あらすじ
ヴィクトリア女王、エリザベス2世、そしてチャールズ3世まで、イギリスの歴代君主に仕えた君主秘書官たち。多くは君主の青年時代からの側近であった彼らは、国内外の様々な問題を君主に報告し、時に助言も行い、有事に際しては公正中立な立場から君主と政権をつなぐ重要な架け橋でもあった。本書では、彼らが登場した歴史的経緯を踏まえつつ、手紙や日記などの史料を交えて秘書官と君主との物語を描く。貴族政治から大衆民主政治への転換、二度の大戦、王室のスキャンダル……。激動の時代を経てなぜ今も君主制が存続するか。その謎に迫るユニークなイギリス近現代政治史。
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Posted by ブクログ
英国の女王/国王のそばに仕え、国内外の問題を報告・助言し、必要ならば政権首脳との橋渡しを行う「秘書官」という職の歴史と彼らの仕事を紹介しつつ、あわせて英国近現代史を学べる本。
文庫化にあたっては2022年9月のエリザベス2世逝去までの情報をアップデートしている。
比べてもしょうがないけど、日本の皇室にも現天皇/皇嗣の若い頃からずっと助言を与えられるような存在があったら、今みたいなことにはならなかったような気がする。
Posted by ブクログ
2007年の単行本を文庫化。19世紀のヴィクトリア女王からエリザベス女王までの君主に仕えた秘書官の話。文庫化にあたっては、現・チャールズ国王の戴冠式のTV解説を行った筆者だけに、あとがきにて「今」を追記。君主に対しては中正公平に意見を述べ、政府との仲介にもあたった秘書官の動きを通して、自然と近現代の英国政治史が学べるお得な本。文章も読みやすく、別の視点から見た歴史書としても秀逸。
初版当時、英国連邦(コモンウェルス)には、14か国に25億人もおり、世界人口の30%を占めていたとあり、英国の君主の大変さがよくわかる(エリザベス女王の日課も書かれているが、自分にはとても無理)。とは言いつつ、「王冠をかけた恋」やダイアナ妃、チャールズ現国王の恋バナや、君主と首相の相性からくるゴタゴタ話など、「所詮、人間ですよね」と思わせる逸話も豊富。
日本には、こうした秘書官はおらず、侍従(長)が中心となって動いているらしく、日英のそうした違いなどもわかってお薦めの一冊。