平山夢明のレビュー一覧
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ネタバレ『独白する〜』以来の短編。相変わらず上質なエログロ濃縮還元ミックスジュースのごとき味わいで、惚れ惚れしてしまいまいした。中でも、平山流地獄変『枷(コード)』の凄まじさは格別。狂気と人類愛は同時に存在するとき、最大の奇跡は起きるのです(それが素敵なものかは置いておいて)。他にもゲロ臭の中にただよう一筋の希望にこちらまで鼓膜がつんとする『それでもお前は俺のハニー』、海外ホラー映画でおなじみ「幽霊屋敷」を昇華させた『或る彼岸の接近』は実話怪談出身の平山夢明ならでは。彼が繰り返し作品で描くのは「どん底・キ印・クズが行き着く先で見つける人間らしさのかけら」だと思うのですが、それまでのプロセスの異様さ、バ
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Posted by ブクログ
他人を驚かせることが好きだ。もちろん賞賛をもらうためのものではなく、怖さを与える意味で、だけど。
じゃあ、怖さってなんだろうか?って考えたときに、すぐに思い浮かぶのが、幽霊などの非現実の怖さと、人間の心の闇みたいな、現実的怖さ。
後者の方が苦手で、だから前者の方で他人を怖がらせる。
この本によると、ホラー小説を書くときに作者が表現するのは、自分にとっての怖いもの。読んだ後どう感じるか、作者からしてみれば、”どう感じさせるか”。
それがホラー小説の醍醐味だそうだ。
なんだかシステムのバックドアを見たような、恐怖小説の核心に触れた気がした。 -
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面白かった!
なぜ恐いものをみたくなるのか、どの部分に面白さを感じてるのかなどがこちらに話しかけてるみたいな文章で書いてあったので学術書みたいな硬い感じじゃなくて読みやすかった。
私は日頃そんな些細なこと不安に思わなくてもいいのにというようなことまで不安に思って思いつめて体調ガタガタになる程度には不安と常に隣り合わせで生きているので、恐怖より不安のほうがやっかいでコワイ、というような説はすごい頷けた。
明確な恐怖はそれはもちろん嫌だし怖いんだけど、明確になった時点でどう対処しようとかどう立ち向かおうとかもしくはあぁもう無理だ諦めちゃおうなんて案外腹くくれる気がする。気持ちの上ではさっぱりする -
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昔から怖い話が好きで、最近だとネットの洒落怖や、春先に発売された「日本現代怪異事典」を読んで楽しんでいる。
なんで怖い話が面白いのか?自分でも時々考えたりしているので、本書を本屋で見かけた時に飛びついた。
本書で個々に紹介されるエピソードはどれも面白いが、恐怖の構造については、概ね次のように整理されている。
- 不安と恐怖は違う。
- 不安は漠然としていて、恐怖は具体的。
- 物語は、不安で始まり、恐怖が克服されてカタルシスを得て終わる。
本文よりも、対談部分の方が、この辺がクリアに述べられている。
この整理に、個人的にすごく疑問が残った。
どちらかというと、私はカタルシスの得られな -
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平山さんの10篇からなる短編集。
いやぁ、笑った笑った。
「反吐が出るよなお前だけれど……」は平山さんの悪口雑言の真骨頂ともいえるほど口汚い言葉の応酬で声出して笑いました。
「悪口漫才」はカホルのうだうだと先延ばしにする様子に哀れさを感じた。
そして最後の一行にぞっとする。
「チョ松と散歩」は悲しいけどなんだかほっこり。
表題作の「暗くて静かでロックな娘」のロザリンドは表紙イラストのイメージそのもの。
平山さんのお話はすれっからしのどうしようもないキャラクターが出てくるけど大概愛される人物像。
そして、ピュアな存在は痛々しいほどすばらしくピュア。
だから余計もの悲しくて、余計残酷。 -
Posted by ブクログ
短編集。下品で詩的で滑稽で残酷で温かい。この人の文章がすごく好み。中でも好きなのは「日本人じゃねえなら」、「悪口漫才」、「ドブロク焼き場」、「反吐が出るよなお前だけれど……」、「人形の家」、と表題作の「暗くて〜」。
やっぱり掛け合いの面白さは頭抜けている。特に悪口の語彙が豊富!「反吐が出るよな〜」のラーメン屋の夫婦の口汚ない夫婦喧嘩があんまりに面白くて、もう声に出して読みたい罵倒の連続。「あたしはあんたより一日だって長生きしてさ、くっだらないあんたの死骸を焼いた灰をドッグフードに混ぜて犬に喰わせてやるんだよ。そしてあんたが犬の尻の穴から出てくるのを眺めてドンペリで一杯やるのさ。それだけは譲れ -
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ネタバレ「テロルの創世」なぜかこれだけ読んだことあったけど、好きな作品。この作家さんの作品はグロテスクや狂気の表現が突出しているなかで、純粋に世界観や展開にぞっとする。平山作品入門にもおすすめかと。。
「枷」“顕現”を蒐集するために人を殺す父の話。“顕現”というフィクションであろうものと、それを追及することが当然であることが妙なリアリティを持って存在感を持って、最後の展開までまとめている。この作家さんの発想と、それを小説で実現させる想像力にはドキッとさせられます~
「それでもお前は俺のハニー」キャラクターとともに、語りも粗暴に。極めて限定された世界と価値観のなかで展開される小さなお話、でもその説得力と
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