諸星大二郎のレビュー一覧
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購入済み
ベテランの実力
昨今の若手作家が安易に手を出して、凡作駄作を大量に排出している「密室型謎解きホラー」とでも呼ぶべきジャンルを、その道の第一人者が描くとどうなるかという稀有な例。さすがです。
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Posted by ブクログ
買いそびれたので、ちょっと本屋を探した。
(2)を読み終えたときは、え、まだ続くのと思ったが。
前半はエッシャーのだまし絵のような錯視空間で物語りが展開していく。
そして、最後のクライマックスで魔物少女とキョウコのスリリングなやり取り。そして、読後の大きな喪失感。
全般に渡り、一遍ごとにクイズがあったりで、チョット脱力する部分と本編のギャップがモロ☆先生らしい。
読み始める前は、こんな凄い作品と思わなかった。
モロ☆先生の作品を初めて読んだのは、僕が中学の頃だから40年以上前。そう考えたら、もう大作は望めないかなと思っていた。だけど、本作のこのエネルギーに圧倒されて、妖猿伝や海神記の完 -
Posted by ブクログ
古本屋でふと手にとった一冊。2000年始めの頃の「鳥」をテーマにした短編集。特に50pの中編「本牟智和気(ホムチワケ)」が素晴らしかった。諸星大二郎の古代漫画は、いつも映画や小説では未だ描かれていない古代を描いているのだが、その描き方は、一旦紙に描かれてしまうと、たとえどんな奇異なことが起きようとも、それしかあり得ないような世界を創造してしまう。そもそも四世紀の日本など、今迄小説にはほとんど描かれない。文献がないからである。
ここで描かれていることは、もちろん「古事記」を下敷きにしているのだが、彼らの服装や巫女の立ち位置、神籬(ひもろぎ)の描写、伯耆の国の砂丘と森との関係などは、ちゃんと考古 -
Posted by ブクログ
蛭子さんに補陀落渡海に、水をモチーフにした神話や民俗を基底とした作品群です。
イザナギとイザナミが一番初めに産んだのが蛭子命(ひるこのみこと)でしたが、不具の子だったために海に流してしまいますが、神となって戻ってきて、恵比須さんとして祀られる。
なんてったって、ヒルコと書いてエビスと読ませるわけですから、不具の子というのは、手足のない、胞状奇胎のような、形の成してない形状を思い出される。時にそれはドザエモン(溺死体)であり、その描写がまたすさまじい。
海の向こうは異界であり、そこからやってきた漂着物は時に神としてあがめられ、時に魔物として畏れられる。
また、逆に、生きて海の向こうに渡海 -
Posted by ブクログ
目に見えないものって、たくさんありますね。
神とか仏とか、天国と地獄とか、悪魔とか妖怪とか、死後の世界とか常世とかニライカナイとか…。
旧約聖書も古事記もうそか本当か分かりやしません。
だけれども、それらは人間の想像力の産物です。
想像したものだからウソ、とは言い切れないものです。
たとえば夢と現実。
夢は夢だけど、悪夢で出た冷や汗は本物です。
たとえば物語と現実。
漫画や小説や映画はフィクションかもしれないけれど、そんなフィクションで人生を変えられてしまうこともあります。
たとえば死後の世界。
死んだ人でなければ分からない死後の世界はある意味フィクションですが、そんなフィクション