであり、両者の関係が対立から協調へ徐々に移り変わることで、イギリス政治に安定がもたらされた経緯が理解出来た。
印象に残った人物はウォルポールとトニー・ブレアである。
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まるで物語を読むような感覚で1000年という長い歴史を夢中で読んでしまった。
イギリスの歴史を「王権と議会」に焦点を当て、簡潔かつ分かりやすく書いているだけでなく、文章の構成や表現もとてもよく、気づいたらページをめくっていた。
本編の合間に差し込まれる「コラム」も大変面白く、また、巻末には、おすすめのイギリスの歴史をテーマにした映画なども紹介されており、上下巻を読み終わる頃には、イギリスについてもっと知りたいと思う自分がいた。
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物語 イギリスの歴史 下
清教徒・名誉革命からエリザベス2世まで
著:君塚 直隆
中公新書 2319
フランス・ドイツの干渉を受けて来た、イギリスはやがて、大陸との関係を分かち、グレートブリテンとしての歩みを進めていく。1801グレートブリテン及びアイルランド連合王国成立
中国の王朝とはちがって、英の王朝とは、議会も、その母体もかわらず、親戚に本家を譲っていくようなイメージであり、緩やかな一貫性があり、王朝間での断絶も対立もない。優秀な人物は、王朝を超えて連携を行っていく。名君には、名宰相あり、国運が傾くと、イギリスを救うべく政治家が現れる
遠くは、ローマや、ノルマン、フランスなどから絶えず侵攻を受けていて、英語の中には、多くのフランス語が含まれているほど、文化の影響もうけている
日本は、太古からその文化や制度はほぼ一貫した流れをもつが、イギリスはそうではない、侵略者や時の支配者によって、不連続に変わっている。そのことがいっそう歴史を複雑にしている
イギリスは、時代によって、その顔を変えるのである
下巻は、エリザベスⅠの死から、二つの大戦を通して、エリザベスⅡの統治、現代まで、に分れている
ヴィクトリア女王の時代に版図は最大となったが、エリザベス2世の統治下にそれまで獲得した植民地をほぼ失うこととなった。がコモンウェールズとして、今なお、形ではあるが、旧主国にて、国王の地位に留まっている
⑥エリザベス1世 (1558-1603) テューダ朝の終焉
■スチュアート王朝(1603-1714)
ジェームス1世の時代にパーフェクトユニオンという概念が生まれる。イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドの4つの王国を束ねる完全なる国家を目指すということである。
①ジェームズ1世(1603-25)哲人王
②チャールズ1世(1625-49)戦争王
★清教徒革命(1642-1660)クロムウェルの共和政(1649-1660) 国王殺し
③チャールズ2世(1660-85)王政復古
④ジェームズ2世(1685-88)
★1689 名誉革命メアリ・ウィリアムの共同統治
⑤メアリ2世(1689-94)
⑤ウィリアム3世(1689-1702)
★1701~14 スペイン継承戦争、ユトレヒト条約によるジブラルタル、ミノルカを獲得
⑥アン(1702-14)
★1707 グレートブリテン王国成立(イングランド、ウェールズ、スコットランドが合同)
■ハノーヴァ王朝(1714-1901)
①ジョージ1世(1714-27)
②ジョージ2世(1707-60)
③ジョージ3世(1760-1820)愛国王
★1786 英仏通商条約
★1787 プロイセンオランダ三国同盟 ピット首相による外交的孤立の解消
★1789 フランス革命
★1801 グレートブリテン及びアイルランド連合王国成立
★1805 トラファルガー海戦
④ジョージ4世(1820-1830)
⑤ウィリアム4世(1830-27)
★1830年代 産業革命
⑥ヴィクトリア(1837-1901)妖精女王
★1838 人民憲章
★1858 インド直接統治
グラッドストーンと、ディズレーリーの時代
■サクス=コバーグ・アンド・ゴータ朝(1901-10)
①エドワード7世
チェンバレン植民地相
■ウィンザー王朝(1910-)
①ジョージ5世(1910-36)
★第一次世界大戦(1914-1918)初の挙国一致内閣ロイドジョージ
★1927 グレートブリテン及び北アイルランド連合王国成立
★1929 世界恐慌 挙国一致内閣マクドナルド
②エドワード8世(1936)
③ジョージ6世(1936-52)
★第二次世界大戦(1939-1945)挙国一致内閣チャーチル
④エリザベス2世(1952-2022)
★植民地の独立と、コモンウェールズ(英連邦)形成
★サッチャー革命(1979-90首相)
★フォークランド紛争(1982)
⑤チャールズ3世(2022-)
ISBN:9784121023193
出版社:中央公論新社
判型:新書
ページ数:252ページ
定価:820円(本体)
2015年05月25日初版
2022年09月30日9版
目次
上巻
第1章 古代のブリテン島 ―― 先史時代?11世紀
石器時代から青銅器時代へ
「ブリタニア」の誕生 ―― ケルト文化の伝来
カエサルのブリタニア遠征
ローマン・ブリテンの始まり
長城の建設から協約締結へ
大帝の出現とローマからの離反
アングロ・サクソンの渡来
七王国の形成
オファ王の登場
デーン人の襲来とアルフレッド大王
最初の「イングランド王」の誕生と「賢人会議」
エドガー王の戴冠式
デーン人の再襲来
「征服王」カヌートの登場
強すぎる家臣たちの存在
証聖王の死と三つ巴の抗争
ノルマンディ公ギョーム=ウィリアム1世の戴冠式
第2章 ノルマン王朝のイングランド ―― 11?12世紀
ウィリアム征服王の登場 ―― フランス語による支配
祖法を守るウィリアム1世
ノルマンディ防衛のための供給源
「アングロ=ノルマン王国」の悲劇
征服王の死と赤顔王の即位
ロベールの十字軍参加と赤顔王の急死
ヘンリ1世即位とアングロ=ノルマンの再統合
イングランド統治構造の確立
御曹司ウィリアムの悲劇
「皇妃」マティルダの登場
ブーローニュ伯の上陸 ―― スティーヴンの即位
二〇年にわたる内乱へ
皇妃と王妃の抗争 ―― 二人のマティルダ
終息 ―― 皇妃マティルダから息子アンリへ
内乱が残したもの ―― 女性統治への疑問
第3章 アンジュー帝国の光と影 ―― 消えないフランスへの野心
西ヨーロッパ最大の領主の誕生
領土と王権の回復 ―― 臣従強要と遠征
カンタベリー大司教ベケットとの対立,そして暗殺
「諸侯よ,助言を与えたまえ」
軍役代納金の本格的導入
息子たちの叛乱
ヘンリ2世の反撃と死
獅子心王の即位と「帝国」の動揺
五男ジョンの登場
ノルマンディ諸侯の離反と「腰抜け王」
ローマ教皇との対決 ―― ジョンの破門
キリスト教支配下,ジョンの屈服
「在地化」した諸侯対「悪しき取り巻きたち」
マグナ・カルタ ―― イギリス国制の基本文書
イギリスに憲法はないのか?
ヘンリ3世と議会政治の始まり
大陸への野心と諸侯との対立
国王への覚書提出と大陸“放棄”
シモン・ド・モンフォールの議会
第4章 イングランド議会政治の確立 ―― 13?14世紀
長脛王の登場と議会制の強化
「税収」を求め続けた背景
行政府の整備 ―― 宮廷と国家の二重構造
「模範議会」をめぐる諸問題
議会の「休会」と戦局の好転
「ウェールズ大公」位の確保 ―― グウィネッズ君公国崩壊
スコットランドとの死闘
ガスコーニュ戦争と長脛王の死
ギャヴィストン溺愛とスコットランド放棄
エドワード2世の廃位
エドワード3世による親政
二院制の始まり ―― 貴族の登場
五つの「爵位」の成立
庶民院の拡充 ―― 騎士と市民
庶民院への「請願」と仏語から英語へ
「善良議会」 ―― 議会の地位確立
イングランド独自の道?
第5章 百年戦争からバラ戦争へ ―― フランスと王位をめぐって
英仏百年戦争の始まり
エドワード父子の栄光と死
一〇歳の少年王の登場
ワット・タイラーの乱と忠臣政治
ダービー伯爵への仕打ち
国王廃位からダービー伯爵即位へ
ランカスター王家と議会の協調
内乱の終息と皇太子ハリーの台頭
ヘンリ5世によるフランス進攻
連戦連勝,フランスの屈服
ヘンリ6世=「アンリ2世」の即位
百年戦争敗北からの神経性発作
ヨーク公の台頭から「バラ戦争」へ
エドワード4世の早世と混迷の時代
グロウスター侯爵の即位
ボズワースの戦い ―― ヨーク王朝滅亡
第6章 テューダー王朝と近代の夜明け ―― 国家疲弊下の宗教対立
ヘンリ7世 ―― 最も有能な実務家
弱小国化していたイングランド
ヘンリ7世の同盟戦略
「ルネサンス王」ヘンリ8世の登場
離婚問題からの宗教改革議会
教皇からの破門 ―― イングランド国教会の成立
「帝国」の拡張と王の死
少年王のはかない治世
「九日間」の女王
「血まみれメアリ」の登場
カトリックへの復帰宣言
スペイン王への反発とメアリへの憎悪
エリザベス1世の登場 ―― 妖精女王と国教会の復活
処女女王の外交政策 ―― ちらつかせる結婚
無敵艦隊撃破と女王の「手紙」
優柔不断 ―― 現実のエリザベス
エリザベス1世時代の議会
「グロリアーナ」の死
物語イギリスの歴史 上 関連年表
下巻
第7章 清教徒・名誉革命の時代 ―― 17世紀の変化
哲人王の即位と祖法の遵守
合邦の夢と宗教の「棲み分け」
浪費と議会への不信
三十年戦争と「平和王」の苦悩
チャールズ1世の登場 ―― 「平和王」から「戦争王」へ
議会不在の一一年 ―― 「絶対君主制」への信奉
内戦 ―― 国王と議会の武力衝突
首を斬られた国王 ―― 清教徒革命
共和制の始まり ―― 庶民院と国務会議
護国卿体制の光と影
クロムウェルの死と二院制復活
王政復古
改宗していた王弟ジェームズ
トーリとホイッグの登場
国王の反動化と名誉革命
名誉革命の意義
イングランド外交の転換期
スコットランド合邦と王朝の終焉
第8章 ハノーヴァー王朝下の議院内閣制確立 ―― 長い18世紀
ハノーファー選帝侯ゲオルク
ホイッグ優越時代の始まり
スタナップ国務大臣への過度な信頼
貴族法案をめぐる躓き
南海泡沫事件とウォルポールの復活
「ウォルポールの平和」の時代
ウォルポールの辞任と「首相」の登場
ペラム兄弟と「二重内閣」の終焉
度重なる戦争から「奇跡の年」へ
「愛国王」ジョージ3世の登場 ―― ビュート伯爵の重用
各派の台頭と国王の政治力
ノース政権とアメリカの独立
議会改革の要求
国王の頑なな抵抗
ピット政権下の摂政制危機
フランス革命と「ピット氏の黄金」
アイルランド合邦化 ―― カトリック問題とピット辞任
政党政治の混迷と摂政の登場
「長い一八世紀」とイギリスの勝利
第9章 イギリス帝国の黄金時代 ―― 19世紀の膨張
戦後不況と強圧政治の時代
キャロライン王妃事件 ―― 王権の弱体化
自由トーリ主義の時代
カトリック解放への道 ―― ピールの豹変
グレイ政権下の選挙法改正
貴族院の否決と民衆暴動
国王による最後の首相更迭
妖精女王の登場と民衆運動の勃興
国益と改革 ―― ピール政権下の穀物法廃止
二大政党制の確立 ―― 自由党の結成
二大政党と大衆民主政治の予兆
グラッドストンとディズレーリ
老大人の再起 ―― 大衆政治の深化
アイルランド自治問題の紛糾
二度のジュビリーと女王の死
第10章 第一次世界大戦 ―― いとこたちの戦争と貴族たちの黄昏
バーティによる王室外交の時代
自由貿易という「信仰」 ―― 保守党の分裂
「人民予算」を賭けた総選挙
貴族院改革と国王の死
新王の登場 ―― 貴族院権限の大幅縮小
アイルランド自治問題の再燃
第一次世界大戦の衝撃 ―― 徴兵制導入と「総力戦」
ロイド=ジョージ政権の光と影
総力戦後 ―― 貴族政治から大衆民主政治へ
アイルランド自由国の成立
自由党の没落,労働党の勃興
貴族院首相の終焉と労働党政権の成立
世界恐慌下の挙国一致政権
「英連邦諸国」の確立へ
第11章 第二次世界大戦と帝国の溶解
ジョージ5世の死
「王冠を賭けた恋」
脆弱な「ヴェルサイユ体制」
平和の崩壊と独裁者たちの台頭
チェンバレン首相の宥和政策とその破綻
ドイツへの宣戦布告 ―― 連合国の敗退
チャーチルの首相就任
「ブリテンの戦い」からアメリカ参戦へ
対独戦略とヤルタでの悲哀
チャーチルの敗北 ―― 一〇年ぶりの総選挙
アトリー政権下の戦後復興
社会福祉国家の確立
解体するイギリス帝国
米ソ冷戦のなかで
チャーチル再登板 ―― 合意政治の時代へ
ひとつの時代の終わり
第12章 エリザベス2世の時代 ―― 「英国病」からの蘇生
悲しい帰国と華やかな戴冠式
老臣チャーチルと「三つのサークル」
スエズ戦争の蹉跌 ―― 世界中からのイギリス批判
貴族制度の変容 ―― ヒューム首相就任の背景
保守党党首選の開始
英国病 ―― ポンド切り下げと「撤兵」
イギリス政治の迷走 ―― 国民投票の容認
サッチャー革命 ―― 「小さな政府」へ
サッチャー外交と女王との確執
ブレア政権の誕生 ―― 「第三の道」の提唱
地方分権化 ―― イングランド以外への権限委譲
「世襲議員」改革へ
ブレアの「大統領型」統治
ブレアの挫折 ―― イラク戦争参戦問題
議会政治と二大政党制のゆくえ
在位六〇周年記念式典の陰で
おわりに
主要参考映画一覧
イギリスの政党変遷略図
物語イギリスの歴史 下 関連年表
Posted by ブクログ
上巻・下巻を通読することで、血生臭い政治抗争や戦争を経験しながら現在の政治体系に落ち着くまでのイングランドの歴史のキートピックを、一通り押さえられたように思う。この全体的な理解をベースに、関心を持った分野についてより詳しい本を手に取っていきたい。
Posted by ブクログ
本書は「王権と議会」を中心に据えた通史であり、下巻では清教徒革命以後を扱う。社会経済文化といった点では「イギリス史10講」や「イギリス近現代史講義」といった新書の方が詳しく、面白い。そういう意味で物語系の著作の中では、教科書的とも言える。つまり読みやすい。
しかし、淡白ではない。「王権と議会」故に王族と政治家の個人的関係については詳細である。帝国の落日も面白い。また、各首相の思想の方向性やその当時の議会対立などが分かり易く議会政治の深化やあり方を考える上で示唆に富む一冊である。
首相官邸強化の道を辿る昨今、彼の国の歴史に学ぶことは多い。そして、文人チャーチルや読書家アトリーといった知識人宰相を生み出したイギリス議会政治を羨ましく思うとともに、若槻礼次郎を輩出したかつての帝国議会を懐かしみつつ、学者に侮蔑の言葉を投げかける現在の政治の貧困を悲しむのである。とはいえ彼の国でも暴力的な言論が幅を利かせつつあるようだが。
Posted by ブクログ
イングランド王国の成立からフランスとの戦争、議会政治の発展と革命、そして帝国主義時代から二つの戦争へ。ヨーロッパ史のなかでもとりわけボリュームのあるイギリスの歴史が上下巻にすっきりとまとめられている。どこの国よりも早く国王の時代から議会政治・政党政治の時代に移行するも、やはり国王の存在というのはいつの時代もイギリス史において重要であることを再認識する。
戦後はどうしても駆け足になるが、概説系の本の中でもかなり読みやすくわかりやすい。
Posted by ブクログ
女系の国王継承がある事がメリットにもデメリットにもなった。イギリス国王と血縁のある国王候補者の存在が王室の存続に繋がった反面、王位継承問題によって戦争も起こった。女系にも王位継承権があるのイングランドのルールによりフランスの王位継承を主張し、100年戦争の原因にもなった。
今まで断片的にしか知らなかった英国の歴史の流れを大まかにではあるが知る事ができた。題名に「物語」と書いてあるだけあって、学術書臭くなく楽しく読めた。
植民地支配による大英帝国の形成や産業革命に唐突感を覚えたが、「王権と議会を中心に据えた英国史」なので仕方がない。他の本で補完したい。
Posted by ブクログ
エリザベス1世は後継を残さなかったためテューダー朝は断絶。開祖ヘンリ7世の子孫スコットランド王がジェームズ1世として即位、スチュアート朝はじまる。
17世紀、チャールズ1世は議会を軽視し絶対君主を目指すが、抵抗を受け内戦に入る。議会側指導者に清教徒が多かったので清教徒革命と呼ばれる。クロムウェルの活躍で議会派が勝利し、国王は斬首された。共和制となる。クロムウェル死後、チャールズ2世が即位し王政復古。しかし次代ジェームズ2世の専制にオランダ総督ウィレムがイングランド上陸、国王は逃亡し名誉革命成る。
スチュアート朝断絶後、ハノヴァー朝ジョージ1世が即位。ドイツ系であり18世紀の政治は政党の有力者に任せられた。政党政治色が強まる。国王の信任のもと首相が政治の主役となった。
ルイ14世からナポレオンに至る長い18世紀はイギリスが勝利した。戦費調達のための長期国債が早く発達したことが勝因である。ヴィクトリア女王治世において黄金時代を迎える。
第一次大戦後、自由党が没落し労働党が躍進。保守党との二大政党を形成する。
Posted by ブクログ
上巻に続いて、エリザベス一世から現代まで。流石にこの辺は、資料が豊富なので、著者の視点が表れてくる。本書は王権と議会を中心に据えているので、外交や文化、経済といったところは必要最小限にとどめられている。その点で、少しわかりにくいが、参考文献も挙げられているので、それを参考にしたい。文献にとどまらず、映画にも触れられていて、知らないものも多く、いつか見てみたい。
Posted by ブクログ
17世紀の清教徒革命から、2つの世界大戦を通じて、現代までのイギリスの歴史が語られています。物語として書かれていますので、イギリスに視点が固定されており、全世界の歴史と並行しての見方はできませんが、イギリスという国がどのようにして出来上がったのかを知ることができます。イギリスには、各時代に主人公がいるのですが、それが代々の国王だというところ。国王と議会が協力しあって政治が動かされているということがよくわかりました。ヨーロッパの中でも、そういう意味で特殊さがあり、それに誇りも持った国民性が伺えまして、この国にとても興味を持つことができました。
Posted by ブクログ
上下巻読んだ感想。イギリスの歴史はもっと時間をかけて学ぶようにしたい。
イギリス王家はヨーロッパ大陸の皇帝や王家と婚姻関係にあったことはなんと無く知っていたけど、どうも主従関係や相続などが複雑。
スコットランド·ウェールズ·イングランドとアイスランドの関係も掘り下げて学んでみたいかな。
あと、議会が成立してからの変遷も気になる。随分と歴史があるようだし終身の貴族院というのももしかしたら人気投票的な民主主義にいくらか歯止めをかけるよいシステムなのかも知れない。
Posted by ブクログ
下巻は、清教徒革命から2012年のエリザベス2世在位60周年まで(キャメロン政権)。
小学校のとき、イギリスの正式名称が「グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国」だと知って、その名前の長さにテンション上がったが(今になって思うと日本語で議論してもしょうがない話題…)、どうして「連合王国」なのかよく分かる。
清教徒革命で一時は共和制になったものの、すぐに王室が復活するので、フランスや日本と違ってこれぞというイベントがないまま、本を読んでいてもどこが転換点か分からない感じで議会が発展していったのはイギリス特有のように思う。
著者自身が言っているように、本国中心に書かれているので、植民地の話がほとんど出てこないのは違和感あった。また、この後のBrexitのドタバタや新型コロナの話も読みたいが、それは現在進行形だからな。。
Posted by ブクログ
EU離脱問題を巡って英国が揺れています。メイ首相がEU側とまとめた離脱合意案は先月、下院で歴史的大差で否決されました。来月末の「合意なき離脱」が現実のものとなる可能性が高まり、どのような影響が生じるのか誰も予測がつきません。
本書は、イギリスの歴史を議会と王権の関わりを中心に論じた概説書。下巻はエリザベス1世の死去、ジェームズ1世の即位から、21世紀初頭のキャメロン政権成立まで。
私たち日本人からは、彼の国は同じ島国、アングロサクソンで大陸諸国とは一定の距離を置くジェントルマンの国、といった印象しかありませんが、本書を読むとその内実は様々な対立を抱えていたことがわかります。
一つ目は宗教上の対立。長らく英国国教会が国の宗教として位置づけられ、カトリックは認められていない中、17世紀初頭のヨーク公(後のジェームズ2世)がカトリック教徒だったことから、国王擁護派と反国王派の対立が激化。イングランド史上最初の政党、トーリとホイッグ登場の背景になりました。カトリック教徒は長らく公職に就くことができず、解消されたのはようやく18世紀後半になってからでした。
次に、アイルランド問題。グレートブリテンを構成するイングランド、スコットランド、ウェールズと比べて、アイルランドは自治が制限され、経済的にも劣位に置かれていました。そうしたことが背景にあって1845年に飢饉が発生。人口は820万人から19世紀末に440万人まで落ち込みます。100万人が餓死し、20世紀半ばまでに400万人が英国本島、北アメリカやオーストラリアに移住。その後も独立を主張する武装集団IRAのテロに悩まされ続けるなど、アイルランドの自治権付与は歴代政権にとって最大の問題であり続けました。
最後に国内の身分制度。人口のわずか5%のジェントルマン階級(地主貴族)がその他95%を支配する構造が長らく続いていました。が、第一次大戦がその構造を破壊します。大戦勃発後、騎士道精神に基づく「ノーブレス・オブリージュ(高貴なる者の責務)」から戦場に駆け付けた地主階級の若者の大半が犠牲になりました。1914年だけで彼らの19%が戦死するなど、将来の指導者層が大きな打撃を被ったことで、貴族階級と庶民の対立が政治上の課題となり、第二次大戦後の労働党政権につながっていきます。
これほどまで社会的対立を抱えながら、大英帝国を築き上げパックスブリタニカを実現できたことのほうが不思議なくらい。
英国の衰退はもちろん重要な研究テーマですが、多くの課題を抱えながら成功した要因は何かもそれに劣らず重要なテーマだと思います。
本書ではそこまで触れられていないので星は3つ。EU離脱問題を注視しつつ、他書で彼の国の来し方行く末を探りたいと思います。
Posted by ブクログ
上巻はあっという間に読んだんだけど下巻がきつかった。
下巻の中盤からほぼ政治史。筆者の専攻が政治外交史らしいので然もありなん。通史を謳ってる割に配分の偏りが大きいのだが、はじめから「王権と議会」がテーマだと言ってるので仕方ない。
巻末に、参考文献と同様にして関連映画を紹介しているのが好ましい。