関口英子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【物理を知りたいと思っているあなたに贈る、最も軽やかで最も素敵で、あっというまに理解できる感動的な究極の名著。】
という触れ込みであるし、文庫で実質120ページと軽めの本なので読んでみることにした。
以前に読んだロヴェッリ氏の「時間は存在しない」は「ループ量子重力理論」という概念を説明する本だったが、本書もそうだった。
( [すごい物理学] とは [ループ量子重力理論] のことだったのかと納得 )
最初に「一般相対性理論」と「量子力学」の概要を説明しているのは「ループ量子重力理論」への前振りでした。
「超ひも理論」に関する書籍は多数あるが、「ループ量子重力理論」の本は少ないので多くの人に知って貰うための入門書としてはいいのではないでしょうか。
本書が易しいと感じるのは、概念だけ述べて理論の説明をしていないから。
アインシュタインの「一般相対性理論」についても、"空間も時間もゆがんでいる"程度のことしか言っていない。
説明は軽やかですが理解はできません。例えば以下のような説明。
「ループ量子重力理論によって記述される世界は、入れ物となる空間もなければ、事象が起こる時間軸も存在しません。
存在するのは、空間の量子と物質とのあいだの絶え間ない相互作用による基本的な反応だけです。」
空間も時間もない、と言った次の行で空間と時間が出てきている?何を言っているのか分かりません。
「ループ量子重力理論」についても、"空間も時間も存在しない特異点がある"という考えだと言っているだけ。
つまり、宇宙の始まりというとビックバンが出てきますが、ビックバンは「反跳」を起こす特異点だという理論の啓蒙書なんですね。
とりあえず読んでみて、触れ込みにある「あっという間に理解できる」人とは「(本気で)物理を知りたいと思っている」限られた人だと思う。
理科に興味がない人には変な教えの宗教か哲学の本を読まされているようで、読み通すことも苦痛かもしれません。
物理に限らず、「○○をあっというまに理解できる」本などありません。
物理の世界を感じたいなら「世界でいちばん素敵な物理の教室」とか子供向けの本がいいでしょう。
この本が面白いと感じて、もう少し知りたいと思った人には多田将さんの「すごい宇宙講義」もお勧めです。 -
Posted by ブクログ
『紙の世界』が一番ドキドキした。
「それが彼の世界なのだ。紙の世界。彼の世界のすべて。」
滑稽だと描かれてるのは分かるのだけど、本の世界に閉じこもる幸せを知ってるから笑えない。
喜劇だし、皮肉なんだけど、何か悲しい。全部そんな感じ。生きてるのって喜劇で狂気なんだけど、自分の見える場所だけに自分の幸せがあるって背中押してもらった。
以下、いくつか気に入ってるの。
『月を見つけたチャウラ』
誰に必要とされて生きてるのか分かんない。だけど月を急に”見付ける”瞬間の幸せがくっきり描かれてる。幸せ。
『手押し車』
本物の狂気ってこういうものだな、ってゾッとした。だけどそれが幸せなのも伝わる。気持ち悪さの上に、抑圧の中の幸せを感じ取れて好き。 -
Posted by ブクログ
現代の作家が第一次世界大戦中の庶民を描いたYAというと、モーパーゴを真っ先にイメージするが、これはイタリアの女性作家が少女を主人公に書いた作品。
父と兄が出征し、母が捕らえられてしまった主人公と妹は、母がかつて世話になった女性を訪ねて、母の人生を初めて知ることになる。
第一次世界大戦中の様子はイメージできるようきちんと描かれており、友軍の誤爆で弾薬庫が爆発し多数の死傷者が出たにもかかわらず公式の発表も報道も一切されなかったり、川に多数の死体がたまって流れなくなったので爆破したりなど、多分当時の人々が残した手記などをを当たったのだろうなと思わせるシーンもある。
物語は時系列なので読みやすく、母と祖母との葛藤がわかってくるところも良い。
しかし、主人公が助産師を目指す心情はもう少しきちんと描いて欲しかった。そこは現代の若い読者にとって重要だと思う。
少女の成長小説のはずだが、それがあまり感じられない。
気になったのは少女がサンドロという少年にむりやりキスをされてるうちに彼のことが好きになってしまうところ。(もちろん実際にははじめから彼のことが好きだったんだろうけど。)
「いやよいやよも好きのうち」っていう言葉があるが、まさにそんな感じで表向きはいやがったり怒ったりしているのだが、本心は喜んでいる感じが、個人的にすごく嫌。
当時の女性はそうだったんだよと言われればそれまでだが、描いているのは現代の作家で読むのは現代の若い人なんだから、もっと主体的な女性を描いて欲しかった。いやと言ってるのに彼のキスを思い出すと頭がぼうっとして、みたいなのが気持ち悪い。これを読んでそういうこと(むりやりキスしてるうちに相手が好きになってくれる)もあるんだと若い人(特に男の子)が勘違いしても困る。
性的同意は大切だし、女の子も積極的に自分の気持ちを行動に移していい。そういう少女を描いて欲しかった。
あと、表紙の絵が正直言って現代の若い人に訴える絵ではなく、(素晴らしい水彩画の画家の作品であることは承知しているが)もう少し何とかならなかったのかと思う。岩波だから仕方ないのか?売る気あるのかな。 -
Posted by ブクログ
大人の都合に翻弄される「わたし」が、彼女を取りまく特殊な環境の中で、出会った人、出来事、産みの親・育ての親との関係を通じて成長していく話。しかし自分でもびっくりするくらい、読後に残るものがなかった。
思うにそれは作品のせいではなく、このところ本を読む、自分の中に言葉を取り入れるということをさぼっていた自分のせい。本の読み方、受け止め方、言葉の拾い方を忘れてしまったんだろう。ああ、もったいない。やっぱり読書は筋トレと一緒だ。読み続けないと、あっという間に読む力をなくしてしまう。
ところで、我が家の長女は12歳。主人公の「わたし」と同世代。自分と同じくらいの年頃で、だけど自分と全然違う世界を生きる「わたし」のことを、いったいどんな風に感じるだろうか。小学校、中学校と大きくはみ出すもののない世界を生きてきた彼女が「わたし」の生きる世界をどう感じるのか、娘の言葉で聞いてみたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレちょっぴりズレてるマルコヴァルドさんの素敵な日々。
都会の中であくせく働き、四季の移り変わりに心を寄せる。マルコヴァルドさんを紹介するとそういう人なのだが、それはこの物語の魅力とはちょっと違う。
マルコヴァルドさんは、都会の中の小さな自然を見つけては喜び、しかし物語はちょっとビターな方向に転がっていく。公園のベンチを別荘と洒落込んでも光や音や臭いのせいで眠れない。キノコを見つけたら食あたり。スーパーマーケットやネオンサインに振り回される。
でもマルコヴァルドさんは挫けない。子沢山で家計は苦しく、いつも思ったようにはいかないけど、マルコヴァルドさんはブツブツ言いながらも楽しそうだ。
生きるってこういうことなんじゃないかと、便利さに染まりきって疑問にも思わない自分を振り返る。