松井信彦のレビュー一覧
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普通の摂食としての食人はなかった。食人は儀式的なならわし。クール―病などたんぱくプリオン異常の原因となる。
ゴリラとチンパンジーの交尾戦略。
ゴリラは、あらかじめ序列を決めておく。メスの発情期に合わせて戦わなくてすむ。メスは楽。
チンパンジーは、メスの発情期が決まっていない。精子が多い。オスの精巣は類人猿のなかで最大。
ゴリラもチンパンジーも、だれが親かはわからない。子育てに手を掛けない。
メスの発情期がわからなければ、オスはいつも食べ物を運ぶ必要がある。
ラブジョイ説=セックスと食べ物の交換によって一夫一妻制が生まれた、とする説。その反対説が、人間は父親という文化的な役割をもつ、とする -
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事故や暴行など外的な原因で、イングランドとウェールズで亡くなるのは百万人に一人。この一日のリスクを1マイクロモートとして、様々なリスクがその何倍あるか考えたり、様々な避妊法による妊娠率の比較、19世紀のウィーンの産科の死亡率、鉄道に乗って死ぬ確率など様々なリスクについて考える。
なかなか面白かった。
毎週エクスタシーを服用すると2マイクロモート、バイクで45キロ走ると4、マラソンが7、全身麻酔とスカイダイビングが10だそうだ。普通に生活している時に発生してるリスクの10倍なら大したことない、と言えなくもない。計算したことのないことを無闇に恐れるのは正しくないかも知れない。 -
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こういった学問は自然人類学にジャンル分けされるらしい。
ジャケットからも”サルから人間への進化史”を学術的に描いた本かと思ったが、タイトルを読んでみると全然違う。
そこで読んでみたら…。
月刊誌に連載されたコラムを一つにまとめたもので、(一般向けなので)当然、学術的というより分かりやすく面白く書かれてある。
これを読む限り、私たちが子供の頃に習った人間はサルから進化して・・なんて単純な話ではないというのがよく分かって面白い。
何より、古臭いイメージの人類学が、遺伝子解析を元に、わずか指の骨の破片から性別・年齢・身長や、(生存していた)年代はおろか、どの人種の遺伝子を引いているかまで分かる -
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2018.3.14 「車椅子にのった天才」スティーヴン・ホーキング博士逝去。
ご冥福をお祈りします。
報道を知ったとき、博士の伝記映画『博士と彼女のセオリー』を観て間もなくだったのもあって、なかなかの衝撃だった。
年末になってこの追悼本を見かけ、これは今年のうちに読んでおかねばと思った。
本書は4部構成。
・佐藤勝彦氏によるホーキングの業績の概説
・ホーキングの最終論文の共同著者トマス・ハートッホ氏へのインタビュー
・最終論文の解説
・最終論文『永久インフレーションからの滑らかな離脱?』
最終論文のみ横書き。
最終論文を簡単にまとめると、通常、永久インフレーションはいびつな宇宙像を予言するが -
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LIGO(レーザー干渉型重力波観測所)で2015年9月14日に直接観測された重力波。4キロメートルのパイプを2本、L字型に組み合わせた干渉計で重力波の直接観測に挑んだ科学者のドキュメンタリ。LIGOはアインシュタインの一般相対性理論の正しさを証明するための計測機関だ。大型の加速器と同様に建設するだけでもおおごとな施設を、アインシュタインの最後の宿題を終わらせるために巨額の費用をかける。約2億ドルの予算で研究を進めるのだが、たかが(失礼!)ブラックホールの衝突を検出するために(アインシュタインの理論を証明するために)、科学者は大金を使えることに驚いた。2億ドル使って「何も成果はありませんでした」
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結構な分量のある本だけど、読む手が止まらず、気付いたら読み終わっていました。
単純な元素の性質についての話だけではなく、その元素発見の背景にあった人間ドラマ(苦労や名声をかけた争い)やその元素を巡るいざこざ、失敗譚など、あらゆる角度から元素という物を眺めるような構成になっており、非常に楽しめました。
訳者あとがきからの下記引用を見るだけで、ワクワクしてきませんか?
"どんな話が飛び出すか少しばかり紹介すると、第1部では学校で習わないような周期表の見方、いちばん長い英単語、ケイ素系生物の可能性、ノーベル賞を横取りしようとした物理学者、七つの元素名の由来となった場所・・・、第2部では地 -
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プロでも騙されることがある確率の数学的なややこしさと、実際に起こった事件・事故の数奇性から、この手の本は何度読んでも飽きない。『人間この信じやすきもの』『たまたま』『リスクにあなたは騙される』に続く「確率本」。
1億分の1の確率でも、1億回繰り返されれば「起こって当然」の事になるという、誰でもわかる話だが、これが当の私/あなた/もしくは身近の誰かに起きたとき、まるで超自然的な力が働いたかのように感じ、その偶然の背後に何掛かるのではないかと説明を考えてしまう。
第2章 気まぐれな宇宙「なぜわが身に?なぜここに?」
0-9の数字を5回適当に抜き出した時に"46984"にな -
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ネタバレイギリス人っぽいのか教養が溢れてて上品な気持ちになりました。例えば8章の始まりはケインズを引用して、「正確に間違っているよりは、あいまいに合っている方がいい。」そして随所に銀河系ヒッチハイクガイドの引用。どうやら職業柄シンクロニシティが大嫌いみたいで、ユング好きとしてはちょっと彼を弁護したくなるくらいに徹底的に傷めつけてます。100万年に一度のことがしょっちゅう起こる仕組みはなにか?とかを数式なしで教えてくれる。みんな読んだほうがいいんじゃないかな。これ。まあ、オカルト、シンクロニシティばかじゃねえのって感じではあるんだけど、僕の弁護としては、人間の意識が合理的でない想定を置くということも含め
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ガーディアン紙が本書を説明する「非ユークリッド幾何学、集合論、囚人のジレンマ、ゲーデルの不完全性定理、自己複製マシン、ゲーム理論、量子の非局在性…フォン・ノイマンの休むことない知性を追いかける旅だ」この言葉通り、数々の功績を解説しつつ、ノイマンの人となりにも触れているのが本書。
功績における影響が甚大で、そこから世界が変わっていった事を考えると、まるで逆算して未来から世界を導いたようにも見える。また、頭脳が異常値過ぎていて、タイトルの通り、「未来から来た男」となるのだろう。「火星人」とか「悪魔」とも呼ばれていた。
本書はそうした功績を一つ一つ解説していくので、それがどれだけ凄かったかという -
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周期表の各元素に纏わるこれでもかというエピソード。その中で関連する歴史的事件や人物、社会背景を交えて語る。いわば、元素を主人公にした物語。
文系のぼくにとって、化学はどちらかというと苦手科目。高校の時、必死に覚えた周期表。この本を読んだあとでは違った感覚で眺めることができる。
味気ない周期表がただの記号の差列ではなく、人類の歴史と密接に関わる壮大なドラマであることを体感した。
400ページを超える大著。ぼくにとっては消化不良の面あるため、ときを置いて再読しよう。
100種類以上ある元素。元素を構成するのは、陽子、中性子、電子。元素の違いはこの数。どうして数が違うだけでこんなにも元素の特性に -