あらすじ
【ページ数が多いビッグボリューム版!】わたつみの神の国より流れ着く妖しき舟。底なしの冥き淵より、濃霧をまといて古の邪念と妄執が、おぞましき姿で甦る。稗田礼二郎が禁断の書を紐解く時、神話は民話と交響し、魔の物語が溢れ出す。妖怪ハンター第三弾は水と雪と官能の物語。水泡とともに禍々しき神々…浮かぶ。
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絵作りから、映像作品をよくご覧になられたのだろうと察せられる。邦画がお好きだったのではないか。
たぶん、岩明均も影響下にあるのだろう。
『産女の来る夜』
産女めっちゃ怖い。
『うつぼ舟の女』
裂戸の賽の河原。事物の描写がなぜか染みる。
『六福神』
この世ならぬものが船上でファミコン的なものを遊んでるというのはかなりシュールだ。
伝承のバリエーションを逆手に取った構想と見える。巧みなり。
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蛭子さんに補陀落渡海に、水をモチーフにした神話や民俗を基底とした作品群です。
イザナギとイザナミが一番初めに産んだのが蛭子命(ひるこのみこと)でしたが、不具の子だったために海に流してしまいますが、神となって戻ってきて、恵比須さんとして祀られる。
なんてったって、ヒルコと書いてエビスと読ませるわけですから、不具の子というのは、手足のない、胞状奇胎のような、形の成してない形状を思い出される。時にそれはドザエモン(溺死体)であり、その描写がまたすさまじい。
海の向こうは異界であり、そこからやってきた漂着物は時に神としてあがめられ、時に魔物として畏れられる。
また、逆に、生きて海の向こうに渡海するという補陀落信仰も、海の向こうに観音の浄土があると信じられていた民俗である。
圧巻なのは、これらの神話や民俗をホラーエンタテイメントに仕立て上げている点。面白い。
個人的にはもう少し稗田先生に活躍してほしかった。あのキャラクターは、金田一幸助や喪黒福造に並んでナイスガイである。
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何度目かの読み直しにつき記事編集。
妖怪ハンターこと、考古学者・稗田礼二郎シリーズを纏めた文庫
――といっても、まだ完結したわけではなさそうだし、
この本は民俗学ネタのみで考古学は絡まない。
単行本『海竜祭の夜』と『天孫降臨』を、
引っ越しの際、誤って処分してしまい、後から購入した全3巻のパート3。
ちなみに、読むべき順序は《地の巻》→《天の巻》→《水の巻》。
で、《水の巻》ですが、全エピソード、当文庫版で初めて読みました。
単行本『黄泉からの声』収録「うつぼ舟の女」と
『六福神』全話を合わせた1冊で、池や海など、水に纏わる怪異譚。
後半は大島くん&渚ちゃん(なんちゅーネーミングだ!)
という中学生コンビが活躍。
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<目次>
産女の来る夜
淵の女
うつぼ船の女
海より来るもの
鏡島
六福神
帰還
<内容>
稗田礼次郎シリーズだが、後半は渚&大島の話ばかり。海の話はパターンが似てくるか…。稗田が出てこない(往復書簡の中になってしまったり。最後の2つには全く登場しない)し、みんな渚に憑依するし…。海=女なのか?
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「産女の来る夜」
マジモンのウブメは「AKIRA」だった。
「淵の女」
自分と同じ顔の河童、というミステリーもあり。
泉鏡花「高野聖」も連想。
「うつぼの舟の女」
以下5編では憑依体質の少女渚と彼女を助ける少年大島が動き回る。
本作では稗田は解説役に。4作では登場すらしない。
スナックのマスターが借金取りからの隠れ蓑として、妻の実家である神社で神主をしているという設定が目新しいが、
その妻が実は……というのも面白い。
海の向こうの異形といえばクトゥルフだが、実にスムーズに日本の土着信仰とも接続される。
「海より来るもの」
諸星先生の手にかかれば乙姫もこれだよ。
「鏡島」
ドザエモンはエビスになるか海モッコになるか。
鏡というモチーフを導入するだけで端正な作風に。
「六福神」
邪悪な七福神!
扉絵のあまりの邪悪さに笑ってしまった。
テレビゲームをやめられないホテイとか。
諸星先生のお茶目。
本来7が6となればあと1は……。
「帰還」
補陀落渡海を成し遂げられなかった者ら。