カレル・チャペックのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ初めて戯曲を最初から最後まで読んだけど、ほとんど台詞で構成されている分、なまじな小説よりは読みやすいなと感じた。
感染症の治療と引き換えに平和を求めるという構図。
2022年の日本人の感覚からすると「そんなの戦争してる場合じゃない」と思うけど、当時はそうでもなかったと思うと事の深刻さが少しは分かる気がする。
なんか自然と
「たいした奴だな。簡単に5人も死なせるなんて。こっちは1人助けるだけで精一杯だ。」
というブラックジャックの台詞を思い出した。
ラストはこうなるか・・!やられた!!という感じ。
「『白い病』のこのような結末は、群衆の興奮、本能、激情と、それらを利用することに手を染める人々への警告となっている。しまいには、権力そのものも、浅はかに権力に近づいた者たちもすべて滅びる。」
と作者も書いているようだけど、正にその通りだと思う。
たとえ戦争下に置かれていなくても、現代のメディアの影響力とか情報の拡散スピードとかを考えると凄く普遍的なテーマだと思う。 -
Posted by ブクログ
チェコ語で書かれた原典など読むことはできないが、本書の訳文の多彩な文体を見ていると、翻訳大変そうだなあ、と想像できる。
飄々とした味わい、ちょっぴりの皮肉。
ペンクラブの招きでのロンドン行きだったそうで、当時のイギリス文人の錚々たる顔ぶれの戯画もある。
何でも、チャペックをそれまで高く評価していたチェスタートンは、本書p.206の戯画でかなり不愉快になったとか。
約100年前のイギリス。
ロンドンの様子は変わったに違いないけれど。
郊外や地方の町はどれくらい変わったのだろう。
そして、イングランドの人々が「私たちが行かない所」と言ったアイルランドは。
チャペックがアイルランドに執心したことにも、どんな思いだったのだろうと考えてしまう。
チャペックは大英帝国の文化的な支配力にも意識的だった。
イギリス人はどこへ行ってもイギリスを引きずっている。
世界各国に小さなイギリスを作ってしまうと。
外国で自分の文化から抜け出せないというなら、きっと私自身もそうだろう。
国の力が強ければ、単なる個人の嗜癖も、政治的な意味を帯びかねない。
難しい問題だ。
チャペックはイギリス人の島国根性も指摘する。
そして、無口で非社交的なくせに、時々ユーモアを発動する、とも。
逆に思う。
チェコの人はそんなにみんなおしゃべりなのか?
しかし、チャペックは、そういうチェコ人をとてもあいしているようだ。
チャペックには他の旅行記もあることを知った。
よし、じゃあ次はチェコ国内の旅行記を読んでみよう。
手に入ったら、だけど。 -
Posted by ブクログ
面白い!
まさかこれほどユーモア溢れ、小気味良い寄席のような面白い本たど思ってもみなかった!
現在の我が家は庭もなく、園芸と言えば4個のサボテンを何年も愛おしく育てている(サボテンの花は本当に美しいのです!)以外、何もしていないのだが…
そんなの全く関係なく楽しめる
熱心でマニアックで、少々偏屈オヤジの園芸エッセイだ
サブタイトルでも付けることを許されるのであれば、「頑固親父の園芸生活12ヶ月」…みたいな感じだ
間違ってもインスタに投稿されそうなオサレ女子の園芸生活とは全く違う!
また、憧れのイングリッシュガーデン手引書みたいなのとも全く違う!
とにかく表に出てくる花のビジュアルだけを大事にする園芸家ではなく、土をいじってなんぼの、コテコテの園芸家なのだ
注)ネタバレ有
※ネタバレ無しにこの本の面白さを伝える力量がないため…
チャペック曰く
~ほんとうの園芸家は花をつくるのではなく、土をつくっているのだ
園芸家の喜びは花よりもっと深い大地の胎内に根ざしているのだ~
ふふふ
これだけで掴みはOKだ
そして以下の表現がなんともユーモアと知的表現でお見事である
~次の世に生まれ変わったら、園芸家は、花の香に酔う蝶になんかにはならい
窒素を含む、かおり高い、くろぐろとした、ありとあらゆる大地の珍味を求めて、土の中をはいまわるミミズになるだろう~
そして、土の肥やしとしてにうってつけの舗道に転がっている馬糞を欲しいけど拾えない羞恥心と葛藤しているのだ
そう、花よりダンゴならぬ、泥ダンゴ
といった感じだ
また最高に素晴らしい土は、こんな風に表現されている
~ベーコンのようにこってりしていて、羽のように軽くて、ショートケーキのようにボロボロくずれやすい土
品格のある美しさを持っている
それに反し、ねっとりとした土、かたまった土、じくじくした粘りっけの強い、冷たい不毛の土は役に立たない醜い土で天が人類か授けたものだ
人間の心の冷酷さや、頑迷さや、陰険さと同じようにそういう土はみんな醜い~
時折こんな感じで土(自然)も人間も同じなのだと、何かチャペックの訴えが聞こえるようである
3月春
植物たちの芽吹き
チャペックがもし自分が作曲家であったなら「芽の行進曲」を作ったかもしれないと言っている
ここで各楽器に見立てた植物たちの行進が描かれていて楽しくなるのだが、さらに好きなのが以下だ
~芽が出る
ねばねばした鱗片からは、若々しいみどりが顔を出し、ふとった芽がひらきかかって、小さな葉脈と小さなたたみ目の、やさしいすかし細工が押しあって出ようとしていた
赤くなってはにかむことはないのだ
たたんだ扇をひらくがいい
うぶ毛をはやしてねむっている芽よ、目をさませ
スタートの命令が、もう出たのだ
楽譜にのらない行進曲の、はなやかなラッパを吹き鳴らすがいい!
日を受けて光れ、金いろの金管楽器
とどろけ、太鼓
吹け、フリュート
幾百万のヴァイオリンたちよ、おまえたちのしぶき雨をまきちらすがいい
茶色とみどりのしずかな庭が凱旋行進曲を始めたのだ~
躍動感が音楽を通して伝わる見事な部分
シビれます!
いちいち表現力が素晴らしい
目の付け所がニクイ!
こんな園芸エッセイ他にないだろう
なんというか、本当に土臭いリアルな部分に、心を掴まれてしまうのだ
チャペックの溢れんばかりの園芸愛、そしてユーモアあふれるエッセイ
自然と人間に対する鋭い観察力…
園芸愛が強すぎて、奥様やお子様にけん制されている俗っぽさがなんとも可笑しい!
園芸エッセイという枠にとどまらない多彩な読み方ができる
植物に無知でもまったく問題なくしっかり楽しめます! -
Posted by ブクログ
80年くらいの前の北欧旅行記。船旅がメインのこの本、今は何となくオシャレで素敵なイメージしかない北欧の国々は、厳しい自然の中で様々な歴史を経てきたのだ、という当たり前のことに気づかせてくれる。とりわけ海からむき出しの岩、時には荒れる広い広い海、とりまくたくさんの木々や森。自然について執拗なほどしつこく、ありったけの比喩で書かれているのでちょっと読みづらいけど、イラストが添えられていてなんともかわいい。
旅であるがゆえの一過性物悲しさの切り取り方が響く。
「何でもない、申し上げるが、何でもないのだ。しかし美しい。描くというよりもむしろ愛撫したいような美しさ。」 -
Posted by ブクログ
チェコの作家カレル・チャペックの
イギリス旅行記。
現在でも多くの外国人が集まるような
観光スポットを訪れているが、
「外国人ジャーナリスト」である
彼独自の目のつけどころがあったり、
ユーモア溢れる文体で(私は偉大なる
作家に向かって失礼かと思うが、
「チャーミングな文体」だなぁと
感じる。)綴るイギリスは
欠点もあるが愛すべき国であると、
約十年以上も前に旅した時のことを
思い出しながら読んだ。
文頭につけられた「あいさつ」と
いう文、「旅に出て、私にとって
心に残るのは有名な観光地ではなく、
そこで生活を営む人々である。」と
いった内容の言葉が私の心に刻まれた。
私達は、
その人の属する国や社会、団体を
分析、評価するのではなく、
その人自身を、
もう少し言葉にしてみるなら、
「その人が毎日どのように考え、
生きているのか、
その人が愛し、大切にしているものは何なのか」
を見て、考えて、
時には自分のそれと比べてみてもいい、
同じ、似ている、
まったく違う、わからない・・・、
どんな感想が生まれても、
その自分が見つめている相手が、
自分と同じように、日々儚い、かつ大切な命の
炎を燃やしているのだということを
実感するべきだ。
そして余計な雑音に惑わされず、
自分が手に入れた実感を、何ものも裏切らない、
確かなものとして信じればよい。