納富信留のレビュー一覧
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本書は、世界哲学史シリーズのふりかえりと、シリーズで語られなかった漏れを補完することが目的である。
見た目、各章の流れや、並べ方については、どうして、そうなっているのは、理解できませんでした。読むの長い時間がかかってしまいました。
<ふりかえり>
古代Ⅰ 世界と魂がテーマであった。世界哲学の始点をどこにおくか、それはギリシアである。哲学とは、ギリシアから始まる大系であることを始点におく。
古代Ⅱ ギリシアからローマへの流れとキリスト教の成立が軸となる。この時期に世界宗教が成立したことを捉えて、その成立には、聖なるテクストの整備が必要であったことを論じる。
中世Ⅰ 中世のはじまりと、古代が用意してくれた哲学をつかみなおすこと、それが、ルネサンスへとつながっていくことを解説しています。それとイスラームへの考察。
中世Ⅱ トマス・アクィナスを例に「神学大全」を中世スコラ哲学とキリスト教との集大成といて論じています。この時代は、個人の覚醒という概念を次の時代につなげています。
中世Ⅲ バロック、大航海時代、宗教改革、利子の問題から、プロタンティズムへ。
近代Ⅰ 感情と理性の対立、啓蒙の世紀を扱います。科学が発展するにつれて、宗教は世俗化していきます。
近代Ⅱ マルクス主義、プラグマティズムの成立。ヨーロッパの列強による植民地主義は、現代までその禍根を残すことになります。キリスト以前の古代の発見、文献学、実証主義。
現代 20世紀は戦争の世紀であり、哲学は、ナチスなどの全体主義や、科学技術に対抗できずに、戦争という悲劇をもたらした。哲学はこうして、反省を強いられる。
<世界哲学と辺境>
哲学を内部と外部ととらえて、その境界を辺境ととらえ、辺境へとおもむくことを旅ととらえる。辺境と接し、刺激を受けることで新しい思考を生んでいく。
中央で生まれた宗教は、辺境に生きる落差に苦しむ人々を搾取から救済すること、それが普遍的な宗教と説く。
<世界哲学としての日本哲学>
まず、空海が紹介される。三蜜 身体・言語・心、関与しあう知の在り方を、空海は、世界哲学を実践したと語る。
つぎに、道元の正法眼蔵を扱う、荻生徂徠の先王の道、本居宣長の漢意(からごごろ)、和辻哲郎、西田幾太郎、鈴木大拙、井筒俊彦へと続く。
井筒は、再び、空海の真言密教の核心へともどってくる。日本の哲学を時系列に再構築したものである。
<世界哲学のスタイルと実践>
哲学を論ずるのは、その論理性からなのか、それとも、その哲学を記述している言語の文法からなのか、伝えられ、翻訳されたテキストをどう読み解くかという問題を扱っている。
<漏れ>
・ふりかえりに、近代の哲学は、デカルトに始まるという紹介があり、そこで、デカルトの情念論が、この冒頭にあるのであろうか。わからなかった。
・フランシスコ・ザビエル宜しく、イエズス会と中国との関連性が述べられている。それまで中国の原典までさかのぼっていなかった、中国研究は、四書におよぶようになるのである。
・考える私をめぐっての論議。鈴木大拙は、考える私を、空にすること、そして、シモーヌ・ヴェイユに対しても大拙の考えが受け継がれていく。「善は四方八方にあるのに、おまけにみずから身まで差し出しているのに、意志には善が見えない。意思をどれほど行使しても、善は手に入らず、みずからの力を放棄したときにようやく願いが始まる。」という考えが示されていた。
・インドの論理学についての紹介、インドの論理学は、「因明」といい、主張、論理因、実例の三項目かを提示するもの。インドでは、推論という形式の論理が、学術的基盤になっている。
・イスラームの聖典であるクルアーンはアラビア語でかかれていて、その論争は、本来の論理学と、アラビア語の文法の解釈からくるものとがある。それを言語神秘主義と、象徴文字論といっている。
・道元が再び登場する。「日本の生んだ最も偉大な哲学者のひとり」である道元の修行と悟りを軸として、自己とはなにか、世界とはどのようになりたつのかをかたっています。「自己をわするるといふは、万法証せらるるなり」。包括性、一貫性、透徹性、綿密性に富んだ道元の思想は、「正法眼蔵」を先駆として、西洋哲学と比較されていたことを語っている。
・ロシアの現代哲学、ロシアの知識人は、自らを、西洋哲学なのかそれとも東洋哲学なのか、という問いで悩みつづけている。ビサンチンに伝わった東方キリスト教は、ロシアにも伝えられで、西欧とはちがった発展をした。また、共産主義のもと、冷戦後は、近代の超克にも近い形での影響をうけた。
・イタリアの現代哲学は、フランスやドイツとちがって、国家の縛りをうけてこなかった。イタリアの哲学は、感性の学、思想からではなく、美学から出発していることを示される。
・ユダヤ哲学は、19世紀からのユダヤ人の西洋世界への同化の失敗と、大戦による、西洋的価値の崩壊という二重の危機に遭遇した。それゆえ、現代のユダヤ哲学は、西洋哲学を全面的に否定する。
・ナチスの農業政策については、アーリア人が森から平野にでてきた農耕民族であること「森への愛着」そして、血と土が語られてる。この場所のナチスの農業が挿入された理由はわからない。
・ポスト世俗化、チャールズ・テイラーを軸に、宗教と世俗の二分法がかたられている。
・モンゴル仏教について、共産主義を生き残ってきた僧侶については、現世の救済のためのシャマニズムとして生き残ったという話。宗教家ではなく、呪術師としてである。
・ジョン・ロールズの正義論がかたられています。脱西洋主義、聖徳太子の17条憲法、イスラームのサラディン王国、ネルソン・マンデラのタウンミーテイングが非西洋的な事例として紹介されている。
目次は以下の通りです。
はじめに
Ⅰ 世界哲学の過去・現在・未来
第1章 これからの哲学に向けて 「世界哲学史」全八巻を振り返る
1 「世界哲学史1 古代Ⅰ 知恵から愛知へ」
2 「世界哲学史2 古代Ⅱ 世界哲学の成立と展開」
3 「世界哲学史3 中世Ⅰ 超越と普遍に向けて」
4 「世界哲学史4 中世Ⅱ 個人の覚醒」
5 「世界哲学史5 中世Ⅲ バロックの哲学」
6 「世界哲学史6 近代Ⅰ 啓蒙と人間感情論」
7 「世界哲学史7 近代Ⅱ 自由と歴史的発展」
8 「世界哲学史8 現代 グローバル時代の知」
第2章 辺境から見た世界哲学
1 辺境から見た哲学
2 辺境とは何か
3 源泉としての辺境
4 哲学における辺境
5 非中心への希求としての世界哲学
第3章 世界哲学としての日本哲学
1 空海へのリフ
2 フィロロジー
3 世界崩壊と自我の縮小
4 古さはいくつあるのか
5 反復せよ、しかし反復してはならない
6 世界戦争と生
7 戦後の日本哲学の方位
第4章 世界哲学のスタイルと実践
1 哲学のスタイル
2 テクストと翻訳
3 世界哲学の実践
Ⅱ 世界哲学史のさらなる論点
第1章 デカルト「情念論」の射程
第2章 中国哲学情報のヨーロッパへの流入
第3章 シモーヌ・ヴェイユと鈴木大拙
第4章 インドの論理学
第5章 イスラームの言語哲学
第6章 道元の哲学
第7章 ロシアの現代哲学
第8章 イタリアの現代哲学
第9章 現代のユダヤ哲学
第10章 ナチスの農業思想
第11章 ポスト世俗化の哲学
第12章 モンゴルの仏教とシャーマニズム
第13章 正義論の哲学
あとがき
編・執筆者紹介
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本書は、第一次世界大戦後から、現代までの世界を描いています。
万能であった科学が破綻をし、幸福をもたらすだろうことか、災難をもたらしたのが、第二次世界大戦であった。
全体主義の台頭を許し、世界を分断に至らしめた状況に対して、深い反省のもと、その問いに答えるのが本書であることが冒頭に述べられている。
過去から現代へ、世界をめぐる哲学の旅はまだ終わっていない。
別巻があるので、シリーズの総括と、現代のさらなる論点はそこで語られる。これは、現代Ⅰと考えていただいたほうがいいかもしれない。
本書は、主義、論と、哲学者の名前、著者と、その概説でほぼ埋められていて、難解極まりない。所詮、数行で、哲学者が意図している思想を言語化できるはずもなく、その連綿とつづく、思想の系譜については、つながりや、共通点、差異についても説明が不十分と思われる。各章についても、併記されていて、関連性をもったものもあるが、基本的には独立しています。つまり、複数の書が、一定の関連性のものに一つにまとめられています。章末には、参考文献が紹介されているが、参考ではなく、ほんとうに内容を理解をするために必要な文献であり、必読文献と感じた。
気になったものは、以下です。
・論理実証主義(カルナップ)いわゆる分析哲学、論理・数学の主張は、分析命題であり、経験科学の主張は、総合命題である。
・二元論 分離的二元論(エア)⇒ヒュームの法則。ムーア、ミル:功利主義、ヴィトゲンシュタイン:論理哲学論考、哲学探究、クリプキ:規則のパラドクス)
⇒混合的二元論(クワイン、オースティン、サール、アンスコム)⇒化合的二元論(濃い倫理的概念:ウィリアムズ、サイモンブラックバーン:徳認識論
・20世紀前半のヨーロッパ大陸思想概観 ①独:新カント派 コーエン、リッケル ②墺:マッハ 論理実証主義が、ドイツ現象学 フッサール、ハイデガー、ベリクソンへつながっていく
⇒ポンティ、サルトルへ⇒、戦後、ベンヤミン、アドルノら、フランクフルト学派へ
・構造主義 ストロース、フロイト ⇒ラカン、レヴィナス ⇒社会哲学へ引き継がれ、フランス構造主義、ポストモダン主義への流れを生み出していく
・20世紀の流れ:経済的かつ政治的 資本主義:アメリカ と 共産主義:ソビエト連邦 へ移行していく
・ヨーロッパ世紀末的思想 クリムト、ランボー 、スペングラーの「没落する自意識」
・大衆社会を捉えた哲学者 西:ガセット、オルテガ 大衆は、自分自身を指導することも、社会を支配することもできない、大衆を批判的に見る。
・ベンヤミン:大衆を複製化された技術を受容する存在 ⇒フッサール:イーデンで現象学を創始。⇒実証主義的傾向から離れて、生活世界に根ざした本来の知の基盤に立ち返らなければならない⇒自然科学とその技術を過信した世界からの反省⇒ハイデガー:技術批判「存在と時間」、他ユンガー、ヘルダーリン
・仏:ポスト構造主義 リオタール、近世の理念である、進歩、平等といった「大きな物語」への懐疑、知の問題がより分散的、多元的になることをポストモダンと呼んだ。
差異と二項対立、ダブルバインド思考のドゥルーズ、デリダらポスト構造主義、アガンベン、フーコー:権力論、レヴィナス;他者と相対主義、メリヤスー:相関主義、非哲学的内在主義:ラフュエル、破壊的可塑性:マラブー。
・ジェンダー:女とは誰なのか
・人は女に生まれるのではない、女になるのだ。ボーヴォワール。
・解剖学上の性差(セックス)と身体に与えられた文化的社会的な意味(ジェンダー)との区分
・近代の「批評」を、現代において再定義する。ボードレール:フランス象徴主義、スウェーデンボルグ、フーリエ、ランボー、ラマルメら象徴の詩学、ベルクソンの記憶の哲学、サルトルの想像力の哲学、シュールレアレズム、実存主義、構造主義、ポスト構造主義は、批評と哲学の言葉に互いに共鳴しあっている。
・近代日本の批評を独自の書法で完成させたのが、小林秀雄。本居宣長⇒平田篤胤⇒折口信夫⇒井筒俊彦:日本が生んだ東洋解釈学の巨人⇒そして、小林秀雄
・イスラームのファルサファ=フィロソフィア:イスラーム世界の新プラトン主義:英知
・クルアーンとハディース:クルアーンはすでに確定しているテキストであるに対して、クルアーンは現在も校正をしつづけている規範。
・イスラームにとって、テキストの言葉は単なるその字義を理解することではなく、身につけて実践していくことである。
・現代イスラーム哲学とは、単なる翻訳されたテキストではなく、理解するためのもの。日本人は、「理解できない」、ただの日本文化の1つとして翻訳されたテキストとしての認識である。
・現代のイスラーム哲学:復古主義、伝統主義、近代主義、イクバール、ハーン、ファールーキー、ダラス
・中国の現代哲学:清朝末の西洋文化の中国への輸入期、文革後の1980年代の文化ブーム、改革開放
・昨今の中国の現代哲学の特徴、政治哲学への並々ならぬ関心である。1990年代は、リベラリズムから中国経済の大発展と大国化に伴って、国家主義の風潮が台頭してきた。
・「日本哲学」は、西洋と東洋の異質な文化が接触する中で多元的対話を行いながら発展してきた。西洋と神道、仏教、儒学、国学の知との蓄積。
・西周「哲学」:日本哲学の父、「理外の理」、船山信一:観念論、井上哲次郎:現象即実在論、西田幾太郎:日本型観念論の大成者
・仏教思想との融合:井上円了、「哲学一夕話」、「哲学の中道」、清沢満之
・西⇒井上⇒西田の連続性、純粋経験の哲学の継承の道。
・アジアの中の日本、20世紀末から停滞、衰退期へとはいった。
・明治日本で哲学が仏教と出会ったのと同様のことが中国大陸にもみられたことは、東アジア的哲学のある種の宿命を示している。
・西田幾太郎と、牟宗三は、近現代の東アジアを代表する哲学者と目される。それは、東アジア近代の共通課題としての哲学と仏教との結びつきを高いレベルで成し遂げたからである。
・丸山眞男、枝谷行人は、日本のポストモダン批判
・近代の超克(困難を乗り越え、それにうちかつこと):①自分たちは十分に近代化されている ②美化された伝統思想への根拠ない自信を前提としていた。
・敗戦後の日本にとって哲学とは、西洋の現代思想であり、それ以外ではなかった。
・アフリカ哲学 ①北アフリカのイスラーム哲学、②アフリカ出身であるが、欧米哲学の文脈で語ることができる哲学 ③サハラ砂漠以南の哲学
・タンペルのエスノフィロソフィー、コンゴの存在論、認識論
・ムビティのアフリカの時間概念
・まとめ:問題提起 ①グローバルな世界哲学というものがあり得るのか? ②現代の新しい地平 ラテンアメリカやアフリカの哲学との出会い
・一元論か多元論か、多元的世界観は、世界のうちなるあらゆる種類の断絶や対立を実在的なものとみなしつつ、それでも、それぞれの局面には隣接的なるものと同時に、連結的、連合的なものの存在の余地があることを承認する哲学である。
目次は以下の通りです。
はじめに
第1章 分析哲学の興亡
1 科学主義と「事実/価値」の分離
2 分離型二元論の展開
3 分離型二元論から混合型二元論へ
4 化合型二元論への道
第2章 ヨーロッパの自意識と不安
1 はじめに ヨーロッパ大陸思想概観
2 大衆社会と思想 オルテガとベンヤミン
3 実証主義および技術への懐疑
4 今日への課題 結論にかえて
第3章 ポストモダン、あるいはポスト構造主義の論理と倫理
1 フランスのポスト構造主義とその世界的影響
2 ポストモダンの論理
3 他者と相対主義
4 否定神学批判とその先へ
5 人間の終焉以後、ポストモダンの倫理
第4章 フェミニズムの思想と「女」をめぐる政治
1 ジェンダーは嫌われる アンチ・ジェンダーの時代に
2 人間と御名との間で 生物学的決定論から逃れる
3 女の多様性の再想像 本質主義論争から「ジェンダーであるセックス」へ
4 おわりに ふたたび、アンチ・ジェンダーの時代に
第5章 哲学と批評
1 批評を再定義する
2 意味の構造
3 無限の神、無限の意味
第6章 現代イスラーム哲学
1 はじめに
2 文化の翻訳と伝統イスラーム学
3 日本文化としての「現代イスラーム哲学」
4 イスラーム史におけるハディースの徒
5 オリエンタリズムとイスラームの現代
第7章 中国の現代哲学
1 はじめに
2 西学東漸と現代哲学の輝かしい黎明期
3 現代哲学の再登場と1980年代の文化ブーム
4 中国の現代哲学の新しい流れ
第8章 日本哲学の連続性
1 はじめに
2 観念論展開の起点
3 現象即実在論の確立
4 「日本型観念論」の完成と発展
5 おわりに 西・井上・西田の連続性
第9章 アジアの中の日本
1 思想的伝統という問題
2 東アジア的な哲学は可能か
3 美化ではなく共同の探究へ
第10章 現代のアフリカ哲学
1 はじめに 西洋中心主義の陰で
2 「暗黙大陸」の言説から汎アフリカ主義へ
3 アフリカに哲学はあるか
4 エスノフィロソフィーとその批判
5 現代のアフリカ哲学のテーマと傾向
6 まとめ
終章 世界哲学史の展望
1 「世界哲学史」全8巻を振り返って
2 世界と魂
3 多元的世界観へ
あとがき
編・執筆者紹介
年表
人名索引 -
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近代Ⅱ 自由と歴史的発展
本書は、19世紀の哲学を扱っています。
難解、つらかった。各哲学者の考えが断片的に紹介され、教科書的に並べられているのは、やむをえないか。
時代を下るにつれて、その登場人物も概念や事象も膨大に多くなっていく。連綿と続く思想の系譜と変遷は驚くほど複雑であり緻密である。
国や、キーワードが分散されているので、行ったり来たりしないといけない。
哲学者の考えを正確に理解するためには、オリジナル・テキストにちゃんと向き合わないとわからない。各巻末にある文献もそれらをつなぐキーとなっています。
気になったことは次です。
・ロマン主義というのは、ナポレオンに対抗したドイツの啓蒙主義思想である。ロマン主義はやがて西欧全体へと広がっていく。
・ヘーゲルのいう自由は、4つのステップで発展する。①中国、インド、②エジプト、中近東世界、③キリシヤ文明、④近代的西洋=キリスト教的ゲルマン人国家
・ダーウィンの進化論、「種の起源」。生物種に多様化を促すものは環境である。
・イギリス アダム・スミス 「国富論」分業という新しい富の生産方法が発展することによって公益と私益が調和し、自由経済論を推進するなら、全体として矛盾なく発展していく。
・ヘーゲル、フィヒテら、ポスト・カント時代の哲学者。フィヒテはフランス革命を賛美していたが、ナポレオンのドイツ侵攻に対して、反フランス的となり、「ドイツ国民に告ぐ」という講演を行った。フィヒテも国民国家としてのドイツをめざしたのである。カント 啓蒙君主:君主制⇒民主政への段階的移行 → フィヒテ いきなり民主政
・ドイツ観念論 カント から ヘーゲルへ。ヘーゲルの死は、哲学時代の終わりと、科学の時代の幕開けを意味する。
・ショーペンハウアーは、「哲学の時代」の哲学者としてすべてを説明しようとする体系哲学者である。存在論・自然哲学・美学・倫理学・宗教哲学を包括した「ただ一つの思想」を展開した。
・ショーペンハウアーの問い、「この世は生きるに値するのか」⇒自身が導いた答えは、”否”。だれも救済してくれない世界では、自立して自力で自分を救済しなければならない。
・フロイト ショーペンハウアー、ニーチェから影響を受ける
・ニーチェ ショーペンハウアーの問いに、”諾”と答えたい。が、ニーチェの出発点になった、「生の肯定」を目指した哲学者である。「神は死んだ」。それは神の否定ではない。神はすでに存在を否定されていて、いないのはわかっている。人間はどうしようもなく悪しき存在であり、世界は悪に満ちている。それを誰も救ってはくれないことを言っている。「神の影」を打倒するための新しい闘いなのだ。
・マルクス主義とは、政治的共産思想と、生産財の共有の経済思想を併せ持った考え方である。
・マルクスは、世界史を生産様式の変化として捉え、専制政治⇒民主政&貴族政⇒君主制 の次にくるのが、共産主義社会である。物質的諸条件を含めて唱えらえたのが、唯物史観である。
・マルクスの理論に、哲学的な意味を付加したのが、エンゲルスである。
・「共産党宣言」の骨子はブルジョア社会のなかで成長した生産力とブルジョア的生産関係との矛盾が深まり、恐慌として現象するとともに、プロレタリアートが賃金労働者として生活するために団結することを学びアオシエーションを形成していく。こうして、「階級と階級対立をともなう旧ブルジョア社会にかわって、各人の自由な発展が万人の自由な発展のための条件となるようなひとつのアソシエーションが現れる」。マルクスとエンゲルスの共著であり、1848に出版されている。
・アメリカ:進化論は、神による創造を否定するものとして、論争が生じた。功利主義 ベンサム⇒ミル
・プラグマティズムの発展:プラグマティズムとは実践のための哲学をいう。その発展は3段階になる。
①古典的プラグマティズム 19~20世紀にかけて パース、ジェイムス、デューイ
②ネオ・プラグマティズ 20世紀後半 クワイン、ローティ、パトナム プラグマティズムの精緻化
③ニュー・プラグマティズム 21世紀初頭 ミサック、ブランダム パースの再評価 テロ、経済格差、金融危機、環境、バンデミックなどの危機の克服
・実用的な知識学問を学校に適用した(料理、大工仕事)。問題解決のためのアプローチ、やがて、教育は民主主義に不可欠にプロセスになっていく。
・数学と哲学:ここに挿入されていることは違和感を感じる。いわゆる、「アーベル-ルフィニの定理」(5以上の任意の整数 n に対して、一般の n 次方程式を代数的に解く方法は存在しない)と、代数学の基本定理(次数が 1 以上の任意の複素係数一変数多項式には複素根が存在する)がでてくる。ラグランジュ⇒ガウス⇒アーベル⇒ガロアへの代数学の発展の系譜である。
さらに、アーベルールフィニの定理を証明するために発展した数学的概念として、関数解析、群論、それに続く、幾何学、解析学への応用としての、リー群、エルランゲンプログラム(学ぶべき幾何学の目録、射影幾何学、双曲幾何学、楕円幾何学など)が紹介されている。
・解析関数論に続いて、リーマンの業績が紹介される。リーマン面、楕円曲線、局面幾何学(=微分幾何学)、位相、多様体。集合論、群・環・体などが続いて紹介されていく。
・19世紀の数学は、概念記法、記号論理学などと相まって、厳格な公理化、形式化が施されていき、代数学、幾何学、解析学を複雑にからみあう包括的なアプローチがなされていく。
・フランス:フランス革命、ナポレオン帝政、七月王政から、第2共和政、第3共和政へ。観念学、クザン派、ラヴェッソン、ベルクソン
・近代インド:イギリスは、インドの宗教には手をつけなかった。ベンガル・ルネサンスによる新知識層の誕生。
・セキュラリズム(世俗主義)、スピチュアリティ(精神性・霊性)が同居する特異な国家。ラーマクリシュナによる神秘主義と、インドに空く穴。
・日本:文明開化、それは明治初期の西洋への同化運動。急速な西洋文化の吸収。文明の道徳性を説いた福沢諭吉、
・日本人にとって、鎖国状態からの黒船襲来、開国の流れの中で、西洋の風習、学術、技術などの文明のあらゆる異質な要素との接触を余儀なくされた経験をせざるを得なかった。
・文明開化への疑問。物質的な文明へ批判、西洋文化の上皮のみを模倣したものにすぎない。
・大東亜戦争、近代の超克。
目次は以下の通りです。
はじめに
第1章 理性と自由
1 はじめに
2 理性のロマン主義
3 進化と淘汰
4 第三の道
第2章 ドイツの国家意識
1 フランス革命とナポレオン
2 カントとフランス革命
3 フィヒテの政治哲学
第3章 西洋批判の哲学
1 西洋哲学の転回点
2 ショーペンハウアー
3 ニーチェ
第4章 マルクスの資本主義批判
1 マルクスと「マルクス主義」
2 哲学批判
3 経済学批判
第5章 進化論と功利主義の道徳論
1 人間の由来、道徳の起源
2 ベンサムの功利主義
3 ミルの功利主義
4 おわりに
第6章 数学と論理学の革命
1 はじめに
2 カントからフィヒテへ
3 代数方程式論からガロア理論へ
4 ガロア理論と群論の、関数論や幾何学、微分方程式論への拡がり
5 おわりに
第7章 「新世界」という自己意識
1 プラグマティズムとは何か
2 パース
3 ジェイムズ
4 デューイ
5 進化し続けるプラグマティズム
第8章 スピリチュアスムの変遷
1 スピリチュアスムの歴史的背景
2 メーヌ・ド・ビラン
3 クザン
4 ラヴェッソン
5 ベルクソン
第9章 近代インドの普遍思想
1 「近代」とインド、そして「宗教」
2 スピリチュアリティとセキュラリズム
3 ブラーフマ・サマージの系譜
4 近代インドに空く<穴> ラーマクリシュナと神
第10章 「文明」と近代日本
1 「文明開化」のゆくえ
2 西洋中心主義をこえるもの
3 19世紀の多面性
あとがき
編・執筆者紹介
年表
人名索引 -
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近代Ⅰ 啓蒙と人間感情論
本書は、18世紀の哲学を扱っています。
近代における西洋世界の文明上の優位は、17世紀の科学革命から始まり、18世紀の政治的な大革命、19世紀の産業革命と帝国主義的植民地化への加速して、地球全体の規模へ拡大した。
気になったことは次です。
・啓蒙とは、ものごとに通じていないこと、その無知をなくすこと、正しい知識を与えることである。
・西洋近代の啓蒙思想は、イギリスの名誉革命、アメリカの独立戦争、フランス革命らの変革のうねりに、バックボーンとしての役割を果たした。
・産業革命と帝国主義的植民地政策を通じて、啓蒙主義もまた、世界のすみずみまで伝播していく。
・17世紀にガリレオやデカルトが登場すると、自然理性の働きによる真理こそが、それまでのスコラ哲学やアリストテレス主義がもたらした、偏見、誤謬、迷妄、混乱から我々を全面的に開放するということが強調されるようになってきた。
・ルソーは、西洋近代民主主義の父として、カントは、道徳哲学の先駆者として知られる。
・カントは、「エミール」の中で、人間には良心という正義と美徳についての生得的な原理が備わっている。この原理を知るのは理性でなく感情である。という
・ヒューム曰く、「理性は情念の奴隷であり、そうであるべきである」。理性だけでは人間は行為の選択も善悪の判断も十分にはできないことを主張するとともに、極端な孤独、不安、絶望へと導きかねない理性の働きに自然な回復をもたらすのは、情念、すなわち感情であると主張した。
・西洋の懐疑論。大航海時代は、自らと別の文明があることに気付き、宗教改革によってカトリシズムとは異なる、プロテスタンティズムの可能性があること見出した。
・18世紀は、啓蒙の世紀である。また啓蒙を唱えた思想家たちが人間の理性を重んじたことから、「理性の時代」ともいわれる
・スミスは道徳感情論の中で、道徳感情の本性や起源について論じている。また、共感を論じている。
・人は、自分のうちに公平な観察者を想定し、この観察者の立場から自分を眺めることで自分について判断する。この想定された公平な観察者が良心にほかならない。
・スミスの道徳感情論は、現代のメタ倫理学につながっている。徳倫理学というのがあって、徳を道徳の原理とする考えは、幸福を道徳の原理とする「功利主義」や、義務を道徳の原理とする「義務論」に対抗する第三の立場として唱えられている。
・理性主義の対局にあるものは、感情主義であって、理性主義の人間観に異を唱える
・社会契約論は、アメリカ独立戦争に影響を与えたり、明治の自由民権運動に影響を与えた。
・スピノザの民主論は、市民全員から構成される共同体を主権者とみなすことである。この共同体は自分自身は法的に制限されることなく、市民に対して法律に従くことを要求する。
・ロックの社会契約論も自然状態における人々の性格という思考実験から始まる。
・ルソーにとって、近代社会とは、人々の間に不平等が進行していった到達点である。ルソーは、近代社会を私有に起因する腐敗の極みと見なしたが、だからといって社会生活を捨てて自然状態に回帰せよというわけではない。
・唯物論とは、世界に存在するものは、すべて物質的なものであるという考えであり、観念論とは、世界に存在するあらゆるものは、何らかの仕方で心的なものだという考え方である。
・カントは、神の存在証明を整理して3種類しかないとした上で、それぞれを批判し、そのどれもが成立しえないことを順次明らかにしていく。存在論的証明、宇宙論的証明、自然神学的証明の3つである。
・アメリカは独立宣言によって、独立戦争を、単なる本国対植民地の争いではなく、人間の権利を求める闘争へと昇華した。
・フランクリンの13の徳目は、節制、沈黙、規律、決断、節約、勤勉、誠実、正義、中庸、清潔、平静、純潔、謙譲である。
・フランクリンは徳目を唱えるだけにとどまらず、それを実際に身につける方法を考案している。フランクリンからすれば、いくら素晴らしい徳目を唱えても、それが実践されなければ無意味であった。
・フランクリンにとって理性とはただ物事を理解するために使われるのものではなく、人間の状況を改善するために実用的に使われるべきものであった。
・カントの純粋理性批判、実践理性批判とはなにか、観察・実験という経験的な手段によらない純粋な推論だけで、神、世界の限界、魂についての各門的認識が果たしてなりたつのかどうかを問う書である。
・啓蒙は、イスラーム世界にも、もたらされた。それは、ナブタとよばれて、啓示と理性の調和、寛容の精神などが論議された。それは、女性の解放、宗教と慣習の分離などの説により現代にとつながっている。
・中国については、孟子の感情の哲学。朱子学が理の学問であるに対して、理と情のバランスを孟子は唱えた。
・孟子は、情について、心を養うのに最もよいのは欲を少なるすることであると説く。情欲をほしいままにするのではなく、押し殺して無欲になるのではなく、少なくすることである。
・礼:孟子は人は、もとから善なる徳目が具わっているのだからではなく、人間らしく成長していくことができるからこそ性善であると説く。学んで成長することによって、善たる本性を認める。
一方、荀子は、対極的に性悪説を説く。人は生まれながらにして欲をもっており、それが争いにつながらないように礼が定められてそれによって「人の欲を養う」ことになる。熟慮を重ね、偽をくりかえすことによって礼が生まれ規範が生じるといっている。
・日本では江戸期において、「情」論が生じている。
・本居宣長は、「物のあはれをしる」とは、「物の心を知る」こと「事の心を知る」ことの2つだという。「物の心を知る」とは、たとえば花を見て美しい花だなと趣を理解することをいう。「事の心を知る」とは事の哀しい出来事があった時に悲しいと考え、悲しい出来事にあった人に対して、さぞ悲し過労とその心情を推し量り、ともに悲しむことを指す。
・他に江戸には、粋と、通という概念がある。
粋は水とも表記されあか抜けない山だしのガチ(月)=野暮に対して、水のように融通無碍な人品をさす
通は、人情に温和で様々な軋轢を丸く収める人をさす
情の中でも特別深いものは、恋の情であり、情の道といえば、恋の道、色の道を指す
目次は以下の通りです。
はじめに
第1章 啓蒙の光と影
1 はじめに
2 啓蒙における理性と感情
3 理性の闇
4 人間感情論の射程
第2章 道徳感情論
1 道徳感情論の形成
2 道徳感情論の展開
3 道徳感情論の完成
第3章 社会契約というロジック
1 17~18世紀のヨーロッパにおける社会契約論
2 ホッブズとスピノザ
3 ロックとルソー
第4章 啓蒙から革命へ
1 はじめに 「世界哲学史」のなかの啓蒙と革命
2 モンテスキューの専制批判
3 新たな政治的正統性の模索
4 革命と政治的自律の実現の困難
5 おわりに
第5章 啓蒙と宗教
1 ニュートンの自然神学
2 ニュートンとライプニッツ
3 ヒュームとカント
第6章 植民地独立思想
1 18世紀アメリカにおける啓蒙主義の受容
2 フランクリンの実用主義
3 ジェファーソンの自由主義
4 植民地独立思想の遺産
第7章 批判哲学の企て
1 批判哲学とは何か
2 「純粋理性批判」の問い
3 「実践理性批判」の問い
4 啓蒙と理性主義
第8章 イスラームの啓蒙思想
1 「時代の精神」の中の啓蒙思想
2 「他者」を鑑といて「自己」を知る
3 ナフダ第2世代における実践的な応答
4 第3世代における啓蒙派とその継承者たち
第9章 中国における感情の哲学
1 「中国のルネサンス」
2 性と情をめぐる中国哲学の議論
3 日常の中で学ぶこと
第10章 江戸時代の「情」の思想
1 「情」の解放?
2 儒学の「情」論
3 「物のあはれを知る」説と「粋」「通」
4 「人情」理解論と「振気」論
あとがき
編・執筆者紹介
年表
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中世Ⅲ バロックの哲学
本書は、14世紀から17世紀の哲学の展開を扱っています
この時代は、人類史上から見て1つの激動の時代であった。
大航海時代、活版印刷の発明普及、宗教改革、ルネサンス。宗教改革以降は、大学教育の大衆化とも相まって、哲学の世俗化、宗教からの隷属からの脱却が進んだ。
14世紀は、ペストの時代、ローマ教皇庁の凋落、15世紀は、ルネサンス、16世紀は、宗教改革と、大航海時代、17世紀は、バロックと、合理主義、哲学から科学が分離して発展していく。
デカルトはスコラ哲学の膨大な遺産を大量に保有し、その概念群を継承し、ライプニッツに引き継いだ。ライプニッツは、微分積分学を含めて、哲学の中から自然科学を立ち上げた。
気になったことは次です。
・バロックとは、スペインが大航海時の中で世界へと版図を広げる時代に、西洋において興隆した文化様式であった。
・15世紀は、ドイツなど中欧のみならず、東欧・北欧にまで大学が陸続と開学されていった。
・1492年イスラームの戦いに勝利したスペインは、レコンキスタといって、黄金の世紀を迎える。大航海時代は経済の急激な発展をもたらし、商業革命と、経済倫理の変更をもたらした。
・当時のキリスト教は元本以上に返済に利子を取ってはいけない倫理があった。
・15世紀以降、西欧の知的関心は、旧来の地理的境界を越えて、地球全体へと向かいはじめていた。
・人間や動植物への関心は、実験、観察や、数学的方法を用いて自然を探求する。自然学、自然哲学と呼ばれ、科学といて認識されるのは、19世紀の後半まで待たなければならなった。
・イエズス会がもたらした西欧の宗教・哲学は、日本では織豊時代、中国では明代後期に伝播されたが、いずれも、仏教の僧侶たちは、宣教師たちのもっとも強力は論敵になった。
・西洋でも、神学と哲学にも変化がもたらされた。アンセルムスは、「信じるのではなければ人が経験することはなく、経験するのでなければ人が知ることもない」
・グーテンベルクの活版印刷が、ヨーロッパに急速に普及したのは、アルファベットという文字が少なく印刷がしやすかったことによる。東洋は漢字が主体であったため、西洋のそれよりもゆっくりと普及していく。
・フランシスコ・ベーコンは、自然哲学を進めるにあたって、アリストテレスの哲学がほとんど役にたたない学問と批判した。
・スピノザは、神を奉じているが、神の奇跡を認めない。奇跡とは神が自然の法則をねじ曲げるることだが、スピノザにとって、自然の法則は、神の法則なので、奇跡を起こせば、自らに矛盾する。
自然の科学的探究こそ、真理認識への道であり、さらにそれが、人間の幸福につながるとするスピノザの哲学は、世界に関するわれわれの認識を大きく変革する活力をもつ。その影響は現代科学ににまで影響を及ぼした。
・ライプニッツが、方法のモデルとした科学理論は、結合法や代数学など多様である。分析や総合、三段論法やスコラの論理学などの伝統も尊重し、学問を改定していく。
・スピノザが記号的表象を誤謬的な認識をしたのに対し、ライプニッツは記号的思考によって数学的抽象の世界が開かれる。記号法は、事物の代わりに記号を置くことで、想像力や記憶力の負担から解放し、推論を可能とした。
最後の3章は、東洋哲学に対する考察だ。
・朝鮮哲学は、現在の窮境を脱して未来を志向するという性質をもつものが少なくない。単純化するのであれば、「人間および人間性、そして、その知性と道徳性に対するあくなき肯定と探求」
・「知性的・理性的かつ道徳的人間」以外の存在者へ対する感性は日本人よりはるかに低い。
・唐の時代に新羅が漢文化を積極的に取り入れたこと、明・清の脱朱子学化に対処するため朝鮮がいっそう朱子学化を推し進めたこと、中国との文明的、軍事的関係がなければありえなかった。一方、群島文明であるという脱大陸的、脱合理的な突拍子もない世界観をもつ日本がことも影響された。
・19世紀にあっても、シャーマニズム・アミニズム・儒教・道教・仏教を融合した東学のような思想的、宗教的アマルガムも登場する。
・朝鮮朱子学は、日本にも幕末の横井小楠らを通じて伝えられ、後年併合植民地の思想につながる「教育勅語」にも影響を与えたことは誠に皮肉といえる。
・儒教が自然そのもの、自然と人間社会との関係及び人間の実存状態などについて、西洋哲学と共通なものをもっている。
・儒教は、もともと、詩、書、易、礼、春秋の五経をベースとしている。
・宋代には、科挙によって個々人が平等なチャンスをもち、官僚になることができるようになり、四書(論語、大学、中庸、孟子)を重んじる朱子学が発展してきた。
・朱子学とは、自然の理を把握するための修養を行うことである。
・朱子学は、鎌倉時代に禅僧によって日本にもたらされた。朱子学は、徳川幕府によって、官学に採用されていく。これが江戸期前半であり、林羅山らが中心となっている。
・やがて、朱子学に違和感を持つ学者があらわれ、儒教古典そのものに学ぶ「古義学」があらわれる。荻生徂徠は、経書の再解釈を通じて、「聖人の道」の在り方を唱えた。これを「徂徠学」という
・徂徠学は、江戸の後期に様々な形で継承され、国学の形成や、蘭学への影響、幕末への国論へとつながっていく。
・清末になると、荻生徂徠と弟子である太宰春台の思想書「日本国志」が中国に伝わり、通信使を通じて朝鮮にも伝わった。
目次は以下の通りです。
はじめに
第1章 西洋中世から近世へ
1 西洋中世と近世
2 西洋の思想的地図
3 バロック哲学への未知
第2章 西洋近世の神秘主義
1 神秘主義と愛知
2 スペイン黄金世紀と神秘主義
3 アラビアのテレサ
4 十字架のヨハネ
第3章 西洋中世の経済と倫理
1 中世における経済思想
2 清貧と経済思想
3 オリヴィの経済思想
4 中世における経済と倫理
第4章 近世スコラ哲学
1 アリストテレス主義と大学における哲学
2 哲学の母胎、あるいは「註解者」アヴェロエスとその思想
3 三人の近世哲学者たち ポンポナッツィ、スカリゲル、メランヒトン
第5章 イエズス会とキリシタン
1 キリシタン時代におけるフィロソフィアの翻訳
2 理性の訳語としての「霊」
3 東アジアから西欧へ 理性と「理」
4 天主教批判からさらなる普遍の模索へ
第6章 西洋における神学と哲学
1 信と知の原風景
2 乖離する信と知
3 問題の再構成
第7章 ポスト・デカルトの科学論と方法論
1 バロック式方法の時代
2 ホッブズの方法と自然哲学
3 スピノザの方法と自然哲学
4 ライプニッツの方法と自然哲学
第8章 近代朝鮮思想と日本
1 朝鮮・韓国の哲学的位置
2 近代との関係
3 近代における日本との関係
第9章 明時代の中国哲学
1 元から明へ
2 陽明学の展開
3 キリスト教トイスラーム
第10章 朱子学と反朱子学
1 朱子学の誕生と展開 宋代中国から徳川日本へ
2 徳川日本における反朱子学の展開 徂徠学を中心に
3 東アジアにおける徂徠学の展開
あとがき
年表
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中世Ⅱ 個人の覚醒
本書は、12,13世紀の中世に光を当てる
「12世紀ルネサンス」という言葉があるこの時代は英雄譚や騎士道精神が誕生し、ヨーロッパのアイデンティティがしていく時代。
都市の発展、商業の成長、教育と大学の発達なヨーロッパは様々な面から大規模な発展を遂げていく。
自らが聖書をよみ、人々が個人に目覚めていく時代、哲学は、個人の救済という問題に向き合うようになっていく。
気になったことは次です。
・16世紀のルターらの宗教改革は、実は第2ステップであった。その原点は、15世紀にチェコがおきたフスの宗教改革だ。個人が聖書に向き合うための準備をしたのがこの時代だった。
・トマス・アクィナスの神学大全など、宗教が哲学を取り入れ、キリスト教信仰と理性が融和する壮大な体系が生み出されていく
・修道会の勉学への重視は、やがて、パリ大学の神学教授を占めるようになっていく。それが、修道会と、それに所属しない聖職者の間で論争になっていく。
・中世ヨーロッパの哲学の中心は、スコラ哲学であって、アリストテレスの関係で語られる。彼の著作を原点に哲学が発展していくことで、アリストテレスは、中世哲学者の教師であった。
・トマス哲学の争点は、存在と本質との区別である。
・ユダヤ教のトマス・アクィナスである、マイモニデスは、ユダヤ教と哲学を融合し、大全を著作した。そして「迷えるものの導き」で、宗教と哲学とのあるべき境界線を引いていく。その境界の中であれば、哲学として議論ができるという限界なのである。
・イスラーム世界へも、アリストテレスが伝播していく。ギリシア語からアラビア語へと翻訳された彼の書が、アヴィセンナという大哲学者のもとで、宗教と哲学の融和が起こっていくのである。
・すなわち、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教という3大一神教が、アリストテレスの哲学で体系化し、宗教と哲学が融合していく。これが12世紀のルネサンスである。また、それぞれの宗教で注釈書によって、その境界点がさだめられているのも、興味ぶかい。
本書半ばにて、再び、中世哲学への振り返りがはいる。西洋中世哲学は、理性と信仰とをごった煮した思想である、厳密には哲学とはとても言えないのだと。
・普遍論争の中で、実在論と、唯名論が西洋中世哲学から分離していく。「この世界に実在する個物のうちに、普遍が実在的に内在する」というテーゼをとる実在論に対して、「この世界に実在するものは、徹底的に個物でしかない」という立場を唯名論はとる。
・個人という意識の台頭により、哲学の世界にも、社会共同体論なる概念が生まれ、階層的な秩序構造や、共同体内の人間同士の関わり合いについても思考が及んでいく。
・東アジアでの動きについては、中国の朱子学と、日本の鎌倉仏教がのべられている。
・中国儒教にとって、科挙の再開と仏教との出会いが新しい転機である朱子学を生んだ。それは誰もが学問を修めることによって聖人に至ることができるというものだ。朱子学を「理学」とよび、
朱子学を批判する、陽明学を「心学」という。
・良知を致す 性善説で心の働きに重きを置く、陽明学は、格物窮地たる知の追求を行う、朱子学を鋭く批判する。しかして、本書は、近代以降の学問研究において、学を窮めるということに
ついては、朱子学の「窮理」が受け継がれているのではないかとの示唆をおこなっている。
・日本では、平安時代から続く、顕密仏教から離れて、「顕密、浄土、禅」というキーワードで、仏教界に巨人が多数現れる。
・法然、聖道門と、浄土門の2つの教えから、末法の時代にあったものは、浄土門であり、方法も、正しい行、正行と、雑多な行、雑行があり、正行は、南無阿弥陀仏と、称名をとなえることと主張した。
・弟子親鸞は、阿弥陀本願の第18願である、全ての衆生は本願が成就しているのですでに阿弥陀仏に救われているとの立場に立つ。法然のそれを、念仏為本というのに対し、信心為本という
・達磨を祖とする禅宗も興隆した。栄西は、興禅護国論を著し、天台と密教の混然一体になった仏法をといた。
・禅宗は、五山と林下に分かれたが、幕府の庇護のもと、京都と、鎌倉に寺院をおいた五山が栄えた。
・道元は、正法眼蔵を著し、その中で、自己を忘れることが大事であることを解く。臨済禅として伝わった十牛図の考えとも関連しているのだろうか。
・日本でも、仏教と神道との融和が起こり、仏教側が神祇との関係を模索し、神身離脱や、仏教擁護、神仏隔離などの主張に対して、鎌倉仏教は新しい回答を用意した。神は本来心の外に存在するものであったが、それが心の中に入りこんだという。西洋では、哲学が果たした、融合を、密教が胎蔵した膨大なテキスト群を有する仏教が果たしている。この関係は、明治まで続いていく。
目次は以下の通りです。
はじめに
第1章 都市の発達と個人の覚醒
1 13世紀と哲学
2 都市という集住形式
3 中世における個体と個人
第2章 トマス・アクィナスと托鉢修道会
1 トマスの思想体系の基本的特徴
2 托鉢修道会の基本的特徴
3 パリ大学と托鉢修道会
第3章 西洋中世における存在と本質
1 歴史の中の中世哲学
2 存在と本質
3 本質と形而上学
第4章 アラビア哲学とイスラーム
1 イスラーム地域への哲学の伝播
2 アヴィセンナによる哲学統合プロジェクト
3 宗教と哲学の対立
4 その後の展開
第5章 トマス情念論による伝統の理論化
1 基本概念と思想源泉
2 多様な情念をどう理解するか
3 情念論の目的と背景
第6章 西洋中世の認識論
1 「志向性」の問題
2 光学と志向性
3 感覚認識
4 知性認識
第7章 西洋中世哲学の総括としての唯名論
1 西洋中世哲学と普遍論争
2 唯名論的な哲学がもつ二つの特徴
3 唯名論的な哲学の現場 オッカムとビュリダン
第8章 朱子学
1 中国儒教の再生と「個人の覚醒」
2 心学としての朱子学
3 理学としての朱子学
4 朱子学から考える
第9章 鎌倉時代の仏教
1 全体図
2 顕密仏教の営み
3 新たに登場する諸宗
4 まとめ
第10章 中世ユダヤ哲学
1 異邦の思想
2 マイモニデス 中世ユダヤ哲学の頂点
3 ユダヤ教文化のなかの哲学へ
あとがき
編・執筆者紹介
年表
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古代Ⅱ
紀元前1世紀から紀元後6世紀までの古代を俯瞰するのが本巻です。
わかりにくい、行ったり来たりしたり、章の中でも段落間の関係が不明瞭
気になった言葉は次です。
・西洋の古代は、西ローマ帝国の滅亡までであるが、中国、インドには、明瞭な歴史区分はない。
・学園アカデメイヤをつくったのは、プラトンから始まる。
・一民族、一地域を超えた広まった宗教を世界宗教とよぶ。それはどちらかというと、教義に普遍性というよりも、経典の翻訳といった観点から考えるのが望ましい。
・ローマの哲学者の初期の、中核はキケロである、キケロは懐疑派の一員として、ギリシア哲学かラテン語化を促進した
・ローマ哲学者の代表は、セネカ、エピクテトス、マルクス・アウレリウスである。
・新約聖書は、初期はすべてギリシア語でかかれていた。
・イエスは、キリスト教の創始者としてではなく、メシアとして旧約における律法や、予言を完成しようとした最後のユダヤ教の予言者であったために、イエスの教えである新約聖書とともに、旧約聖書がともになければならなかった。
・コンスタンティヌス大帝は教会の一致を図ろうと、ニカイヤ公会議を主催し、テオドシウス帝も同じくコンスタンティノープル公会議を開催した。
・キリスト論論争とは、キリストが神であり同時に人であることをどう理解すればいいのかを争った論争であり、西ローマ帝国が滅亡するまで結論がでなかった。
・大乗仏教は、空思想、唯識思想、如来蔵思想をかがげていて、初期仏教とどこで、上座部仏教と分かれたが長年議論となっていた。大乗仏教教団については、初期段階ではそのような教団は存在することなく、大乗仏教のテキストのみが存在していたことが判明した。その後は、5百年の空白ののち、ようやく大乗仏教教団が現れるのである。
・ヘーゲルらは、中国を漢を出発とする連綿と続く、儒教国家とみなしていて、古典中国とよび、その停滞性を論じている。
・中国の統一を、大一統とよび、中国を支配する皇帝のもつ権力は、天命を受けた聖なる天子の統治という権威が正当化した。
・中国の統一は、韓非を中心とする法家によって、秦の時代の準備された。その後前漢の時代に董仲舒により、五経をもとに儒教が国教化されて中国王朝の基礎になっていく。
・王莽の新の混乱から、光武帝の後漢、三国志の時代に、儒教が受け継がれていくことを書は語っています。
・後漢の末に中国に伝来した仏教は道教とぶつかっていく。道教も後漢の末に端を発していて、荘子、老子、易をテキストとしている。魏晋後に、中国は南北に分かれて、華北と、江南にそれぞれの文化圏が形成されると伝来した仏教も、独自に発展を遂げていく。華北の仏教が鳩摩羅什(旧訳)、玄奘(新訳)にて膨大な訳経作業が始まった。一方江南では、儒教とぶつかることになる神滅不滅論争が起きている。
・キリスト教は、3~6世紀に、ペルシアに伝わりゾロアスター教と、マニ教となる。それぞれの特徴は、二元論である。本書は、マニ教を厭世的二元論といい、ゾロアスター教を楽観的二元論といっている。
・プラトン主義:プラトンが設立した学校アカデメイヤについてプラトン主義の特徴とする。プラトン哲学を受け継いだプラトン主義者たちは、ローマでキリスト教が国教化されると、異教となり
哲学者たちの命も危険にさらされるようになる。プラトン主義者は、プラトンの著書を9つの4部作としてまとめ後世に伝えた。
・キリスト教の東方伝播のプロセスを東方教父という形でかたっている。東方教父とは、東ローマ帝国で活躍したギリシア・ヘレニズム文化に精通した学者をいう。東方教父は、ギリシアの修辞学や哲学の豊かな教養を三位一体論争において縦横に駆使して枢要な哲学概念にも新しい命を吹き込んでいく。
・一方、西のラテン教父は、新約聖書などのギリシア語から、ラテン語への翻訳らを通じてキリスト教神学を主導していく。ラテン教父の活躍は、イタリア、シチリアと北アフリアである。
目次は、以下の通りです。
はじめに
第1章 哲学の世界化と制度・伝統
1 古代とは何か
2 哲学と非哲学
3 学校と学派
第2章 ローマに入った哲学
1 トガを着た哲学
2 ローマ哲学事始
3 ラテン語による哲学
4 生の技法としての哲学
第3章 キリスト教の成立
1 哲学史の中の古代キリスト教
2 キリスト教のギリシア化 グノーシス主義と護教家
3 キリスト教の教義の歴史 小史
4 哲学としてのキリスト教
第4章 大乗仏教の成立
1 本章の問題系 歴史哲学としての問い
2 大乗教団の不在とテクストとしての大乗仏教
3 大乗経典研究と歴史研究
第5章 古典中国の成立
1 古典中国とは何か
2 法家から儒家へ
3 儒教国教化の完成
第6章 仏教と儒教の論争
1 仏教伝来
2 魏晋玄学
3 華北と江南の仏教
4 神滅不滅論争
第7章 ゾロアスター教とマニ教
1 世界哲学史と3~6世紀のペルシア
2 ザラスシュトラの一神教的二元論
3 マニ教の厭世的二元論
4 ゾロアスター教の楽観的二元論
第8章 プラトン主義の伝統
1 前一世紀から後六世紀までのプラトン主義
2 注釈の伝統
3 プラトン主義の基本思想
4 プラトン主義を生きる
第9章 東方教父の伝統
1 教父以前
2 東方教父におけるキリストの神性をめぐる論争
3 神に似ることと神化
第10章 ラテン教父とアウグスティヌス
1 はじめに アウグスティヌスの神の探求
2 内的超越
3 善悪二元論と、自由意志
4 原罪・根源悪と人類の絆 -
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古代Ⅰ
世界哲学とは、西洋哲学を包含し、世界の知的営為を俯瞰する、試みであり、日本が打ち出した理念である。
ナチスの台頭により、分断された世界に絶望したヤスバースは、哲学的自伝において、世界哲学へと進んでいく。それを継承したのが、日本の世界哲学である。
気になった言葉は次の通りです。
・枢軸の時代、中国、インド、メソポタミアにおける文明のうねりを、枢軸の時代として捉える。
・メソポタミアとは、2つの河の間という意味、チグリス、ユーフラテスの間の土地である。
・メソポタミア下流で誕生した、楔形文字は、紀元前3000年から、紀元100年もの間、メソポタミアの言葉であり続け、やがて、その知恵はギリシャへ引き継がれていく
・ユダヤのアッシリアへの捕囚によって、メソポタミア文化、および、ギリシャ文化が旧約聖書に反映されていく
・ヘブライ語で記された39の書物が、旧約聖書としてまとまっていく、その文学形式は、教訓、対話、そして、格言である。
・フィロソフィア:哲学が意味するもの。フォレオ(愛する)+ソフィア(知恵)=知を愛すること、が哲学の意味である。
・ギリシャ哲学は、ピタゴラスに始まる。
・ギリシャ哲学は、ソクラテス以前、ソクラテス以後、そして、ヘレニズム時代の3つに分かれている。
・無知の知:ソクラテス。プラトンとアリストテレスは、プラトンの言葉を後世に伝えたのみ、ただ学校を作って、哲学を後世に引き継いだ功績は大きい
・ヘレニズム:アリキサンダー大王がギリシアとペルシャ、インドをつなぐ重要な文化の交流路を作り上げた。
・ヘレニズム哲学 ストア派、エピクロス派、懐疑派、3つの学派が、やがて、ギリシャ哲学をローマへの引き継いでいく
目次は以下です。
序章 世界哲学史に向けて
第1章 哲学の誕生をめぐって
1 枢軸の時代
2 始まりへの問い
3 哲学への問い
第2章 古代西アジアにおける世界と魂
1 古代メソポタミア文明
2 世界
3 魂
4 学知の伝統と学識者
5 古代メソポタミアにおける世界と魂
第3章 旧約聖書とユダヤ教における世界と魂
1 旧約聖書と「哲学」
2 世界の創造と秩序
3 人間の魂
第4章 中国の諸子百家における世界と魂
1 世界と魂の変容
2 スコラ哲学、修験道、そして仏教との連絡
3 儒家の世界論と魂論
第5章 古代インドにおける世界と魂
1 世界哲学史の中のインド哲学
2 世界の魂について
3 叙事詩における「魂について」
第6章 古代ギリシャの詩から哲学へ
1 哲学発祥の地としての古代ギリシア
2 誰が哲学者なのか
3 詩から哲学へ
第7章 ソクラテスとギリシア文化
1 世界から魂へ
2 民主政ポリスの哲学者ソクラテス
3 魂への配慮
第8章 プラトンとアリストテレス
1 古代期ギリシアの遺産
2 プラトン
3 アリストテレス
第9章 ヘレニズムの哲学
1 ヘレニズム哲学のイメージ
2 ストア派
3 エピクロス派
4 懐疑派
第10章 ギリシアとインドの出会いと交流
1 異文化交流が実現した歴史的背景
2 ピュロンにおけるインド思想との接触
3 アショカ王碑文における両思想の融合
4 対話篇としての「ミリンダ王の問い」 -
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タレスからシノペのディオゲネスまで、古代ギリシャで活躍した思索家たちの生涯や思想、その受容を徹底的に掘り下げている。最新の研究をふんだんに取り込んで、これまで教科書的に教わってきたものとは違う、彼らの実像のようなものを見せてくれる。なお続巻があり、この一冊だけですべての哲学者を紹介していない。安易なソフィスト批判を避け、プラトン、アリストテレスの新しい解釈が行われ、あまりこの時代に詳しくない読者からすると新鮮な読書体験になった。また初めて聞く哲学者の名前も多く、その数も多いことから、今後は机上に置いて辞書として使うこともできる。古代ギリシャは遡れる限りで西洋哲学の起源として、現在でも多くの研究がなされている時代だ。2300年近い、過去のことであるにもかかわらず、なぜこうも人の関心を寄せるのか。この本を読むとある程度はその理由が分かってくる。つまり、この時代に哲学者たちが行った自然や社会、人間の根源的な問いかけは時代や地域を超えて、ときには変相を遂げながら常に西洋哲学の思考の中心にあり続けたということである。ホワイトヘッドの「西洋哲学はすべてプラトンの脚注に過ぎない」という言葉は大袈裟だが、しかし以降の哲学者たちが格闘してきた相手のなかに、古代ギリシャ人がいたことを否定するのは難しいだろう。そして明治以降、積極的に西洋哲学の輸入に努めてきたわれわれ日本人もまた、この例外に漏れることはない。だからこそ、彼らの思想を学ぶことは、今われわれが当たり前のように考えている何某かの問題の起源に立ち戻ることであり、もっと言えばわれわれの考える形式そのものの歴史的な系譜を探ることにもなる。人間は何を考えて生きてきたのか、変わった点もあれば、決して変わらない点もある。こうした歴史を知らなければ、少なくとも哲学という営みを明敏に行うことは難しいだろう。