江口泰子のレビュー一覧
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「努力は必ず報われる!」(但し、良い社会的ネットワークに繋がり社会的に評価される、自分がリーダとして活躍している組織が成果を成すなどの諸条件が重なった場合に限る)
成功が運ゲー要素もあるが、自分の才能を正しく発揮できる場を探す、社会的ネットワークに属するよう社交場に顔をだす、生産性を絶やさず年齢を言い訳にしないなど成功を引き込む心持ちや指南を科学的な知見から提示してくれる。
成功が成功を呼び込む「優先的選択」やら、ライバルを萎縮させてパフォーマンスを低下させる「タイガー・ウッズ効果」などおもろい小話にもなりそうなネタがあり、新しい発見も多数。勢いだけの成功本とは一線を画す良書でございます。
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Posted by ブクログ
ブレグジット関係の本、日本人が書いているものもありますが、やはり英国人、しかもキャメロン首相の側近が書いた本と言うことで、本書を手に取りましたが期待以上に面白かったです。著者がキャメロン側の人間というバイアスはありながらも、登場人物のキャラクター描写など非常に興味深く読みました。シェークスピアが生きていたら絶対戯曲化していたと思います(現代の誰かが劇にしてシェークスピア劇場でやってほしいです)。現首相のテリーザ・メイがいかに狡猾で国民投票前は表舞台にほとんど出ないという作戦をとっていたことや、ボリス・ジョンソンという道化師の存在、そして本書の中では真の悪役としてのマイケル・ゴーブがいます。またキャメロン首相ですが、本書を読む限りでは政治家としては純粋すぎるというか理想主義者的に見えました。これは著者の意図的な書き方なのかもしれませんが、マキャベリスティツクな要素が全くない政治家のように見えてしまい、それは敗北するよな、という印象も受けました。
本書で興味深かったのはメディア、特にBBCの対応です。著者が批判しているように、BBCは「公平性の原則」に間違った意味で拘束されてしまっていました。離脱キャンペーンが明らかな嘘情報を流しているにもかかわらず、その嘘を指摘せず放送してしまう、つまりフェイクニュースの拡散に寄与しているのです。裏返せば、離脱キャンペーン側が「公平性の原則」を逆手にとって嘘の情報を流しまくったということで、私はこの手法を全世界に示してしまったこと、しかも最終的に勝利を握ってしまったことこそが、”Unleashing Demons(悪魔を解き放つ)“ことだと思いました。極端なことを言えば、穏和な議論の中で国民投票が行われEU離脱派が勝ったとしても、それは悪魔を解き放ったことにはならない。むしろメディアを悪用し、民主主義を操作しようとする手法が世界中に知れ渡ったことこそが、その後のトランプ政権の誕生やフェイクニュースの拡散など世界的な現象に至ったのだと思います。
本書は内容もさることながら翻訳も非常に良く、適時注釈も入れてくれているのでとても読みやすかったです。1つ注文をつけるとしたら最後の日本人ジャーナリストによる解説は不要です。せっかくオリヴァー氏の最後の締めの文章で十分余韻を楽しんでいるのに、無理矢理お口直しを食べさせられるようでしたので、私は意図的に読みませんでした。入れるなら本の最初にちょっとだけ背景情報を解説してもらうくらいで十分です。 -
Posted by ブクログ
サイバー戦争が起こっているとは知っていたが、内情がこれほどのものとはと驚愕。ゼロデイ(その存在が公表されていないバグ)、エクスプロイト(脆弱性を使って攻撃するソフト)という単語も初めて知った。
著者はニューヨークタイムズで業界暴露記事を何本も書いているが、日本のマスコミで解説を聞いた覚えがない。統一教会よりも もっと騒ぐべき話題だと思うのだが、どうだろうか?
・大手ソフト会社のバグを探して公表する活動はオタクの趣味で行われていたが、バグを公表すると当該ソフト会社から訴えられることもあり、次第に闇に潜るようになった。→バグを探してくれた人に感謝しない大手ソフト会社ってどうよ!
・バグを買い取り(数億円の場合も!)、公表せずにスパイ行為に使うことは、米国の情報機関では常識であった。→バグが修正されないで放置されるので、公共の不利益になることを考えなかったのか?
・2008年頃から行われたイラン核施設への米国によるサイバー攻撃のソフトが外部に漏れだし2011年ごろには関係者で周知の事実となっていた。
→ 日本で話題になった?覚えがない
・2013年頃には バグ売買の市場は50億ドル、買い手側のNSAの予算は2500万ドルだから、100分の1にも満たない。他の国や企業がバグを買ってスパイ行為をすることが当たり前の世界になっていた。→そして今は さらに拡大?
そもそも、バグは修正するのが当たり前という発想の善良な日本人からすると、買い取ってこっそり使うというダークな発想からは距離を置きたくなる。しかしそのような行為が当たり前な世界であれば、対処方法はデジタル攻撃のバックアップをアナログで用意するしかないのでは?幸いなことにアナログは日本人が得意としている。何でもデジタルのみにする方針を修正して、アナログ記録も併用にするべきでは?山積み書類は廃棄していけないし、マイナンバーカード保険証は、紙でも使えるようにしておく必要があるのだ! -
Posted by ブクログ
著者はニューヨーク・タイムズ記者。本書は、機密主義の色濃いサイバー兵器の世界について、ハッカー、活動家、反体制派、専門家、コンピュータ科学者、米国政府等当局者、フォレンジック調査員等300人以上のインタビューを行いまとめたという。
2003年、ある企業がゼロデイのバグに報奨金を支払うプログラムを始めて以降、ゼロデイ・エクスプロイトが高額で取り引きされるようになったこと、その顧客も米国のみならず権威主義国家にも広がり、国民監視や反対派抑圧のツールとして用いられていること、当初は防衛型の諜報活動に用いられていたのが、スタックスネットのような攻撃型のサイバー兵器に変化してしまったことなどが、詳しく紹介される。
良くここまで取材できたなあと感嘆。また、サイバー脅威の恐ろしさを実感する。
以下下巻に。 -
Posted by ブクログ
最近はポスト資本主義を提唱する本が多い。
それぞれ理想的であり、また欠陥も抱えているが、提案と議論があることは良い環境と思う。
読んで、どこが良いか、欠陥は何かを読者が考えることが重要ではないかと思う。
さて、本書は2008年、リーマンショックを機に資本主義と分かれたパラレルワールドのポスト資本主義がどうなったかをSF小説仕立てで書かれている。
作者が、特に重要視して説明したいところは図が示されている。
・給与体系
・株式市場亡き後の議決権
・配当、相続、積立
その後もジェンダーやテック企業の市場支配について書かれているが、作者の主張は概ね上の3つだろう。
さて、給与体系についてはメンバーシップ型からジョブ型、さらに先のプロジェクト型への移行は、おいおい日本でも進んでいくだろう。
株式保有比率ではなく、一人一票の議決権というのは、プロジェクト専門の合同会社という形が広がっていけば成り立つのでは。
スタートアップの資金調達も株式市場以外にも、クラウドファンディングという手法が取れる現在では、非上場は株式会社ではなく、合同会社でよいのではと思う。
そして一点、どう考えても解決できそうにないのが「配当」にあると考える。
社会資本から個人への配当は、つまりはベーシックインカムである。
ベーシックインカムは、必要だとは思う。
最低限の生活保証があるだけで、失敗しても最悪生きていけるというセーフティネットがないと、挑戦ができない。
財源問題が出てくるが、ベーシックインカムは現金給付ではなく、クーポンの形になら実現できるのでは。
しかし、俺が思うにベーシックインカムの欠陥が一点。
”誰がエッセンシャルワークを引き受けるのか”という疑問が解消できない。
最低限の生活が保証されれば、誰が好き好んでキツイ仕事を引き受けるのか。
ゴミ回収、建築物の解体、インフラ保全、その他諸々、更には国防とか。
最低限の生活が保証されているのに、誰が率先してそんな仕事をやりたがるのか(仕事に貴賤はないと言うけれどさ)。
ベーシックインカム論に違和感を覚えるのは、頭のいい連中が理想論で語るけど、実際に社会を支えている仕事を見ていないのではないか。
労働者全員が頭脳労働して社会が回るってわけじゃないんだぜ。
ベーシックインカムが可能になるのは、おそらく社会インフラが技術的に完全無人化を達成できればと思う。
それができずにベーシックインカムの導入は、何らかの理由で無戸籍とかで社会保障から外れた人が、そういったエッセンシャルワークを引き受ける、本物の格差社会のディストピア社会が生まれると思うのは妄想すぎるだろうか。
そんなことを読後に考えました。 -
Posted by ブクログ
リーマンショック〜トランプ政権に至るまでのグローバル金融経済現代史を米国、欧州、アジアの政治力学に対する詳しい検討に基づいてまとめた著作。
政治経済学における政治要素、特に「政党」の力学が克明に描かれており、デリバティブにまつわる問題として語られがちな金融危機の経済史とは異なる視点で現代政治経済史を眺めることができた。
政治的な要素に着目する以上、人の名前がたくさん出てきて読むのが大変ではあるが、現代のポピュリズム政党の勃興やbrexit、トランプ政権の誕生が金融危機以降の動的過程として接続できることがわかり、新しい目線を得ることに繋がった。