関口英子のレビュー一覧

  • 月を見つけたチャウラ~ピランデッロ短篇集~

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    イタリアのノーベル賞作家。最近またじわじわとイタリア文学ブームが自分の中でキテる。皮肉がきいた短編集。「ひと吹き」が好きだった。

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    2018年12月18日
  • 神を見た犬

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    ネタバレ

    イタリアの作家ブッツァーティの短編集。「タタール人の砂漠」が非常に良かったので読んだ。「タタール人の砂漠」ほどは揺さぶられなかった。

    幻想的な雰囲気が漂う作品が多い。時代設定が少し昔だったり、物語の舞台が田舎がだったりすることで、今自分がいる世界とは地続きのようだが実際に見たことはない世界のストーリーとして感じられるからだと思う。
    特に「護送大隊襲撃」は、ヘミングウェイの「敗れざる者」を彷彿とさせる佳作だと感じた。


    護送大隊襲撃
    捕らえられた山賊の首領プラネッタが(微罪のみしか問われなかったことから)3年後に釈放される。しかし刑期に衰えた彼を昔の仲間が迎えることはなかった。一人過ごしてい

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    2018年11月29日
  • 猫とともに去りぬ

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    話がある程度進んでから「じつは◯◯だったのだ」と明かされて「おいおい」。
    けれど「おいおい込みで受け入れてしまえばいいのだ」のわかったら、やたらおかしくなってきた。

    そっかそっか。
    そのままケタケタしたり、皮肉だか風刺だかにも気づけばそれはそれでニヤリとしたり。
    基本子ども、時々おとな。自然、そんな読み方となり、私にはそれがよかった。

    イタリアのユーモアあふれる一冊。
    絵本のページをめくるのに似た感覚も。

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    2018年09月23日
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳

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    ゆっくりと丁寧に語りかける感じ。児童文学のテイスト。寓話的。それでいて結末が幾つかある。そうすると描かれていたことの意味合いに違いが生まれるなどを体感できる。自分なりにあれこれ考えられる余白と選択肢のある作品。

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    2017年12月18日
  • 古代ローマ人の24時間 よみがえる帝都ローマの民衆生活

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    紀元115年、トラヤヌス帝治下のとある火曜日、150万都市ローマの暮らしを日の出前から午前0時過ぎまで、時間と場所を細かく見ていく。特権階級の戸建て、集合住宅の借家事情、家電代わりの奴隷たち。商店や街並み、道路の喧騒、路上の学校。コロッセウムでの公開処刑、剣闘士。浴場、饗宴。

    遺跡としてではなく、リアルタイムな暮らしがあり、そしてその暮らしそのものが興味深かったです。

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    2017年11月25日
  • ふたつの海のあいだで

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    昔デュマが立ち寄り手稿を置いて行ったイタリア南部の旅館、いちじくの館。消失してしまった館の再建を試みるジョルジュ・ベッルーシは、いがみあう一族に復讐し逮捕されてします。年を取り釈放されたジョルジュ・ベッルーシは再び館の再建に乗り出す。
    イオニア海とティレニア海から吹きあがる風のように熱烈な人生を、孫のフロリアンの眼を通して描いていく。

    北の民族と南の民族。そんな違いが実感できない日本人にとって、こだわりが不思議な気持ちさえする。
    後半の老いた男たちの友情がカッコいい!!

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    2017年05月07日
  • 猫とともに去りぬ

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    途中やや飽きるも面白く読んだ。
    イタリア人と働いてる時に読んでたら
    ロダーリについて話せたかな〜
    簡単に猫や魚になれるイタリア人、
    うらやましす‼︎

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    2016年10月14日
  • 神を見た犬

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    はじめの2作は軽快で、ピウミーニの『キスの運び屋』みたいだな、と思った。聖人が天から人の世界を見下ろして…という設定は、私はピウミーニで初めて読んだのだが、勿論ブッツァーティの方が古いので、ピウミーニが真似したのかもしれない。しかし、そもそもイタリア人は、こうしたことをしょっちゅう考えているのでは、とも思った。幼い頃から、「聖人さまがご覧になっていますよ」と戒められて育つ、とか。
    告解のシーンも多く、カトリックの国の作家だなぁ、とも思う。
    ロダーリやピウミーニほど明るくないし、カルヴィーノほど寓話的でもナンセンスでもないが、やはりイタリアの作家らしく、解説にあるカフカなんかとは全く違う。
    「病

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    2015年08月22日
  • 薔薇とハナムグリ~シュルレアリスム・風刺短篇集~

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    おそろしい比喩と暗喩に満ちた短編たち。
    国家の敵でボタンを作ったり、薔薇を好むはずがキャベツを好んで嫌悪されたり…
    解決しようもない問題に満ちたこの世界に生きていることを突きつけられる気がする。
    蛸のように夢でも希望を信じて生きているかしら。

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    2015年08月12日
  • 薔薇とハナムグリ~シュルレアリスム・風刺短篇集~

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    皮肉めいたものの見方はしているけれども、刺々しさは控え目にしている気がする。結婚出来ない空想家の日常「怠け者の夢」、欲に目が眩むと大事なタイミングを見逃す「パパーロ」、取り敢えず逃げて下さい「清麗閣」、『夢幻諸島から』を思い出した「夢に生きる島」、評論家の懺悔「いまわのきわ」、『きつねとぶどう』な「ショーウィンドウのなかの幸せ」、大爆笑した蛸の死生観「蛸の言い分」、さて、今年の春の流行は?「春物ラインナップ」などイタリア文学はまだまだ金脈が沢山ありそう…とここまで来て最後に強烈な「記念碑」で掉尾を飾る。ある男の記念碑が立てられるまでの経緯に鳥肌が立った。解説にある退廃した中産階級を書いたものよ

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    2015年07月21日
  • 天使の蝶

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    ロダーリ、ブッツァーティを翻訳した関口英子さんによる現代イタリア作家3人の作品を全部読んだけど、どれも良かった。この短編集は、強制収容所から帰還した、科学者としてのレーヴィの体験が大いに生かされた作品。程よくウィットが効いている。好きだったのは「転換剤」。怖いけど、こういうものあってもおかしくないんだよね。一部作品は連作のようになっているのも面白い。2012/434

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    2015年04月21日
  • 猫とともに去りぬ

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    ようこそ、陽気で不思議なロダーリ・ワールドへ。

    ロダーリのファンタジーは懐かしい。小さい頃にきいたお話のようなイメージ。それでいて、痛烈な皮肉が効いている。何かがずれている登場人物と、何かがずれているような事件。それが楽しい。度々出てくるマンブレッティ社長が、典型的やな奴で、こういう人がいるのもファンタジーの醍醐味。

    「猫とともに去りぬ」家族に相手にされないから猫になる老人。そんな元人間の猫が起こす運動。猫になる、というのは人類共通の夢かもしれない。

    「ピサの斜塔をめぐるおかしな出来事」宇宙人が勝手に地球の名所をくじの商品にしているとか、まるで星新一にありそうな。機転のきく行商のおじさん

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    2015年03月17日
  • 羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳

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    さて、この話のオチ、あなたならどうする?

    短編集。でも、ちょっと面白いのは、それぞれ結末が3つ付いていること。読者が好きなのを選べる。もちろん、著者の選んだ結末も最後に書いてある。解説によれば、このそれぞれの物語の元になっているのは、ラジオ番組らしい。ロダーリと子どもたちがスタジオで、みんなで話し合いながら物語の結末を考える番組で、子どもたちの創造力を引き出す。物語自体は、童話や民話で聞いたことがあるような、もしくは星新一のショートショートみたいな感じ。教訓めいていたり、ナンセンスだったり。こういうのもありなんだ、と思える作品。

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    2014年09月23日
  • ネコの目からのぞいたら

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    イタリアの小学生ダンテ君は、ディスクレジアの障害を持つ。香港に出張中の両親に代わりおばあさんと住んでいる。小学校の卒業試験(!)のために、家庭教師の家に通うようになるが、そこで生まれたばかりの子猫を譲ってもらう約束をする。風変わりな家庭教師は、精神を集中すればネコと一緒になりネコの見ているものが見られると教えてくれる。それ以来、ダンテは、ネコと一緒にネコの見ているものを体験するようになる。
    先生のおかげで無事卒業試験は合格したものの、先生悪性のインフルエンザがもとで亡くなってしまい、子猫もどこかへ行っていまう。ダンテは、ネコの見ているものからネコのいるところを捜そうとする。すると、ネコは新しい

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    2013年10月18日
  • 古代ローマ帝国 1万5000キロの旅

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    ローマ     ―すべてが始まる場所

    ロンドン    ―ローマ人が考案した都市

    パリ      ―ポンペイよりも小さな町だった頃
    
トリーア    ―神酒を作る

    ライン川を越えて―蛮族との戦い
    
ミラノ     ―女性解放
レッジョ・エミリア―古代のジョーク

    リミニ     ―外科手術
    
テヴェレ川   ―水に運ばれてローマへ
    ローマ     ―世界の中心
    大競技場キルクス・マクシマム―『ベン・ハー』の謎
    オスティア   ―多言語が入り乱れる「バベルの塔」
    スペイン    ―ローマ帝国の金
    プロヴァンス  ―馬車への襲撃
    バイア     ―贅沢で淫蕩な都市
    地中海     ―航海という

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    2013年11月05日
  • 猫とともに去りぬ

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    教訓話。風刺小説。なんて堅苦しく考えず、物語を楽しめば良いと思う。少々古臭いのは否めないけれど。「ピサの斜塔をめぐるおかしな出来事」なんてショートショートSFとしても十分に読めるし、「三人の女神が紡ぐのは、誰の糸?」は立派なリドル・ストーリィだし。不条理な展開もままあるけれど、訳文もとっても読みやすい。

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    2013年04月08日
  • 猫とともに去りぬ

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    読んでいる時に頭の中で「おそ松くん」や「天才バカボン」などの赤塚不二夫作品のキャラクターたちがイメージされ、ついつい台詞の語尾に「~ザンス」や「~ダス」などと勝手につけてしまう。そんな雰囲気を持つ作品集でした。とあるお話を聞かされても「なんでトラがぐるぐる回るだけでバターになるんだよ?」と納得できないタイプの人にはちょっと厳しい奇想天外さですが、それを豊かな想像力と受け入れられる人ならばクスッとできると思います。

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    2012年12月11日
  • 猫とともに去りぬ

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     現代社会へのアイロニーが織りなされているファンタジー短編集となっております。 
     ピアノを武器にするカウボーイやピサの斜塔を略奪しようとする宇宙陣、捨てられた容器が家を支配するなど奇抜なアイデアに魅力を感じました。社会への風刺を入れながらも児童文学者であるロダーリのユーモアで暖かみがある話に時々笑みが浮かんでしまいました。
     古典新訳文庫の作品であるためとても読みやすく、小学生の知り合いにでも勧めてみたい一冊になっております。
     16編の短編の中でも表題にもなっている猫とともに去りぬがお気に入りです。猫星が何故存在しないのかとコロッセオを占拠する猫たちに心が躍りました。

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    2012年11月06日
  • 猫とともに去りぬ

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    イタリー版星新一、という感じだ。いや、星新一+谷川俊太郎という感じかな。ふわっとした児童向けの文体の中に、鋭い社会批判の視点が入っている。アカ上がりの作家だけあって(こういう見方はよくないとはわかっているが)、その現実を風刺する語り口は独特で魅力的なものだ。
    とても読みやすい訳。

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    2012年08月13日
  • 神を見た犬

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    20世紀のイタリア文学。幻想文学の鬼才、と称されているらしい。イタリア文学はイタロ・カルヴィーノしか知らなかったので、このブッツァーニさんは初体験の22篇。
    勝手に濃ゆいのを想像したが、星新一みたいな愉快な話も多く、読みやすかった。
    七階、聖人たち、驕らぬ心、マジシャン、この世の終わり、の5篇がお気に入り。

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    2012年07月09日