【感想・ネタバレ】秘密の花園のレビュー

あらすじ

十歳にして両親を亡くし、親戚に引きとられたメアリ。顔色も悪く愛想のない彼女を唯一楽しませたのは、ひっそりと隠された庭園だった。世話役のマーサの弟で、大自然のなかで育ったディコンに導かれ、庭園と同様にその存在が隠されていた、いとこのコリンとともに、メアリは庭の手入れを始めるのだが――。三人の子どもに訪れた、美しい奇蹟を描いた児童文学永遠の名作を新訳。

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Posted by ブクログ

私の中の憧れの世界…朝起きて、バターとジャムたっぷりのご飯に熱々の紅茶を食べて、庭に駆け出す。一日中たっぷり遊んで、お腹が空いてご飯もお菓子も美味しい。夜はぐっすり、また明日。庭は毎日様子を変え、手入れをするほど元気になっていく。自分の手で、目の前の自然が生き生きとしていく、そしてそれを通して、自分も生き生きとする。まさに魔法だなと思う。
好奇心を持つこと、それに向かって夢中で行動すること、そして自然の中で動いて笑って…美しいムーアで子供たちの魂がのびのびと解放されていく。憧れの原風景を再訪した気持ち。

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2025年12月05日

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ネタバレ

1911 年発行。『小公子』『小公女』などの児童文学で有名なイギリスの作家フランシス・ホジソン・バーネットが描いた不屈の名作。
 イギリス領時代のインドで暴君じみたわがままな少女として育ったメアリは、十歳にして突然孤児となり、イギリスに住む叔父に引き取られる。全てを呪うように生きるメアリだったが、閉ざされた庭園の鍵と、生き物を愛する少年ディコンとの出会いをきっかけに、世界の素晴らしさを知っていく。従兄弟のコリンとの大人たちを驚かせる秘密の計画は、運命に導かれるように美しい魔法を巻き起こす。

 メアリははじめ、どうしようもなく生意気な子どもだ。常に苛立ち大人を狼狽させるのだが、読んでいて楽しく何度も笑った。そんな生意気なメアリさまが可愛く思えるのは、不幸な身の上のせいだけではない。メアリさまは態度は悪いが人間は悪くない。あまりにも正直すぎるのだ。啖呵のセリフからしても頭の良いことはわかるし、自分の間違いも認めることができる。従兄弟のコリンの方がよほど重症である。
 メアリが出会ったころのコリンは妄想に囚われていて悲観的で、読んでいるとメアリさまにつられてイライラしてくる。そのコリンも友人と共に世界の素晴らしさを学ぶようになり、自らの生きる力に気づくシーンはとても感動的で、すべての子どもたちを祝福しているようだ。コリンが文字通り一人歩きするまでがこの物語のクライマックスであり、父親との和睦まではエンドロールみたいなものである。幼い息子を亡くした経験のあるバーネットは、生きる気力を無くした子どもを救いたかったのではないか。あくまで子どものための物語に終始している。

 十年間誰も入ったことのない、扉のない庭というアイデアが素晴らしい。心理的な面では箱庭療法なども想起させるが、単にアイデアが良いだけではない。
児童文学の王道パターンに「行きて帰りし物語」がある。現実世界でうまく生きられない子どもが異世界に迷い込み、冒険をするなかで自分のトラウマに打ち勝ち、現実世界に帰ってくる。剣と魔法の異世界ではないが「誰も入ったことのない庭」は子どもにとって同じくらい魅力的な場所だ。「行きて帰りし物語」の異世界は主人公に勇気と自信を呼び起こさせる装置である。
 更に児童文学のもう一つのパターンとして英雄譚がある。主人公が運命によって旅立ち、師の導きで一人前となって、市民を困らせる大きな問題を解決することで英雄となる。本作もある意味、英雄譚である。両親の死によって旅立ち、ディコンという師をみつけ、コリンの問題を解決することで、ミセルスウェイト邸に平和が訪れるのである。家庭の問題を英雄譚の形式にしたところに、『秘密の花園』というアイデアの奥深さを感じた。

 本作が古典となった今日でも、ここまで絶妙に構成された作品は少ないのではないだろうか。本作はキャラクターに魅力があるだけでなく、児童文学の構造をよく理解して創作されていて、物語の構成に無駄がなく、何度でも繰り返し読める強度がある。物語作りのひとつの教科書でもあり、不屈の名作という表現に何の誇張もない。

 あまりにも”いぎいぎ”とした描写に、子どもの頃を思い出した人も多いだろう。私も昔、「秘密の公園」と呼んでいた他人の庭があった。今思えば花壇や井戸のポンプもあって、公園というには綺麗に手入れされ過ぎていたと思えるが、子どもの自分にはそんな広い庭があるとは知らなかったので公園だと思っていた。鉄格子でできた洋風の扉は、鍵が開いている時と閉まっている時があって、開いていれば勝手に入って手押しのポンプで水を汲んで遊んでいた。ある日、鍵が開いていたので後ろから来る兄に大きな声で「秘密の公園開いてるでー(ヨークシャー弁ならぬ関西弁)」と叫んだら、植え込みの影から笑顔のおじさんが出てきて「ここは公園じゃないよ」と教えてくれた。恥ずかしくて逃げ出したが、この世には公園のような庭があることを知った。

 子どもには大人の目の届かない遊び場が必要で、その遊び場は大人たちが子どもたちのために残しておかなければならない。今では公園だけでなく山も川も全て管理しようとしていて、これでは子どもの感動を奪っているのではないかと思うが、それでも子どもは隙間を見つけて遊ぶのだ。大人はそれに手を貸してはならない。転ばないようにするのではなく、転んでも一人で立ち上がれるように大人は遠くから見守る。『秘密の花園』は大人の目線で読んでもやはり感動する。この作品は時代が変わっても変わらないテーマを魔法のように魅力的に描いていると思う。

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2025年10月13日

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偏屈者だったメアリと全く外に出なかったコリンが、秘密の花園が息を吹き返すと共に子どもらしい子どもになる様子を読んでいると、清々しい思いになりました。また、秘密の花園が美しくなっていく様子がとても細かい描写で表現されていて、実際に花園を見た訳ではないのに目の前に花園があるかのように楽しめました。

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2025年04月12日

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すごくよかった……

秘密の花園は子供の頃絵本で読んだ記憶があります。
蔦の絡まった扉にひっそりと鍵穴がついていて、特徴的な装飾の鍵で開けるっていうのにすごくときめきました。

内容は全然覚えてなかったんですが、コリンやディコンといった登場人物の名前は覚えていたので子供の頃の記憶は馬鹿に出来ないなと

主人公のメアリが不器量で黄色い顔のすごく嫌な感じの子っていうのがよかった。
だいたい可愛くて素直な子が主人公じゃないですか(笑)
コリンも最初はガリガリでヒステリックで自己中だったけど、メアリと花園の力でどんどん変わっていきます。

2人とも甘やかされて育ったから単に性格が悪いというより注意してくれる人がいなかっただけなんですよね。
ディコンは天使みたいにいい子。

クレイブンさんの夢に奥さんが「花園よ!」って出てくるところがいい。
クレイブンさんには今までの10年を取り戻すべくコリンといっぱい話してほしい。

「魔法」の力で恐怖から解き放たれて幸せいっぱいなラストが素敵です。

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2025年01月24日

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幼少期に何度も繰り返し読んだ自分の原点のような物語。思い込み(魔法)の力は良い方にも悪い方にも働くという、普段は忘れがちだけどとても大事なことに気づかせてくれた。メアリとコリンが成長する様子には、自分もその気になれば変われるかもしれないと勇気づけられる。自分にとってはお守りのような作品で、常に大切にそばに置いておきたい。

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2024年06月25日

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途中から号泣していました。
人生経験を積んだ大人が読むからこそ、泣けるのかもしれません。
大人になると忘れてしまう子供の頃の純粋さを思い出させてくれるような作品でした。

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2023年10月30日

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ネタバレ

「小公女」は子供の頃に読んだけど、梨木さんの書評本を読むにあたってこれは未読だったので読んでみたんだけどすごくよかった!「裏庭」や「西の魔女が死んだ」など、梨木さんの作品に通じるものも確かに感じることができる。
偏屈で尊大で常に不機嫌な子供だったメアリ、癇癪で人を支配する病んだ小さな王様だったコリンが、動物や植物の友達がたくさんいるディコンと秘密の庭での庭仕事と交流を重ねるうちに成長していく。二人のやせ細ったからだと精神が膨らんで豊かになっていくのと、秘密の花園が目覚めさせられ、芽吹き、花を咲かすのが同期していて、エネルギーに満ち溢れた優しい小説になっている。病気が治っていないふりをするために、用意された食事に毎回手を付けずにコックの心遣いを無にするくだりだけは気になったけど。

コリンは自分がもうすぐ死ぬと思いこんで一人発狂する日々を送っていたけれど、信じる力をもらうことで抗うことができるようになる。

「ぼくはもう変でなくなる。毎日花園に行けばいい。あそこには魔法がある──よい魔法が」
「本物の魔法じゃなくても本物だって思えばいい。何かがある──何かが!」

「魔法」を信じること、そのエネルギーを胸にともしてもらうこと、それこそが児童書が子供のわたしにくれた大切な宝物だったと思う。そして、「秘密の花園」は大人の私にも確かに作用する。優しいディコンやそのお母さん、動物や植物たちの温かいまなざしに助けられて元気をもらえる。大好きな小説になった。

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2022年07月02日

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大学のレポートの題材にしようと思い呼んでみたが、児童文学ってこうだよなと読みやすさを感じつつ、大人になって純粋さを失くした自分には眩しい小説でした。健全に生きたいな……

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2022年01月15日

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子供の頃は村岡花子訳を、10年前は光文社古典新訳文庫の土屋京子訳、今度は新潮文庫の黒柳和代訳。12歳の時からの長い付き合いだけど、何度読んでも奥深さがある。

両親が亡くなって義理の伯父に引き取られるメアリ。インドとはまるで違う本土イギリスへ。暗鬱で荒涼としたヒースばかりの野中に建つ古いお屋敷へ住むことに…そうして見つけた秘密の花園。

そう、読む少女たちにとっては秘密がワクワクドキドキ請け合い。まして可愛くない性格がゆがんでる、っていうこのヒロインですから興味そそられ、そうして輪をかけたわがまま少年コリンが登場してくるので、面白くなってくる。まるでコリンが主人公のような雰囲気。

ところが野性的で植物や動物に対する知識豊富さや、おおらかさ、優しさあふれるディコンという少年が、間に入っていろいろ進展する、彼が主人公なのか?

彼のその魔法的な性格は、生い立ち、貧しい大家族、それを束ねる彼のお母さんからの影響らしい。また、登場人物皆が尊敬し、いろいろ影響を受ける、そのおっかさんの「スーザン・サワビー」が素晴らしい。この人こそヒロイン、作者の分身なのだとわかった今回の再読。

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2021年10月09日

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ネタバレ

 甘やかされ、勝手気ままに召使いを罵る九歳の少女、メアリー・レノックス。小柄で痩せこけ、誰からも好かれない彼女はコレラによって両親を亡くし、インドから伯父のいるイギリス・ヨークシャーへ連れて来られた。もの寂しい荒野に囲まれた屋敷で退屈を持て余すメアリーだったが、温かい人々と澄んだ空気、美しい草花と動物たちが彼女に変化をもたらし始める。ある日メアリーは、入ってはならない「秘密の花園」の存在を知る。10年前、伯父が愛する妻を亡くした時に閉ざされた花園。伯父が庭に埋めたとされるその鍵を、メアリーは見つけてしまう。再び開かれた花園の存在は、メアリーの心と体に太く、血を巡らせた。メアリーは、動物と会話ができる少年ディコンと、かつてのメアリーのように病弱でヒステリーを起こす従兄弟のコリンを花園へ招き入れる。花園の「魔法」はコリンに生きる勇気と力を与え、ついには伯父の閉ざされた心も、花園の扉とともに開かれてゆく……。
 1911年に初版が発行され、世界中の少年少女に読まれ続けている世界文学の名作。

 少年少女たちの成長物語に、素直にとても感動した。これほどの読後の爽快感は久々。現代小説のような複雑さがない分、真っ直ぐなハッピーエンドは胸に沁みる。
つむじまがりのメアリーが変わるきっかけとなったのは、世話役のマーサの存在。素朴なヨークシャー弁で率直に語りかけてくる彼女に、メアリーは世界が自分を中心に回っていないことを知る。そしてディコンが太陽のように彼女の心を温める。コリンとの出会いはかつての自分との対峙。この出会いが、本当の意味での過去の自分との訣別の機会だったのかもしれない。
 メアリーとコリンが生きる力を身につけていくと、読者の心も春の陽光に温められていく。コリンの言う「魔法」は読者にも届く。世界文学として読み続けられている所以はここにあるのだなぁ。

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2021年03月14日

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メアリとコリンの成長にとても感動
自然や、動物たちの様子が豊かな表現で書かれており、本を読むにつれて自分自身も、コリンやディゴン、メアリと一緒に作業してそして豊かな自然を見ているようなとても素敵で心地よい気持ちになれた

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2021年01月09日

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ネタバレ

いや~、いい話だった! 幸せな読後感!
裕福な家に生まれながらも孤独な環境に育ち、ネガティブでわがままなメアリとコリン。貧しいけれど兄弟や動植物に囲まれてのびのびと育った、ポジティブで明るいディコン。3人の子供の交流と、メアリとコリンが変わっていく様が良い。
子供たちのいう「魔法」は、ネガティブになりがちな大人も忘れちゃいけないものだろうな。
あと、ベン・ウェザースタッフと駒鳥がいい味を出していた。
あまり名作と言われる児童文学を読まずに大人になってしまったけど、大人になって読んでも良いものだなあ。

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2021年01月07日

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読んでいる途中で「えっこれいつ書かれたの?」と後ろの解説を読んでしまうくらい(1911年だった)、話が現代的だった。

ネグレクトを受け、愛情不足で育った子どもはどうすれば救われるのか…という物語だと思うのだが、作中で示される答えの一つひとつが、現代から見てもまったく違和感がない。すごい。

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2018年04月01日

Posted by ブクログ

この時期にバスに乗りながら、電車で横目に景色を流しながら読めたのは運命なんじゃないかと思います。
希望と色と幸せな香りが満ち満ちている。花を見て空を見て空気を胸いっぱい吸い込んで、幸せだと実感する。できる、できる、できる、の魔法がある。私にもあなたにも、世界中のみんなのところに魔法はある。
生きる歓びを再確認しました。

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2018年03月15日

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ネタバレ

とてもとても良かった。この一言に限る。

メアリさまが変わっていく過程が丁寧に描かれているのがいい。コリンのかんしゃくを聞いたメアリさまのセリフに笑った。

ディコンと出逢えて、メアリさまもコリンも人生が大きく(良い方に)変わった。出会いって本当に大切だなあと改めて思った。

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2017年02月13日

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2025.5.20
メアリとコリンを通して、自分まで心が温かく、元気になれた気がする。みんなが幸せにずっと笑顔で暮らせますように。
わたしも、自分の近くにディコンみたいな子がいたらなあ。

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2025年05月20日

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読んだのは大体7年ほど前。題名に惹かれつつもなかなか読めていなかった一冊だった。題名のイメージだけが頭の中で勝手に膨らんで、実際に読んだ時の印象と空想上の印象はだいぶ異なっていたのを思い出す。
詳しい内容は覚えていないけれど、花園の空気だけは私の鼻をかすめそうになるほど鮮明に残っている。ついこの間の体験みたいに。

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2025年04月12日

Posted by ブクログ

宮崎駿さんの「本へのとびら」で紹介されていたので購入。
はじめて読んだけど、児童文学らしい面白さ。あっと言う間に読み終わった。ヒミツの花園が春を迎える様子や、土の香りが想像でき、ワクワクした。

インドで両親を亡くした少女メリーは、イギリスのおじさんの家に引き取られ、大きな屋敷に住むことになる。遊び相手がだれもいない屋敷では、八入りを禁止された廊下の奥から子どもの鳴き声が聞こえてきた。
家族の愛に恵まれず、心と身体を病んでいた少年と少女の出会いと再生を描いたバーネットの代表作。

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2024年08月30日

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子どもの頃、この系統のは赤毛のアンにも若草物語にも小公女にもピンとこなかった私が唯一面白く読み返してた記憶があった、ので大人になった今読み返してみたら、今でもやはり面白かった。

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2024年04月30日

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小学生以来の再読。日中動いてしっかりお腹空かせてご飯を美味しく頂いてしっかり寝るのが健康にいいって分かってるけどできない現代人…悲しい。子供の頃はできてたのにね。

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2023年12月13日

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春が美しいことは知っていたけど、ここまで素晴らしいものだとは。匂い立つような、湧き出でるような。素朴な絢爛さが咲き誇って、土から萌出て空に昇っていく。朝も昼も夜もそれぞれに魔法がかっている。
子供って素直。環境に対して真っ直ぐで、素直に受け取って自分に映し取っている。

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2023年08月31日

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ネタバレ



子どもの成長物語は多くあるが、この作品は異端な登場人物たちが印象的であった。何事にも興味を持たず、偏屈で癇癪持ちの子どもらしからぬ少女メアリ。ヨークシャーなまりを持ち、召使にそぐわない気さくなマーサ。自分を病気だと思い込み、希望を持てない少年コリン。

3人はいずれもそれまでのステレオタイプからは逸脱した性質の持ち主だが、マーサはメアリに、メアリはコリンに良い影響を与えてゆく。

明るくて真っ直ぐな少女セーラが主人公の『小公女』とは対照的な作品であると感じた。

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2019年10月30日

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 コミカライズされたものを読んであらすじは知っていましたが、小説は初めて。
 著者は「小公女」「小公子」の作者でもあり、話のトーンはとてもよく似ていますが、こっちのほうが好み。
 序盤のストレスフルな描写と、後半のカタルシスいっぱいの展開が、合わせ技でとっても気持ちいいです。終盤は上手くいきすぎかもですが、児童文学だし、いい方向にいく描写だし、何より読んでて楽しいので、これで全然OK。ハッピーエンド万歳。
 ビジュアル的にも映えるので、風景を想像するのも楽しい。バラ園とか、広大なヒースとか、古いお館とか。春が来て、クロッカスやスノードロップが咲いて、バラが次々とほころんで。動物を引き連れた農家の少年とか、ベッドに伏せてるお坊ちゃんとか……いい萌えをありがとうございます。
 子供のかんしゃくシーンも、大人になった今読むと、すごく微笑ましい気持ちになれます。子供のかんしゃくだと思えば、メアリはワガママな部分も含めてかわいいです。お坊ちゃんも。

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2018年02月24日

Posted by ブクログ

孤独だった子供たちが歩み寄り、協力し結束することで感情的にも人間的にも成長していく様子がなんだかホッコリしました(^O^)
かわいらしい物語だとおもいます♥
久しぶりに児童文学を読んだけど、大人が読んでも考えさせられる要素はいっぱいありますね~。
動物との交流は、なんか憧れちゃいますね!

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2017年10月28日

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私を含むアラフォー世代が子供だったころ、大多数の子供たちにとって、児童文学は読むものではなく、テレビで観るものだった。私たち世代のほぼ全員が、「ハイジ」や「赤毛のアン」や「トム・ソーヤー」について多少の知識を持っているのは、日曜夜のアニメ「世界名作劇場」の功績といっていい。海外の児童文学1作品を1年かけて放映するシリーズである。

バーネット作品からは『小公女』が取り上げられた。逆境を耐え忍ぶヒロインが最後は幸せになるという、西洋版「おしん」みたいな物語で、私はあまり好きになれなかった。ヒロインが優等生すぎて、共感よりも反発の方がまさってしまったのだ。「こんな子いるわけないじゃん」と突っぱねることで、大人に教化されるのを無意識に拒んだのかもしれない。

そんな私でも、同じバーネットの『秘密の花園』は楽しく読むことができた。まず、ヒロインのメアリが偏屈なワガママ娘という設定が面白い。もうひとりの主人公コリンときたら、メアリ以上に病んだ少年だ。両親の愛を知らず、ことなかれ主義の召使によってスポイルされてしまった子供たちが、「秘密の花園」を通して生きる力を取り戻す物語である。

うち捨てられた花園は、孤独な子供たちの心の象徴でもある。荒廃しているように見えても、心ある人が気を配り、正しいやり方でケアすれば、驚異の生命力で息を吹き返すのだ。花園の復活と連動するように、子供たちの心が解き放たれ、子供たちの成長によって、哀れな大人の魂が救われる。子供たちは大人に教化されるのではない。ムーア育ちの少年が、12人の子供を育てる母親が、ヨークシャーの大自然が、子供たちをあるべき姿に導くのだ。

世界名作劇場は20年以上も前に終わってしまったが、もし同じような企画があるなら、ぜひ『秘密の花園』を取り上げてほしいと私は思う。子供たちの成長物語はもちろん、20年間に進歩したアニメーション技術で、ヨークシャーの広大なムーアや、薔薇の咲き乱れるイングリッシュ・ガーデンを映像化してほしいと思うからだ。昔ならあり得なかった無愛想なヒロインも、今の時代なら割とすんなり受け入れられると思うのだが、どうだろう。

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2017年10月27日

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小学生のころ毎週テレビで観ていた世界名作劇場の『秘密の花園』だと知らずに読んだ。
ムーア(湿原)の大自然、庭園が生命力豊かに描かれている。
メアリーがふわっと草木の香りをまとって家に帰る場面が特に魅力的に感じて、恵まれた自然環境を羨ましく思った。
やっぱり子どもは自然の中で太陽の光を浴びながら遊ぶのが一番!
生き物や植物との触れ合い、秘密基地、庭の修復作業、なんて自由で楽しそうなの。
どんどんメアリーとコリンが心身ともに健康になっていく様子を追うのは楽しかった。2人とも、元がひどくて不憫だったので。

探してみたら、YouTubeで世界名作劇場の『秘密の花園』がなんと1話からアップされていた。
内容全く覚えてなかったけど、「逆転タイフーン」の歌だけは未だに歌える、ってことは自慢しておきます。

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2024年09月11日

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アニメを見ていた気がするが
「こんな話だったかな?」
という感じで楽しめました。

後半の展開が良いです

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2020年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本作は『小公子』や『小公女』とともに、
バーネットが書いた児童文学の代表作のひとつです。

物語の作りが、良い意味でオーソドックスといいますか、
物語のひな形として基本形といった感じなので、それはそれで参考になります。

主人公である少女メアリがインドから本国に帰還してやって来るまでの邸の過去、
れも10年前に大きな悲劇があり、
その悲劇ののちの10年の経過でできあがった世界がまず構築されていて、
そこに主人公のメアリが飛びこませられる。
メアリ自身が偏屈で痩せぎすで問題のある子ですが、
彼女は邸に落ちついてから、
使用人のマーサとの出会いやムーアと呼ばれる邸の周囲の植生からの生命力みなぎる風、
そして邸の周囲の庭で遊ぶようになり、少しずつ再生していく。
邸と花園によって再生していくメアリが、
逆に今度は邸と花園を再生させていきます。

気付いたことといえば、
小川洋子さんの『ことり』に出てくる鳥と話せるお兄さんのキャラクターは、
本作の重要キャラクターであるディコンからインスパイアされているのかもしれないこと。
ディコンは人と話すときは支離滅裂だけど駒鳥と駒鳥語で話をする、
という一文がありましたし、物語のなかで実際にそうでした。
そして『ことり』のお兄さんこそ、人間語がめちゃくちゃ。
共通しています。

本作後半で「魔法」だとか「大きな善きもの」と呼ばれる力。
なかなか名付けようがないけれど、
そのぶん人それぞれで自由に表現が可能なものです。
人のなかに備わってもいるし、人を含めたこの世界全体としてみてもその力はある。

なんとなく思い出すのはソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』。
この小説の底に流れているものだって人間の内に根源的に備わっているパワーのことであり、
『秘密の花園』の「魔法」などとほとんど同じだと思います。
僕も以前、かなり拙い小説ながらこの力を「火種」と名付けてテーマとし、書いたことがある。

個人的な経験ではありますけれど、
ちょっと本が読めてくると「魔法」や「大きな善きもの」
と名付けられるようなものを読書をしていない「しらふ」の状態でも
うっすらと感じられるようになってきます。
そして一度「魔法」に気付けば、
その後はけっこうふつうに、
生活な思索のなかで「魔法」を察知できるようになっていく。
まあ、しつこく考えればかもしれないですが。

最後にですが、
本書冒頭で、コロナならぬコレラによって人がばたばたと死んでいくんです。
いやぁ、この時期に疫病モノかあと構えましたが、
序盤の一章のみでした。
コロナが流行ってきてから、
カミュの『ペスト』が売れているという話を読みました。
こういう、時事に重ねて深めるみたいなのって、
僕はあんまりしないんですけど、
どうなんでしょうね、逆に視野が狭くなったりはしないんでしょうか……。

と、それはさておいて。
こういう子どもの素直な部分、それは良いところも悪いところもですが、
それらに触れられて、さらに自然の豊かさも感じられる読書になるのが本作。
あくまでそれは書かれていることであり、「読書によって」の経験ですが、
こういった読書が実生活へよい影響を与えもします。
それは、読書体験を経た後であれば、そこで知った知識や感覚や視点によって
感性がより開いた状態になるでしょうし、
その状態でいろいろと、
より深く見たり聞いたり知ったりできるようになるだろうからです。
そうして得た経験が想像力を豊かにして、
また次の読書時により深い読書ができるような
フィードバックになっていく。
つまりは好循環です。

そうはいうものの、
そういうことを考えなくても、ふつうに楽しめればいいんですけどね。

この物語に浸れれば、ずいぶんゆったりとした気分になれるでしょう。
かたとき、日常の鎧を脱ぎ捨てて、
かろやかかつ自然に、物語の世界に踏み入ってみてほしいです。

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2020年04月08日

Posted by ブクログ

下鴨アンティークの中で出てきた本。
小公女と同じ作者だったことをここで知る。

両親から放置されて、暴君じみたわがままなこどもになった少女メアリ。こんなに感じが悪いこどもは見たことがない、と何回書かれているだろう。

主人公がメアリと同年代なら確かに秘密の花園にわくわくするかも。
でも下鴨の登場人物が言った、読んで寂しくなったっていう記述もわかる。
登場人物のメアリもコリンも親に省みられなく、孤独なこどもだ。
コリンの母は、出産時に亡くなり、唯一の家族である父は妻を失ったショックのあまり、妻が好きだった庭を封印し、息子を避ける。

なんでも物を与えてもらえる代わりに、構われることもない少年が、同じくインドでかしずかれて、親に放置されて育ったメアリと会い、秘密の花園の中で、自然に囲まれてキレイな空気の中で、楽しい事を想像したり、生き物と過ごすことで成長していく。

話中の中のキーパーソンが、メアリの女中マーサの母親と弟。本当に偉大。
12人の子供を愛情深く、礼儀正しく育てるとか本当にすごい。
息子のディコンは自然のことならなんでも知ってるし、動物と仲良くなれる変わった子。

孤独な子供達に必要な事がこの二人によって与えられる。
友達、たくさんの遊びと発見、栄養のある食事。

大人目線で児童書を読むと、昔と違って大人目線で読んでいることに気づく。

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2017年07月11日

Posted by ブクログ

幼いころ、簡易版で読んだのを思い出し懐かしくなって購入。酒井駒子さんの絵に惹かれたのもあります。簡易版では隠されていた様々な事柄に驚いたり楽しんだりを繰り返しました。ことに、ディコンにかんしては知らなかったことがたくさんあって、この愛すべき子に新たな評価がつきました。ただ、「ん?」と思ってしまう箇所もないではありませんでしたので星は3つです。

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2016年06月13日

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