【感想・ネタバレ】秘密の花園のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年07月02日

「小公女」は子供の頃に読んだけど、梨木さんの書評本を読むにあたってこれは未読だったので読んでみたんだけどすごくよかった!「裏庭」や「西の魔女が死んだ」など、梨木さんの作品に通じるものも確かに感じることができる。
偏屈で尊大で常に不機嫌な子供だったメアリ、癇癪で人を支配する病んだ小さな王様だったコリン...続きを読むが、動物や植物の友達がたくさんいるディコンと秘密の庭での庭仕事と交流を重ねるうちに成長していく。二人のやせ細ったからだと精神が膨らんで豊かになっていくのと、秘密の花園が目覚めさせられ、芽吹き、花を咲かすのが同期していて、エネルギーに満ち溢れた優しい小説になっている。病気が治っていないふりをするために、用意された食事に毎回手を付けずにコックの心遣いを無にするくだりだけは気になったけど。

コリンは自分がもうすぐ死ぬと思いこんで一人発狂する日々を送っていたけれど、信じる力をもらうことで抗うことができるようになる。

「ぼくはもう変でなくなる。毎日花園に行けばいい。あそこには魔法がある──よい魔法が」
「本物の魔法じゃなくても本物だって思えばいい。何かがある──何かが!」

「魔法」を信じること、そのエネルギーを胸にともしてもらうこと、それこそが児童書が子供のわたしにくれた大切な宝物だったと思う。そして、「秘密の花園」は大人の私にも確かに作用する。優しいディコンやそのお母さん、動物や植物たちの温かいまなざしに助けられて元気をもらえる。大好きな小説になった。

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Posted by ブクログ 2021年03月14日

 甘やかされ、勝手気ままに召使いを罵る九歳の少女、メアリー・レノックス。小柄で痩せこけ、誰からも好かれない彼女はコレラによって両親を亡くし、インドから伯父のいるイギリス・ヨークシャーへ連れて来られた。もの寂しい荒野に囲まれた屋敷で退屈を持て余すメアリーだったが、温かい人々と澄んだ空気、美しい草花と動...続きを読む物たちが彼女に変化をもたらし始める。ある日メアリーは、入ってはならない「秘密の花園」の存在を知る。10年前、伯父が愛する妻を亡くした時に閉ざされた花園。伯父が庭に埋めたとされるその鍵を、メアリーは見つけてしまう。再び開かれた花園の存在は、メアリーの心と体に太く、血を巡らせた。メアリーは、動物と会話ができる少年ディコンと、かつてのメアリーのように病弱でヒステリーを起こす従兄弟のコリンを花園へ招き入れる。花園の「魔法」はコリンに生きる勇気と力を与え、ついには伯父の閉ざされた心も、花園の扉とともに開かれてゆく……。
 1911年に初版が発行され、世界中の少年少女に読まれ続けている世界文学の名作。

 少年少女たちの成長物語に、素直にとても感動した。これほどの読後の爽快感は久々。現代小説のような複雑さがない分、真っ直ぐなハッピーエンドは胸に沁みる。
つむじまがりのメアリーが変わるきっかけとなったのは、世話役のマーサの存在。素朴なヨークシャー弁で率直に語りかけてくる彼女に、メアリーは世界が自分を中心に回っていないことを知る。そしてディコンが太陽のように彼女の心を温める。コリンとの出会いはかつての自分との対峙。この出会いが、本当の意味での過去の自分との訣別の機会だったのかもしれない。
 メアリーとコリンが生きる力を身につけていくと、読者の心も春の陽光に温められていく。コリンの言う「魔法」は読者にも届く。世界文学として読み続けられている所以はここにあるのだなぁ。

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Posted by ブクログ 2021年01月07日

いや~、いい話だった! 幸せな読後感!
裕福な家に生まれながらも孤独な環境に育ち、ネガティブでわがままなメアリとコリン。貧しいけれど兄弟や動植物に囲まれてのびのびと育った、ポジティブで明るいディコン。3人の子供の交流と、メアリとコリンが変わっていく様が良い。
子供たちのいう「魔法」は、ネガティブにな...続きを読むりがちな大人も忘れちゃいけないものだろうな。
あと、ベン・ウェザースタッフと駒鳥がいい味を出していた。
あまり名作と言われる児童文学を読まずに大人になってしまったけど、大人になって読んでも良いものだなあ。

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Posted by ブクログ 2017年02月13日

とてもとても良かった。この一言に限る。

メアリさまが変わっていく過程が丁寧に描かれているのがいい。コリンのかんしゃくを聞いたメアリさまのセリフに笑った。

ディコンと出逢えて、メアリさまもコリンも人生が大きく(良い方に)変わった。出会いって本当に大切だなあと改めて思った。

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Posted by ブクログ 2019年10月30日



子どもの成長物語は多くあるが、この作品は異端な登場人物たちが印象的であった。何事にも興味を持たず、偏屈で癇癪持ちの子どもらしからぬ少女メアリ。ヨークシャーなまりを持ち、召使にそぐわない気さくなマーサ。自分を病気だと思い込み、希望を持てない少年コリン。

3人はいずれもそれまでのステレオタイプから...続きを読むは逸脱した性質の持ち主だが、マーサはメアリに、メアリはコリンに良い影響を与えてゆく。

明るくて真っ直ぐな少女セーラが主人公の『小公女』とは対照的な作品であると感じた。

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Posted by ブクログ 2020年04月08日

主人公である少女メアリがインドから本国に帰還してやって来るまでの邸の過去、それも10年前に大きな悲劇があり、その悲劇ののちの10年の経過でできあがった世界がまず構築されていて、そこに主人公のメアリが飛びこませられる。メアリ自身が偏屈で痩せぎすで問題のある子ですが、彼女は邸に落ちついてから、使用人のマ...続きを読むーサとの出会いやムーアと呼ばれる邸の周囲の植生からの生命力みなぎる風、そして邸の周囲の庭で遊ぶようになり、少しずつ再生していく。邸と花園によって再生していくメアリが、逆に今度は邸と花園を再生させていきます。

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