諸星大二郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
いや、もう、たまりませんな。手塚治虫亡きあと、本当に諸星大二郎の新作を読むことができる次代に居合わせた幸せよ。何度も書くけど、本当にそう思う。
Gの日記、グリムの悪夢のような世界をそのまんまえがいた素晴らしさ。全編にわたって漂う灰色。悪夢であるから、名前もはっきりしない。「夢十夜」を諸星が描くとどうなるんだろう。
トゥルーデおばさん、主人公の女の子の性格がいちばん怖い。これもグリム「らしく」、パンを踏んづけて泥沼に落ちていく女の子を思わせる。
夏の庭と冬の庭、現代に戻ってほしくなかった。いっきに怖くなくなって、ちょっと鼻白む。どうせならコミックスの最後に、エピローグみたいな形で掲載してほしかっ -
Posted by ブクログ
職場の先輩に借り受けて長い間触手の伸びぬ一品だったのですが。
この作品はタイトルで損している。大損している。
「妖怪ハンター」とか、そんなチンケで胡散臭いタイトルに到底似合わぬ作品としてのおもしろさと考察の深さがあります。
作者はこの世には人間の見知ったる動植物の他に、混沌からそれらの生命が生まれた時同じくして全く別の生き物が生まれ、それが「妖怪」と言われる我々にとっての「怪異を起こすモノ」であると考えておられる様子。日本神話ではイザナミが最初に失敗作として産み落とし水に流してしまうヒルコがそうだったのではないかとしています。そういう仮説を披露する場がこの作品だったのでは?民俗学好きにはたまら