伊兼源太郎のレビュー一覧

  • 外道たちの餞別

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ヤクザに恋人を乱暴されて殺された男とその親友の2人が、ヤクザに対抗するために犯罪に手を染める
    やがて2人は力をつけ、かつて恋人を殺したヤクザにたどり着く
    物語としては分かりやすく単純なものかもしれないが、2人の葛藤や周りの同じような過去を持つ仲間との友情など、サスペンス的な要素以外の人間の本性が描かれていて、凄く面白い作品だった
    一気にこの作者のファンになった

    0
    2026年07月24日
  • 少女Aが消えたとき

    Posted by ブクログ

    十四歳の少女が姿を消した。誘拐なのか、家出なのか。警察は防犯カメラの映像から、前科のある男に目をつける。その情報を得た記者は他社を出し抜こうとするものの、それが原因で思いがけない事態が起こってしまう。刑事と記者、それぞれの正義が心にしみるミステリです。
    ストーリー的にあまり明かせないところがあるので、そこを語れないのはつらいけれど。とにかくタイトルが秀逸でした。そういう意味だったのか! そして悲しみと救いに満ちた物語なところも素敵。微笑ましいワンシーンなのに「わたしにもあったかもしれない過去」という言葉にはっとさせられたり、ラストで悲痛な真相が判明するけれど、それでもその呪縛が解かれる印象があったり。少女を守ろうとする大人たちの姿勢が温かく頼もしいです。
    刑事はもちろんとして、記者もカッコいいです。どちらかというと嫌われがちな記者という存在だけれど、世の中を良くするために、という彼らの矜持も実に見事。情報が溢れかえる昨今だからこそ、オールドメディアも存在意義があるのかもしれません。

    0
    2026年06月29日
  • 少女Aが消えたとき

    Posted by ブクログ

    新聞記者と警察の同時進行で話が進み難しいとおもっていたが理解できる内容と展開が面白く一気読み。
    連れ去り犯との最初の会話でこんな優しい犯人だったら捕まってほしくないと思っていたら意外な展開になり警察の職務か道徳かにすごく葛藤があったんだろうなぁといい終わり方に満足。

    0
    2026年06月17日
  • 少女Aが消えたとき

    Posted by ブクログ

    元々上手い伊兼氏の久々の会心作。新聞記者出身作家ならではの、事件を追う警察捜査と新聞記者の矜持には定評があるが、それに加えて、事件の背後にある悔恨と贖罪を浮かび上がらせ、泣かせる技術まで身につけてしまった。多くの人に読んでもらって何か大きな賞を取ってほしいと思わせる傑作。

    0
    2026年05月22日
  • このノラ猫、幸せ調査員にて

    Posted by ブクログ

    幸せを分け与えてくれるノラとピースのやり取りが面白い。またエピソードもほっこりするエピソード。
    私は好きですね。サクッと読める印象。
    あと、めっちゃラーメン食べたくなる。笑

    0
    2026年05月02日
  • 戦火のバタフライ

    Posted by ブクログ

    面白いと評すのは、少し違う気がする。しかしすぐに引き込まれて夢中で読んだ。東京大空襲があったことは知っていたが、ここまでその時のことを描写された文を読んだことはなかった。そうだ、確かに徴兵された人だけじゃなくて、一般市民だって被害者だったのだ。当たり前のようで、意識していなかった。未だ被害者への補償は実現していないらしいが、そもそもそのようなニュースを恥ずかしながら見た記憶がなく、関心が薄いトピックであることに驚く。

    一般市民への補償を国に働きかけるというストーリーも興味深いし、敵と味方がわからない政治の世界の魑魅魍魎さ加減もリアルだった。

    ずーっとフィクションとして読んでいたが、最後の補記を読んで、事実に近いことを直感して鳥肌がたった。そのような小説は2冊目で、つまり、衝撃を受けた物語だった。

    0
    2026年03月18日
  • 地検のS Sの幕引き

    購入済み

    単純な勧善懲悪ではなく

    シリーズ三作目にして完結編。どのようにしてこのシリーズを締めくくるのかワクワクして読んだ。なるほど単純な勧善懲悪ではなく、このような結末も有るのだなと感銘を受けた。二転三転するストーリーも大変に読み応えがあった。ただ主人公があまりにも完璧すぎるのが、ちょっと気に放った。

    0
    2026年02月01日
  • このノラ猫、幸せ調査員にて

    Posted by ブクログ

    神様からの幸せを与える人間を探し出す役目を負った猫。
    この猫が人間社会で探し出した人物の幸せの様子を探る過程が面白い。
    今まで読んだ伊兼源太郎作品とは違い、コミカルな表現に趣があり、なかなかに読み応えのある短編集だった。

    0
    2025年10月24日
  • 地検のS Sの幕引き

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    こんな結末だったのか!
    凄いシリーズだった。

    最終巻の結末が知りたくて,読み放題にはなかったので購入した。

    0
    2025年08月23日
  • 地検のS Sが泣いた日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    シリーズ第2巻。
    第3巻があるのでこれで完結とはいかないだろうが,登場人物の過去が明らかにされていく。
    巨悪は逃がしたらいけない。
    巨悪はあくどい,死人が出てしまった。

    0
    2025年08月22日
  • 戦火のバタフライ

    Posted by ブクログ

    戦後80年の今だからこそ、一人でも多くの方に読まれてほしい素晴らしい作品。
    第二次世界大戦末期の戦地·銃後の悲惨さや酷さを容赦なく描き、そして戦後に空襲被害者の国家補償に向けて立ち上がった官僚や戦災者の生き様が鮮明に描かれています。
    作中の戦争経験者たちの姿がとてもリアルであり、到底フィクションとは思えず、最初から最後まで物語に没入していました。読後の余韻もすごい…。
    著者が相当な取材や下調べをして、並々ならぬ想いでこの物語を綴ったのだろうことが、読み進めるほどにひしひしと伝わってくるようでした。ノンフィクション作品ではないけれど、でも出来事や人物、セリフなど、事実に基づいて書かれた部分が随所にあるのだろうと察せられる切実さや凄みをお話から感じました。
    主な登場人物である戦災者たちのほとんどは元来ただの一般市民であり、私たちとそう変わらない普通の人たちなのですが、そんな彼らが「みんな辛かったのは一緒なんだから、国に補償を求めずに黙って耐えるべき」「生まれた時代が悪かった」「運がなかった」という理由で、戦争を知らない世代から責められる描写が作中にある。
    国にも、街行く無関心な人からも背を向けられ、話を聞いてもらえない。手を差し伸べてもらえない。
    必死に反戦を訴え、国民の救済を国に求める善良な彼ら彼女らの敵対相手は政府であり、なおかつ世論という名の多くの無関心層であったという事実に、驚くと同時に腑に落ちました。
    私事ですが自分も2〜3年前までは所謂ノンポリであったし、社会に対して無関心な人は家族や友人、職場にも沢山いる。
    作品を通して戦後に思いを馳せながらも、自分が生きる今現在の社会を思う。
    問題のある言動や悪事が明るみに出ても罰されることなく居座る権力者、他人や社会に無関心な人の多さ、戦前回帰を彷彿させるような法案や思想を掲げる政治家のことなどが頭に浮かび、「過去と今もそう変わらなくなってくるのかもしれない…」と思えてしまうことにゾッとします。
    作品が読み手への手心なく事実や現実を突き付けてくれるのは、過去の過ちを繰り返すなという警告や戒めでもあるでしょう。
    500頁の文字から伝わる出来事や感情はとても重い。正直、読んでいて苦しい。戦争の酷さはもちろん、今の社会が風刺されている箇所も多くあり、身につまされたり心苦しくなったりもする。作品の登場人物である尾崎やさくらのような戦災者から、未来を託された側である自分たちは、この先も平和な国を維持できるのだろうか、国に使い捨てにされる未来が来たりしないだろうか……と不安になる。
    けれど作品紹介にもある通り、この物語には未来が平和で希望に満ち溢れたものになって欲しいという深い祈りやメッセージが込められている。本作から受け取るのは決して重くて苦しい気持ちばかりではない。血が通った登場人物たちに、心強い言葉も沢山ある。
    戦争を知らない世代の自分にとって、この本は戦中や戦後について一段深く想像させてくれる、多くのことを感じ考えさせてくれる一冊であり、出会えて良かったと思える本です。そしてこれからを生きていくための力をくれる、とても大切で大事にしたい物語です。

    0
    2025年08月02日
  • 戦火のバタフライ

    Posted by ブクログ

    打ちのめされるほど考えさせられる小説だった。
    あまりにリアルで痛ましい南方での日本軍の戦闘の有様。
    本土では庶民を焼土のなかに追い込む空襲の中で、読者に向けて呆気なく焼夷弾で殺される人々の痛ましさ。
    序盤から辛い書き出しではあるが、本書の尾崎洋平の戦争被害者への想いは、この前段が読者と共に彼の意志を共有してゆく。
    日本政府が戦争後にうやむやにしてきた不作為に、どうしても戦後80年というタイトルとしての時代感覚の不整合に失望を深くした。
    これほどの内容の本に出会えた貴重な体験を、より多くの人と共有できればと切に願うばかりだ。

    0
    2025年06月25日
  • 偽りの貌 警視庁監察ファイル

    Posted by ブクログ

    audible 。このシリーズはほんとに面白いと思う。
    短い文で展開も躍動的、監察の仲間たちの個性も豊か。
    ナレーターの良さも褒めておかないといけないだろうね。

    0
    2025年06月06日
  • 戦火のバタフライ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    僕ら戦災を受けなかった地方に生まれ育った者にとって、空襲被害者の生の声を身近で聞く機会がないので、銃後(この本で初めて知った言葉)の戦争被害者への理解と関心が極めて低かったことに恥いるばかり。国家補償を得るために立ち上がり、跳ね除けられ続けた実録をもとに、大いに考えさせられる小説だった。ほんと今さらだけど、戦時下で非業の死を遂げたのは兵隊さんばかりじゃないんだ。いいも悪いもなく懸命に当時を生き、多くを失い傷つきつつ生き残った人たち。その声に向き合わずにきてしまったけれど、こうして活字に残してもらえて感謝。

    0
    2025年06月06日
  • 残響 警視庁監察ファイル

    Posted by ブクログ

    audible 。警視庁監察ファイルの3作目。このシリーズは文句なしに面白かったですよ。
    社会派ミステリーといっていいと思います。作者の目線が深い。

    0
    2025年06月02日
  • 戦火のバタフライ

    Posted by ブクログ

    戦争末期から95年までの物語を描きながら社会、戦争そして暗躍したものを含めた闇を描いた大作。
    この時代に描かれるべき傑作だと思いました。

    2901冊
    今年129冊目

    0
    2025年05月07日
  • 戦火のバタフライ

    Posted by ブクログ

    初めての伊兼さんの作品でしたが、
    読み易い上に面白く一気読みできました。
    冒頭の戦争末期の南方戦場場面や空襲の地獄を描く場面が詳しく正確に描かれておりしっかり下調べされていると感じました。
    また戦後の長きにわたる空襲被災者への補償に立ち向かうストーリーは時代を超えて学ぶべき視点が多く描かれて、筆者の想いを強く感じました。
    過去作品も読んでみたいです。

    0
    2025年05月05日
  • 戦火のバタフライ

    Posted by ブクログ

    第二次世界大戦後の国家補償として、元軍人•軍属に対しては恩給が支払われる一方で、大空襲で財産や肉親を失い地獄の苦しみを味わった民間人には何の補償もない。
    この理不尽さに立ち上がった主人公が奮闘する姿を大河ドラマのように描き、戦後80年の節目に戦争の記憶の継承に目を向けた小説。
    序盤で、阿鼻叫喚の地獄としての南方戦線と東京大空襲の様子が生々しく描かれるが、それはあくまでも導入部。
    南方戦線から奇跡的に生還した尾崎洋平と東京大空襲で家族を失った小曽根さくらが出会うところから物語の本筋が始まる。
    尾崎は戦場で軍医だったさくらの兄・太郎から薫陶を受け恩義を感じていた。尾崎は厚生省職員となり、民間戦争被害者への国家補償を実現しようと奔走、空襲被害者への補償を求める署名活動に乗り出すさくらを支援する。
    しかし、彼らが歩むのは茨の道。官僚組織の抵抗、政治家の思惑に翻弄される。尾崎には身の危険も降りかかる上、理解者だった上司・鏑木局長が謎の死を遂げる。 
    官僚や政治家とのとてつもなく長い闘いと、鏑木の死の真相を突きとめようと粉骨砕身の努力を惜しまない尾崎の行動が読者の感動を呼ぶ。
    さくらの署名活動はささやかながら、社会の風潮を変える第一歩だ。
    蝶の羽ばたきは小さな運動だが、大きな変化を引き起こす可能性を秘めているという「バタフライエフェクト」を象徴するものとして描かれている。
    闘いに敗れた形で現役を退いた尾崎が捲土重来を期す終盤では敵役だった官僚、味方だったはずの政治家が意外な真相を抱えていたことがわかる。
    官僚機構や政治の暗部を鋭くえぐり出す深い描写もあり、単純な展開では終わらない。しかしながら、サクサクと読め、著者の意図するところは十分伝わってくる。
    核心である民間人戦争被害者救済に向けた強い理念のみならず、空襲時の不合理な消火活動、闇市での警官による配給品の強奪、七三一部隊による人体実験、陛下の巡幸に民間人の遺体がお目汚しになるという記述など、風化させてはならない戦時の醜悪で憤りを禁じ得ない理不尽な実態や世相、戦争の陰部を胸に刻んだ。

    0
    2025年04月18日
  • 戦火のバタフライ

    Posted by ブクログ

    読んだ。明確な反戦、そして戦争を始め、終わらせたふりをし続けているかつての政府と現政府への批判が込められた小説だった。
    太平洋戦争末期から現在まで、民間戦争被害者への国家補償の実現を目指す官僚とその周囲の人々の姿を描いたミステリー。ミステリーの要素はありつつも、かつての政府と今の政府、そして個人であることを手放した大衆への批判が通底している。

    戦争中の描写、とりわけ空襲の描写が前半にかなり多く登場する。著者が相当調べて書いたのだろうと思ったら、最後の見開き1ページにぎっしりと参考文献が記載されていた。
    前半の戦地に赴いた兵士の視点では、人間が人間であることを手放さなければ人を殺すことも、戦争もできないということが示されている。また、戦地ではなく、いわゆる銃後の人々もまた日々命を脅かされ、家族や友を失うことを国が強いてきたのだと描かれている。

    緻密な取材(下調べ)に基づく描写が、つらく、恐ろしい。ここを読み進めるのがいちばん気力を使った。
    この作品はフィクションであるけれど、こうした光景がめずらしくもなく、当たり前だったのだろうと思うと、怒りや悲しみよりも、途方に暮れてしまう。

    約500ページと分厚いが、文章自体は読みやすく、すっきりとしている。
    政府の、個人を無視した動きをずっと批判しているし、排外主義が強まりつつある今、反戦的なメッセージや「自分の意志を持つことこそが自分たちの幸福につながる」という内容は、多くの人に読まれてほしいと思った。
    戦後80年のタイミングに、刊行されるべくして刊行された小説だと思う。

    0
    2025年04月04日
  • 警官の標 警察小説アンソロジー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    警察小説名手による警察小説オムニバス。この手の企画は寄せ集め感強く中途半端になることが多い印象だが、本書は例外中の例外。粒揃いでどの作品も素晴らしく面白い。警察組織を舞台にしているが、各著者のそれぞれお得意分野を披露してくれている。特に月村作品は警察小説としてはものすごく特異なのだが、如何にもな感じが面白かった。つまらない作品がなく、読んで損のない一冊。

    0
    2025年03月10日