伊兼源太郎のレビュー一覧
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「バカか、お前は。信じていい人間と、そうじゃない人間がいるだけじゃねえか。どんな立場にいようが、人間はその二種類だよ」
「いいか、優秀な弁護士ってのはな、単なるお人好しでも正義漢でもない。シロとクロの間にしっかりと立て、そのどちらにも染まらないでいられる奴だ」
「俺はな、司法の世界じゃあ、検察はアクセル、弁護士はブレーキ、裁判所は信号機だと思っている。だから相手がアクセルを踏み過ぎて暴走してんなら、ブレーキの俺たちが止めなきゃなんねえんだ。乗っているのが、どんな大悪党だろうとな」
あの男は一体何者なんだ――?
湊川地検で起きるすべての事の裏には、必ずひとりの男の存在があった――湊川地検 -
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月村了衛、深町秋生、鳴神響一、吉村英梨、葉真中顕、伊兼源太郎、松嶋智左『警官の標 警察小説アンソロジー』朝日文庫。
7人の作家による7編全てが書籍初収録となる贅沢な警察小説アンソロジー。
自分は、7人の作家全て最低1作は読んでいる。月村了衛と深町秋生、葉真中顕は文庫化作品は全て読破している。吉村英梨と松嶋智左も文庫化作品はほぼ読んでいるが、最近は取捨選択しながらという感じだ。鳴神響一と伊兼源太郎は文庫化作品を1作読んで肌に合わないと感じてからは読んでいない。
月村了衛の『ありふれた災厄』と深町秋生の『破談屋』が取り分け面白かった。
月村了衛『ありふれた災厄』。★★★★★
本短編の冒 -
Posted by ブクログ
ベトナムから来た技能実習生を殺害した犯人を追うという、この上なくシンプルで明快なテーマ。筋を追いやすくのめり込むように一気に読めた。
なんだかすごく正義感の強そうな作家さんだ。技能実習制度の不備、それを知らずにのうのうと生きている日本人みなに罪があるのだという主張がまっすぐに込められている(とはいえ、リンダが衣笠水産から逃亡したのは衣笠の不倫が直接の原因なのだから「制度が殺した」というのはやや違うのでは?とも思わなくもない)。
刑事たちは自分たちの手柄を狙って、たとえ同僚にも自分の手の内を明かさないことがあるとか、帳場内の人間関係も面白かった。
私の読解力がないのか、ラストはいまいち消化不良な -
Posted by ブクログ
☆4.4
御世話さんは実に魅力的である、しかも警察内部のものがそれを請け負っているというのに、いささか衝撃を感じる、死に至る病で、死に至る病それは絶望であるというこの文章に私はずいぶん救われている、私はこの絶望に足る心境にかろうじて至っていないのだ。家族は私にとっては怨嗟の元凶に他ならないが、両親には感謝と恩を感じている、ただ、生まれてきてしまったことには、納得できない、思えば死にたいと思って何年経っているのか初めは中学生の頃だったろう、生きるのは面倒くさいと思っていた。もう何十年も死んだ方がいいと思っているのは事実である。
生きる意味はいまだにわからないが、死んで仕舞えば全て解決である。
快