松井信彦のレビュー一覧

  • 宇宙に質量を与えた男 ピーター・ヒッグス

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    物質に質量を与えるヒッグス粒子の「生みの親」がノーベル賞を受けるまでの物語。
    単に伝記ではない。素粒子物理学を取り巻く状況の変化、理論についてもかなり分かりやすく説明してくれている。

    スイスイ頭に入るのだが、この辺の本読んでいつもそうなのだが、読み終わると何も知識として残っていない。うーむ。難しいというか、対称性とか、繰り込みとか、何のことやら何でそんなに騒ぐのか全く理解できてへんねん、きっと。

    ヒッグスの謙虚な人柄が目を引く。

    その「理論」、ほぼ同時に6人が提唱していたらしいんだが、それを検証する方法としての「ボゾン」の存在に言及したのがヒッグスだけだった(の?)。
    加速器の予算稼ぎの

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    2024年01月17日
  • オウムアムアは地球人を見たか? 異星文明との遭遇

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    オウムアムアが人工物とする推定の妥当性をどう捉えるかで著者に対する印象が変わると思う
    オウムアムアがどこから来てどこへ向かったかの説明はなくがっかり
    現在の科学の問題点が繰り返し語られるが、アメリカの科学研究/教育は優れた点が多そう

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    2023年02月04日
  • オウムアムアは地球人を見たか? 異星文明との遭遇

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    著者はハーバード大学教授で、天文関連の団体の委員長を兼任する。異星文明の証拠を探索するプロジェクトのリーダーでもある。 タイトルに惹かれて読んでみた。 恒星間天体オウムアムアが話題になったことがあり、その科学的な分析の本と思ったが、内容はオウムアムアをめぐる論争の考察、著者の半自伝的な話、自己の見解を記述したもので、正直あまり面白くなかった。
    オウムアムアがただの岩石なのか、何か意図を持って送られた物質や物体なのかが話の焦点。 著者は後者の方と考えているが、科学者の多くは単なる岩石説を支持している。 これがただの岩石であれば、理論上の軌道から大きく外れてしまったことが不可解であり、著者は何らか

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    2022年10月07日
  • AI新生――人間互換の知能をつくる

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    幸福の定義が上位1%に入ることだとしたら99%は不幸になる。とか、割引率によるAIの価値の推定とか、とてもキレ味のある論評。バークレーっぽい感じもあって、トランスセンデンスも引用されている。結局AIへの不安というよりは、一神教の人たちのロジックドリブンで行った究極への不安ってことの方が大きいねえ。というふうに読みました。ロジックドリブンの場合には、境界条件の設定がすごく重要な意味を持つんだけれど、ロジックが完全性を持つ時には境界条件がなくなって自己言及を起こすようなところにまでいく。当然全てがmake senseするということは無くなるんだけど。最後の方は人間の幸せの計量方法みたいな方向に行く

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    2021年05月15日
  • スプーンと元素周期表

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    元素記号にまつわるエピソード集。新たな元素を巡る科学者たちの争いがやはり印象的で、元素の名付けを巡って混乱があったり、新たな元素の発見が覆されたり。人間臭い内容が実に多い。ちょっとボリューム満点すぎて、文系にはちょっとお腹いっぱいになってしまったが。。

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    2021年04月04日
  • もうダメかも――死ぬ確率の統計学

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    文体が眠たくなるが、中身は面白い。
    100万分の1の確率をマイクロモートと定義して、イギリスで一日の間に平均して死亡する確率と同じとする。また30分寿命が縮む確率をマイクロライフと定義し、アルコール一杯目は1マイクロライフ寿命が増加、2杯目以降は0.5マイクロライフ寿命が縮むそうな。このような新単位系を導入することで、様々なリスクの横並びを比較することが可能になる。出産のリスクは120マイクロモート、スキューバダイビングのリスクは5マイクロモート、アフガニスタン駐留は1日当たり47マイクロモート。
    これらのリスクを理解する人の心は不安定?で、リスクを400分の1ととるか安全は400分の399と

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    2020年12月06日
  • もうダメかも――死ぬ確率の統計学

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    タイトルよりも、副題の「死ぬ確率の統計学」の方がわかりやすいかもしれない。
    本書は人が生まれてから死ぬまでの間に出くわす死亡リスクについて考察するもの。統計的な事実と3人のモデル(ノーム、プルーデンス、ケビン)の人生を重ね合わせて、ストーリー仕立てで、ちょっとユーモラスに、いささかシニカルに概観していく。

    原題の"The Norm Chronicles"は、モデルの1人のノーム(Norm)の名と、普通名詞としての標準的な状況(norm)を重ねたもの。つまりは、「(ノームに代表されるような)一般的な人の人生のあれこれ」というところだろうか。
    章ごとに、人生の途上で出会うさま

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    2020年12月04日
  • もうダメかも――死ぬ確率の統計学

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    主に死亡やその他の災難の原因別の確率についての種種雑多な記述。おもしろいが、この和文タイトルは、ミスリーディング。原タイトルは、The Norm Chronicles (ノーム(登場人物の名前、標準という単語のダジャレ)の歴史)。うーん、直訳は、売り物にならないな。
    ちょっと前まで、出産時の死亡率は、家庭内のほうが病院より低かったんだね。原因は院内感染。現在も医療関係者が院内感染に神経を使う理由がよく分かる。

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    2021年01月05日
  • もうダメかも――死ぬ確率の統計学

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    「リスク」が何なのか、を自分なりに考えるにあたって、いろいろとヒントがもらえるのだが、いかんせん、なにか癖のある文章でよみづらいかな。

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    2020年07月06日
  • もうダメかも――死ぬ確率の統計学

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     様々な確率やリスクに接する際、我々が決まって陥る混乱──結局、この数字は一体我々にとって何を表しているのか──の正体とは何か、そしてそれはなぜ生じるのか。この謎に、人生の様々なライフステージにおけるイベントを題材として迫る本。ベイズ統計学を専門とするケンブリッジ大学教授と数学に関する著書のあるジャーナリストの共著である。彼らによれば、我々のリスク=確率をめぐる混乱とは、リスクが表明するドライな「数字」と、その出来事を経験することになる人々が紡ぐウェットな「物語」という、2つの全く異なるアスペクトが「確率」という概念の中に同居していることにあるという。本書の目指すのは、これら2つの側面を同時に

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    2020年04月26日
  • ホーキング、最後に語る

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    前半は宇宙的な簡単な本に書いていることも多いのでついていけましたが、後半は数式は無いものの専門用語が多く、抽象的でチンプンカンプンでしたw
    わたしのレベルには、まだ早かったようです

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    2019年10月14日
  • 「偶然」の統計学

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    ありえない偶然と思った現象は大数の法則から行って必然なのだということを統計的に説明してくれる本。色々な事例が出てきて面白い。ロトを2回もあたった人とか、ニューヨークとロンドンとインドのテロ発生時にすべてその場にいた夫妻とか、ありえねぇーと思うような事例が出てきて、興味深かった。2700万ドルにまだ上がった、ロトを総当たりで700万ドルかけて当てたという話も実際にあった話として面白かった。

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    2018年11月12日
  • 神経免疫学革命 脳医療の知られざる最前線

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    通説では、脳には外部から守るための関門があり、免疫系も介在できないとされていたが、脳の健康や病気に関して、免疫系が重要であると提唱した本。ワクチン療法などで、免疫系を動かすことで、脊髄損傷などに効果があるなど、興味深く読みました。これから脳疾患の1つの治療手段となっていくのかもしれません。ただ何でも免疫が原因で、何でも免疫で直るというような雰囲気も漂っており、少し過剰な印象も受けました。

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    2018年04月06日
  • 重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

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    アインシュタイン最後の宿題を成し遂げるための科学者たちの苦闘の歴史。重力波発見を巡る悪しき前例を乗り越えるべき開発した装置(LIGO)でも科学者たちが対立し軋轢を高めてゆく。それが約50年も続き、ようやくLIGOが稼働した直後に重力波を検出できたのは奇跡的だったのかもしれない。
    今後、日本のKAGRAも稼働し世界的な重力波天文学が発展していくことを期待したい。
    それにしても今年(2016年)のノーベル賞はこれだと思っていたのだが、来年以降に持ち越しなのか?

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    2017年09月26日
  • 重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

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    『重力波は歌う』、タイトルがいい。

    アインシュタインが存在を予言し、2016年2月にその存在が確認された、ブラックホール同士の衝突で発生するエネルギー波。宇宙の遥か彼方で起こる極微な波をどう捉えるか、LIGOチームを追ったドキュメンタリー。

    但し内容はサイモンシンのような本格的科学ドキュメンタリーではなく、LIGOの主要メンバーであるワイス・ソイス・ドレーヴァー・ヴォードたちの人間模様を描いている。天才たちが集うと色々あるんだなぁと思いつつ、著者のジャンナ レヴィン氏自身物理学者なので、もうちょっと学術寄りの内容が読みたかったというのが率直な感想。ゴシップ感が強い。

    重力波の直接観測は旬

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    2016年10月28日
  • 重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

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    重力波の解説ではなく、それを巡る人間ドラマでした。
    純粋さ、野心、欲望などなど同じ目的ではあるけれども、色んな人の思惑が錯綜するまさに”Rasyomon”。
    STAP細胞もある程度はこういう感じだったのだろうが、如何せん科学的説明がなされなかった点が致命的に違う。もしかすると存命中は何ともならんかもしれないが、一貫した科学的態度の維持はこの世界で最も重要なものなんでしょうな。当方のようなど素人が言うまでもなく。

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    2016年09月19日
  • 重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

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    LIGOのプロジェクトの話。比較的、技術的・物理的な内容にも触れられていたが、こちらも人間関係の描写が主。個性の強い物理学者がお互いに衝突しながら巨大プロジェクトを進める。仕事のトラブルを思い出して、あまり読んでて嬉しくならない。ただし、LIGOの重力波発見前の、LHO、LLOが巨大プロジェクトとして建設される過程を関係者に取材して書かれているので、冷静な分析資料としては価値が高いだろう。エピローグとして重力波を発見した時のことが追加されているが、全体には大きな影響を与えていない。

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    2016年09月18日
  • 「偶然」の統計学

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    ネタバレ

    ものすごく珍しい、そんなのありえない、と思える出来事もよくよく考えてみたらそんなに珍しいことでもなく、説明がつく、ということについて。

    我々が生きていくうえではボレルの法則に基づくべきだが、著者が「ありえなさの原理」と呼ぶ5つの法則のため、実際には確率が過小評価されやすい。

    10^10光年のかなたで電子を一個取り除いたら、1億分の1秒後に地球上ので酸素分子の振る舞いがすっかりかわるとか、明らかな間違いと思われる記載が散見され、その他の説明も強引なところが多く、すんなり頭に入ってこない。

    ・ボレルの法則:確率が十分に低い事象は起こりえないものとして行動すべき。100万分の1の事故を恐れて家

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    2016年07月20日
  • 「偶然」の統計学

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    シンクロニシティやロトの当選番号の連続など、ありえないようなことでも実際に考えてみると現実的、といった、確率に関するお話。
    少し固めですが、現実の例を交えているので、読みにくくはなかったです。

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    2016年04月07日
  • スプーンと元素周期表

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    元素周期表とそこに記載された元素をめぐる多彩なエピソードを紹介するカジュアルなサイエンス本、とはいっても門外漢にはちょっと重たい内容。元素だけでここまで話を広げられるのか、という今さながらの驚きとトリビアルな逸話は大いに楽しめる。

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    2016年03月13日