納富信留のレビュー一覧

  • カントからヘーゲルへ 新版

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    カントに始まるドイツ観念論は、神=絶対者=無限という概念を介して、人間の外部から認識され内部に構成された現象の世界と、認識されない物自体の他性と、その双方に通底する真実在をそれぞれを把握しようとする試みなのだと理解した。世界は、認識可能な自我~〈世界〉と、認識の及ばない非我~物自体と、双方に根底する絶対的自我~〈大地〉に大別される。

    フィヒテは自我と非我を対置する先験哲学を重視し自然は自我による構成物とした。自我の根底には絶対的自我があり、絶対的自我の〈他〉を許さず全体性を突き詰め無限さえ〈同〉に内包して神と合一しようとする作用が、自我の根源的作用である。しかし神と異なる有限者は同化作用に対

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    2025年10月09日
  • ソクラテスの弁明

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    「息のつづく限り、可能な限り、私は知を愛し求めることをやめません」
    「毎日議論をすること、これはまさに人間にとって最大の善きことなのです。」
    最後のところはソクラテスの呪詛のように感じた。今も我々がソクラテスの呪い、哲学の中にいるように。
    でもある意味、ソクラテスがあそこで死刑となったからこそ我々が今も哲学しているとも言える。終わらなかったからこそ。
    ソクラテスの子らよ。

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    2025年09月15日
  • ソクラテスの弁明

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    初めはこのような裁判形式の話だと思わず、斬新で何より語り口調だったのは読みやすいと感じる大きな点だった。語り口調だとはいえ内容や語彙は難しく、新しく学ぶことができた。無知を知っているのではなく無知であることを分かっているというのが正しいニュアンスだったことは驚いた。哲学書は初めてだったので他の本も読みたいと感じた。

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    2025年09月14日
  • ソクラテスの弁明

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    ソクラテスが語る「無知」とは、単に知らないことではなく、私益や欲にとらわれ、自ら進んで見ようとしない態度。

    人は欲望や立場に飲み込まれると、あえて真実から目をそらし、無知を選んでしまう。だからこそソクラテスは「自分が無知であることを自覚する」ことの重要性を説いたのだと思う。

    現代でも、自分の利益や欲ばかりを優先する場面は多い。その中で「知らないことを知らない」と認める姿勢を持つことが、人として誠実に生きるために大切だと感じつつ、バカを演じる方が得をするのは現代でも同じだなと感じた。

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    2025年08月18日
  • ギリシア哲学史

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    哲学者の特徴や違いを分かりやすく、かつあまり誇張し過ぎないように気を遣って書いていてとても良かった
    哲学者が残した書はこれから読むつもりだが、これを始めに読む事で印象に偏りなく受け取れそうでそういった点も助かると感じる
    ページ数は多いが入門書として最適ではないだろうか

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    2025年06月24日
  • ソクラテスの弁明

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    ソクラテスが「不敬神」の罪で裁判にかけられ、弁明をしていく。非常に読みやすく解説も丁寧なので古典という感覚を感じることなくスラスラ読めた。

    「アテナイの皆さん、今まで述べてきたことが真実であり、皆さんにすこしも隠し立てせず、ためらうことなくお話ししています。しかしながら私は、まさにこのこと、つまり、真実を話すということで憎まれているのだということを、よく知っています。そして私が憎まれているのというまさにそのことが、私が真実を語っていることの証拠でもあり、そして、私への中傷とはまはにこういうもので、これが告発の原因であるという証拠でもあるのです。」p24

    この一文が私は特に印象深い。
    真実を

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    2025年05月18日
  • 哲学史入門Ⅰ  古代ギリシアからルネサンスまで

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    口語体で書かれている哲学入門書
    表現はわかりやすいもののやはり哲学史自体の難しさによって内容は難しいなと思う

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    2025年01月05日
  • 哲学史入門Ⅰ  古代ギリシアからルネサンスまで

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    哲学史シリーズの第1巻ということでギリシア哲学からルネサンス哲学までを説明している。中世哲学やルネサンス期の哲学はとっつきにくいと思っていたが、インタビュー形式により対話の中で各時代の代表的な哲学者の「つかみ」をうまく説明している。
    ソクラテスの「無知の知」は誤訳で「不知の自覚」が正しいという説明には納得がいったし、読者の興味を引き出すようによく工夫されている。
    ブックガイドもついているので、興味を持った時代の哲学や哲学者があれば、さらに読み進めることができる。初心者にやさしい本である。

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    2024年12月25日
  • 世界哲学のすすめ

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    『世界哲学史』(全九巻)の振り返りとして,哲学の構成要素やアフリカ・アジアの組み込みなどを考える本。

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    2024年07月05日
  • 哲学史入門Ⅰ  古代ギリシアからルネサンスまで

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    章の最初にイントロダクションがあって注目ポイントがわかるのと、聞き書きのインタビュー形式なのとで、とてもわかりやすいです。

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    2024年05月07日
  • ソクラテスの弁明

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    自分の死(死刑判決)をもって自らの哲学を体現するという哲学者としての生き方がまさに「徳」と感じた。この作品から感じること、考えることを発信することは野暮な気はするが、言葉一つでここまで心を動かせることに感銘を受けた。 同世代の友達はこれを読んで何を思うだろうか。

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    2024年02月09日
  • 世界哲学史 別巻

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    本書は、世界哲学史シリーズのふりかえりと、シリーズで語られなかった漏れを補完することが目的である。

    見た目、各章の流れや、並べ方については、どうして、そうなっているのは、理解できませんでした。読むの長い時間がかかってしまいました。

    <ふりかえり>

    古代Ⅰ 世界と魂がテーマであった。世界哲学の始点をどこにおくか、それはギリシアである。哲学とは、ギリシアから始まる大系であることを始点におく。
    古代Ⅱ ギリシアからローマへの流れとキリスト教の成立が軸となる。この時期に世界宗教が成立したことを捉えて、その成立には、聖なるテクストの整備が必要であったことを論じる。
    中世Ⅰ 中世のはじまりと、古代が

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    2022年11月17日
  • 世界哲学史8 ──現代 グローバル時代の知

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    本書は、第一次世界大戦後から、現代までの世界を描いています。
    万能であった科学が破綻をし、幸福をもたらすだろうことか、災難をもたらしたのが、第二次世界大戦であった。
    全体主義の台頭を許し、世界を分断に至らしめた状況に対して、深い反省のもと、その問いに答えるのが本書であることが冒頭に述べられている。

    過去から現代へ、世界をめぐる哲学の旅はまだ終わっていない。
    別巻があるので、シリーズの総括と、現代のさらなる論点はそこで語られる。これは、現代Ⅰと考えていただいたほうがいいかもしれない。

    本書は、主義、論と、哲学者の名前、著者と、その概説でほぼ埋められていて、難解極まりない。所詮、数行で、哲学者

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    2022年11月09日
  • 世界哲学史7 ──近代II 自由と歴史的発展

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    近代Ⅱ 自由と歴史的発展

    本書は、19世紀の哲学を扱っています。

    難解、つらかった。各哲学者の考えが断片的に紹介され、教科書的に並べられているのは、やむをえないか。
    時代を下るにつれて、その登場人物も概念や事象も膨大に多くなっていく。連綿と続く思想の系譜と変遷は驚くほど複雑であり緻密である。
    国や、キーワードが分散されているので、行ったり来たりしないといけない。
    哲学者の考えを正確に理解するためには、オリジナル・テキストにちゃんと向き合わないとわからない。各巻末にある文献もそれらをつなぐキーとなっています。

    気になったことは次です。

    ・ロマン主義というのは、ナポレオンに対抗したドイツの

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    2022年11月03日
  • 世界哲学史6 ──近代I 啓蒙と人間感情論

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    近代Ⅰ 啓蒙と人間感情論

    本書は、18世紀の哲学を扱っています。

    近代における西洋世界の文明上の優位は、17世紀の科学革命から始まり、18世紀の政治的な大革命、19世紀の産業革命と帝国主義的植民地化への加速して、地球全体の規模へ拡大した。

    気になったことは次です。

    ・啓蒙とは、ものごとに通じていないこと、その無知をなくすこと、正しい知識を与えることである。
    ・西洋近代の啓蒙思想は、イギリスの名誉革命、アメリカの独立戦争、フランス革命らの変革のうねりに、バックボーンとしての役割を果たした。
    ・産業革命と帝国主義的植民地政策を通じて、啓蒙主義もまた、世界のすみずみまで伝播していく。
    ・17

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    2022年11月01日
  • 世界哲学史5 ──中世III バロックの哲学

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    中世Ⅲ バロックの哲学

    本書は、14世紀から17世紀の哲学の展開を扱っています

    この時代は、人類史上から見て1つの激動の時代であった。
    大航海時代、活版印刷の発明普及、宗教改革、ルネサンス。宗教改革以降は、大学教育の大衆化とも相まって、哲学の世俗化、宗教からの隷属からの脱却が進んだ。
    14世紀は、ペストの時代、ローマ教皇庁の凋落、15世紀は、ルネサンス、16世紀は、宗教改革と、大航海時代、17世紀は、バロックと、合理主義、哲学から科学が分離して発展していく。
    デカルトはスコラ哲学の膨大な遺産を大量に保有し、その概念群を継承し、ライプニッツに引き継いだ。ライプニッツは、微分積分学を含めて、哲

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    2022年10月29日
  • 世界哲学史4 ──中世II 個人の覚醒

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    中世Ⅱ 個人の覚醒

    本書は、12,13世紀の中世に光を当てる

    「12世紀ルネサンス」という言葉があるこの時代は英雄譚や騎士道精神が誕生し、ヨーロッパのアイデンティティがしていく時代。
    都市の発展、商業の成長、教育と大学の発達なヨーロッパは様々な面から大規模な発展を遂げていく。
    自らが聖書をよみ、人々が個人に目覚めていく時代、哲学は、個人の救済という問題に向き合うようになっていく。

    気になったことは次です。

    ・16世紀のルターらの宗教改革は、実は第2ステップであった。その原点は、15世紀にチェコがおきたフスの宗教改革だ。個人が聖書に向き合うための準備をしたのがこの時代だった。

    ・トマス

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    2022年10月27日
  • 世界哲学史2 ──古代II 世界哲学の成立と展開

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    古代Ⅱ
    紀元前1世紀から紀元後6世紀までの古代を俯瞰するのが本巻です。
    わかりにくい、行ったり来たりしたり、章の中でも段落間の関係が不明瞭

    気になった言葉は次です。

    ・西洋の古代は、西ローマ帝国の滅亡までであるが、中国、インドには、明瞭な歴史区分はない。
    ・学園アカデメイヤをつくったのは、プラトンから始まる。
    ・一民族、一地域を超えた広まった宗教を世界宗教とよぶ。それはどちらかというと、教義に普遍性というよりも、経典の翻訳といった観点から考えるのが望ましい。
    ・ローマの哲学者の初期の、中核はキケロである、キケロは懐疑派の一員として、ギリシア哲学かラテン語化を促進した
    ・ローマ哲学者の代表は

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    2022年10月24日
  • 世界哲学史1 ──古代I 知恵から愛知へ

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    古代Ⅰ 
    世界哲学とは、西洋哲学を包含し、世界の知的営為を俯瞰する、試みであり、日本が打ち出した理念である。

    ナチスの台頭により、分断された世界に絶望したヤスバースは、哲学的自伝において、世界哲学へと進んでいく。それを継承したのが、日本の世界哲学である。

    気になった言葉は次の通りです。

    ・枢軸の時代、中国、インド、メソポタミアにおける文明のうねりを、枢軸の時代として捉える。

    ・メソポタミアとは、2つの河の間という意味、チグリス、ユーフラテスの間の土地である。
    ・メソポタミア下流で誕生した、楔形文字は、紀元前3000年から、紀元100年もの間、メソポタミアの言葉であり続け、やがて、その知

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    2022年10月22日
  • ギリシア哲学史

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    タレスからシノペのディオゲネスまで、古代ギリシャで活躍した思索家たちの生涯や思想、その受容を徹底的に掘り下げている。最新の研究をふんだんに取り込んで、これまで教科書的に教わってきたものとは違う、彼らの実像のようなものを見せてくれる。なお続巻があり、この一冊だけですべての哲学者を紹介していない。安易なソフィスト批判を避け、プラトン、アリストテレスの新しい解釈が行われ、あまりこの時代に詳しくない読者からすると新鮮な読書体験になった。また初めて聞く哲学者の名前も多く、その数も多いことから、今後は机上に置いて辞書として使うこともできる。古代ギリシャは遡れる限りで西洋哲学の起源として、現在でも多くの研究

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    2022年08月20日