茂木誠のレビュー一覧
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世界の流れが、非常に分かり易く記述されている。多少作者の見解が盛り込まれているようだが。
なぜISが出現したのか、なぜ中東で争いが絶えないのか、中国と日本の関係が悪化しているのか。
先日、中国のあるスポーツ選手が日本のホテルに宿泊して、愛国心で蛇口を開けて水を出しっぱなした事をブログかなんかにアップしたことに対して、ある作家が「行為に対して否定はしないが、愛国心からならばOECDの円借款で作られた相当な数にのぼる中国国内の施設も壊すか、使用しないようにしないと愛国心に矛盾する」と書いていた。
そもそも中国人は「井戸を掘った人の恩を忘れない」のではないのか。
でもあれもこれも江沢民以来の反日教育によるものだと言われている。この本に書かれているように、為政者への反発を逸らすために都合がわるくなると、反日を持ち出しては攻撃する。やはり中国は大国としてリスペクトされる国には成り得ない。 -
Posted by ブクログ
今年(2016)になって読み始めたテーマが「地政学」です。私が興味を持ち始めたからかもしれませんが、本屋さんを回っていても、これに関する本が増えてきたような気がします。今年になって何冊か類書を読んでいますが、茂木氏が書かれたこの本も、本屋さんで見つけました。
テレビ・新聞では、世界の多くの事件が報道されていますが、現在起きていることは、過去(歴史)に原因があって、その結果である、ということが、地政学的な点から見ると理解できる、というのが興味が持てるポイントです。
世界地図を見るのは好きでしたが、世界史は多くの国がでてきて複雑すぎて敬遠してきた感があります。そんな私にとって、常に地図がでてくる地政学の本は、世界史の事件の背景を助けてくれる素晴らしいものです。ここ数年は、私にとって「地政学」は関心を惹きつけるものになると感じました。
以下は気になったポイントです。
・地政学では、国際紛争を、国と国との縄張り争いと見る。そこには善も悪もない、あえて言えば全部悪である(p16)
・地政学っていうのは、お隣さん問題だから、隣に強い人がいると困る。アメリカにとっては、隣人のカナダ・メキシコは全く怖くない。だから有利であり、どこからも干渉されないので「島」である(p31)
・共和党支持者で、イギリスから渡った人たち、いわゆる「白人」(=個人の自立と一国主義)と、民主党支持者である、19世紀以降の新しい移民(イタリア、ユダヤ、ヒスパニック、、中国)がいる、彼らは福祉国家と国際協調を望む(p35)
・太平洋戦争とは、要するに、中国市場をめぐる戦いであった(p53)
・72年のニクソン訪中があって、日米安保体制は揺らいだ。沖縄返還に応じたのこの直後、中国の脅威が薄れて沖縄の地政学的価値が低くなった(p55)
・中国と喧嘩はやめようというのが、民主党・金融資本・銀行・国務省、中国と対決するのが、共和党・軍需産業・武器メーカ・国防総省(p62)
・純粋な漢民族の王朝は、漢・宋・明のみ、唐は鮮卑という北方民族(p64)
・中国の地政学的位置は、南(海)を上=進行方向を上にしたほうが分かりやすい。(p67)
・中国では、18世紀になって、モンゴル騎馬軍団が、清の鉄砲隊に負けてしまう(p74)
・社会主義を目指す毛沢東・共産党と、資本主義を目指す蒋介石・国民党は、ランドパワーとシーパワーの戦い(p83)
・ソ連が崩壊して喜んだのは中国であり、海洋進出はそこから始まった(p88)
・ヨーロッパ列強が怖がって日本に近づけなかったのが、鎖国で、重武装中立である(p111)
・徳川家と朝鮮の関係は良かった、それを倒した明治政府は最悪である(p114)
・バイカル湖以東の東シベリアの人口は600万人、中国は旧満州だけで1億人いる(p143)
・サウジアラビアもクウェートも独裁だが、「アラブの春」は起きず、親ロシア派政権だけ起きる、これは誰かが起こしているのだろう(p174)
・大陸からイギリスに攻め込んで成功した最後の例が、11世紀のノルマン・コンクエスト、それがいまのイギリス王室のもと(p188)
・イギリスから見て、第二次世界大戦は大失敗であった、ソ連の台頭を許した。同じシーパワーの日本と戦って、イギリスの植民地が戦争中にどんどん独立してしまった(p192)
・ISは、サイクス・ピコ協定で決まった国境を認めない、この国境をぶっ壊そうとしているのが目的(p204)
・イランイラク戦争では、アメリカがイラクのフセイン政権に武器を売りまくった、湾岸戦争ではアメリカがイラクをたたいた(p206)
・イラン人としては、敵のアラブの多数派に従いたくないので、あえて少数派のシーア派と組む。シーア派政権ができるとは、古代ペルシア帝国復活となる、イランもイラクも油田は、少数派のシーア派の場所にある(p223)
・トルコ語は日本語そっくり、「てにおは」とか語順が同じ、発音もほぼ一緒(p234)
・日本が西太平洋を守る役目、トルコは欧州を守る役目がある。トルコはNATO加盟国である。トルコはローマ字を使っている(p240)
・インドは国と思うと誤解する、多くの民族があり宗教がある、インドは世界、「インド世界」である。欧州という国がないのと同じ(p250)
・ソ連の援助で核武装したのがインド、インドが核武装すると困るのでパキスタンのバックに中国がついた(p263)
・独立のとき、インド独立軍を日本が助けている、インドから見ると日本は敵ではない(p265)
・歴史には、場所が深くかかわっている、そして国家の行動の理由も「場所」が明らかにする(p269)
2016年11月12日作成 -
Posted by ブクログ
今知っておきたい世界情勢に関し、質問形式で内容を解説している。
現状の問題の解説に絡めて、その原因やバックグラウンドについても書かれており、普段のニュースについていけない人でもすんなり読める(世界地図は頭に入れておいたほうがいいかもしれない)
本書によると、世界中で起こる紛争の多くは宗教的価値観・文明の違いによるものである。宗教の教えが与えるお国柄への影響は大きく、宗派による考え方の違いは、紛争をけしかけるきっかけにもなってしまう。昨今のテロやかつての戦争は、実に根深い問題ということを知らされる。
争い後の各国の振る舞い方を考えていく上でも、こういった教養は身につけておくべきと感じる。「歴史は繰り返す」とはよく言うが、誤った判断を下さないためにも、正しい判断材料を常に仕入れるのが大人としてのたしなみなのかもしれない…。
とにかく今何が起きているかの「事実」しかわからない!といった人にはうってつけの本。 -
Posted by ブクログ
経済学に憧れ,世界史が得意な私にとって,まさに今,私が読むべき本だと思って購入した。平易な文で経済の基礎を語り,ついでに世界史と関連づけて経済を語り,時事問題を軽く触れる… 読みやすく,驚きも多い作品であった。世界史と絡め方が絶妙であり,過去の出来事と現代の経済事情を比べて物事を語った際に見つかる新発見が,私を気持ち良くさせる。実は世界史の話題はごく僅かであり,世界史を知らなくても経済学をさらっと学べるのに適すると思われる。世界史が好きならなお面白い,そういった作品である。わたしのような素人には,学者が編集した本は難しすぎるのかもしれない。
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Posted by ブクログ
全体としては政治史または政治思想史という感じで,保守をストレートに扱っているものではない気がします。しかし,実際に日本の政治の中で保守的選択やリベラル的選択が行われて,その選択が何を引き起こしてきたかを知るには良いと思います。
保守も一枚岩ではなく,それはリベラルも同じようです。史実における保守の実際を確認する本です。
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王が私的に法を定めてはならず,慣習法コモン・ローに従って統治しなければならない,それがイギリスの古き良き伝統である,と[法学者ヘンリー・ブラクトンは]説いたのです。
長く継承されてきた「しきたり」というものは,無数の先人たちが試行錯誤を経て洗練させた知恵の結晶であり,現代人の浅知恵でこれを安易に変えてはならないーーこれこそ,「イギリス保守主義」の根底にある思想なのです。(p.41)
民族交代がない社会では,古くからの伝統,慣習が生き続けます。キリスト教がケルトの多神教を駆逐できなかったように,大陸から伝わった仏教は,縄文以来の日本の伝統信仰である神道を駆逐できず,これと融合する神仏習合の道を選びました。
「お盆」という習慣はハロウィンと同様に日本古来の祖先崇拝の祭りであり,仏教とは何の関係もありません。魂の生まれ変わり(輪廻転生)を説く本来のインド仏教の教えでは「死者の魂がどこかのいて,毎年戻ってくる」という発想はなく,お墓もないのです。お盆でお寺に墓参りに行く,という習慣は,仏教と古来の信仰とが融合したものです。
こういったところにも,古代の日本人が守った伝統と慣習ーー本来的な意味での保守(conservatives)の姿勢が見て取れるでしょう。(p.44)
ちなみに,クロムウェルの死後,穏健派による揺り戻し(王政復古)が起こります。このときはじめて使われたのが「レヴォルーション(revolution)」という言葉です。
「ぐるっと回る」というのが本来の意味で,天体の公転という意味にもなります。ぐるっと回って元の王政に戻ったからレヴォルーション。日本語では「革命」と訳していますが,実は王政への「復古」というのがイギリス史における本来の意味だったのです。これに対して「ピューリタン革命」は,イギリス史では単に「内乱(the Civil War)」と呼びます。(p.55)
イギリス革命とフランス革命は,どちらも国王の先生を倒した同じ「市民革命」であるとして,世界史教科書で扱われています。しかし,イギリス革命が「古来の秩序」への回帰を目指した「保守革命」だったのに対し,フランス革命は「こうあるべき未来社会」を設定し,旧来の社会秩序を徹底的に破壊した「リベラル革命」であったため,方向性は真逆でした。(p.58)
日本国憲法の文言から日本の伝統や歴史がまったく読み取れないのは,この憲法が国家有機体説を否定し,「人類普遍の」社会契約的な国家間に基づいて起草されているからです。中学の「公民」,高校の「政治経済」では社会契約説が自明の理として扱われており,国家有機体説については黙殺されてきました。(p.67)
しかし,ドイツ憲法を軛とする帝国憲法下でイギリス保守思想が日の目を見ることはなく,東京帝国大学法学部でもバークが教えられることはありませんでした。やがては帝国憲法の解釈自体が天皇主権の硬直したものと化していき,日本版国家有機体説である美濃部達吉の「天皇機関説」までもが政治弾圧の対象となりました。「バークは殺された」のです。
敗戦後はGHQの占領下で,自然法思想と社会契約説に基づく日本国憲法が制定されました。ニューディーラーと呼ばれる人々は,アメリカ社会でも特にリベラルな思想を持っていました。社会科教科書にはフランス革命礼賛の記述が踊る一方,その暗黒面を指摘したバークの思想は,今も抹殺されたままです。これは,自覚しているかどうかはともかく,教科書の執筆者がルソー主義者であるためでしょう。(pp.78-79)
日米安保条約によって超大国アメリカの庇護のもとにあり,冷戦の現実を見ずに済んだ日本では,空理空論の理想主義がまかり通ってきました。バークを研究する研究者はいても,ついにバーク主義を標榜する政治家も政党も現れないまま冷戦終結を迎え,冷戦後はアメリカが要求する「日本社会の改革」に翻弄され続けます。
小沢一郎の政治改革,小泉純一郎の構造改革,「改革」「新党」と名のつく政党が乱立しては消えていき,「古いものは壊せばよい」とばかりに,年功序列・終身雇用制度を変え,地名表示を変え,今度は外国人労働者を受け入れ,皇室制度にまで手を加えようとしている現代日本。100年後には,いったい何が残るのでしょうか。
先祖からの遺産を軽んじてきた私たちは,子孫に何を継承しようというのでしょうか。(p.80)
民主主義を疑う。理性より経験を重んじる。激烈な革命を否定し,ゆっくりとした改革を求める,という点で,ハミルトンはアメリカにおける保守主義の原点といえるでしょう。
『the Federalist』をはじめて読んだ日本人は,バークを日本に紹介した金子堅太郎といわれており,金子に勧められた伊藤博文も座右の書としています。ドイツ憲法を軛としたとされる大日本帝国憲法ですが,実際の運用はハミルトン的な保守主義に従ったのです。
ちなみに,高校の世界史教科書では,ジェファソンの独立宣言は挿絵つき,資料つきで特筆大書されていますが,「合衆国憲法」については「三権分立の連邦政府が発足した」でおしまいです。ハミルトンについては名前も出てきません。大学入試でもめったに出題されないから,よく勉強している受験生でも知らない。これが日本の教育の現状です。(p.89)
もし明治維新が半世紀早かったら,近代日本に導入されたのはナポレオン法典に結実したフランスの法体系だったでしょう。フランス革命の成果として,個人・人権・自由の擁護を掲げる思想です。日本の国体や伝統思想とはまったく相容れない思想ですから,維新は血みどろの革命となり,幕府も皇室も倒されて共和政が実現したかもしれません。
しかしナポレオンの時代は過ぎ去り,19世紀の欧州はロマン主義と呼ばれる反動の時代になっていました。
フランス革命を引き起こした啓蒙思想は,伝統や慣習,宗教や権威を「不合理なもの」として一蹴し,全人類共通の理性に基づく自然法,人権思想を掲げました。
これに対してロマン主義は,民族の土着の伝統,慣習,宗教,権威を重んじ,理性より感情に重きを置く風潮でした。(p.127)
伊藤博文には,このような[古事記や憲法十七条,御成敗式目といった]古典の教養が欠けているという自覚がありました。これを補うために井上毅をブレーンとして抜擢した伊藤の懐の深さは,大したものだと思います。(p.131)
のち90年代以降の橋本行革,小泉構造改革で「非効率」「汚職の温床」とやり玉にあがり,改廃された政策の多くが,池田時代の産物だったのです。しかし民間経済が弱いときには,政府主導の経済政策がむしろ効率がいいのは,「開発独裁」と呼ばれた韓国やシンガポール,インドネシアなどの経済政策でも証明されています。(pp.209-210)
消費税3%を創設したのは竹下内閣ですが,バブル経済だったため何も問題は起きていません。橋本はデフレ不況下の97年に消費税を3%から5%に引き上げ,不況を長期化させるという判断ミスを犯します。
その結果,参院選で自民党は大敗。橋下[橋本の誤り]内閣は責任を取って総辞職しました。「財政再建のタイミングを早まって経済低迷をもたらした」と橋本は述懐しています。(p.288)
「ネトウヨ」があって「ネトサヨ」がないのはなぜなのか。「サヨ(左翼)」の言論はマスメディアに満ちあふれており,ネットの空間に逃げ込む必要がなかったからです。(p.358)
小林[秀雄]は,「文学者三島の言葉を読み取れ」「歴史の本当の中身には言葉しかない」と力説した。この対象への共感性こそが,死者と生者を近づけ,過去と現在を線として結んでいく。これこそが「保守の精神」である。(p.381) -
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記録によれば昨年(2023)の今頃に読んでいる本です、ここ10年程は特定の観点から見た歴史に興味を持っています。この本は「哲学」の関連から共同著者の茂木氏と松本氏が解説しています。思想(哲学)がその国の歴史を大きく動かすことがあるのですね、面白い本に出会えて良かったです。
以下は気になったポイントです。
・アメリカにおいて、特定政党と結びついた大手メディアとビックテック(巨大IT企業)による情報統制が進み、もはや何が真実なのかわからなくなった、2020年のアメリカ大統領選挙をめぐる混乱は、そのことをはっきりと見せてくれた。今の世界を一言で表現すれば「全体主義の復活」「デジタル全体主義の出現」となる(p4)
・複雑怪奇な国際情勢を理解したいなら「歴史」と「哲学」を学ぶことが不可欠である、現在の国際社会の動向は?、表にでない事件の真相は?、これから世界はどこへ向かうのか?、これらを正しく理解し、フェイク・ニュースを見抜く目を養うために、各国の指導者や政策担当者がまず意識していることが歴史と哲学である(p12)
・プーチンはレニングラード大学の恩師(サブチャーク)がソ連崩壊の年にレニングラード市長になった時に、声をかけられて政治の世界に入った。大統領はエリツィンに代わっていたが、彼に若きプーチンが見出されていく(p22)
・なぜプーチンがあれだけの権力を握れたか、1)汚職の摘発、オリガルヒを解体、2)テロとの戦いで治安を回復した、エリツィン時代のカオスを経験したロシア人から見れば、プーチンは救世主に見えた(p29)
・ロシアの置かれた地政学的な弱み、あまりにも長すぎる国境線、それを守ろうと思ったら攻め込まれる前に予防措置として、こっちから出ていくことをやらざるを得ない、チェチェン・ジョージア・クリミア、そして今のウクライナ東部、という4つの紛争・戦争をウヤって国際非難を浴びているが、これは合法的判断、という見方もある(p32)
・ヘーゲル哲学は後の19世紀後半の帝国主義、20世紀の全体主義へと繋がる思想になってしまうが「当時のドイツは弱小国だった」という補助線を引くと理解できる、その意味では同じ途上国であるロシアにとってドイツ哲学は非常に親和性がいい(p38)
・今回のウクライナへの侵攻というロシアの行動に対して、西側諸国が制裁を呼びかけたが、途上国のほとんどが賛同していない、それは途上国がロシアに共感してしまう部分があるから、西側のいう綺麗事をやっていたら自分たちがやられてしまう(p41)
・社会主義が広まる時代がある、それは社会の「流動性がない」時代である、親が貧困だと子供も貧困で、それがずっと固定されて一種の身分制になっている場合、どうしようもないので「今の社会をぶっ潰せ」となる、1789年のフランス革命直前、1917年のロシア革命の直前、1921年の中国共産党の創立の時代もそうであった、社会主義が広まるのは、後進国で起きて当然、となる(p47)
・穏健派のジロンド派が右に座ったから「右翼」あるいは「右派」という言葉ができた、革命に突っ走るアクセル全開の方が左翼で、革命にブレーキをかける方が右翼である(p54)
・人間は私利私欲の塊であって、金儲けに突っ走る汚い存在だ、ということを前提にしている=性悪説である、性悪の人間をそのまま放置しておいたら、世の中はどんどん悪くなる、というとそれは逆で、性悪と性悪は打ち消しあう、競争することによって相殺される(p57)
・ニコライ2世は1914年の第一次世界大戦で対ドイツ戦という愚かなことを始めた、ドイツに連戦連敗し、ロシア国民の不満が爆発し「皇帝のいない国を作ろう、共和制にしよう」となり、国会が帝政の廃止を決議した、こうして400年も続いたロマノフ王朝が崩壊した、これが2月革命である(p73)
・ロシア革命に乗じてウクライナは独立政権を樹立(ウクライナ共和国)している、独立してしまえばモスクワには食料がなくなってしまう、連合国の干渉軍を撃退したソ連軍は、ウクライナ全土を占領してソビエト連邦に編入した、実際にはロシアに再併合された、独立を許すことができないスターリンは、ウクライナ人の数自体を減らして反抗する力を奪う作戦(人工的な大飢饉の引き起こし)をとった(p83)
・ソ連という国はそれまでは「爪弾きもの」であったが、第二次世界大戦によって一躍世界のリーダとなり、国際連合の常任理事国となった、ナチス・ドイツが滅んだ後の欧州については、アメリカとソ連が山分けすることになったので、東欧州はソビエト型の共産党体制が移植された、中国、北朝鮮の建国も同じ流れである(p85)
・戦後日本の自民党政権が実現した「公的年金制度」「企業の終身雇用制度」「企業間の競争を抑える護送船団方式」は、ある意味で、社会主義の良い部分を取り入れた政策だったと言える(p96)
・GAFAなどの大手IT企業、いわゆるビックテックが特定の政治勢力(民主党)と結託、談合してしまうと、言論統制が可能になる、SNSこそが全体主義化する危険性がある(p102)
・現代の全体主義は、その背景にテクノロジーの発達があり、個人がバラバラに慣れる、それだけ豊かさが広がっているのが典型的な現象となる(p105)
・全体主義はイデオロギーだけで考えることはやめた方がいいかもしれない、土地の権力構造など、国や地域の歴史・風土・地政学的な見地から考える必要がある(p120)
・個人が自分の意思を殺して、一般意思の方に従属してしまう、するとその人は主観t期には国家と一体化し、支配される側から支配する側に変わる。国家が要求する一般意思に、自分自身を投影してしまう、自分と一体化した国家への反逆者は許せなくなる。その瞬間に、その人は独裁者の手先になり、自分の家族や恋人までも見殺しにする(p123)
・「和」の精神が日本にある、「和」というのは水平、である。人様という言い方が日本人は好きである、人様に対して申し訳ない、とか、人様が見ています、とか、その人様(他者)は、水平であって垂直でない、つまり常に権力がある全体主義とは根本的に違う(p131)マスクをしようという合意、空気ができると、ほぼ全員がマスクをする。日本人を動かしている要因は「人様とのつながり」である、一見全体主義と誤解されるが、別に罰則もなく政府が強制しているわけでもない、全体主義は人との繋がりが切れて、k人はバラバラで「空気」はなく、あるのは信頼ではなく「恐怖」である(p131)
・日本とイギリスは手を組みやすい、守るるべきものと言えば、日本では皇室であり、イギリスでは王室である。日本では自然崇拝の神道が外来の仏教と融合している、イギリスではケルトの多神教がキリスト教の中に隠れている、妖精の伝説やハロウィンのお祭りは多神教の名残である(p135)
・元々イギリスは合議制であった、それをフランスから来た王様が全て決めようとしたので、伝統を守るために貴族たちは反抗した。マグナカルタで勝ち取った議会の権利というものを守っていかなければいけないという考え方が、主に貴族を中心に受け継げられていった、イギリスでの革命はフランスの革命とは違う、絶対王政を倒し、立憲君主制を実現させたのだが、イギリスの伝統に戻そうとしたので、むしろ「復古」である(p137)
・クロムウェルはピューリタン(国王支配をも全否定)の狂信的な指導者で、国王の首を刎ねた上、イエス像やマリア像を偶像崇拝として破壊した、最終的には自分が神の代理人としてイギリスを支配しようとし、政教一致の新たな独裁体制を作ってしまった。それをもう一回倒して、もとの伝統的な議会政治に戻したのがイギリスの名誉革命である(p138)
・日本では1232年に御成敗式目ができた、中国直輸入の「律令」は日本社会に合っていないから、我々武士団の慣習法を明文化しようということであった。要するに、律令というのはローマ法、押し付けられた法である。それに対して、日本のコモン・ローをまとめたのが御成敗式目でした、イギリスと日本は似ている(p141)
・独立宣言を書いたジェファソンは「もし政府が我々人民の権利を侵す場合には打倒せよ=中央政府は不要、13州はバラバラでいい」という革命条項が入っている、その一方で革命の暴走を警戒するハミルトン(=中央政府は必要、列強国に対抗できない)は、合衆国憲法を作った人物である。アメリカには建国から保守的なグループと革命的なグループがある(p144)
・アメリカは国際連盟を言い出したのに加盟しなかった、憲法上、そうなっている。議会上院の承認なしに、大統領は条約を結べない、そういう仕組みを作ったのがハミルトンであった、大統領が暴走しないように、これが保守主義の一つの流れである(p146)
・帝国憲法の冒頭に、大日本帝国は天皇が治す(しらす)と書いた、「しらす」とは「知る」の類義語で、天皇が民のことをよく知る、民の気持ちをよく知ることで、国がまとまる、という日本古来の考え方である。これに対して、豪族の強権による統治を「うしはく」と呼んで区別した、つまり天皇は古代から象徴的・宗教的な統治者であり、実力による統治者ではなかった(p153)
・日本の「国体」とは、天皇絶対主義ではない「天皇と民が共に国を治める、君民一体」ということである(p160)
・グローバリズムの脅威にどう対抗するかを考える(=ナショナリズムを考える)には、日本の伝統に立ち返った教育が必要になる、日本の保守主義を勉強したい人は、「古事記」「万葉集」「平家物語」「太平記」を読むことから始めるべき(p162)
・流刑にするということは、法的保護の外に置くということ、流刑された罪人の多くは途中で死んでいる、流刑地に行く前に殺されてしまうから。中央政府としては処刑しにくい人間、例えば皇族や公家、証拠不十分で死刑にできない時は、流刑ということにした法的保護の外に置いた。そうした人物には必ず敵対勢力がいるので襲ってくる、これもまた合法化された一種の略奪である(p189)
2023年10月25日作成(推定)
2024年10月26日作成 -
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山川の教科書否定が衝撃的。私が30年前に学んだことは間違いだったのかと。歴史に善も悪もなく、各国、各民族が、生存をかけて策略を練り、実践しているだけなのだと。イデオロギーは後付けにすぎない、と。
本書は地政学をベースにした駆け足の世界史。理解し切れてはいないが、概観はつかんだと信じたい。
タイ、ベトナム、カンボジアを旅して、本書の東南アジアの箇所を読むけれど、彼らの隣国との関係がうっすらわかる程度。このボリュームの本ではこれが限界なのだろう。
ランドパワーの国がシーパワーで勝つことはかつてなかった、故に中国がシーパワーを強化しても勝つ可能性は低い、とのことだったが、本当にそうなのだろうか。
地政学、世界を学ぶためにもっと勉強することとする。世界を、歴史を理解したい。