フランシス・ホジソン・バーネットのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
主人公のセーラ・クルーは環境の変化により、自分の立場や身なりが
異なるものになっても『心』までをそれに染められず、
気品と気高さを無くさず振る舞う、精神力の強さを印象づけます。
逆にセーラの周囲のキャラクターは、子どもはともかく、
大人まで自分の態度をブレブレで変化させる不安定さで、
俗世の人々の移ろいやすい心との対比がなされています。
相手の立場によって態度を変えることの卑しさは、作品を通して
俯瞰的に見れば良くないこととして映りますが、
自分たち一般人も無意識のうちに同じことをしていないでしょうか?
立場の弱い相手に対して高圧的に振る舞う姿も、
お金持ちのワガママにおべっかを使う姿も、
ここで描かれている醜い人間模様となんら変わりはありません。
小公女の存在を高めているのは、必ずしもお金などの財産を
持つからではなく、立場の弱い使用人や、今日食べるものにも
困る乞食に対しても態度を変えず、使用人としての忙しい生活の中でも
勉学に勤しみ、自らを高めようとする小公女としての心を持つ者としての
振る舞いがあってこそ、そこに自然と幸運が集まってくる。
ここが作者様のメッセージなのだと思います。
仮にセーラが作中でインドの紳士と会えない未来があったとしても、
彼女はミンチン女学院の枠におさまるだけでなく、
必ずなにがしかの成功をおさめることでしょう。
小金持ちの成金を夢見るのもいいですが、どうせ生きるなら
すこしでも小公女の心を宿してみたいものですね。 -
Posted by ブクログ
子供地代には手にしなかった本。
大人になってから、児童書を読み進めるのが難しいときもあるが、
主人公セドリックの天真爛漫な愛らしさ、優しさに引き込まれて、優しさ溢れる行動に読み進めるスピードが止まらなかった。その母親の温かく、セドリックを包み込む優しさが、セドリック始め、まわりの人たちを包み込んでいき、読者も包まれるような感覚になれる。ホッとする。
荒れすさんだ祖父が、セドリックによってすこしずつ変化していく様子が現実でもそうあればと願ってしまう。
祖父はいい人だと信じる、その信じるに人は応えたくなるとも教えてくれた。
自分も子供を信じてあげたいと重った。 -
Posted by ブクログ
実のところ『小公女』は子供の頃から目をそらしていた。大金持ちのお嬢様が寄宿学校に入り、特別扱いされているとまもなく父親が亡くなったと知らされ突如召使へと降格されいじめを受ける•••
最後はハッピーエンドでも、この部分が嫌で何十年も避けていた。バーネットさんごめんなさい。
ここへ来て一気に3冊購入したので1冊目として新潮社を選び読み始める。
原題は『A Little Princess』。この“プリンセス”という言葉の意味が子供の頃には分かっていなかった。ドレスを着てキラキラしている人は皆“お姫様”でひとくくりにしていた。読んでみると、ここが肝なのだと実感。
読み始めは本当に10歳前後?と思うほど大人びたセーラの言動に違和感をもちつつ、さらに「乞食」と連呼される事もぐっと乗り越え、さらに読み進めると中盤からページをめくる手がどんどん早くなる。“プリンセス”というキーワードが全てだと分かってくる。『ボロは着てても心は錦』という言葉があるがまさにこれで、常に自分はプリンセス(王族のお姫様)だと思い込み、自分をいじめる料理人にも礼節をつくす。狭い屋根裏も本当は素敵な部屋なのだと想像し、ネズミやスズメをお友達にする事で自分を貶める事なくいじわるなミンチン先生を苛立たせる。
欧米での考え方で、自分より貧しい物に施すのは高貴な者の勤め•••というのがあるけれど、自分の持つ物を最大限に人に施す。それはお金というわけではなく、楽しいお話しであったり本当は食べたくて仕方ない焼きたてのパンであったり、小さい人に勉強を教える事であったりする。
聖書に貧しいやもめの話がある。やもめの女性がわずかなお金を献金するところを見ていたイエスは「あの人は誰よりも多く献金した。それが彼女の全財産だからだ」という。こういう考え方が根付いてるのかなと感じる。
結局はそういう善行の全てがセーラの人生を良い方向に変えていくことになる。
そんな完全無欠のようなセーラも時に隠れて大泣きし、八つ当たりしたりする所があり、実はほっとする。
長々と書いてしまったけど、まとめると“面白かった”のですw ただ大好きな『小公子』とはだいぶ違い、なんか深かったように思う。
薄い本だけど、読み応えがあった。それと、私はセーラにはなれそうもないという事を思ってたw
前述の通り、他にも小公女は持っているので訳に対する感想を書いておくと、とても読みやすいが、あまりお嬢様言葉などは出てこない。が、とても高潔なセーラでした。 -
購入済み
驚きの訳者!
えっ⁉️訳者が、川端康成⁉️
ビックリして、読んでみた。昭和35年刊行なので、金銭的な物に関しては、少し古いなと思ったのと、名前とかの表示が、ちょっと違和感が有ったけれど、原文に忠実に訳そうという気持ちが伝わってきて、面白く読めた。 -
ネタバレ 購入済み
ずっとずっと大好きな本
子供の頃に読んで、感動した本は、大人になって読んでも、感動する。世の中の嫌なことも、綺麗さっぱり無くなってしまって、すっきりした気分で、また、明日から頑張ろうという気になる。
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Posted by ブクログ
・はじめはなかなかページが進まなかったが、50ページをすぎたくらいから、「こんなに童心にかえりワクワクできる、花や葉や空気の匂いを敏感に楽むあの感覚が蘇るような感覚になれる物語があるのか!」と大感動。描写のひとつひとつがきもちいい。
【印象に残ったフレーズ】
・物語中の登場人物たちの言動(ほぼ全てがみずみずしく、印象に残った)
・たとえ不快で陰鬱な考えが浮かんでもゆるぎない勇気を与えてくれる心地の良い考えとすぐさま置き換える分別があれば、誰にでも、もっと素晴らしいことが起きる可能性があるのだ。
・19世紀に新たに発見されたことの1つは、単なる思考でも電池と同じ位強力で太陽光と同じ位人間のためになると同時に毒と同じ位有害なものになり得る、と言うことだった。
悲しい思いや邪悪な思いを心に抱えて生きるのは猩紅熱の病原菌を体内に入れてしまうのと同じ位危険なのだ。そうした考えが心に巣くっていたら、生きている限りそれを克服できないかもしれない。
(訳者あとがきより)
・1991年、著者61歳の時に本書を出版。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「小公女」は子供の頃に読んだけど、梨木さんの書評本を読むにあたってこれは未読だったので読んでみたんだけどすごくよかった!「裏庭」や「西の魔女が死んだ」など、梨木さんの作品に通じるものも確かに感じることができる。
偏屈で尊大で常に不機嫌な子供だったメアリ、癇癪で人を支配する病んだ小さな王様だったコリンが、動物や植物の友達がたくさんいるディコンと秘密の庭での庭仕事と交流を重ねるうちに成長していく。二人のやせ細ったからだと精神が膨らんで豊かになっていくのと、秘密の花園が目覚めさせられ、芽吹き、花を咲かすのが同期していて、エネルギーに満ち溢れた優しい小説になっている。病気が治っていないふりをするために、用意された食事に毎回手を付けずにコックの心遣いを無にするくだりだけは気になったけど。
コリンは自分がもうすぐ死ぬと思いこんで一人発狂する日々を送っていたけれど、信じる力をもらうことで抗うことができるようになる。
「ぼくはもう変でなくなる。毎日花園に行けばいい。あそこには魔法がある──よい魔法が」
「本物の魔法じゃなくても本物だって思えばいい。何かがある──何かが!」
「魔法」を信じること、そのエネルギーを胸にともしてもらうこと、それこそが児童書が子供のわたしにくれた大切な宝物だったと思う。そして、「秘密の花園」は大人の私にも確かに作用する。優しいディコンやそのお母さん、動物や植物たちの温かいまなざしに助けられて元気をもらえる。大好きな小説になった。